フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
初めての方は、ぜひごあいさつをご覧ください。評価の基準については、レビューについてに記してあります。
記事一覧ページを作りました。記事探しはこちらから。Twitterはこちら。リンク等はご自由にどうぞ。
YouTube始めました。フリーゲーム攻略動画などを投稿してます。

こんにちは。今回はまたホラーアドベンチャーゲームのご紹介となります。
皐月の夢さんの「セブンテットクロス-金の人形-」です。

ScreenShot_2026_0514_21_30_05

ジャンル:微ホラー脱出アドベンチャー
プレイ時間:エンディングまで2時間、フルコンプまで4時間程度
分岐:エンディング4種、ゲームオーバーあり
ツール:WOLF RPGエディター
リリース:2025/12
備考:12推


大分前になりますが、皐月の夢さんといえば本ブログでは「ミライカガミ」を扱いました(現在フリー公開は終了しており、追加要素のあるSteam版が公開されています)。綺麗な立ち絵と、バックグラウンドまで描写されたキャラクターによる人間ドラマが魅力的な探索ホラーでした。
本作は、2017年公開の「セブンテットクロス」の続編となっており、ジャンルも引き続き脱出ホラーとなっています。前作の内容や登場人物については最低限の説明はあるためプレイは必須ではありませんが、プレイ済みの方が途中の展開への理解が深まってより楽しめるかなという程度です。時間がある方は前作からプレイしてみてください。こちらも本作同様の微ホラー脱出ゲームで、やや猟奇的なシーンありといった内容になっています(本作については、その点は警戒しなくても良いと思います)。


本作の内容に移りましょう。主人公は前作から引き続きユシアです。前作で刑務所内の事件を解き明かし無実が明らかになった彼女は、刑務所で出会った元詐欺師のキースとともに孤児向けの学習小屋を開きます。そこで預かる子供のジャッキーとパオロが行方不明となってしまい、手掛かりを求めてやってきたのは怪しい噂のあるマークレイ氏の屋敷。果たしてこの屋敷に仕組まれた罠をかいくぐり子供たちを助け出すことはできるのか?

ScreenShot_2026_0531_03_05_47

大まかなストーリーはこんなところで、ゲーム後半になってくると次第に犯人の思惑やしがらみ、屋敷に仕掛けられたギミックの理由なんかが明らかになっていきます。主に屋敷内の謎を解いていくユシアとキース視点の探索と、監禁されているジャッキー・パオロ視点の探索が交互に行われるのも特徴的だと思います。前作においてキースが投獄されるに至った理由には彼の成育歴や経済的状況が影響していました。その点を踏まえるとジャッキーらとともに監禁されている資産階級の子供であるリーズレットとのすれ違いなどは悲しさを感じさせるものがあります。

しかしこうした格差による断絶などを乗り越えた結末が描かれるハッピーエンドはとても気持ちいいものになっています。綺麗なイラストも見られるのでぜひここまでプレイして欲しいなと思います。
前作の設定から引き継いだキースの背景などが今作の犯人の動機や子供たちの人間関係に繋がってくるところも見どころだと思います。終盤で新たな事実が明らかになったり信じていたことがひっくり返ったりと、サスペンス的な魅力もあると思います。

システム面についてはオーソドックスな脱出ゲームとなっており、謎解きの難易度自体はさほど高くはありません。しかし総合的に見ると本作の難易度は高めのように感じており、主に以下の要因があるでしょう。まずアイテムが自動で使用されない形式となっている点です。鍵などの一部のアイテムは自動で使用されますが、その他の多くのアイテムは必要なギミックを特定したらその場所に行って手動でアイテム画面から選択したうえで使用する必要があり、たまたま解けちゃったという結果が起こりにくくなっています。
また、初見殺しも多めと言えるでしょう。最初の探索からゲームオーバーになり得るので、セーブはこまめにすることをお勧めします。セーブスロットも十分な数が用意されています。
ホラー要素については無いわけではありませんが前作よりも控えめですので、そこを身構える必要はないと思います。

ScreenShot_2026_0514_21_30_45

エンディングは4種類。END1がハッピーエンドと言えるものですが、初見での到達はかなり難しいように思います。END1または2に行くにはあるフラグを立てた状態で終盤のイベントに突入する必要がありますが、そのフラグを立てられる期間が短く見逃しやすいものになっています。くまなく探索すれば自力発見もできると思いますので、自信がある方はぜひ初見ハッピーエンドに挑戦してみてください。初見では無理でも、分岐は終盤に起こりますので試行錯誤を重ねることでコンプリートはしやすいと思います。
コンプリートできない!という場合は公式サイトに攻略手順が書いてありますので参考にするとよいでしょう。ただし完全に答えが書いてあるのである程度自分で考えてみてから読みに行くのをお勧めします。


というわけで今回は「セブンテットクロス-金の人形-」のご紹介でした。
前作のエンディングのその後のユシアとキースを眺められるだけでも楽しいですが、謎解き要素もストーリーに関連したものになっていたりと完成度の高い作品だと思います。
ちなみに今日まで本作とウェブポンのコラボが行われているようですので、ファンの方はぜひこちらもご検討ください。

それでは。

こんにちは。今回はアトリエ萌黄さんの「マユとイト」のレビューをしていきたいと思います。

mayu1

ジャンル:脱出微ホラーアドベンチャー
プレイ時間:エンディングまで1時間、フルコンプまで1時間半程度
分岐:エンディング5種
ツール:WOLF RPGエディター
リリース:2020/7


ノベルゲームに関する記事が続いていたので、久々の脱出ホラーとなります。と言っても恐怖心をあおる演出は控えめですので、タイトル画面のスクリーンショットを見て虫キモっ!という拒否反応を起こさない方なら問題なくプレイできると思います。

本作のストーリーはいたって王道。ボランティア部の活動で森に行った主人公(名前任意)、シンゴ、ヒエンの3人は出来心から近くにあった洋館に入り、出られなくなってしまいます。不穏なメモやギミックの謎を解き、この洋館から無事に脱出することはできるのでしょうか…。

導入部分だけでなく、主人公らが相対するギミックたちも良い意味で普通といった印象で、理不尽な個所がなくホラーゲーム初心者に勧めやすい作品のように思いました。個々の謎解きの難易度としては取り立てて簡単とは思わないのですが、システム上の工夫やその他の親切な設計により全体としてかなり易しめの難易度に調整されているように感じます。

その工夫というのはまず一つ、メニュー画面からこれまでに入手したヒントを確認可能という点が挙げられるでしょう。謎解き系のゲームの難しさの一つとして、ヒントとなる手がかりを発見してから実際にそれを活かしてギミックを動かすまでに時間が空くことで、それが有効なヒントだと認識する難易度が上がるという点があると思います。手がかりが足りないと思って延々と探索を続けるも新たな手掛かりは当然なく時間が過ぎるのみ…といった経験はよくあると思います。本作においてはヒントとなる事項は一回調べた時点でメニュー画面の「手がかり」に載るので安心してギミックを考えることができるのです。

また、既に謎解きに使用して用済みになった手掛かりについては「解決!」のフラグがつき区別ができるようになります。この点においてもプレイヤーが無駄な試行錯誤に時間を使うのを防止していて親切な作りと言えるでしょう。

mayu2

さらには画面右上に「シンゴを探せ」「○○(アイテム)を集めろ」などの行動目標が示されていたり、探索上意味のある場所が光っていたりと探索難易度もかなり下げてくれているように思います。こうしたシステムもあって全体的な本作の難易度は簡単といえると思います。
色々な場所をしつこく調べて自力で手がかりを見つけて難しい謎を解いて…という楽しみを求める方には歯ごたえが足りないと思いますが、ライトユーザーには特にありがたいシステムと言えるでしょう。

あえて難しい個所を挙げるとしたら、マップがやや広めという事くらいでしょうか。ギミックの密度は高くないので部屋数のわりにコンパクトなプレイ時間になっていると思います。


次に良かった点として、グラフィック面を挙げておきたいと思います。
タイトル画面でお分かりのように霧やもやのような演出がたびたび登場したり、暗い館内を懐中電灯を持って探索する様子など、脅かし要素以外の方法でホラーらしき雰囲気を感じられる工夫と思います。びっくりさせる要素はゼロではありませんが激しくないのでやや苦手な方でもプレイできる範囲だと思います。ただし蜘蛛や蛾などの虫が出てくる場面は多いので、虫が苦手な方にはきついと思います。それ以外のグロテスクなグラフィックなどはほぼ登場しません。終盤の1か所でグロいグラフィックが登場しますが、一枚絵があるわけではなくマップ上のドット絵ですのでそこまででもないかなとは思います。

mayu3

会話パートはそれほど多くないので登場頻度も低めですが、立ち絵も可愛らしくて口パクするなど凝っていますね。特に途中で登場する館の住人である少女の繭香(まゆか)の登場時には専用BGMもあっていですね(逆にそれ以外のほとんどのシーンでBGMがないのは少し寂しく感じます)。そんな繭香はエンディングの分岐にも深くかかわってきます。
分岐の詳細についてはネタバレになるので伏せますが、分岐はすべて終盤で発生するのでエンディング回収はしやすいでしょう。回収のためのヒントも存在しています。ハッピーエンドはちゃんと後味が良くてきれいなものになっているので是非コンプリートまでプレイしてみてください。

ハッピーエンドに行くために解かなくてはならないギミックは、他の作品でもたびたび見るあの形式となっているのですが、回数ではなく時間で制限がかかっていたりほかのヒントを参照したひねりが加わっていたりと独自性があって面白かったです。このタイプのギミックが苦手な方は自力クリアが難しいかも、という問題はありますが…。
というわけで折り畳みの中にハッピーエンドの答えを書いておきます。必要な方はクリックして読んでください。
クリックで展開(ネタバレあり) 研究室のドアを開く→「なにも見ていない」→「マユカの体調について」→「ここに残る」
選択後、一度実験室から出て再度研究室へ入り、右上から火かき棒を入手
1階食堂の暖炉の中から最後の薬を入手
実験室に戻り調合開始
緑→精製水→紫→白→最後の薬の順で選択

以上、今回は「マユとイト」のご紹介でした。ホラーゲーム初心者にちょうどいい作品だと思います。ハッピーエンドがしっかり後味よくまとまってくれるので、上級者の方はぜひ初見ハッピーエンドに挑戦してみてください。

それでは。

こんにちは。今回はうみのはっぱさんの「クレーマー家業も楽じゃない!」のレビューをお送りします。

claimer

★favo
ジャンル:トンデモギャグ系ラブコメ
プレイ時間:フルコンプまで40分程度
分岐:エンディング6種
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2025/9


先週に引き続き、こちらもティラノゲームフェス10でプレイした作品となります。ぶっ飛んだ展開ばかりでわけわかんねーとゲラゲラ笑っていたところ、いつの間にか可愛らしいヒロインに心奪われてしまったので、ぜひ皆さんもこの感覚を味わってみてください。


主人公の九条ユウト(名前変更可)は高校1年生。先祖代々クレーマーとして名をはせた家系に生まれ、一人前のクレーマーになるための修行をすることに。気乗りしないユウトではあったが初めて実戦練習のために店舗に出向いてクレームをつけることになるのだった…

クレーマーがなぜか立派な職業として成立している世界観がまず狂っているのですが、ユウトの感性に関しては普通寄り(と言っても彼の将来の夢はおかしいですが…)のため、イヤイヤクレームを付けさせられるというなかなか見ない状況となっておりそのミスマッチ感がおかしいですね。

claimer2

しかしこの時点では私はまだこの作品のボケパワーをなめていたのです。この世界で狂っているのはユウトの家系だけではなかった!
台風ではなくドリアンの接近を警告する天気予報、なぜ持てているか不明なほど巨大なポロシャツ、謎のクイズ出題トナカイ、クリームソーダに浮かぶ樹脂粘土製バニラアイスなどなど、私の常識にはないアンビリバボーな展開の数々がスピーディーに押し寄せ、私の脳内もトルネードスピン、じゃなかった、スペーススピン! まるでテンポの良いコントを見ているかのような感覚で物語が進んでいきます。(といっても、「ドキドキかかとフレンズ」ほど意味不明ではないですよ)

そんなスピード感でクレームの餌食となる店舗へ到着すると、本作のヒロインでもあるバイト店員が独特なテンションで応対してくれます。
アパレルショップで店員をしているのは同級生で赤べこ狂いの福島ヒカリ。ユウトが練りに練ったクレームの設定を聞いても一切動じずにラッキー☆彡と変換してしまえるハイパーポジティブ少女です。
喫茶店に出向いたユウトを出迎えるのは中学の後輩の飯田ツキ。クレーム歓迎というツキはユウトに流れるクレーマーの血をもってしてもツッコめない謎の危険商品を提供してきます。相手がクレーマーじゃなくてもクレーム必至!
claimer3

そんな個性的な2人のヒロインですが、私が好きなのはツキのルートでした。ユウトがクレーマーの家系であることを気にしないどころかむしろプラスに捉え、変わり者である自分を受け入れて正面から意見を言ってくれる人という唯一の価値を見出してくれるのです。
ハッピーエンドルートまでストレートで来れば5分程度とかなり短い作品でありながら、ツキがユウトのことを好きである理由、そしてクレーマーにならなくてはいけないというプレッシャーといった要素がしっかりと回収されて気持ちいいエンディングでした。


エンディングは2ルートにそれぞれ3つで計6個。分岐要素も少なめですし、ゲーム内ヒントを読めば完全攻略も書いてあります。バッドエンド時には直前の選択肢に戻るなどの機能もあって大変親切。短編ですしぜひコンプリートまでプレイしていただきたいです。
claimer4

と、普通はここで終わるのですが、本作はエンディングを迎えてからが本番と言えるくらいここからが充実しているのです!
まずはエンディングムービー。普通はクレジット表記を流しながら作内の立ち絵やスチルを回想していく…という感じになると思うのですが、本作ではボーカル入りEDテーマにオリジナルのイラスト、そしてED後のちょっとしたショートストーリーが組み込まれており大変豪華。何回も見たくなるエンディングムービーってすごく珍しいんじゃないでしょうか。

それだけに留まらず、本作はおまけ要素が多岐にわたっており本当に見応えがあります。
ヒロインごとにちょっとした前日談やおまけイラストにショートストーリー、ランダム会話、そしてコンプリート後にはエンディング振り返りお疲れさま会。本編に匹敵するくらいのボリュームです。これらはハッピーエンド後の時空になっているので、小ボケを挟みつつラブコメメインで展開する気持ち良さ。本編中に進展した2人との仲を見守っていられるのは幸せです。

おまけ要素が多すぎて、どこにあるのか分からなかったり見逃したりもすると思うので、ここにおまけ要素一覧を書いておきます。
  • タイトル画面>説明書
    • 個別おまけの台詞一覧
    • 左下小ネタ(はじめからで指示通りにすることで6通りのシナリオが読める)
  • タイトル画面>実績
    • ヒロインごとのバッジ取得
    • 右ページおつかれさま会
  • タイトル画面>おまけ
    • エンディング回収ヒント
    • エンディングリスト
    • クレジット表記
    • 各ヒロインごとおまけ
      • ランダム会話
      • 回想ショートストーリー
      • EDムービー再生
      • プロフィール画面
      • ギャラリー(一部のイラストは会話付き)
      • ギャラリー>画面左下ヒロインからの手紙
  • タイトル画面>右上ドリアンケート
  • 画面遷移中ドリアンTips
  • (DL版の場合)フォルダ内同梱おまけに没シナリオ
いや、何だこの物量。恐れ入りました。
1つ1つは軽い感じの内容なので、本編の空気感が気に入ったらぜひこれらも見てみてください。いつの間にかコンプリートしちゃってると思います。

というわけで今回は「クレーマー家業も楽じゃない!」でした。
クレーマーが仕事になる理屈はいまだにわかってませんが、そんなのお構いなしに楽しめる素晴らしい作品です。ぜひプレイしてみてください。

こんにちは。
先週の日曜日に行われた東京ゲームダンジョン12に行ってきたので遊んだ作品の紹介などしようと思います。
tgd12


今回は時間目いっぱい滞在するつもりで11時からの先行入場チケットを予め購入してあったので11時に会場である東京都立産業貿易センター浜松町館に到着しました。しかしその時にはすでに入場口が大行列になっており、3階からの列が4階のテラスに伸びていたりしてどこに並んでいいのか分からないくらいの状態でした。警備員さんが「○○の方はこちらです」と絶えず声を出していらっしゃったので何とか正しい列に並んで入場受付し会場入りしました。


入ってチラシなどをざーっと見てから、上の階から回ろうと思って3階の出口に向かうと、運営の席に座っていらっしゃったコンマさんに声をかけていただきびっくり。以前はCreative Blossomsさんとして出展者側で参加されていたので、まさか運営に回っているとは思わず私は全く気付かなかったのですが、コンマさんの方が顔を覚えてくださっていたようでお声掛けいただき嬉しかったです。今回イベント参加にあたりレビュワーとしての名刺を用意していたので、初めて交換します。これまで名乗るときはTwitterのプロフィール画面を見せるくらいしかできていなかったので、形のあるものを渡せて少しだけ界隈の仲間入りしたような気がしました。

以下会場で試遊した作品たちです。結構な数をやったのでここに挙げきれていないものがあるかもしれません、すみません。

弾幕病の特効薬(ToAge)

以前のゲームダンジョンで「To my forever Love」を展示していた方の新作で、被弾回数をうまく管理して敵にダメージを与えていくちょっと変わったシューティングゲームです。自発攻撃がなく敵の攻撃を反射しなければ倒せないので、弾を避けるモードと自ら当たりに行くモードを脳内で切り替える必要があってなかなか新鮮でした。ステージが進むにつれて時間制限を意識しなくてはならなくなり難しめ。画面が込み入りがちなシューティングですが、サウンド方面でのUIが気持ち良くていい感じ。
帰宅後にSteamからデモ版をDLしてプレイしてみましたが、なんとかデモ版の最終面までクリアできました。スコアを考えなければクリア自体はできるなあというくらいですが、今後どうなっていくのか。

ナントレ(Eiji Moriyama) iOS版/Android版
マス目の上で数字を線でつなぐシンプルなパズルゲーム。タイミングがなく会場試遊はできませんでしたが気になったので帰宅後プレイしました。盤面のサイズが小さいときは簡単なものの、7×7くらいのサイズからは考えることが多くなってきて、9×9以上はどれも3分以上はかかったと思いますが無課金問題は全クリまで行きました。スワイプによる操作がスムーズでシンプルな効果音も良い感じです。格子状のマス目以外の変形マス目の問題もありますがこちらはおまけ程度。広告が多めと感じました。

種も仕掛けも思い出も(地下れんじゃく)
トランプゲームのフリーセルを利用した脱出アドベンチャーゲームです。トランプのカードの中に閉じ込められてしまったキャラクターたちが会話しながら物語が進み、フリーセルの要領でカードを開いていって新しい手掛かりを得ます。まだ序盤のみといった印象ですが、トランプのスートごとに人格が異なるという仕掛けだったりイラストが可愛かったりで今後が気になります。

不見不聞の大罪(nonoko)
障害者雇用に関する問題を描いた社会派ノベルゲーム。ティラノゲームフェス10の参加作のようで、フェス作品をあれだけプレイしていたのに目に入っていませんでした。悔しい。
身体障害に比べて目に見えにくい精神障害は世間の理解も進んでおらず、就職に高い壁があるという現実。普段健常者が見て見ぬふりをしがちな領域に踏み込んだ重い作品ですが、最近思ったよりも簡単に人は障害を負いうるなと感じたので他人事と思えませんでした。プレイ時間長めと聞いているのでゆっくりプレイします。

捜し屋キセン(常磐ほそみ)
有名な時計師であった主人公の兄の不自然な死の真相を探るため、彼が仕事した町で"捜し屋"を営む探偵もののノベルゲーム。試遊最初の段階で懐中時計が喋りだして「何???」となったがファンタジー的要素はさほど濃くなくサスペンス系といった印象。12年前に起きたと言われるいくつかの事件や、色々な事情を抱えていそうな依頼者の相談内容がどう収束していくのだろうかと気になりました。

STICK MAN(日本工学院八王子専門学校)
シンプルな2Dアクションゲームですが、自機(棒人間)が貧弱ですぐに"バラバラ"になってしまうのが特徴的です。普通に床を歩いているだけなら形を保てますが、数段の段差を飛び降りたりトゲに当たったり、何かにぶら下がって力を入れていたりするとバラバラゲージが上昇していき、棒人間のパーツが外れてしまいます。その状態だと移動速度やジャンプ力が落ちるけれども細かい場所に入りやすくなるなど、ギミック的な要素と関連していて難しめですが面白かったです。ちょっと聞いたところ公開されてはなさそうなのが残念。

犯人はメイド(ななにのん)
本ブログで扱った「立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー あるいはオリジナリティの無い卒業までの日々」の作者さんの作品。相変わらず思い切りのよいコメディー作品で、タイトル通り犯人で主人公のメイドが恨みを持つ人物を洋館に集めて殺人事件を計画するという内容。いかにもまじめですといった感じのボイスからとんでもない内容の招待状を書かされる導入部でもうそのノリが分かります。ゲーム内のボイスにわざわざ怪しげなボイスチェンジャーを使用した作品は本作が初では?
一体その計画の全貌はどんなものなのか、完全版の公開が待たれます。

5分間のメイド(おんねんちゃんねる)
5分間で最初にループしてしまう記憶喪失の主人公が、なんとか真実を見つけてループを抜け出すアドベンチャーゲーム。前回のループで得た情報のうち何を引き継いで次のループに臨むかを毎回選択できるので、新情報をもとにさらなる新情報を得て進んでいく、徐々に行動範囲が広がっていくタイプのループものです。引き継げる情報量は上限があるようで、試遊版の段階では選べそうな情報が少なく宣言の影響がなかったもののゲームが進むにつれて必要な情報を厳選する能力が必要になりそうで難しそうな印象を受けました。どんな真相が待ち受けているのか、楽しみです。

Slime Ten Puzzle(Next2D)
4つの数字と四則演算で10を作るテンパズルと呼ばれる古典的なゲームを、スライムのキャラクター化してポップにした感じの作品です。(私の作品と方向性が近い?)
本作についてはゲーム内容うんぬんよりも、ゲーム説明をしてくれた出展者の方がインパクトがありました。小学校高学年くらいに見える子供が操作法など説明してくれたのです! 試遊後に同じブース内にいた夫婦っぽい大人の男女に聞いてみるとやはりご家族でのイベント出展とのことで、素敵なことだなあと思いました。

夜の名前(ヨアケラボ)
高校時代の思い出を振り返る形で語られる、2000年代のアーケード音ゲーのあれこれを聞きながら緩い雰囲気で進むノベルゲーム。私はあまりゲームセンターに行ったりしていなかったので共感できるジャンルというわけではないのですが、PCやスマホでやる音ゲーとはそんな違いがあるのか~とか、何より2人の関係性が良くてどんどん読み進めました。イラストもセピア調のイメージが続いて印象的で可愛らしい。試遊版の最後で発せられる問いが衝撃的なので、ぜひ最後まで見届けたいなと思いました。

まだあるとは思いますが大体こんなところで。
フリーゲーム界隈や以前のイベントでご挨拶したななにのんさんや星空照美さん、カンナさんなどと名刺交換できたのも良かったですね。薙沢ムニンさんには「LivingDead*Magic」の感想とかも伝えられたり。ToAgeの山本さんには以前ブログで書いた病気のことを気遣っていただけたりと優しさが身に沁みます。

そんな東京ゲームダンジョンは次回8/8(土)の開催がすでに決定しているようです。私はちょうどピッタリその日に用事があって行けない見込みなのですが、興味のある方はぜひ行って会場でこの熱量を体感してみてください。

それでは。

こんにちは。前回の予告通り、今回は星くずのお茶会さんの「Lived happily, ever after」のレビューとなります。
実はおよそ1年前にプレイ済みだった作品なのですが、ティラノゲームフェス10の機会に読み返してみたところどんどん好きになりましたのでご紹介します。

livedhappily
ジャンル:シリアスファンタジー乙女ゲーム
プレイ時間:2時間半
分岐:なし
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2025/3
備考:15推


久々のレビュー記事で若干書き方を忘れてますが、まずはあらすじを簡単にまとめておきましょう。
舞台となるのは魔王や吸血鬼が存在する洋風ファンタジー世界。主人公のメーベルはその生まれ持っての黒い髪の毛が魔王を思わせるという事で幼いころから理不尽な仕打ちに耐えてきました。町はずれにある吸血鬼の屋敷への給仕に向かわされることとなり、そこで出会うのが吸血鬼のシオンです。確かに普通の人間とは違う性質のある彼ですが世間一般に思われているような恐ろしい雰囲気は一切感じさせない親切な彼にメーベルは惹かれていきます。しかし人間と吸血鬼の恋愛が簡単に成就するはずはなく、世間からの差別も強烈です。そのような中で2人は少しずつ絆を深め、味方を増やして愛をはぐくんでいくのでした…


本作の世界観は洋風の童話そのものです。童話の世界ってシンデレラにしても白雪姫にしても非常に不憫な環境だったりしますが、本作も例にもれずメーベルの扱いは散々なものです。ただ髪が黒いだけでいわれのない罵倒を受け、まともな職にも就けず腫れもの扱いされる日々。屋敷での給仕というのも実質的には「吸血鬼のいけにえになって来い」という命令です。
とこのようにシビアな状況なわけですが、本作が童話と違うのは、このひどい扱いが意地悪な継母や嫉妬深い魔女によるものではなく、一般大衆が悪意なく抱えている偏見や差別心によるものだということです。現実世界でも個別には悪意と呼ぶほどでもないものが集積した結果、特定の人物に致命的なダメージを与える現象はたびたび起こります。「指先で世界を見る(tales&Vivid)」などの作品が思い浮かびます。一人の悪者を成敗すれば解決、と行かないところは童話よりも大人向けのシナリオと言えるでしょう。

lived2

そんなメーベルが出会う吸血鬼のシオンは、吸血鬼という恐ろしいイメージとはかけ離れた優しい人物でした。吸血鬼であるという事自体は間違いではないのですが、人を襲う事のないように人里離れた屋敷に住み、動物の血で渇きをしのいで過ごし、メーベルやシオンを差別する人たちよりよほど温かい心を持っているのです。
世間から厄介者扱いされていた彼らはお互いの境遇に共感し、惹かれ合うようになります。これだけの扱いを受けていた中での出会いなら運命的なものに感じられるだろうな、という納得感があります。

このまま2人がデートを重ねて結ばれるストーリーなら、いわゆる「理解のある彼くん」が突然現れて幸せになる話とも分類できそうですが、本作がすごいのはここからです。
他人に迷惑をかけるわけでもなく静かに暮らしている2人ですが、その平穏すら許してくれません。もともとは普通の人間であったシオンが吸血鬼となったのは、両親の魔王討伐の失敗に起因するものでした。討伐自体はあきらめなんとか封印を施すことには成功したのですが、その際にシオンが呪いを受けてしまったのです。そんなシオンにとって、人の血を飲みたい衝動を抑えるのは大変な困難を伴うものでした。

見かねたメーベルが自分の血なら吸ってもらっても構わないからと身を差し出すシーンはなかなか印象的です。まだ物語前半の出来事なのですが、この時点では既にメーベルはシオンと運命を共にする覚悟を決めています。シオンはシオンで血を飲み干してしまいたい欲望にあらがって数滴に留め、メーベルを気遣います。これだけお互いのことを思いながら嘘もなく生活しているなら、普通の乙女ゲームならもうゴールと言っていいでしょう。しかし本作はその先。2人の愛と絆を試すかのように差別や呪い、政治的思惑などが彼らを襲う、そうしたシビアな状況の中でどのように幸せを見出していくかという物語なのです。

具体的にどのような困難が彼らを待ち受けているのかはここでは語りませんが、どれもかなり絶望的なものです。それも、過去に魔王がもたらした呪いだったり、近くに吸血鬼が住んでいることに対する政治的判断だったりと本人にはどうしようもないものばかりです。普通の恋愛ものにおいて恋愛成就のハードルになりがちな2人の間のすれ違いだったり身の回りの人間の説得だったりといった事象とは質的に異なるのが特徴的で、もしかしたら受け入れがたく感じる方もいるかもしれません。このひどい運命が物語中で前触れなく明らかになるのも唐突感があるようにも思います。


何度も述べてきたように本作におけるメーベルやシオンの置かれた環境は大変厳しいものですが、登場人物たちはみな優しい心をもちと自分の信念を貫く素敵な人物であることは特筆すべきでしょう。吸血鬼の討伐を目的にやってきたシエラでさえ2人に害をなすことに固執することなく、状況と自らの使命とを照らし合わせながら人道的な判断を下しています。物語後半となり味方が増えてくると、避けがたい巨大な運命を相手にどうやって幸せになるかを協力して考えている感がありなかなか感動的です。

lived3

物語のエンディングでは魔王の呪いを解くために代償をささげるかを決断することになります。大切な人や物を守るために自身の何かしらをささげるという構造はよく見るものですが、本作においてはその結果二人が人類の平和を願うという方向へ決着するのが印象的。幾度とない差別にも平和的な解決を望んできた二人の"らしさ"がよく出ているなと思うのです。そんな"優しい人"である彼らが重い代償を伴う決断をしなくてはならないというのは皮肉的ではあるのですが、だからこそ二人の間で築かれた確固たる愛を強調しているようにも感じられます。


本作はシナリオやイラストだけでなく音楽も自作のようで、特にエンディングテーマは作中の世界で使われている設定の架空言語による歌詞がついている凝りようです。一度エンディングを迎えた後はおまけ画面から日本語版も選択できるようになりますので、ぜひ聴いてみてください。この日本語版はJOYSOUNDでの配信もされていますので、カラオケに行ったら歌えます! フリーゲームで自作主題歌がカラオケ配信されているという例はかなり珍しいでしょう。

さて、実は本作は同作者によるファンタジーRPG作品「canvasぷろじぇくと」のスピンオフとして制作されたノベルゲームとのことです。残念ながら本編はまだ体験版のみの公開のようですが、興味を持たれた方はぜひこちらもチェックしてみてください。

というわけで今回は「Lived happily, ever after」のレビューでした。
とにかく二人に厳しい運命が襲い掛かるシナリオは多少人を選ぶかもしれませんが、この困難を乗り越え無邪気な愛をひたすらに描き続ける物語を見届けたあなたは間違いなく愛という希望を信じて前向きに生きる力をもらえるはずです。

それでは。

↑このページのトップヘ