フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
初めての方は、ぜひごあいさつをご覧ください。評価の基準については、レビューについてに記してあります。
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こんにちは。ブログの更新がだいぶ空いてしまいました。
今回はその原因の一つでもあるイベント、フリゲ2023について書きたいと思います。

この企画は2008年から赤松弥太郎さんが毎年開催しているもので、その年に公開されたフリーゲームの人気投票を行うというものでした。投票数に制限はなく、またコメントをつけて投稿することができるというシステムを取っており、人気作品を決めるというよりはプレイヤーに広く好きな作品への愛を語ってもらう場になっていました。私はこの考え方には割と賛成なので、企画を知った2017年あたりから毎年投票を続けていました。(ログインして投票しだしたのは2020以降なのでそれより前の記録はないですが)

しかし今年の10月下旬、長いこと運営を続けてくださった赤松さんがこの企画を2023で最後とすると宣言。今年が最後の開催となることに伴い、これまでその年に公開or更新された作品のみが対象であったところ、これまでに公開されたすべてに作品を対象にするというアナウンスがありました。

企画がなくなってしまうのは大変残念ですが、過去の作品への愛を語る格好の場になるので今年は気合を入れて参加するぞという気持ちで投票開始を待っていました。

さて、これまでに私がプレイした作品で好きなものと言ったら相当な数があるはず。それらをリストアップしてコメントまでつけて投票するとなると相当な時間を要するはず、ということで11月ころから投票候補のリストアップをはじめました。その結果200を超えるフリーゲームが投票候補として浮上。せっかくなら全部好きだと言葉で伝えたいので空いた時間を見つけてはコメントを書き、プレイしたのが昔すぎる作品は部分的に再プレイするなどして思い出し…なんてことをやっていたので12月にブログ記事を書いている余裕がありませんでした。

12月も下旬になり投票期限も迫ってきたのですべてのコメントは書き終わっていませんが少しずつ投票していくことに。合間に作品審査表(投票された対象の同定・規約に沿っていて有効かの確認)を見ると数千の得票作品が並びます。知らない作品の方が圧倒的に多い中、自分も好きな作品を目ざとく見つけて喜んだり、古いflashゲームの名前なんかを見つけて懐かしんだり。こんなことをしているとさらに時間がつぶれます。
結局最終日の23日は丸一日コメント執筆と投票に費やしました。

そんな私の投票対象とコメントを以下の表にまとめました。
全部丁寧にコメントを書く時間は到底なかったので、私が過去に書いたフリゲ20xxのコメントや感想ツイート、本ブログの記事や各種プラットフォームへ投稿したレビューなどを一部流用しています。コピペミスや誤字等もあるかもしれませんがご容赦ください。
焦りすぎもあり一部作品のタイトルが正確でない投票をしたりもしてしまいそこは申し訳なかったです。この表では修正済みのはずです。

ちなみにブラウザゲーム→DLゲーム、
作者の五十音順→作品名の五十音順という風に並べています。

(1/1追記:全作品へのリンクが完了しました。現在ページが生きていないものは公開終了と書きましたが、Ruffle導入やWeb Archiveの利用でプレイできないこともない作品も含まれています。
また、リンク先でさくらインターネットのエラーメッセージが表示されてしまう場合、Firefoxでアクセスすると成功する場合があるようです(Chrome、Edgeの最新のバージョンでhttpが自動的にhttpsへリダイレクトされるようになったため)。
また、リンク追加に伴い記事の文字数制限に引っかかったため、表を分割しています)

ブラウザゲーム一覧

クリックで展開、めちゃくちゃ長いです
作品名 作者名/サイト名 コメント
ヨコスクアクション
(公開終了)
AM902 敵も罠もない超シンプルな横スクロールアクションゲームですが、ハイスコアを目指してマップとコインの出現場所をすべて覚えるまでやり込みました。私のアクションゲームやり込みの原点です。
ロボットにこころを corge.net 交互に進むパズルパートとストーリーパートが上手くかみ合って、ロボットに心が芽生えるというテーマを表現した作品です。パズルパートをクリアしていくことで行動の幅が広がり、ストーリーパートでは次第に人間に近い感情を手に入れていきます。
パズルは直感的に答えの見えにくいステージが多く難しめですが、その分達成感は倍増。STAGE68をクリアするとみられるエンディングはなかなかの感動ものなのでぜひそこまで頑張ってください。
オタク年齢診断 CURIOSIST ゲームに限らず漫画やアニメ等の知識が問われるクイズゲーム。古いものは戦前から新しいものは2021年まで、幅広い年代からの出題によってプレイヤーの詳しい年代を診断してくれるので話のネタにもしやすい作品でした。
激打 餅衝大會
(公開終了)
daina's world 杵で素早く餅をつくシンプルなアクションゲームですが、その豊富なゲームオーバー理由に笑いました。
スコアを極めようと思うと、最適な力加減をフレーム単位で狙う必要があり大変難しい。ちょっとミスるともち米が飛び散ったりするのみならず人が死んだり大爆発したりの恐怖の大会へ一直線です。
しりとりクエスト
(公開終了)
Dominion's Rest しりとりで部屋を脱出するという突飛な発想ながら、あのゆるい雰囲気にいつの間にかハマっていました。一つのアイテムに複数の読み方があり、とったアイテムによってエンディング分岐もあるため当初の想像よりもずっとやり込みがいのある作品でした。シリーズ化したその後の作品もすべてプレイした、とても大好きな作品の1つです。
しりとりクエスト外伝4・もりもり鉱山の一番長い日
(公開終了)
Dominion's Rest しりとりクエストシリーズの外伝でこんな感動をすることになるとは、と感じた作品です。これまで隠されてきた勇者くんの過去が少しだけ明らかになる回でもあり、その師匠との複雑な関係に驚きながらもなんだか涙が出てしまうようないい話にとても温かい気持ちで胸が満たされました。
丸投げクエスト
(公開終了)
Dominion's Rest RPGからパーティー編成という部分だけを取り出してきて一つのゲームとして完成させた作品。30人いる勇者候補はみんなステータスが偏っていたり厄介な特性を持っていたり面倒な性格だったり。そんな中から上手くいく5人を選ぶのはまるで論理パズルのようで新しいゲーム性を生んでいるなと感じました。失敗パターンもたくさんあるため、正解以外のメンバーや装備を選んでも毎回の報告書を読むのが楽しかったのがすごい。その後いくつもの外伝作品も出て、そのたびに遊びたくなるような作品でした。
僕の紙飛行機
(公開終了)
EASY GAMES なぜか自機が紙飛行機の育成シューティングです。シンプルながら経験値を溜めてレベルアップするたびに少しずつ強くなり、新たなステージに挑んでいく楽しさに夢中になりました。結局リンカーネイト後レベル100までやり込み、ノーミスマスター称号も手に入れました。おそらく初めてやり込んだシューティングゲームであり、思い出の作品の1つです。
僕紙レーシング
(公開終了)
EASY GAMES 育成レーシングゲーム。最初の頃はコースも簡単でスピードもゆるいですが、ランクが上がっていくにつれて複雑な形のコースや強い敵と戦っていくことになります。何度もレースに出て効率的な位置取りを覚えて勝ち、自機を強化していくというサイクルを回すだけですごい達成感の得られる作品でした。最終的にはランクXXXの巨大な敵にもほとんど勝てるくらいまで上達するほどやり込みました。
DIET EYEZMAZE ダイエットを成功させることで今まで通れなかった細い道が通れるようになったり、死角が減ったりといったギミックが上手くて感心しました。説明なしでも直感的に理解できるゲームデザインも素敵で、このシンプルなシステムの中でこんなに多様な仕掛けが入っているとは驚きました。黄色の部屋をクリアしたときの爽快感は素晴らしかったです。
GROW CUBE
レビュー
EYEZMAZE この作品からGROWシリーズを知ってファンになりました。パネルを選ぶ順番を少し変えるだけで生まれるあんなに多様な展開。レベルアップのアニメーションがとてもかわいらしいので不正解ルートでも眺めるのが楽しい作品です。アイテム同士がどう相互に影響し合うかを観察し、LEVEL MAXまで上げるにはどんな順序で選ぶのが正解なのか、その推理が当たってエンディングを迎えたときは達成感と同時にほっこりした気持ちを味わうことができます。
ドワーフCOMPLETE EYEZMAZE 隠し通路を探したりパズルを解いたり、いろいろ頑張ってようやく脱出できた時の喜びは忘れられません。水路をつないで木が生えたりといったギミックもどこか心温まるようです。最終的にはRTAをするほどやり込みました。
ハム将棋
(公開終了)
Fゲームズ 初心者のお供として有名で、全く将棋が分からなくてもとりあえず遊べる親切な設計が良かった。いつの間にかドメインごと消滅していて残念です。
2048 Gabriele Cirulli マージ系パズルの代表作で、私もずいぶんやり込みました。ソースが公開され、パネルを数字から画像に変えたり少しルールを変更したりした亜種が大量に発表されたことから1つのジャンルと呼べるレベルに発展しました。ルールを変更した作品の中では、144を作るもの、20ユーロ紙幣を作るもの、常に意地悪な位置にパネルが出現するもの(Evil 2048)が好きです。
マモノスイーパー
レビュー
Hojamaka Games Windowsに付属していたマインスイーパに”敵の強さ”という概念を加えることで新たな戦略性を生み出した作品。盤面のヒントや残り敵数から頑張って安全なマスを導き出し、HUGE×BLINDをクリアしたときの達成感はこれまでプレイしてきたゲームの中でも最高のものの1つでしょう。
cursor*10 Nekogames 過去の自分と協力して進んでいくというコンセプトが面白い作品でした。事前に何回も挑んで最適な移動タイミングを覚え、完璧に操作できるまで何回もやり直した思い出があります。
星探 Nekogames ステージに隠された星を探すだけのシンプルなミニゲームですが、本当に意外な所から出てくるので毎回新鮮な驚きがあります。シリーズ化して多数の作者による合作も出るなど、一フリーゲームを超えて一つの大きなコンテンツだなあと感じています。
EightDefender's
(公開終了)
Nes 村を魔物から守る防衛ゲーム。ユニットは初期配置の8人から増やせないシステムが独特。レベルアップだけでなく転職の概念もあり、スキルツリーを見ながらどんな構成にするのが最適かを考えるだけでもいつの間にか1時間経っていたほど夢中になりました。
ELEMENTS
(公開終了)
Neutral かなりボリュームの多い脱出ゲームで、クリアするのに相当苦労しました。A4の裏表をフル活用してメモを取り、謎を解いて脱出できたときの達成感は最高でした。通ってきたすべての部屋に最後の脱出の鍵がちりばめられていたことに気付いた時はそのギミックのうまさに感動しました。
寿司打 Neutral 今でも時々プレイしてタイピング速度の向上に励んでいます。流れて行ってしまうまでにタイピングで寿司を取るという分かりやすいルールとちょうどいいゲーム性が良いですね。ハイスコアを取れたときの達成感といったらないです。
夜の森タイピング
(公開終了)
Neutral このゲームをクリアするために必死でタイピングを練習しました。当初はEasyのStage2くらいで詰まっているレベルでしたが、最終的にNormalを苦戦することなく全クリできるくらいまで上達しました。仕事にも役立って感謝しています。
散歩中にいなくなってしまった飼い犬を探す途中で見舞われる怪奇現象の数々。頑張ってクリアして続きを見たい! と思わせるシナリオも良くできていました。
B100
(公開終了)
NussyGame 装備を選んだらあとは完全自動戦闘で見ているだけでしたが、どんな能力を付けたら戦闘が有利に進むのか、効率的に装備の合成ができるのかといったことを考え出すとめちゃくちゃ時間が溶けました。シンプルな放置戦闘系のゲームで一番やり込んだと思います。
DeckDeFantasy
(公開終了)
NussyGame かなりやり込んだ思い出のカードゲームです。キャラのスキルと装備をうまく調整してボス対策をし、戦略がハマった時の気持ちよさは忘れられません。デッキ構築とキャラの育成を両方考えなくてはならないので、いろいろ試すうちにあっという間に時間が経ってしまいました。
囲碁オンライン Online Labo 気軽にネット対局をするときによく使っています。持ち時間の設定も細かくできて使い勝手も良いです。日本ルール対応や死活判定への異議申し立て機能も嬉しいところ。
Cookie Clicker Orteil 現在一大ジャンルとなっている放置ゲーム流行の走りとなった作品だと思っています。特別なゲーム性や演出がなくても、数字が増えるところを見ているだけで楽しいということを我々に教えくれた作品です。現在でも不定期にアップデートが加えられ、もはや初期とは別物と言えるほどに進化しているので、昔やったデータをずっと放置しているという方は久しぶりに起動してみては?
数字パズル『ウヌムマキナ』 Ruたん マージ系のパズルですが、隣り合う同じ数字のものがすべてくっつくのが珍しくて慣れるまで苦労しました。常に手詰まりに気を付けながら進めるのが高得点を目指すには必須です。いい形を保ちながら進めて目標の数字を作れた時の達成感は大きいです。
パズルだけでなくシナリオパートもある本作。終盤でまさかの展開を見せます。エンディングまで見て初めてこのBGMがぴったりだなということに納得がいった覚えがあります。
デュエルオブレジェンド SDIN無料ゲーム ランクごとに分けられたCPU戦で勝手を掴み、ある程度カードを揃えたら今度はオンラインでの対人戦ができるのが嬉しい。カードの種類は数百種に及び、本当にいろいろな戦略が可能でした。
必死になって上級神を集めた思い出がよみがえります。
TheHOUSE SINTHAIstudio 突然破裂したり首が降ってきたりととにかく怖かったです。でもリタイアするのは悔しくて、めちゃくちゃビビりながらも何とかクリアしたのを覚えています。
うねりの塔 SKT 竜巻に程よく近づいて粒状の物質を吸わせることで竜巻の消滅と被害の軽減を図るゲーム。お金を稼いで研究したり部品を改良したりといった育成要素と実戦のアクション要素が混ざって攻略しがいのある作品でした。最高評価でのクリアはめちゃくちゃ難しかった覚えがあります。
マグウサギ SKT 直接触ってはならず、磁力を発生させることで間接的に金属を集めるゲームです。その独特の操作性とパズル感が気に入って全クリまでやり込みました。ユーザー投稿ステージなんかもあってたくさん遊べる作品でした。
赤白黄色 SKT 落ちものパズルに音楽の要素をプラスしたらこんな時間泥棒の完成とは驚きました。
連鎖してブロックを消していく快感とBGMがつながる快感が連動して新感覚を生み出しています。
赤い部屋
(公開終了)
THE 冷蔵庫の中身 初めてプレイしたホラーゲームで忘れられません。当時小学生だったのでビビりまくってました。最後にホップアップしてくるあの仕掛けもブラウザゲームならでは。
ピヨピヨの大冒険PLUS アーケー道 「同じ数なら消える」「違う数なら合計になる」というシンプルな仕掛けからいろいろなことを考える必要が出てきて思った以上に夢中になったパズルゲームです。うんうんうなりながら試行錯誤してもクリアできず、翌日にまたやってようやく全クリしたときはめちゃくちゃ気持ち良かったです。
こころのアリカ アリカプロジェクト 光る玉のような物体を出せる”チカラ”をもつ主人公のお話。単にきれいだね~となるのではなく、”チカラ”の持つ危険な側面や家族関係にもつながってきて感動的な展開を見せてくれます。ヒロインありかとの特訓の場となった神社は徳島に実在しているとのことで作者さん本人が紹介FLASHも出しており、行ってみたくなりました。
人生オワタの大冒険 王の巣窟 一度でも攻撃を食らうと死ぬ紙装甲のオワタ君を操作して理不尽な即死罠の張り巡らされたステージを進んでいく元祖死にアクションゲー。とにかく回数をこなすとだんだん罠回避できるようになっていくこの感覚が楽しくて、いつの間にか5時間経っていました。
現在はRuffleで復活したのでまだプレイできます。
漢字迷路三国志
(公開終了)
カサハラン.COM 難読漢字の迷路をしりとりで抜けて中国統一を目指すオンライン三国志シミュレーションゲーム。この作品に出会って初めてオンラインでほかのプレイヤーと協力したり対戦したりする楽しみを知りました。
カラータイル ゲーム菜園 超シンプルなルールながら暇つぶしにちょうど良く、パネル全取得一歩手前までやり込みました。しかし最後に1個残ってしまうのが超えられず。無念。(事後コメント:全消しに成功しました。次なる目標はタイム短縮です)
フルーツボックス ゲーム菜園 合計が10になるようにリンゴを囲って取っていくパズル。やり込んだおかげでちょっと計算が速くなったような気がします。高得点を取ろうと思って目標合計値を10から変えてみても結局10の時のスコアを超えられず、いかに普段から10を基準とする計算に慣れているかを教えてくれたゲームでもあります。
Pixel Room コトリノス 解像度というメタ的なシステムを取り込んだ脱出ゲームでとても斬新に感じました。このシステムのために、たった一つの部屋しかないのにその数倍のボリュームと攻略しがいのある作品でした。一度使ったあのアイテムを再度よく見てみると…みたいな仕掛けも大好きです。
おいしいコロッケをつくろう! 私的似非ベジタリアン 最も理不尽なゲームは何かと言われたらこの作品を挙げるでしょう。コロッケを作ろうとしていたはずなのにメンチができて、死刑になって胡蝶の夢がすっぺらぴっちょん! ジャガイモの中に偶然あなたがいた!
結局このゲームは何だったんだろうか。今になっても一ミリも理解できませんが忘れたこともありません。
テンミリRPG シフトアップネット 初めてやり込んだRPGはこの作品だったと記憶しています。シンプルなシステムながら更新ごとにやり込み要素も増えていき、とても長く遊べました。何度も何度も転職してお試しダンジョンに潜ってステータスを底上げし、竜王にも10回以上勝った思い出の作品です。現在はスマホアプリ版が出ています。
テンミリオン シフトアップネット 初めてプレイしたSRPGでした。本編をクリアした後もクリア後ダンジョンを回って再度魔王に挑んだり、拡張版でユーザー投稿ステージを遊んだりといろいろな思い出の詰まった作品です。
コーラムバイン たんしおレモン 長いことプレイしたオンラインRPG。レベル上げに装備強化にスロット拡張、猫強化に種族研究と強くなるためにやることがたくさんありながら、チュートリアルが親切で自然にのめり込むことができました。ダンジョンを攻略しつくしてからは魔王討伐や神器争奪、猫山や火山の登山で対人戦勝負。勝った時の気持ちよさがたまりません。
すいかが食べたい たんしおレモン 最も周回したゲームと言えばこれでしょう。どんなに急いでも1周(第3部クリアまで)30時間はかかるボリュームがあるのに20周以上やりました。すいかが食べたくてたまらない主人公、ニンジンを求めて世界中を旅していたうさぎのうな、とにかく食い意地の張った少女かるびのドタバタ冒険劇には何度も大爆笑しました。それでいて過去イベントが現在のイベントにつながってくる伏線回収の驚きもあり楽しい作品でした。戦闘面では勾玉によりアビリティを習得していくシステムが特徴的で、どんな順番で装備するのが最適かいつも考えていました。りんご夫人、かげ魔王に赤鬼などの強敵に何度も倒されながらも夢中になってプレイした思い出の作品です。
突撃!隣の赤ずきん たんしおレモン 超大作RPG。とにかくふざけたシナリオがまずインパクトがあります。主人公の赤ずきんは悪気はないのに行動だけ見れば極悪人。最終的に12人にもなる赤ずきん一行には誰一人ツッコミ役がいないため毎回お話はとんでもない方向へ。「すいかが食べたい」をプレイしていればニヤリとできるポイントも多数。漫画やアニメのパロディネタも枚挙に暇がありません。戦闘システムでは12人からうまく9人とその配置場所を選んで戦うシステムが面白い。プレイヤーの操作テクも問われる意外と硬派な戦闘です。
PuzzleRPG 作っちゃうおじさん 狭い画面と単純なルールから生み出される多様なステージが魅力的。初見ではまず突破できないであろうあのギミックを解いてからが本番です。
君は真のエンディングを見ることができるか!
黄泉からの帰還 作っちゃうおじさん 基本1階1戦闘の塔を上っていくカードゲーム。戦闘以外に「示談」という方法で上ることもでき、それによってデッキを強化していけるのが独特。高難易度に挑むには初期デッキをあらかじめ育成しておく必要があり、やりこみのモチベーションにもなりました。敵のステータスや特殊能力があらかじめ開示されているのも親切でプレイしやすい作品です。
キングタワー戦記 デジタルコウボウ どんどんインフレしていく敵の強さに対抗するために必死で最適なパーティーを考えて金策してレベリングしてとひたすらやり込みました。もはや理不尽だろうとも言えるほどの敵の攻撃力と体力の前に諦めようとも思いましたが、やっぱりクリアしたときの快感が忘れられずに何度も何度も挑んでいました。掲示板での情報交換も行われ、同志がいる事にも嬉しくなりました。
ぷにぷにの星 ぱんぞう屋 初期からずっとプレイしていて、アップデートごとに行ける範囲が広がったり大会が開催されたりと新たな要素が解禁されるのを毎月楽しみにしていました。ずっと育成と練習に励んでやっとぷに師匠に勝ってPLUS2になり奥義を習得した時の喜びとワクワクを超える物にはなかなか出会えません。
CAELESTI SAPPHIRE マサムネゲエムス 職業にスキル、装備に所属国など多数の要素のあるオンラインRPGで、かなり長い期間やり込みました。スキルを習得するにつれてダンジョンを効率よく回れるようになったり、他プレイヤーと有利な取引ができるようにいなったりするのが面白く、これがオンラインRPGの原体験だったと思います。
スターダストディフェンス マサムネゲエムス 宝石と星座がモチーフの防衛ゲーム。宝石のビジュアルやエフェクトが美しく、BGMもまとまってきれいな世界観の演出に成功している作品だと思います。DL版へのアップデートに伴いエンドレスモードや宝石の配置場所や種類の限定されたチャレンジモードなども解禁され、やり込み要素も十分です。苦手な人でもデイリーボーナスを積み重ねれば次第に序盤がゆるくなっていくシステムも良いですね。
隣の部屋にラスボスがいる。 マサムネゲエムス タイトル通り、入り口のすぐ隣の部屋にラスボスがいるため初手で戦闘を挑むことができます(倒せるとは言ってない)。
真面目に攻略するには適度にレベルアップしてパラメータを強化し、武器も集めつつ使い方に慣れていく必要があります。効率的に進めるには攻略サイトを参考にするとよいでしょう。
グラフィックが大変綺麗でマップも攻撃エフェクトも美しいです。やり込みがいも満点なので気に入ったら達成率100%目指して頑張ってみてください。
らぶりんハート
(公開終了)
まつくい ステージ内にあるハートを取ってゴールへ行くという単純なルールながら、ブロックを5秒だけ持ち上げるという1つのアクションを追加しただけで驚くほどたくさんの行動パターンが可能となったアクションパズル。ゆるい名前ながら要求される操作の正確性は驚くほど高く、完全攻略には苦労しました。
PROTOCOL
レビュー
まんまるくま 立ち絵も背景もアニメーションもすべてが美しいSF脱出アドベンチャーの大作です。主人公以外はフルボイス!
AIのレアと協力しながら事故のあった宇宙船からの生還を目指せ!
ボリュームもギミックの完成度も申し分なく、特にEPISODE-3で直面することになるあの問題とその突破口は大変感動的でした。
Normalize Human Communication むきりょくかん。 写真が趣味の主人公佐古が病気で死ぬかもしれない少女鈴乃に頼まれて遺影を撮影していく闘病ものノベルゲーム。
闘病ものにしては病院のシーンが少なく、その分写真撮影やそれに付随する会話シーンが大部分を占めており、それぞれの考え方や相手への思いが読者にまっすぐ伝わってきます。亡くなりゆく本人に対して周囲の人間が何をできるかといった部分の描写に力が入っており、類まれなる感動作品となっていると感じます。
スマホアプリ版では後編が有料となりますが、高校生離れした諦観に支配された鈴乃の死亡をどうしたら覆すことができるのか、そこが新たなポイントとなっており見逃せません。
ごがつのそら。
レビュー
むきりょくかん。 近所の神社で延々と女子高生巫女さんとだべる雰囲気ゲー。
ヒロインみのりがピアノを弾くという設定もあり、ピアノ曲中心に選定されたBGMの素敵な作品。舞台となった神社は神奈川県川崎市に実在しており、私も何度か訪れました。
五月病の主人公溝口さんがみのりのペースに巻き込まれながらも元気と潤いを貰っていく姿を見て、私も現実を生きるエネルギーを貰っているのを感じます。
ほしのの。
レビュー
むきりょくかん。 田舎で従姉のお姉ちゃんと過ごすほのぼのギャルゲー。
空気感や雰囲気の描写が素晴らしく、背景写真や効果音も含めて田舎生活の実感がわく作り。両親との死別という導入のため最初は反抗期真っただ中といった感じの主人公結城が時間をかけてヒロイン榛奈と打ち解けるさまも丁寧に描写され、後半では糖度高めな描写に悶えながら読んでいました。
エンディングテーマは本作のシナリオと雰囲気にピッタリでダメ押しの感動を与えてくれました。
演劇少女は古都鎌倉を雪で潰す むきりょくかん。 冬の話だったはずなのに読んでいるこっちまで熱くなってくるような熱量高めの演劇部物語。部活に青春を注ぎ込む学生の話って、なんでこんなに私たちを熱く感動させてくれるんでしょうか。演劇部には打算で入り、全くの初心者だった穂波が立派な演劇バカとなるまで、そのすべてが過不足なく描写され説得力がすごい。
そんな青春部活物語に加えられた一つまみのファンタジー要素がまたロマンチックでよい。演劇の世界に興味を持たせてくれる名作でした。
世界で1番大きなスライム ゆきだルマ式住居 シンプルなルールながらもかなり夢中になった思い出のある作品です。どれだけスライムを成長させられるかを兄弟で競い合った覚えがあります。色が変わるときのボイスもかわいい。
白ぬり黒ぶち ゆきだルマ式住居 あらゆるアイテムが消耗品にも装備にもなるシステムが特徴的なRPG。行動回数というパラメータの導入により、主人公一人でありながら多人数パーティー戦のような行動パターンを可能にしています。
だんだん不穏になっていくアイテム名やラスボスにご注意!
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こんにちは。今回はサカモトトマトさんの「ぺ使いペペロ」のご紹介になります。

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ジャンル:簡単操作アクションゲーム
プレイ時間:1プレイ10分以内
ツール:WOLF RPGエディター
リリース:2022/2


サカモトトマトさんと言えば、昨年このブログで「ジュエ☆スタ!」を扱いました。ジュエ☆スタ!はパズルゲームでしたが、今回はアクションゲーム。どちらも単純なルールかつ簡単な操作ながらやり込みがいのある作品となっています。


本作の目的は簡単。聖なる「ぺ」(画像で赤いのが自機です)を操作して、邪悪な「ぺ」(青いやつ)を回収していきます。ぺが重なるようにマウスを移動させたらOK。
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邪悪なぺは左から右へと次々に流れていくので、テンポよく聖なるぺを重ねて回収していきましょう。
回収ごとにスコア倍率が上がり、倍率は一定速度で下がっていくのでなるべく素早く消すといいスコアを狙えます。

最初のうちはカーソル移動だけで回収できましたが、ゲームが進んでくると「ぺ」の向きを回転させなければいけなかったり、当たると自機が壊れてしまう敵が出現したりとギミックが増えていきます。
ゲームオーバーはなく、救済措置もあるためクリアするだけなら簡単ですが、なるべくいいタイムで、高い得点を取ろうとすると結構なやり込みが必要になってきます。
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本作のゲーム性以外のところでは、News!によるフレーバーテキストの多彩さに触れておきましょう。
上のスクリーンショットでは、ちょうど300個の「ぺ」を消したタイミングだったようで、関連したニュースが流れています。そういったタイミング以外では、ペペロンチーノが人気だとか、「スマッぺ」が解散したとか、ぺに関するニュースが流れてきます。流れてくるニュースのシュールさもあって、Cookie Clickerにある同様の機能を思い出しました。

そんなちょっとした笑いを提供してくれるNews!ですが、一つ重要な情報が出ることがあります。上級モードへの入り方です。通常モードでは物足りないと感じたあなたはぜひNews!をよく見たうえで上級モードを試してみてください。ギミック自体は変わりませんが、ぺの数や速度が上がったり、敵の数も増えたりしていてかなり難しくなっています。これでSランク取れたらすごいです。
さらに上級をクリアすると裏面への行き方も……
ちなみにsetting.txtをいじることでさらに高難易度にすることもできるようです。狂人御用達ですね。


そんな本作には一応ストーリーがあります。
pe2
邪悪な「ぺ」は一体誰の仕業なのか、聖なる「ぺ」とは。裏面までクリアすると、そのちょっぴり意外な答えが明らかになるでしょう。
このストーリーモードですが、一度見たら再度見ることはできないっぽくてやや残念。あとはタイトル画面がないのも少し寂しいでしょうか。



さて、私は上級モードはやり込むには難しいと思ったので、通常モードでハイスコアを狙ってみることにしました。同梱の攻略書によると、なるべく素早く、取りこぼしがないように回収すればいいということなので頑張ってノーミスでの回収を目指します。
まずはぺの角度調整を素早くできるようになる必要がありました。マウス右ボタン押下で時計回り、左で反時計回りに回転するので、どちらの方向から回すのが照準合わせに最適なのかを瞬時に判断し、その通りに操作していきます。「愛と勇気とかしわもち」をやり込んだ経験がこんなところに活きるとは!
慣れると「ペクトのどうくつ」の落石がある地点より左側ですべてのぺを回収できるくらいになります。

そして敵が出てくる時間になったら画面全体を広い目で見渡します。各ステージで敵の出現位置は固定なので暗記したうえで対処。「ペテン・ぺぺ遺跡」ステージで登場する羽が厄介で、射出角度が定まっていないため出現したらすぐに角度を確認して避けるようにします。射出速度が一定でないのが嫌らしいところで、まだ大丈夫だろうと思っていたら高速で飛んできて衝突、なんてことが多発します。

あとは邪悪なぺの取り逃しがないように頑張るのですが、その際出現順(画面右から)にこだわらない方が良かったです。障害物に囲まれて取りに行けないものがあったら角度だけ確認したうえでいったんスルーして、取りやすいぺを回収後に向かうと成功率が高かったです。

あとはぺや敵の出現パターンが変わるときにBGMも切り替わるので、サウンドはしっかり聞きながらプレイするのをお勧めします。

そんな私のやり込みの成果はこんな感じ。
pe5
Twitter検索した感じ、「ぺぢから」9800台の報告は見かけなかったのでこれはかなりいいスコアなんじゃないでしょうか。


というわけで今回は「ぺ使いペペロ」でした。
慣れれば1プレイ6分以内ですが、私は3時間くらいはやり込んだでしょう。そして右手人差し指が痛くなりました(「ジュエ☆スタ!」の頃から成長してない…)。私の記録を超えたらぜひ教えてくださいね。

それでは。

こんにちは。今回は妹れっぐぅおーまーさんの「Be alive ~What is your precious~」のレビューをしていこうと思います。
私は好きですが、本作はかなり人を選ぶ作品であることは間違いないので、注意書きなどをよく読んだうえで納得された方のみプレイしてください。

bealive1

★favo
ジャンル:王道学園ものエロゲ
プレイ時間:1ルート2~3時間。フルコンプまで5~6時間程度
分岐:攻略対象3人。計8エンド
ツール:NScripter
リリース:2006/12
備考:18禁。特定ルートで凌辱シーンあり。見たくない場合回避パッチを当てる事(後述)


さて、2年半ほど前にこのブログを開設し、週一弱のペースでレビューを書き続けてきましたが、今回で記念すべき100本目となります(コラム等があるため総記事数は128本となっています)。何か思い入れのある作品を取り上げたいなと思って考えていたのですが、私が初めてやり込んだフリーゲーム(カサハラン.COMさんの「漢字迷路三国志」です)はFlash製で既にプレイできなくなっていますし、ノベルゲームとの出会いのきっかけとなったむきりょくかん。さんの「ほしのの。」については過去に取り上げました。他に私に大きな影響を与えた作品と言えば、私が将棋を始めるきっかけとなったペットボトルココアさんの「夏ゆめ彼方」がありますがこれも以前にレビューしています。
色々考えた結果、今回は私が初めてプレイしたアダルトゲームであって大変印象に残っている本作を取り上げることにしました。というわけで1月にTetraScopeさんの「桜哉」の記事を書いた時以来の18禁作品となります。通常のレビューに比べて私の思い出話みたいなものも長くなるかもしれません。


本作は2006年のコミケが初出とかなり古く、現在公式ページのダウンロードリンクはミラーを含めすべて無効になっているため今からの入手はちょっと大変かもしれません。一応Wayback Machineでアーカイブをたどれば今でもダウンロードできることは確認しています。公開当時はエロゲと饗はおろかBOOTH(pixiv)すらなかったので配布場所は相当限られていたはずで、しょうがない面もあるとは思いますが昔の作品がプレイできなくなってしまうのは寂しいですね。


さて、では本作のあらすじ紹介に参りましょう。
主人公の藤原伸一は高校2年生。両親が海外出張中(お約束)のため、同じ高校に通う1年生の妹、千佳と一緒に家事を切り盛りして生活しています。学校では幼馴染の坂野恵理、悪友の北沢明と一緒になんだかんだ上手くやっています。最近では委員長キャラの榊原奏とも親しくなって、5人で楽しく高校生活を送っていました。期末試験のために勉強を教えてもらったり、試験終わりにゲームセンターで遊んだり。しかし時期はもう高校2年生の冬。受験勉強や卒業後のことを考えるとみんなで遊んでいられる時間もそれほど長くはありません。彼女らとの関係を一歩進めることはできるのでしょうか…。


と、こんな感じで基本的な設定を説明すると非常にオーソドックスな内容になっていると思います。
しかしこれまで文字通り健全なゲームしかプレイしていなかった私には、これがエロゲのノリなのか! と思った個所がいくつかありました。(もちろん、エロゲは全部そうだというわけではないのは今は知っているわけですが)

まず画面がピンク色!
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タイトル画面の色味もそうですし、この学校の制服はなぜか男女問わずピンク色のようで、立ち絵やスチルが自然とその色になっていきます。別に肌の露出が多かったりするわけではないのですが、なんか独特だなと思ってました。


そしてなぜか同性の悪友キャラ(明)がキモい。コイツ、何なんだ? というか公式サイトの攻略ページの中で作者にネタにされてるし…
bealive3

また、何でもないシーンでのサービスカット(?)が多い。最初の学食でのシーンからモブの女の子が普通にパンチラしているなど、そういった要素のあるスチルが多めです。

正直に言うとプレイしていた時には、これらの要素は良く分からないな、こういうノリなのかなと思って流していました。別にえっちなゲームじゃなくていいかと感じていたのです。しかし最後までプレイしてみると、私に強烈な印象と感動を残していったすごい作品だったのでした。それに関しては後述します。



さて、複数ヒロインである本作は当然、共通ルートと個別ルートに分かれています。クリスマス前までが共通ルート、それ以降が個別ルートとなっていますが、本作の特徴として共通ルートの比重が重めということが言えるでしょう。分岐直前まで5人で集まって遊んでいたりするので、複数ヒロインものでありがちな「後半で他のヒロインの存在感がなくなる」ような流れになりません。ヒロイン同士の掛け合いも描かれるなど、ただの賑やかし要員になっておらず丁寧に作られているんだなと感じられます。
個別ルートに入ってからも、きちんと友人同士の付き合いであった今までの関係性を踏まえた展開になっており好感を持てます。各ルートで恋人エンドと友人エンドにさらに分岐するわけですが、これはどちらに行っても言えるでしょう。

逆に言うと、恋愛ものとして見たときのどきどき感みたいなものはやや物足りないと感じるかもしれません。共通ルートの間の単なる友人としての関係が長く、その間は異性としての意識などは描かれないため終盤で突然恋愛ものになってしまう印象はぬぐえません。
その面で一番良くできていたと感じたのが委員長キャラである榊原ルートでした。幼馴染である恵理や妹である千佳とは違って、榊原だけはゲーム開始時点ではほとんどしゃべったことのない相手です。その状態から、何となく相手のことが気になるとか、少しずつ態度が軟化していくとかいった変化がほかのルートよりも濃く描かれていたように思います。このルートだけヒロイン視点が描かれているのも私の好みに合致するようでした。ご両親が良い人で良かったですね。
そしてルートの最後で18禁シーンがあります。初めて読んだ私は、なるほどそんなもんか(良く分からん)なんて思っていました。

千佳ルートについてはどちらのエンディングに行っても微笑ましい内容となっており、実の兄弟での近親相姦的な展開はありません。途中何回も伸一のことをシスコン扱いしたネタがありますが、このルートを読むとむしろ千佳の方が重度のブラコンでは? なんて思ったりします。

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ここまででも「良くできた作品」であると思いますが、これだけだとおそらく私にここまで強い印象を与えなかったでしょうし、正直わざわざ18禁の作品をやらなくても良かったかなと感じたでしょう。しかし本作は幼馴染の恵理ルートで本性を現します。

ヒロインが3人いて恵理ルートだけ1周目ルート制限がかかっています。1回目では強制的に友人エンドに。2周目で初めて「ホテルに入る」という選択肢が登場します。当然そこで恵理と行為に及ぶわけですが、問題はその後です。ずっとほのぼのとしていたこの作品の雰囲気はここで一気に反転します。

念のため再度警告しますが、このルートの先ではかなりショッキングな展開が続きます。具体的な暴行が行われるシーンはパッチ適用により飛ばす選択肢を有効化できますが、このルートの主題は事件によって深い心理的なダメージを受けた人物たちがその後どのように生きていくかです。鬱ゲーは受け付けないという方のプレイもお勧めしません。
気にしないという方もシナリオの加筆が若干あるためパッチ適用をお勧めします。公式サイトからver1.01パッチをDL・解凍し、作品フォルダのnscript.datを上書きしてください。パッチ適用後も該当のシーンを飛ばさずに読むこともできます。



このルートでは、伸一と恵理を追っていた千佳が暴漢に襲われてしまいます。それに感付いて現場に向かった伸一も犯人の手にかかって意識不明の大けがをさせられることになります。
幸いにも命に別状はなかった2人ですが、同時に負ったであろう精神的ショックの深さは計り知れません。そんな中で行われる千佳と恵理のあの会話シーン。愛し合っていたからこその行動だったのに、友達を大切に感じていたからこその気遣いだったのに、どうしてこう現実は悪い方向に進んでしまうのでしょうか。あの時こうしていればよかった、自分のせいでこんなことになってしまったという後悔が絶え間なくあふれ出てきて、優しさがあるからこその悲しみを際立たせるシーンです。しかし恵理の悲鳴交じりの決死の説得も届かないほど、千佳の心はずたずたに壊されてしまっていたのです。

そんなシーンの後、無音で始まるモノローグ。そこで事件がもたらした影響の大きさを再度実感させられることになります。伸一・千佳のみならず恵理や明、榊原を巻き込んで、事件から立ち直るための必死のリハビリが始まるのです。
確かに恵理は伸一とちょっと特別な関係になることを望みました。しかしそれは5人の友情を壊してまで望むものではありません。実際恵理は事件の前にも、これからもいつも通りで、と伸一に告げています。ところがそんな希望は事件によって完全に破壊され、悲痛な運命を甘んじて受け入れるしかなくなります。
生半可な友情だったらここで終わりになってしまうかもしれません。私だったらすべてをあきらめて自分の心も壊れてしまうかもしれません。しかし5人の友情はそうではありませんでした。恵理は自分にとって何が一番大事だったかに気付いたのです。まさに本作の副題にあるWhat is your preciousとは5人で遊んで楽しく過ごした日々、皆を思う友情であったのです。ほのぼの系の作品だったら何となく受け流してしまうであろう友情描写であったとしても、どうしようもなく悲しいこの状況だからこそ、こうも心に深く刻まれるものなのか、というのを強く感じたのを覚えています。
序盤のシーンではただの同級生でしかなかった榊原も、彼女がいないことに悪態をついてばっかりだった明も、こうも献身的に恵理や伸一を支えてくれます。こんな健気な友情だからこそ、全員を全力で応援しながら物語を読み進める手は止まりません。

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その後の学校のシーンなどは、今になって冷静に考えてみれば現実的ではないでしょう。しかしそんなことがどうでもよくなるほど私はこの作品に夢中になっていました。愛を越えた先にあるものをこんな形で描くことができるのかということに。そしてこの展開は同人の18禁作品でしか許されないだろうとも感じていました。

最後にクリスマスの日の会話などが伏線となって真実に気付くあの展開も良く作られています。私が最初に読んだときはこれが後で効いてくるなどとは全く思っていなかった何気ないシーンなのですが、そこまで計算されていたことに気付いてまた深く驚くのです。これも、伸一が恵理や千佳を大切に思っていて、しっかり観察していたゆえでしょう。

ラストシーンにはver1.01で加筆されたシナリオが出てきます。やや説明的過ぎるかなという感じもしますが、ここにきてようやくひと段落したと安心できる内容になっていて、全ルートの総まとめとしての終止感をしっかりと纏ったエンディングです。このエンドロールだけ振り返り的にこれまでのスチルがついていたりもしますしね。1つ注文を付けるとしたら、最後に全員で笑っているスチルとかあったらより感動的だな、というところでしょうか。
若干ネタバレ(クリックで展開) まさかタイトル画面の時点で盛大にあの展開を示していたとはね…全然気づきませんでした。

ちなみに本作の攻略は簡単です。攻略したいヒロインの選択肢を選び続ければよいです。優柔不断な選択をしているとノーマルエンドに行きます。


というわけで今回は「Be alive ~What is your precious~」でした。
本作が私にとって初めての18禁ゲームだったからこそ、単にえっちなシーンがあるだけでなく話のテーマに大きくかかわってくるような内容を含む作品が好きになったのかもしれません。この辺のことは「桜哉」で語りましたね。
あのルートを受け入れられる人はそう多くはないかもしれませんが、私を深く感動させたのもあのルートであることに間違いありません。鬱展開に耐性がある方、ぜひプレイしてみてください。このルートに出会ったからこそ、私はエロゲにもシナリオの良さやテーマ性を求めているといっても良いでしょう。

それでは。

こんにちは。今回はmisosioさんの「じごくのインターネッツ」をご紹介します。

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ジャンル:インターネットオカルトノベルゲーム
プレイ時間:45分
分岐:ED3種
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2021/6


さて、misosioさんといえば2020年のティラノゲームフェスでグランプリを獲得した「お前のスパチャで世界を救え」が有名ですね。私もフェス期間中にプレイした覚えがあります。そんなmisosioさんの2作目である本作については存在は知っていながら長らくプレイしていませんでした。今週ようやくプレイしまして、前作にもまして面白い切り口から楽しませてくれる作品だなと思いましたのでレビューという形にしておこうと思います。
ところでReadMeにあった作者サイトに行ったらWordPressのサンプルページのままなのはさすがに何とかしていただきたい…リンクは貼らないでおきます



本作の主人公は、就職活動をしながらも副業としてブログを書いているフリーター。きくらげというハンドルネームでいわゆるいかがでしたか系の記事を量産しています。
ある日怪談系の記事を書き終えた後散歩に出かけると、謎の声に導かれ、「奈落ちゃんの出張占い室」にたどり着きます。奈落ちゃん曰く、明日は雨が降り槍も降り最悪の一日になるでしょうとのこと。特に信じてもいなかったきくらげですが、翌日スマホに妙な通知が。注文してもいないウーマーイーツの配達がやってきて、顔のない配達員に襲われてしまう……、自分が書いた根も葉もない記事にそっくりの状況に怖くなり、奈落ちゃんに助けを求めます。無事に配達員を追い払って平穏な日常を取り戻すことができるのでしょうか…

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タイトルを見ればわかる通り、本作はインターネットでのあるあるをオカルト風のネタにした内容となっています。フリーゲームを遊ぶ人というのは大抵ネットからゲームをダウンロード、あるいはブラウザからプレイするわけで、なかなか相性のいいテーマだなと感じます。よく見るインターネットスラングやネット上の流行が元ネタになっていると分かるシーンも多数出てきて、ほとんどのフリーゲーマーには伝わるネタになっていると思います。

本作は大きく4つの章に分かれており、第1章では上述の顔のない配達員事件が発生します。
主人公が勝手にでっち上げたオカルト記事が現実になってしまい大変なことに、という内容ですが、実際我々が見るインターネットの世界でも無責任で情報量の無い記事に戸惑うことも多々あるわけで、あるある~とうなずきながら読み進めることができます。
最近だとTwitter(X)で収益配分が始まってから、青バッジ付きアカウントがインプレッション稼ぎのために無意味なコピペツイートでリプ欄やトレンドを汚染しているのを見ると本当にどうにかしてほしいと思いますよね。見かけるたびにブロックしてるんですが全然減りません…。以前は公式の証であったマークが今やbotの目印みたいになっちゃってます。

話をゲームに戻しまして、主人公は自分が広げてしまった偽情報に対抗するために、世間が偽情報への関心を失うまで出前アプリのレビューを延々と続けて正しい情報を広めなくてはならなくなってしまいます。この展開、現実のインターネットと同じで面白いですね(現実においては対抗しなくてはならないのは偽情報を流した本人ではないことが多いのが難しいところですが…)。過去の自分が調子に乗ってやったことに苦しめられるというのは、ある意味のび太が毎回ひみつ道具でやらかしてしまうドラえもんのお約束に通じるなあと感じました。そういった古典的王道展開を現代風にアレンジしてフリーゲームの世界になじませた手腕は見事だと言えるでしょう。

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こんな感じで2章、3章と物語は進んでいきます。それぞれ宇宙猫とちいかわが元ネタと思われます。毎日インターネットに触れている方ならまず見たことがあるでしょう。それにしてもどちらも長いこと人気を集め続けてますよね。本作に関係ないですが宇宙猫にWikipedia記事があってびっくりしました。

この章でも主人公の過去のやらかしなどに奈落ちゃんと一緒に対処していくのですが、ブログでいい加減なことを書きなぐっていたことは反省したようで、一件一件地道に処理していきます。こうした対応を見ていくと、インターネットの世界って本当に大変だよなあと思えます。一回広まったものは完全に消し去るのはほぼ不可能ですし、どんないい加減な事でも言ったもの勝ちみたいな側面だってあります。この辺までくると主人公のことはのび太とバカにできないし、いつ自分が当事者になってもおかしくないよなあという気分で読み進めることができます。


4章で最終章に入る本作。そこで主人公はある選択を迫られることになります。
願いが叶う力があると言われるトンネルに取材に行くことにした主人公。奈落ちゃんと話しながらこれまでのやらかしを振り返り、インターネットなんて最悪だよと悪態をついてしまいます。もっとましな世界はないのかなと思いながらトンネルを抜けた先にあったのは、美しいインターネットの世界でした。
悪意のあるコメントはなく、アフィリエイト狙いの量産型記事に悩まされることもない。コツコツとブログ投稿を続けた甲斐があってメディアから寄稿の依頼や面接の誘いまで。理想的な世界に見えますがどこか違和感があります。このままこの美しい世界に住むことにするのか、それとも奈落ちゃんと事件を解決したあの世界に戻るのか。
ここでの選択によってエンディングが分岐しますが、どれを選んでもBAD ENDということはなく、それなりに幸せな結末が待っています。くだらないことばっかりで嘘だってたくさんあるし問題も多いインターネットの世界だけれど、だからこそ面白いものに出会える。笑顔でそう言える奈落ちゃんが素敵です。私もインターネットの中に面白いものがあると思っているからこそ、フリーゲームを探してプレイしたり、こうしてレビューを書いたりしているわけですからね。この記事が作内でいわれているようなスカスカのクソ記事でないことを祈ります。

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というわけで、今回は「じごくのインターネッツ」でした。
わざわざフリーゲームに関するブログを読んでくれる方にはうなずいてもらえる内容が多数あると思います。インターネットの面倒くさいところ、楽しいところを含めて受け止められる方、プレイして損はないですよ。

では。

こんにちは。今回は、かなり古めの懐かしいともいえる作品、太郎2さんの「Knight Night」について書いていこうと思います。

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ジャンル:コメディ系RPG
プレイ時間:一直線でエンディングまで5時間半
分岐:基本一本道
ツール:RPGツクール
リリース:2008/1


本作はかなり有名な部類だと思うのですが、これまでプレイしたことがありませんでした。今週プレイしてみて、やはり面白かったなあと思うのでご紹介します。

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主人公のアドニス(名前変更可)は”ちゃっちい王城”に仕える騎士団長。ある日王様に呼び出され命じられたのは魔王の討伐。超王道なファンタジーRPGのオープニングではありますが本作の雰囲気は一味違います。王様からの伝令で、自らの部下でもある騎士に対して「どちら様ですか」扱い。さらにはアドニスはちゃっちい王城の隣に立てたテントで生活していると言います。すでにツッコミどころ多数。このゲームでは2択の選択肢が大量に出てきますが、どちらを選んでも直後の会話が変わるだけでストーリーの流れは変わりません。それなら俺はせっかくだからカオスな方の選択肢を選ぶぜ! というマインドをお持ちの方なら本作を存分に楽しめるでしょう。

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王様バーンズ。RPGの導入でお馴染みの命令

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これすらも断れます。まあ断っても無理やり"神下ろしの儀"に進まされるのですが…


ちなみにこの神下ろしの儀、めちゃくちゃ危険でアドニスが死んでしまう可能性もあるようですが、本人や王子ゲイル、姫ミカの反対も構わずに儀式を決行してしまいます。その結果アドニスに宿ったのは神の力などではなく…やたらうるさくて自信過剰な別の世界の魔王キーファでした。
こうしたドタバタ劇の中、アドニスは魔王討伐の旅へ出ることを余儀なくされるのでした。



アドニス自発的にしゃべることは全くない(RPG主人公にありがち)のですが、道中では常にキーファが御託を並べまくっているので大変賑やか。プレイヤーに多くのツッコミどころを提供してくれます。

道中で仲間になるメンバーも曲者ぞろい。成り行きでアドニスに助けられた薬売りの娘リュカは、恩を返せていないといって半分無理やりアドニスの旅についていきます。山越えの最中で出会った魔女ナナリーはただ女装してるだけの男(でも魔女を名乗ってる)。寂しいとか言って魔王討伐の旅に同行してきます。最後に仲間になるのは賢者ケイト。アドニスが出会う前から重度の変態であることが明かされています。

こんな濃~いメンバーを抱えて進行していくストーリーですが、終盤に近付くにつれ壮大な設定が見えてきます。
本作のストーリーは主にケイトを仲間にするまで(ここでは1部と呼ぶことにしましょう)、北西諸島をクリアして魔王城を攻略するまで(2部)、エンディングまで(3部)の3つにおおよそ分けることができるでしょう。

1部では先ほど見たようなツッコミどころの嵐。賢者に会うまでに散々寄り道しなくてはならなかったり、途中で立ち寄る村がとんでもない所だったり、別の勇者一行に出会って罵り合ったり。これらのイベントを楽しみながら進めていくことになるでしょう。回復やセーブのために各ダンジョンに先回りしてくれているゲイルやミカが好きで、あの音楽ですでに笑えて来ちゃいます。バーンズはいらない(笑)
2部に入ると物語が少し不穏な雰囲気を帯びてきます。キーファが封印されてしまったり、リュカが呪われてしまったり…。しかし全体的な雰囲気はまだまだコメディ色が強いです。私は、敵の足音だ!と警戒していたらアドニス一行をスルーして走り去ってしまうやつが好きでした。
物語の終盤、私が3部と呼ぶことにした辺りまでくると、この世界に隠された壮大な設定が明らかになってきます。序盤からたびたび登場していたけれど意味深な事しか言わずにきたあの人の正体や目的も明らかに。まさかこんなふざけたイベントばかりのRPGでがっつり設定や世界観が練られているとは思いませんでした。


さて、RPGとしての戦闘部分を見ていきましょう。本作の難易度は易しめに分類されるでしょう。
ザコ戦は物理で殴っているだけでも大体何とかなりますし、敵HPは低めなのでMP消費を辞さなければ1ターンで倒し切ることも可能でしょう。入手経験値やゴールドも高めに設定されているため、新しい村に着いて強い武具が解禁されるたびに最強装備に買い替えることもできます。そこまでのお金が足りない場合は武器を優先することをお勧めします。

ただ最序盤のアドニス一人で冒険しているころは割と死にがちでした。序盤のステータスでは魔法攻撃にめっぽう弱く、回復手段も乏しいため2回くらい食らうと普通に死にます。慎重を期す場合、逃走コマンドなども使っていきましょう。
リュカが仲間になって以降はかなり安定します。どんどん新しい武器を買って先へ進んでいきましょう。

ちなみに敵モンスターの名前やアイテム、技の名称もふざけまくってます。
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↑なぜジブリキャラなのか。

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↑敵というか食材として見てる?

ボス戦においても難易度は高くないでしょう。ステータス変動魔法が永続効果を持つため、最初に数回使っておくだけでかなり楽になります。一部状態異常が厄介な場合があるので、回復アイテムを数個持ち歩いていると安心でしょう。MP回復アイテムもあれば万全です。

ラスボス戦においてはこれまで出会った仲間(?)たちの協力もあったりして熱い展開です。散々ふざけたストーリーを展開してきた本作ですが、こうした王道の感動シーンもしっかり用意してくれています。

ちなみに本作はクリア後のおまけ部屋がかなり豪華です。
一枚絵、BGM鑑賞モードのほか、各キャラクターについての裏話だったり登場する村の設定の話などが盛りだくさん。ここで私は初めて気づいたのですが、メインシナリオに関わらないサブクエストも多数あったようです。そのほとんどは2部の間の時限イベントということで、私はほとんどスルーしていたようでした。気付かなかった…


というわけで今回は「Knight Night」でした。
古い作品ゆえに解像度が粗かったり、親切なシステムはなかったりしますが、それもあまり気にならない大作ですのでぜひプレイしてみてください。

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