フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
初めての方は、ぜひごあいさつをご覧ください。評価の基準については、レビューについてに記してあります。
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YouTube始めました。フリーゲーム攻略動画などを投稿してます。

こんにちは。今回はしろ∽うささんの「ねじまきマキナ」のレビューをお送りします。

nejimaki1

ジャンル:ファンタジーノベルゲーム
プレイ時間:エンディングまで1時間程度。フルコンプまで2~3時間
分岐:ED3種
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2023/8


本作は3部作の完結編として銘打たれている作品となります。同作者の「飛びたいの」「私を人間にしてください」のキャラクターが登場するので、先にこれらの作品をプレイしておくと本作のプレイ中ににやりとできる箇所があるでしょう。どちらもエンディング回収1時間以内の短編です。
本作単体でもストーリーは問題なく楽しめますので、時間がない方やグロテスクなシーンは苦手な方(「私を人間にしてください」はR15相当の描写があります)は本作からプレイしてみるのがいいでしょう。本作単体は全年齢対象となっています。


そんな完結編である本作は、過去作のキャラクターとは全く関係のないシーンから始まります。間抜け面ともいえるような”ポンコツロボ”の様子を喜劇調に描きます。感情(らしきもの)を持つロボットのマキナは、現代の視点から見ると高性能ロボといえそうです。しかし人間のように汎用的な仕事・物理的な仕事をさせようとするとまだまだのようです。マキナを作った科学者がその無能ぶりに頭を抱えるところでこのシーンは終わります。

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一旦タイトル画面に戻ると、今度は大けがを負って地上に墜ちていた天使とそれを拾った人間の話になります。その哀れな姿を見て放っておけない人間ですが、天使には何かやり残した大切な用事がある様子。その目的は果たされるのでしょうか…。

こんな感じで1シーン3~5分くらいの短い話が、毎回登場人物が切り替わりながら進んでいくのです。舞台となるのは3つの世界。最初に登場した、ロボット工学の技術は進んでいるが同時にその技術は軍事転用もされ、悲惨な戦争が延々と続くディストピア世界。次に登場する、人間界に墜ちてきた満身創痍の天使と善意の人間が交流するファンタジー世界。もう一つは、一緒に天界に行った天使と少年の、「飛びたいの」に登場した世界です。

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最初のうちはこれらの話の関連性が見えてこず、単体の話としては面白いんだけれどどういう意図なのだろうと疑問でした。しかし中盤以降これらの世界のかかわりが見えてくると、一気に視界が開けてくる快感があります。

あまり詳しくしゃべってしまってもネタバレで興がそがれると思いますので、1つだけ。
3つの世界を横断して最も重要な存在となるのは、タイトルにもあるマキナです。家事・看護用ロボットとして博士の手で生み出された彼女。人間に近い見た目を持ちながら、機能や動力、寿命も大きく異なるロボット。作内でしきりに引用されるアシモフのロボット工学三原則に縛られる存在であり、クラウドコンピューティングの普及によって見た目の個体と論理的な個体が一致しなくなった存在。これらの設定が融合してあの結末にたどり着くのがうまいですね。

マキナに使われている技術が普及するほど科学の発展した世界で、それが軍事に転用されたうえで世界大戦なんて起こってしまった日には、人類の滅亡まで一直線かもしれません。そんな滅亡世界と死を前にして人間は何を望むのか。輪廻転生があったとしたら死者の魂はどう裁かれてどう生まれ変わるのか(この辺りの設定は「私を人間にしてください」プレイ済みだと分かりやすいと思います)。天使は天界でどのような仕事をしているのか。こういったSF要素とファンタジー要素がミックスされ、本作はかなり壮大なテーマに挑んでいるといっていいでしょう。


さて、物語のテーマから離れて演出方面の話をしましょう。
上の説明からも読み取れるかと思いますが、本作は結構重めの問題提起をはらんでいます。しかし全体の雰囲気としては深刻な感じは薄めで楽しく読める調整となっています。これはまずボイスの貢献があるでしょう。フルボイスではなく文章の冒頭や間投詞などが音声付きになる程度ですが、マキナの能天気な声色は、各シーンのコメディ的要素を引き出して場の雰囲気を明るくしてくれます。天使たちの困った声、博士の冷静な声などメリハリが効いて読みやすさの向上にもつながっているように思います。音声は短めなのでプレイヤーの読む速度に縛られないという意味で、これはむしろフルボイスでないからこそかもしれませんね。

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また、タイトルに含まれる通り、本作にはネジをモチーフにした部分が多数見受けられます。タイトル画面にあるロゴもそうですし、文章送り待ちで表示されるアイコンなど細かい部分もあります。物語中盤で、単にロボットに関係した話であるという以外の意味が語られ、なるほどと思いました。
キャラクターの立ち絵についてはやや独特な画風と感じますが、戦争の絶えない人間世界でもファンタジー世界でも、異種族交流をしている感が出ていて良いですね。人によっては一部イラストがグロテスクと感じられそうなので注意が必要かもしれません(先述した通り年齢制限がかかるほどではありません)。

逆に気になる点としてはフラグ管理が甘そうな点が挙げられるでしょう。一つのシーンを読み終わると次のシーンが解放されるという仕組みですが、その解放状況がロードされないのかゲーム起動直後は必ず初期状態になってしまいます。先の章のセーブデータを読み込めば一気にそこまで進むことはできるのですが不便です。また、過去の章をプレイし直した際も次の章にまたNEWマークが出てしまう場合があるので若干の違和感があります。新規に読めるようになったシーンに印をつけておくというのは親切な仕組みだと思うのですがあと一歩という印象。


本作のエンディングは3種類。終盤の選択肢とアクションシーンの結果でEND1とEND2に分岐します。
END3はフラグが特殊なので回収に苦労しました。END1と2の結末を受けての大団円といった内容ですが、私が好きなのはEND2でした。主人公たる人物が報われてる感じがするんですよね。マキナにとっても私の倫理観ではこちらの方が幸せそうに感じます。逆にEND1は無力感に襲われるというか振出しに戻るというか、そんな感じがしてしまいます。

このエンディング分岐は少し変わっていて、END1とEND2に至るルートが複数あるのです。1つの選択肢だけでなく、この方法を試してみたけどやっぱダメだったとか、逆に負けそうなときにそんな手があるのか!みたいなルートもあったりして、それぞれでエンディングに至る過程が少し違うため、エンディングの読み味も辿ったルートによって少し変わってくるかもしれません。


というわけで今回は「ねじまきマキナ」のレビューでした。
バラバラな点から始まったそれぞれの物語が交差し、1本の筋になっていく様子はそれこそねじ止めすることで組み立て作業が完了し製品として完成するような気持ちよさです。あなたは最後の最後、どのような形で物語を組み上げるでしょうか。ぜひご自分の目で確かめていただきたいなと思います。

それでは。

こんにちは。前回の記事の予告通り、自作を作る間のことについて書いていきたいと思います。
作品はすでにノベコレで公開されているのでまだの方はぜひ一度プレイしていただけると嬉しいです。1プレイ1分以内なのでお気軽にどうぞ。
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私の経歴ですが、フリーゲームは完全にプレイ専門でやってきてレビューを書いていたので、タイトルにある通りティラノスクリプトは全く触ったこともありませんでした。内部的にはHTML/CSS/JavaScriptで動いているらしいと噂に聞いたことがある、というくらいです。
プログラミングに関しては仕事でC#とかSwiftとかPythonとかを扱うのでその点に関しての素養はある方だったかなとは思います。ただJavaScriptは初心者です。昔図書館にあった、サンプルコードコピペOKの作ってみよう系入門書を1冊やってみたくらいです。


長いので以下適宜折りたたみながら書きます。

ゲームを作ることになるまで 今年の2月頃にふと思い立ってJavaScriptで簡単なゲーム作れるんじゃない?という発想のもと今回のゲームの原型となる3目並べを手元で作っていました。それをブログにアップロードして動く形にしたのがこちらの記事です。見た目に何の装飾もなく寂しいですがとりあえず遊べるものができた点では満足でした。
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勝敗の判定やCOMの思考ルーチンを実装するのは楽勝だったのですが、HTMLの知識が不足していたりwebについても勉強したことがなかったりでそこは少し苦労しました。普通スクリプト部分は独立したファイルに分けるだろうなと思って最初はそうしていたのですが、livedoorブログの制限なのかMIMEタイプがtext/javascriptにならずスクリプトを読み込めないという問題が発生していたので、記事と同じファイルに直接JavaScriptを記載しています。

4月にはこれにスコアを付け加えた、先日公開したものと同じルールのものを作り公開しています。ゲームのロジック部分はここからほぼ変わっていません。

大きな出来事があったのは5月でした。DREAMSCAPE#3という同人ノベルゲームの展示イベントに行ったところ、きつねのてぶくろ図書館さんのブースで紫靂せちるさんとmadocaさんにお会いしました。知ってるサークルさんだし回っておきたいなと思いながらちらちら様子をうかがっていたのですがお二人でお話が盛り上がっているようで行きにくいな…とコミュ障を発動せずこちらから出向けたのは我ながら頑張ったのではないでしょうか(笑)
ティラノ製のゲームもよくやりますよ~みたいなお話をしていた中でちらっと「ありすすとーりー」をやり込み過ぎて作者のねこのさんに怖がられたことをお話ししたら大層ウケまして、「明日ティラノオフ会やるんだけど来ない?」と誘われました。

行くと返事をしてしまったので帰ってからとりあえずティラノスタジオをDLしてサンプルゲームを動かすのだけやって翌日のイベントに臨みました。全部で20名ほどいらっしゃったように記憶していて、皆さん創作への熱意をお持ちですごかったですね。ゲームつくったこととかないんだけど…という私も迎え入れてくれてありがたかったです。ノベコレでよくお見掛けする富井サカナさんのパワフルな日常を聞けたり、ありすすとーりーの戦闘に関わるソースコードを生で見せていただけたりとなかなか体験できない日だったなと思います。名刺も何枚もいただいたのですが自分が渡せるものを用意できなくてそこは若干肩身が狭かったですね。

開発の技術的な問題 そんな感じで熱を受けて、自分がティラノでゲーム作るとしたらブログに置いたやつのティラノ移植だろうと思ったので、その日から2週間ほどは余暇時間のほとんどを生のJavaScriptからティラノへの移植に費やしたと思います。

↑当時のツイート

タグ解説によると任意のHTMLをそのまま埋め込めるとのことだったので、最初はブログに置いたやつをそのまま埋め込む方法を試してみたのですが、こうするとHTML表示中はゲームが止まる仕様上JavaScriptからティラノのタグを実行させる仕組みが必要になり、これが分からなかったので結局この方針での実装はあきらめています。
ではどのように実装しているかというと、9つあるボタンをHTMLの<input>からティラノスクリプトの[glink]に置き換え、ゲームの内部状態やコンピュータの思考についてはJS、進行状況やUI表示についてはティラノと役割分担させています。これをやる中でも色々と壁にぶち当たったことはあるのですが、分かんねーとなったことをTwitterに投げてみたらオフ会でお会いした板久咲絢芽さんにめちゃくちゃアドバイスを頂けて助かりました。公式のタグ解説とサンプルゲーム解説は読みつくしていたと思うのですが、それだけでは全然カバーできない経験値があるなあと感じました。

大体動くようになったらユーザビリティの向上に向けた調整をやっていました。初期のバージョンだと○と×の大きさが少し違って見えたりマスに対して大きすぎたりといった状態だったので元画像を修正。ゲーム決着時には何の要因で決着がついたか分かるように、1列並んでいるときはその列のマスを光らせ、数字の大小で決着がついた時は勝った方の数字を動かすようにしています。最初は[kanim]タグを使って動かそうとしていたのですがなぜか動かず、[xanim]にしたら動いたとかいう謎の挙動を踏んでいました。未だになんでか分かってません。最終的に採用したのは、CSSファイルにキーフレームアニメーションをべた書きしてしまって、ティラノ側でのアニメーションはしない方法です。CSSは他の個所でも用いているのでここにまとめちゃうのが一番楽でした。

次に戦績統計を実装します。表の部分はHTML埋め込みで実装しており、下のボタンやバッジ画像はティラノのタグで実装しています。難易度は初期状態では3段階なのですが隠しモード解禁で増えたりするので、列の数が変わってもレイアウトが崩れないようにするのに苦労しました。ChatGPTに相談しながら、特定の条件で列を非表示にしたり文字のサイズをセルのサイズに合わせて変更するJSを作成してます。
バッジ画像については未取得のものはグレーアウトするように、シークレットのものは全く見えないようにCSSを設定しています。また、ボタンの上にポインタを置いておくとツールチップで達成条件が表示されるようになっています。

見た目の調整やユーザビリティ向上に向けたあれこれ この辺まで作り込んだ段階で深嶺ユミアさんに立ち絵の依頼を出しました。依頼を出すのは初めてで緊張したというのもありますし、描かせておいてゲームの方がお蔵入りしたら申し訳ないので、ある程度リリースの目途が立ってから依頼した形になります。

この依頼をしている間に夏コミに向けた「第2回同人縁日通り」のためのゲームプレイやレビュー執筆をしていました(該当記事)。最終的に5本のレビューを寄稿したのでこれも結構頑張ったと思います。詳細についてはコミケ&真田まこと展報告記事へ。
イベントが終わったら自作のリリースに向けた作業に取り掛かろうと思っていたわけなのですが、ちょうどこの時期から仕事が忙しくなってきていて作業が進みませんでした。9月には落ち着いたのであと1か月の間に公開できる状態までもっていきます。

依頼していたイラストについては差分とか含めて相談し、.psdファイルでいただきました。絵を描いたことのない私は見たことのない拡張子だったので、対応しているソフトの使い方を調べるところからのスタートでした。深嶺さんのおすすめもあってFireAlpacaを採用したのですが、私が使ったことのあるMSペイントなどとは次元の違う機能の豊富さに最初困惑してました。今でも全く使いこなせていないと思いますが、オブジェクトごとに変形させたり色味を変更したりレイヤーごとに出力したりと大活躍です。
BGMについてはゲーム内あとがきで触れたように私が演奏したピアノの録音を使っています。曲はシューマンの「子供の情景」という組曲から取っており、決して難曲ではありませんが久々だったのもあり練習に1か月要しました。タイトル画面で使われているのは1曲目の「見知らぬ国と人々について」(原題:Von fremden Ländern und Menschen)で、あとがきには終曲(13曲目)の「詩人は語る」(原題:Der Dichter spricht)を採用しました。2曲とも子供のころに弾いたことがあったのと、対比構造にできるのもあって丁度良かったです。
咲希ちゃんと対決するときの曲は一番有名なトロイメライ(Träumerei)です。
他にも4曲使っていますが練習不足なものもあり、あ~ピアノつよつよの人から苦情が来たら怖いな~と思っていたのですが今のところ来ていません。

タイトル画面はいただいた立ち絵を使って頑張って作りました。背景に小さい○や×が無限スクロールしてるのはなんかそれっぽいだろと思って頑張ってCSSを調整した結果です。ボタンについてはFigmaで作りました。ホバーしたとき、クリックしたときの挙動はこれもCSSで書いています。サンプルゲームではティラノの機能で別画像に差し替えていたのでそれに倣うかと最初は思っていたのですが、CSSで書いた方が明らかに楽でした。

ヒントについては、当初は主人公役の子と咲希ちゃんの対話形式にするという案がありました。ゲームの進行具合に応じて見られる会話が増えていって、その中にちらっと攻略情報が入ってくるという想定だったのですが、私があまりに会話シーンを書けなさ過ぎてお蔵入りとなりました。やっぱり絵とか物語を創作するセンスないんですよね…。見たことあるシーンのコピペにしかならない感じです…。なので物語を生み出せる人はすごいな~と思ってます。
とはいえヒント無しはきついだろうという難易度感なので、シンプルに攻略情報だけ教えてくれるような形になりました。

難易度調整は悩んだポイントでした。素直な実装だと隠しモードが超鬼畜難易度(コンピュータでシミュレーションにかけて勝率が0.2~0.3%程度)でさすがにこれは無茶だと思ったので、初期盤面に偏りが発生しやすくなるような方法を採用することで少し実績を取りやすくしています。

とはいえ平均して30回くらいはプレイしないと取れない難易度のはずなので、公開1日で実績コンプリートされた方が現れたのは正直驚きました。今のところコンプリート者は3人のようです。無理ゲーではないことが証明されたので、高難易度に興味をお持ちの方はぜひ実績コンプリートまで頑張ってみてください。
リリース作業とその後 こうしてひとまず公開できそうなバージョンができたのが9月の29日ごろでした。リリース前にバッジの組み込みだけやっておくつもりだったのですがここに意外と手間取ってしまいました。ノベコレのヘルプ通りにプラグインを読み込んで該当箇所にタグを打つと実装完了…のはずだったのですが、そのままやると戦績表の表示が崩れることが判明。理由は結局よくわかっていないのですが、いったんメッセージレイヤのクリアと短時間のwaitを入れることで回避できることがわかり、なんとか実装を終えてパッケージングに移ります。ここでもノベコレの提出用ファイルはブラウザ版としてエクスポートしたファイル群というのをあまり理解しておらず、見た目がほぼ変わらなかったので一度生のソースファイルを提出しちゃってました。その後すぐ再パッケージングして申請し直したので審査は一発で通っているのですがちょっと肝を冷やしましたね…。

審査をどういう風にやっているのかは知りませんが、結局申請から1日で公開されていたので想定以上の速さに驚きました。早速プレイしてくださる方もいて嬉しいです。
また、高難易度においてコンピュータが無駄に決着を先延ばししてくる現象(舐めプバグ)について報告があったのでそちらの修正も昨日行ったのですが、先ほど確認したらアップデートが承認されていて相変わらず速いな~と思ってます。

他にもプレイ報告してくださった方も何人もいらっしゃって、本当にありがとうございます。
ヒントと隠しモード解放の条件について(※ネタバレあり) 「むずかしい」に3連勝すると「最強」モードが解放されます。
「最強」に3連勝すると「最強(裏)」モードが解放されます。
「かんたん」に3連敗すると「負けるが勝ち」モードが解放されます。

ヒント1は初期状態でオープンです。
ヒント2は「むずかしい」に負けると解放されます。
ヒント3は「最強」に3敗すると解放されます。
ヒント4は「最強(裏)」に5敗すると解放されます。
ヒント0は「負けるが勝ち」に5敗すると解放されます。
直面した技術的な問題たち(※ティラノ経験者じゃないと分からない話になると思います) 上記ですでに触れたものも含みます
  • HTMLを埋め込んでしまうとゲームの進行が止まる
    ティラノスクリプトの仕様。ゲーム本体についてはHTML埋め込みではなくティラノの機能を使って再現することで回避。
  • ボタン設置時にJS式を評価させてその結果をクリック時に用いたいが、クリック時まで式が評価されない
    これも仕様。当初は実行したい式を文字列として実現して渡すという黒魔術を発明して使っていたが、タグリファレンスを見るとpreexpというパラメータを用いることで実現可能と分かったのでそちらを採用
  • タグのパラメータに渡す%とか&の記号の意味
    結局未だによくわかっていない。&変数名とすると変数の値をパラメータに埋め込んでくれる機能だというのが現在の理解。値を使って演算することも可。例えば以下はi行目j列目に○を表示させる処理。
    [image layer="2" x=&mp.j*150+110 y=&mp.i*150+210 storage="o.png" width="130" height="130"]
    四則演算以外の演算もできる。以下は実績がロックされている場合はHTMLのクラス属性にlockedを加えてCSSで表示をモノクロにする例。3項演算子を利用している。
    //シナリオファイル側
    [button layer="1" x="535" y="550" width="180" graphic="../fgimage/badge11.png" name="&sf.achieve1 ? 'achievement' : 'achievement locked'" hint="いずれかの難易度で勝利" target="*badge1"]

    //CSS側
    img.achievement{
    box-shadow: 2px 4px 4px black;
    }
    img.locked{
    filter: grayscale(100%);
    }
    &変数名は先頭に来なくてはならない?のか、以下のような形では期待通りの動作をしなかった。
    [button layer="1" x="535" y="550" width="180" graphic="../fgimage/badge11.png" name="'achievement' + &sf.achieve1 ? '' : ' locked'" hint="いずれかの難易度で勝利" target="*badge1"]
    [button layer="1" x="535" y="550" width="180" graphic="../fgimage/badge11.png" name="&'achievement' + sf.achieve1 ? '' : ' locked'" hint="いずれかの難易度で勝利" target="*badge1"]
    (※追記:JavaScriptの3項演算子と文字列連結の優先順位による問題でした。name="&'achievement' + (sf.achieve1 ? '' : ' locked')"で期待通り動作しました。stringからboolへの暗黙的型変換と動的型付けというJavaScriptの仕様により気付きにくいバグでした…)
    また、タグのcondパラメータにbool値を持つ変数を指定するときに&を使う必要はない。おそらく無条件で設定した文字列がそのままJS式として解釈される。(これで1時間溶かした)
  • glinkのheightとwidthを設定してもぴったりのサイズにならない
    デフォルトでpaddingが存在しているため。nameを設定したうえでCSSからpaddingを0にしてやると良い。表示した画像とピッタリ同じサイズの透明なglinkを使用してゲームを進行しているので重大な問題だった。
  • ゲームの対戦中にセーブして、そのデータをロードするとバグる
    恐らくJS側の書き方の問題。JS初学者のためクラスを用いた書き方をしておらず、セーブするときにゲームの内部状態まで保存されないせい。テクニックサンプル集2のオセロゲームはセーブデータをロードしても正しく動いており、コードを見るとボードゲーム部分はクラスとして書かれていて、それをティラノ側の変数に保存しているのでこれと同じことをすれば直せそう?
    ただ修正がかなり重くなりそうだったのでセーブ&ロードをさせないようにして蓋をした。対戦途中でセーブして負けたらやり直すのはずるいのでまあありな対処なんじゃないでしょうか。ヒントの会話中はセーブ可能です。
  • kanimが動かない
    まだ原因が分かっていない。他のglinkなどを表示したうえで[s]している状態だと起きる? あるいは環境依存か。
    help
    ゲーム内ヘルプで矢印を動かしたり(上図の中央)、本編決着後にマスを光らせたり数字を動かしたりするために[keyframe]を事前に定義しておいたが動かず。なぜか[xanim]にすると動いた。なんで?
    ちょっと気持ち悪かったので、CSS側で直接アニメーションを適用してやる方法で実装した。
  • 高難易度でガチ最善手を計算しようとするとパフォーマンス上の問題がある
    上述の舐めプバグを修正するにあたり、決着までの手数を評価関数に含めるよう修正したところ、初手の着手に3秒程度かかるようになってしまった。開発環境はおそらく平均的なプレイヤーよりはハイスペックなはずなので、スペックが足りないパソコンやスマホでこのまま動作させると地獄が発生する可能性あり。再帰実行している評価関数へ渡している引数を参照渡しにするとかの対処は思いつくがJavaScriptの仕様に詳しくないため手間がかかりそうと判断。ガチ最善手はあきらめ、1手読みで勝てる場合のみ別枠で判断し、それ以外の場合決着までの手数を評価に含めない&勝ちが決まったら枝刈りする探索手法でパフォーマンス改善している。
  • chara_configのpos_modeがtrueだと手動でのアニメーションに違和感が出る場合がある
    キャラクター画像を2枚用意し、難易度によって前面に表示するキャラクターを入れ替える処理を行っている。その際[chara_hide][chara_move]を行っているが、pos_modeがtrueだと2段階でアニメーションするように見えて不自然だった。当初原因が分からず困惑していたが、なんとか怪しい個所を見つけ出し対処できた。
  • HTMLで埋め込んだ文字のフォントサイズを修正しようとしてもうまく行かなかった
    戦績画面で、難易度の解放状況に応じて列数が変わり、それに合うフォントサイズを計算する処理を行っているが動作しなかった(常に最小になってしまった)。原因はおそらくHTML埋め込みに多少の時間を要するから。表示完了前に枠のサイズとフォントサイズの計算を行ってしまって正しい結果にならなかったのではと考えている。サイズ調整前の表示を先に行い、[wait time="1"]してから再度サイズ調整を行うと期待通りの動作をした。
他にも改善点などあると思いますので何かお気づきの方がいたらぜひ教えて下さい。
他にも何か思い出したら追記するかもしれません。
ノベルゲーム制作ツール(しかも完全初見)でボードゲームを作るなんて変態だよ! という気もしますが手ごたえは得られたので、アイデアと時間があったら他にも何か作ってみようかなと思います。

それでは。

お久しぶりです。

Twitter上でちょくちょく話題に出していましたが、初めてノベコレに作品の登録をしましたのでその報告と簡単な紹介です。

ゲームの内容は以前このブログに載せた3目並べ風のボードゲームそのままで(該当記事)ティラノスクリプトに移植し、それに深嶺ユミアさんのイラストやBGM(これ私の生演奏音源です。子供のころに習っていた程度でめちゃ上手くはないですが、なんとか聴ける程度にはなったと思っています)を追加したものです。

ノベコレプレイヤーはパズルとかはやらないイメージを勝手に持っているのでDL数とかはあまり期待してませんが、一つ作ったぞという実績を持っておくのも良いかなと思ってます。
あるいはノベルゲーム制作ツールのティラノスクリプトでゴリゴリにボードゲームを作る変態開発者になるか。

即席で作ったGIFのプレイ動画を貼っておきます。
play_compressed

livedoorブログの制限だと1ファイル5MBまでで、それに収めるために圧縮してかなり荒いGIF動画になってますが雰囲気は伝わるかと。

stats1

レベルは3段階で、対戦成績の記録や実績機能ありです(実績の内容はぼかしを入れてます)。意外に実装に苦労した部分です。

隠しモードがいくつかあるのでそれを見つけて実績取ってくれる人がいたらいいな~という気持ちはありますが、右端の2つの実績は超激難だと思うので発狂しない範囲で挑戦お待ちしています。ありすすとーりーLegend実績よりは簡単だと思うよ!


初めての経験なので審査にどれくらい時間がかかるのかとか、そもそも審査通るのかとか(特に提出の仕方を間違えてるとかが怖い)分からない事ばかりなのでのんびり待ちたいと思います。

作るにあたって直面した壁とか、それを乗り越えられて嬉しかった経験とか、書いておきたいことはいくつかあるのですが土日にゆっくり記事にしていこうと思います。

ひとまずの報告でした。

こんにちは。今回はいねむりスフィンクスさん、さつき晴れさんの「モカブレンドをブラックで。」のレビューとなります。

mocha1

オススメ!
ジャンル:クリスマスもの短編ノベルゲーム
プレイ時間:15分
分岐:なし
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2017/12


本作のタイトルを見た私は、まず「コーヒーって、甘いですか?」を連想しました。コーヒーを好きになる過程だったり、美味しそうに飲む様子だったりが印象的な作品だったので、本作もそれに近いような内容なのかなと思ったのですが全然違いました。ばりばりのクリスマスもので季節外れもいいところですがとても良い作品でしたのでご紹介します。



主人公のリクは浪人生。受験勉強もラストスパートに近いクリスマスイブの朝、サンタクロースの遣いを名乗る女性コメットがリクを訪ねてきて、サンタ役をやってくれないかと依頼してきます。
これだけでは突飛すぎて意味が分かりませんが、本作の世界ではなんとサンタクロースが実在しているのです。子供たちにプレゼントを届けるために、助手と二人でたくさんの家を回るのですが、なんと今年は体調を崩してしまったため、代理の人物を探しているというのです。

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サンタクロース代理を引き受けたリクは、仕事のある夜まではまだ時間があるからという事でコメットに勉強を教えてもらったり、コーヒーを飲んだり、サンタクロースの国の話を聞いたりしていきます。
そして子供たちが寝静まった夜、いよいよプレゼント配り開始です。瞬間移動の能力を持つコメットと一緒に子供の家の前まで行き、授かった力を使ってその子供の望むプレゼントを生み出して枕元に置いていきます。

このように、私の当初の想像と違ってかなりファンタジー色あふれる物語なのですが、この優しい世界観に沿った丁寧で優しい文章と魅力的なキャラで全然飽きないんですよね。リクの頬をつつくいたずらをするコメットのお茶目な笑顔が素敵です。リクの方はなにやら事情を抱えている様子ですがとてもいい子で、子供たちのために一仕事するかという意気込みだったり、ちょっとした気配りだったりが感じられて作品の中にいやみな要素が全然ないのです。
リクとコメットがプレゼント配りをしながら雑談したり、瞬間移動の発動のために恐る恐る手を握ったり、穏やかなラブコメ的雰囲気がとても読みやすいですね。

そんな感じで物語は進んでいくのですが、本作の隠されたテーマはまだ見えてすらいなかったのです。
これがね…素晴らしかったです。短編なのでネタバレしないようにしようとするとほとんど語れる部分がないのですが、あえて一言だけ言うならこれはラブコメではなく、失恋の物語だったのです。

最後のプレゼントを配り終えてからが本作の本番と言っていいでしょう。リクはかなりお人好しなのですが、なんでそこまで、という部分がちゃんと作品のテーマとなる部分に結び付いていて読後感良好です。これまでレビューでほとんど触れてこなかったコーヒー要素についても綺麗に収束する感じがあって、そういうことあるよな~という気持ちにさせてくれます。

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本編を読み終えると解放されるおまけショートストーリーはシンプルなラブコメのワンシーンが2本楽しめます。これもリクがちゃんと過去を清算したからこそすっきりと前進できるんですよね。楽しい気持ちになれる内容で良かったです。


さて、本作の制作には2つのサークルさんが関わっています。思えば本ブログで合作を扱うのはこれが初めてかもしれません。シナリオのいねむりスフィンクスさんの作品はこれまで読んだことがなかったのですが、イラストのさつき晴れさんの作品は何本もプレイしており、毎回妹もののギャルゲーを作っているイメージだったので本作の雰囲気とは異なっており少し意外でした。
今調べたらお二方ともショート・ショート・ショート100に参加されていたんですね。もう読んだのは5年ほど前なので読み返してみるのも良いなという気持ちになりました。


ちなみにリクの合格発表の日付が3/10と出ているのですが、調べてみるとこれは東大や京大をはじめとする難関国立大学の合格発表日ですね。浪人して勉強した努力の成果は実るのでしょうか。
ぜひ皆さんもプレイして確かめてみてください。

それでは。

こんにちは。
先週行ってきたイベントのレポートです。


まず先週日曜日は、有楽町マルイで行われていた真田まこと展の最終日でした。真田まことさんと言えば、「霧雨が降る森(※フリー配布は終了)」「殺戮の天使」の作者として有名ですね。以前本ブログでは、ミュージカル殺戮の天使観劇記を書いたりしました。
今回はコミケは午後入場枠でリストバンドを購入していたため、せっかくならと午前中はこちらの展示会へ行ってみることにしました。

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入り口に堂々と掲示されたポスターがすごい。
ちなみにマルイの開業時間は11時なのですが、これはその直前の写真です。開店待ちしたのは初めてで、こんなに人が並んでるんだというのを初めて知りました。


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展示会場の7階には等身大パネルがずらり。開場と同時に入ったはずなのですがすでに結構並んでました。せっかくなので800円の音声ガイドを購入して中へ。音声ガイドといえば専用機器を借りるタイプのやつ(美術館とか博物館にあるやつ)かと思ってたんですが、来場者のスマホを使ってWebアプリ方式で作られてました。

これ聴いてて思ったんですが、真田まことさんって女性だったんですね。ゲーム制作者というとやはり男性の方が多いイメージで、まことという名前は男女どちらもあるので勝手に男性をイメージしてたんですが、女性の声が聞こえてきて作者が女性であることを初めて知りました。
私はフリーゲームは好きでいろいろプレイしてきているし、「霧雨が降る森」「殺戮の天使」はどちらもプレイしてきているのですが、もうほとんど商業作に近いイメージを持っていたので、作者さんに特別注目したりはしてなかったんですよね。この展示会が「殺戮の天使」展ではなく「真田まこと」展であるのを実感しました。

作者さんがもともと舞台芸術に携わっていたという事や、ゲームにおいても総合芸術的な表現が可能であることに気付いて制作へのめり込んでいったなどという背景を知り、なるほどそれでと納得するような演出がありました。そしてこの総合芸術というワード、私が去年せりこさんの企画に寄せた意見に一致していて、こんなところで作者とのシンクロを感じられるとは、と嬉しくなりました。

展示では、ゲーム制作の裏話やゲーム中に使われた立ち絵の原画、メディアミックスの経緯など見ごたえのあるものが並び、多くの場所では撮影可能となっていましたがブログへの掲載は自重しておきます。これから大阪・名古屋でも開催されるようなので、気になる方はぜひ足を運んでみてください。


私はゲーム以外のサブカルチャーにはほとんどかかわりがない(読んでいる漫画がいくつかあるくらい)ため、アニメ版の殺戮の天使を見たことがなかったのですが、音声ガイドの聞き手役がレイチェル役の声優さんで初めて声を聞きました。そして思ったのですが、あのミュージカルのレイ役の方はかなりアニメに声を寄せて演じていたんですね。すごいなあ。もしかしたらほかのキャラもそういったことにまで気をまわして演技されていたんでしょうか。舞台芸術というのは本当に多数の要素からなっているんだなあと感じられました。


最後に物販コーナーがあったので一通り見てみたのですが、レイ・ザックのグッズはあらかた売り切れとなっておりさすがの人気といったところですね。ミュージカルの時の記事に書いた通り、私はキャシーが好きになってしまったのでキャシーのアクリルスタンドと、なんとなく目について可愛かった須賀くんのキーホルダーを購入しました。柔らかくて触り心地いい感じ。
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そんな感じで回っていると12時を過ぎてしまいました。急いでビッグサイトへ向かいます。
午後入場なら並ばなくて済むかと思っていたら全然そんなことなくて、午前中に並んだ時と変わらない長さの列がビッグサイトから伸びています。ペットボトルやタオルを持って行って良かった。


苦労して建物の中に入るも、今回は同人ゲームのエリアは入り口から一番遠い東7会場。一度間違えて東4~6のエリアに入ってしまい、しかも出入り口が一方通行で出るに出られず、目的地にたどり着くまでにいろいろと苦労しました。事前に調べておくべきでした…

そんな感じでようやくSTailさんのブースへ。先月このブログでも扱った第二回同人縁日のレビュー冊子「HANABI」を受け取ります。私はこれまでブログ上で色々レビューなど書いてきたわけですが、こうして冊子として物理的な形になっているのを見るとまた感動がありますね。サークルの方も数名いらっしゃって、自己紹介したり感謝を述べたり、そして今後の展望なんかを聞かせていただいたりしました。せっかくなので「青瞬」冊子を購入してほかのサークルさんをめぐります。

私は最終的に「Sweet Flag 3」「スターリードリーマー」「HalluciN/Ation」「不完全なるこの世界」「嘘より綺麗なセカイ」の5作のレビューを寄稿しましたので、まずそれらのサークルさんを探して挨拶に回りました。いずれも作品入手したのでプレイしていくのが楽しみです。スターリードリーマーのSTELLACHRYMAさんについてはタイミングが悪くサークル主さんが不在で残念だったのですが、刹那ちゃんのでかいアクリルスタンドに巡り合うことができました。
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本当にでかい。台座込みで15cmほどあります。

他にも同人縁日参加サークルさんでノベルゲームを作っているところは大体巡ったはずです。漏れてたら申し訳ない。

また、以前からお付き合いがあったポロンテスタさんにも向かいます。
今回は新作ゲームは間に合わずという事だったので、冊子の「こころのノート」「ぽろんくらぶ」を頂いていきます。「こころのノート」ページ数えぐいよフルカラーでこれかい!

5月の東京ゲームダンジョンでお会いした緑茶弐捌號さんにもお会いしました。私のこともばっちり認識されていて、DLカードを4枚もいただいちゃいました。設定資料集とチョコリエルキーホルダーも購入してきました。設定資料集に面白さはあまり求めていなかったのですが…ついつい笑っちゃいました。明くん名字の設定あったんだね。

あとえるりんごさんサークル10周年おめでとうございます。コミケやらビジュアルノベルオンリーやらでたびたびお会いしている気がします。新作は超大作という事なので気合入れてプレイしていきたいです。

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長い一日でした。1週間たった今振り返っても長かった。
レビューは続けていきたいと思っていますので、今回ご縁のあったサークルさんはぜひ今後もよろしくお願いします。

それでは。

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