フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
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こんにちは。今回はDanQさんの「学ぼう! 精神医学 -うつ病編-」をレビューしていこうと思います。

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ジャンル:精神医学をカジュアルに学べるノベルゲーム
プレイ時間:45分
分岐:あり
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2023/8



本作はフリーゲーム夢現を巡回していて見つけた作品になります。タイトルから分かる通り、精神科での診療や精神疾患についての初歩を学んでいける作品となっており、全体的に非常にまじめに作られています。それでは作品内容の紹介に移りましょう。


本作の主人公(名前変更可。デフォルトは朝宮)は総合病院に勤める2年目の研修医。今回初めて精神科に配置され、患者さんの診察や治療に携わることになります。とはいってもこれまで内科などでの勤務経験しかない主人公は精神科で必要な知識が十分ではありません。指導医の夏川先生に教えてもらいながら患者さんを診ていくことになります。



主人公が最初に見ることになった患者さんは永野さんという男性でした。
1か月ほど前から気分が落ち込み仕事にも身が入らず、家族の目から見てもずっとしんどそうにしていると言います。永野さんへの診察と治療を通して、主人公と一緒に読者も精神医学について学んでいける構成となっています。


さて、私は医学に関する知識は素人なので(過去に診断されたことのある病気について調べたりはする、という程度です)、上で永野さんの訴える症状を聞いてもうつ病くらいしか候補を考えられないのですが(本作のタイトルからのメタ読みもありますが)、本作を最後まで読めば精神科では他の様々な可能性も考慮しながら最終的な診断や治療を行っていることが分かります。


例えば、夏川先生に最初に教えてもらう講義の内容は「精神科ではなぜ病歴が大事なのか?」です。
レントゲンを撮ったら骨が折れていることが分かった、などのように検査で明確な原因が把握しづらい精神科における診断では、現在の状況だけでなく過去もさかのぼって考慮したうえで適切な判断をする必要があるというのです。これは、今までの私には全くなかった視点でした。

作内で永野さんの診察を行う際には、今の仕事や家庭での様子のみにとどまらず、子供のころからの成育歴や病歴などについてを含む細かい聞き取りが行われています。知らなければ、医師というよりはカウンセラーみたいな人の仕事なのでは? と思ってしまったりしますがこれも精神科医の大切な仕事の1つだということでした。
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もう一つ例を挙げましょう。精神科においても血液検査などの検査を行うことは多いようです。しかしそれは例えば、うつ病になると血液検査のこの項目で数値が高くなる! のような項目をチェックするためのものではなく、他の原因を除外するためであるというのです。
なるほど、確かに脳外科とか内分泌科とかの他の科にかかるべき真の原因があったのにうつ病と診断して精神科的アプローチで治療を試みても良くなるとは思えません。こうした病気以外にも、例えば薬物の影響で気分症状が現れることがあるのは私も知識としては知っていたはずですが、うつ病の診断をしようという段になって頭の中に残ってはいませんでした。

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こんな感じで全体的にまじめに作られた作品ですが、かわいらしいイラストやコミカルな音楽もついてカジュアルな雰囲気を保っています。診察に入る前のプロローグであったり、True Endで永野さんが快復したときなんかは登場人物のキャラクター性が出た会話シーンなんかもあったりして、ゲームとして気楽に楽しめるような内容になっていると言えるでしょう。
もちろん完全な娯楽作品のようにゲラゲラと笑ったり感動シーンに涙したりといった展開にはなりませんが、勉強のハードルを下げてくれているという点が大きく評価できるポイントだと思います。立ち絵がスッと入れ替わったり、講義スライドが挟まったりといった演出の仕方もささやかながら間違いなく本作の取っつきやすさに貢献しているでしょう。

ネットを使って医学のことについて調べようとすると、怪しい情報が大量に出てきて私のような素人では信頼できる情報を見分けるのが大変ですからね。公的機関や大学などが出している情報はさすがに信じていいだろうと思いますが、そういったページって大体堅苦しくて難しいんですよね。その点本作ではうつ病や精神医学についての最低限の知識を読みやすく、そして正しく(作者さんは現役のお医者さんということですし、診断基準等の引用元も作内で示されています)伝えてくれる点が嬉しかったですね。


ところで少し上でさらっとTrue Endと書きました。本作にはいくつかの選択肢が存在しています。
全問正解しないとTrue Endには行けないのですが、いずれの選択肢も夏川先生の話をきちんと聞いていれば正しいものを選べるものですし(常識で考えても大体は正解を選べるはず)、難しくありません。
逆に1つでも間違えるとNormal Endに行くようですが、こちらでも永野さんの病状が悪くなったりはしませんでした。夏川先生のフォローがしっかりしていたということでしょう。こうした作品でわざと間違い選択肢を選ぶのは私は心理的に強い抵抗があるのですが、レビュー書くんだからちゃんと他のエンディングも見ておこうかと思ってみてみました。辛い結果にならなくて良かったです。


というわけで今回は「学ぼう! 精神医学 -うつ病編-」でした。
勉強するぞ!という気持ちにならなくてよいのでぜひ気軽に読んでみてください。

それでは。

こんにちは。今回はPOPODOTさんの「ゾンビーデ☆バンビーナ」のご紹介になります。

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ジャンル:2Dゾンビアクションゲーム
プレイ時間:難易度ノーマルで2時間程度
分岐:1か所(後述)
ツール:RPGツクール
リリース:2017/8
備考:15禁。流血等グロテスクな表現あり。第13回ふりーむゲームコンテスト萌え部門金賞受賞作


本作品を紹介するうえでジャンルの分類に少し迷いました。
装備や食べ物で自身を強化していくRPG的要素もあり、目的地まで様々なマップを探索して進んでいくADV的要素も強く、ストーリー重視な作品でもあります。しかし私がプレイした感想としては、(特に高難易度では)いかに敵を避けながら進むか、少ない弾で効率的に相手を倒すかというアクション要素が重要になってくる感じがしたので、本ブログではアクションゲームとして分類することにしました。実は初めてのアクションゲームのレビューとなります。



本作の物語は、突然地球に隕石が衝突するところから始まります。地割れなどの被害にとどまらず、なんと隕石に付着していたゾンビウイルスが人々をゾンビ化してしまったのです。そんな阿鼻叫喚の中、主人公のラーラはゾンビウイルスから身を守るためのイエローハッピーワクチンを求め、ゾンビと戦いながら病院を目指すのでした。


相棒となるマークと一緒にゾンビを倒しながら探索していき、たまにボスを倒す必要があるのですが、これが結構難しい!
開始時に難易度を3段階から設定できるので、アクションゲームが得意でないなという方はイージーを選びましょう。私はノーマルから始めたのですが、慣れないうちは弾切れになったりして割と大変でした。難易度ベテランでは入手できる弾の数がかなり少なくなっており、初見の方にはお勧めできません。

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ゾンビの倒し方については、最初に作中作の形式をとって丁寧なチュートリアルがあります。武器を装備した状態でDキー押下で向いている方向(四方に固定)へ発砲します。弾丸は消耗品なのでやたらに乱射しているとすぐに弾切れになってしまうので注意です。きちんと狙いをつけて発砲するようにしましょう。


序盤の敵は体当たりしてくるくらいしか攻撃手段を持っていませんが(とはいっても近づくと突然スピードアップして向かってくるので油断禁物です)、中盤以降の敵は機動力が高かったり飛び道具を持っていたりと厄介なパターンが多いです。特に難易度ベテランでは、それらの敵を相手にしていると一瞬で弾切れとなってしまうので、マップをある程度覚えておき、どうしても倒す必要のある敵以外は走り抜けてかわすような動きを要求されます。このあたりが非常にアクションゲームらしいんですよね。

ボス戦については攻撃をかわし続けても終わらないため、ある程度の弾数を用意しておかなくてはなりません。どのボスも遠距離攻撃の手段を持っており簡単ではありませんが、行動パターンはさほど多くないので何度か挑んでいくうちに上達して勝てるようになっていくでしょう。

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そんなわりとハードなシステムとなっている本作ですが、ストーリーの方も大事です。
前半のうちは、ギャル風でゾンビにも物怖じしない強気のラーラと怖がりで前衛に立っての戦闘を避けてアイテム合成などで協力するマークの対比が面白く、ギャグイベントもよく仕込まれています。

しかし中盤でマークは一人で戦わなければならない状況に陥ります。ビビりながらもゾンビを倒していくマークを見ているとなんだか頼もしく感じていきます。ついさっき出会ったばかりのラーラではあるけれども守ってやりたい、そんな気持ちが表れていてとても応援したい気持ちになりますね。

終盤にはPOPODOTではお馴染みの温泉イベントあり。今回はラーラは温泉には入らないみたいだけれど…?

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さて、ラーラとマークが協力してラスボスを倒し、エンディングイベントに突入する直前、1か所だけ選択肢が登場します。明らかに分岐すると分かる内容で、しかもどちらが正解かもわかりやすいと思います。他の作品をプレイしたことがある方なら分かるかと思いますが、2つのエンディングは結構落差が激しいので覚悟のうえでぜひ両方とも見てください。直前にセーブ画面に入るのが親切ですぐに回収できます。
両方見たらおまけ部屋でエピローグなどが見られるのでそちらもお忘れなく。


ところで私がDLしてプレイしたバージョンは古めで1.6だったのですが、その後バージョンアップが重ねられて現在v3.0が公開されているようです。チャック(ラーラの兄)編や新ボスなども追加されているということなので私もこれからやってみたいなと思います。


というわけで今回は「ゾンビーデ☆バンビーナ」でした。
イラストはかわいらしいけれども世界は世紀末。アクションはハード。
そんな中でラーラはワクチンを手に入れて目的を果たすことができるのか。ぜひあなたの目で確かめてください。

それでは。

こんにちは。今回はTeam囲碁RPGさんの「囲碁RPG」のご紹介です。

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★favo
ジャンル:オーソドックスなターン制RPG+詰碁問題集
プレイ時間:ラスボス撃破までで10時間程度
分岐:なし
ツール:RPGツクール
リリース:2023/7(ふりーむへのDL版掲載日)
注意:囲碁の棋力が10級以上の方推奨


本作「囲碁RPG」はタイトルから分かる通り、囲碁がテーマとなっているRPGです。単にシナリオに囲碁が使われているというだけでなく、詰碁(部分的な石の死活を問う問題。詰将棋に対応するもの)を解いて進むギミックも多数用意されているなどかなり凝っています。
このギミックのため囲碁未経験者ではクリアはほぼ不可能でしょう。公式の説明欄にもありますが、10級程度の棋力は最低限欲しいところです。私の棋力は碁会所で三段程度、ネット碁では囲碁クエスト(Android版/iOS版)で四段、野狐囲碁で二段程度です。有段者なら本作の囲碁に関するギミックで困ることはないでしょう。
囲碁に関するギミックで詰まってしまう場合、「囲碁RPG 入門編」があるのでそちらのプレイをお勧めします。



本作の世界観では、囲碁の技術である”棋術”(聞いたことがないので本作の造語でしょう)がそのまま(物理的な)戦闘の技術になっています。碁の強い者が通常のRPGの意味でも強いのです。戦闘では打撃(通常物理攻撃)のほかに棋術(魔法攻撃に相当)を使って敵を打ち倒していきます。
そんな本作は主人公の星宙かやが囲碁の養成所を卒業するシーンで始まります。卒業試験をパスしたかやは養成所からのプレゼントとして最新の棋術を教わるため、棋術習得用カプセルに入ります。ところがその棋術習得の最中に”幻庵”と名乗る人物が乱入。養成所は荒らされ、同級生の安否も分からない中かやは何とか魔法陣を起動してワープし見知らぬ村、”アキスミ村”で目を覚まします。どうやら”秘密結社INOUE”が何かを企んで悪さをしている模様。かやは同級生を助けるため、秘密結社INOUEに挑むべく旅を始めるのだった…


本作のオープニングはこんな感じなのですが、これまでですでに囲碁にまつわるネタが3つも含まれています。
まず、幻庵というのは戦国時代の武将、北条幻庵のことのようです。今回調べて知ったのですが、幻庵は囲碁にまつわる逸話のある武将ということです。そしてアキスミ村。アキスミというのは文字通り空いている、つまりまだ石が全く置かれていない(碁盤の)隅のことで、たいていの場合初手で着手される地点になります。すなわち”はじまりの村”みたいな意味合いですね。
そして秘密結社INOUEというのは囲碁の家元四家のうちの一つ、井上家のことでしょう。江戸時代、徳川将軍の前で行われた対局、御城碁で争った四家が家元四家で、本因坊家、井上家、安井家、林家の4つです。本因坊だけが実力制となって現代のタイトル戦に名を残していますね。

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このように、本作内において非常に濃い密度で囲碁に関する分かると面白いネタがちりばめられています。しかもネタの分野が広いです。
例えば主人公かやの仲間になる最初の人物は”秀策”ですが、これは本因坊秀策のことです。ヒカルの碁にも出てきたのでご存じの方も多いかもしれませんね。続いて仲間になるのは”算知”ですが、これは同じく江戸時代の棋士である安井算知のこと。天地明察に登場したことで知っている方もいるかもしれません。
4人パーティーの最後の一人は”リーラ”と名乗ります。これはフリーのコンピュータ囲碁ソフトLeelaのことでしょう。さっきまで江戸時代の話だったのに急に現代のAIの話が出てきてちょっとびっくりしましたが、これも囲碁が分かる人ならではのネタでしょう。

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他にも、敵のキャラクターは全て囲碁用語だったり、囲碁周辺の元ネタがあったりします。
例えばこちらの”アキサンカク”ですが、これは漢字で書けば”空き三角”。自分の石が三角形の形につながった状態のことで、働きの乏しい愚形の代表例です。

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こちらの”モクサン”は目算。自分と相手の陣地の数を脳内で数えることです。これが正確にできるのは高段者でしょう(私はできません)。

その他、装備品名や村人のセリフなどにも大量の囲碁用語が登場。分かる方にはとても納得できる使われ方だと思います。
鉄柱、亀の甲羅、一間高などの囲碁用語のついた装備品。玄玄碁経、官子譜、發陽論などの古典的書物。秀策、算知をはじめ赤星因徹や本因坊丈和などの江戸時代の棋士である登場人物。ノギツネ城(野狐囲碁という中国のネット対局サイト)、絶芸(野狐で対局しているAI)、AyaXbot(囲碁クエストというアプリ内で常駐しているAI)など、現代の囲碁界に関するものまで本当に幅広いです。
ラスボス戦が対AIになるの熱い展開で良いですね。

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(ところで「魔王のメガネ」の魔王って井山裕太さんのことですよね?)

それに加え、先に書いたように本作では詰碁を解いて進んでいくギミックが数多く含まれています。
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上のスクリーンショットのように、いごまるという小さな生き物(タイトル画面の左側にいるやつ)が道をふさいでいる場面にたびたび出合います。近くには詰碁の問題があるので、これに正解すると道を開けてもらえたり、アイテムやお金がもらえたりギミックが進行したりするのです。
ゲームの進行上必須でない隠し要素については詰碁の問題が難しかったりします(とはいえ最難関でも上級程度です。有段レベルの問題はないと思います)

さらにこれらの詰碁を解くと、アイテムの「いごまる詰碁帳」に解いた問題が登録され、何度でも復習可能になります。全部で140問以上あり、解くたびにお金が少しもらえます。たまに「星屑の欠片」という錬金素材アイテムももらえるので積極的に解いていきましょう。(星もれっきとした囲碁用語です)
少し易しめの問題を一目で解けるようになるまで習熟度を上げるというのは囲碁の上達にもかなり役立つ勉強の仕方になると思います。その意味でも詰碁帳を周回するのはおすすめです。


さて、囲碁から離れて本作のRPGとしての部分を見ていきましょう。
戦闘は非常にオーソドックスなターン制でコマンド選択式。癖がなくてなじみやすいシステムと言えるでしょう。毎回戦闘終了後にMPが一定量回復するのでMP節約にあまり気を回さなくて済むのが助かります。

戦闘のバランスとしては、状態異常が強めでしょう。パラメータ的には余裕でも状態異常を食らうだけで一気にピンチになったりするので、装備で対策したり回復アイテムを買い込んだりしておくとよいでしょう。(状態異常の名前が囲碁用語になっていて少しわかりにくいので注意です。”味悪”は毒、”長考”・”駄目詰”は麻痺、”頓死”は即死のことです。その他は囲碁を知らない人でも名前からイメージできる効果だと思います)
状態異常以外においても装備の重要性は高いので、新しいダンジョンに挑む際はぜひいい装備を入手してからにしてください。

本作には錬金システムがあり、詰碁を解くと時々もらえる「星屑の欠片」を使って固有武器を強化したり、その他の装備品を作ったりすることができます。固有武器をMAXまで強化するのはかなり手間がかかりますが、強力なことは間違いありません。私はリーラの銃を真っ先に強化して攻撃力の上がる装飾を持たせ、リーラをアタッカーとして運用しました。2回攻撃はやはり強い。

いったことがある街へのワープができるシステムがないので移動がやや面倒ですが、ダンジョンは一度クリアすれば出口まで即移動できるのでそこまで大変ではないでしょう。

なかなか珍しいと思ったシステムは、「IG→経験値変換」です。IG(イゴールド)というのは本作の通貨単位です。つまり余ったお金を経験値に変換できるのです。
通常のザコ敵で経験値を稼いでレベルアップしていくのも良いのですが、本作はザコ戦で得られるIGが少ないのでこの方法ではお金不足になりやすいです。そこで「いごまる詰碁帳」を解くことで大量のIGと星屑の欠片を稼ぎ、余ったIGを経験値に変換するという方法の方が効率がよさそうです。


というわけで今回は「囲碁RPG」でした。
10級の方だとクリアに結構苦労しそうですが、5級~1級くらいの上級者の方は特に詰碁の復習もできて楽しい作品なんじゃないでしょうか。囲碁の歴史についてもちょっとだけ学べます。
囲碁やったことないよという方は入門編のほうをぜひ。

それでは。

こんにちは。
今回はらふわーかーさんの「かみさまの心臓」のレビューをしていきたいと思います。

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ジャンル:ホラー風謎解き探索型ADV(ReadMeより引用)
プレイ時間:エンド到達まで2時間強。フルコンプまで3~4時間
分岐:エンディング4種。その他GameOver多数
ツール:Wolf RPGエディター
リリース:2015/3



ホラー風と銘打っている本作ですが、脅かし要素はかなり控えめですのであまりホラーが得意でない方でもプレイしやすい作品かと思います。(ただし嫌な気分になるようなギミックは複数あります。後述)
さっそく内容の紹介に移りましょう。


冒頭プロローグの部分が終わると、主人公、目黒誠を操作可能になります。真っ暗な部屋で何も見えませんのでひたすら前進していきましょう。次の部屋から探索ADVらしい謎解きゲームが始まります。
最初のトラックのある部屋では、おそらく多くの方が一度はゲームオーバーになると思います。初見殺しではあるのですが理不尽に感じない内容で良いですね。確かに、アレはそのために存在しているというのが初見でもわかります。
しかしその部屋の扉を開けて次に進むためには、先ほどのゲームオーバーになるギミックを使って特定の操作をする必要があります。進むためにはこうしなきゃいけないだろうというのはすぐに理解できるのですが、実際にやるには心理的抵抗があるような内容ですごくホラーゲームらしいんですよね。

ホラーゲームというのは当然プレイヤーをびっくりさせたり脅かしたりするものですが、私はそういう怖さには弱いのであまりホラーを好き好んでプレイするわけではないんです。しかしホラーゲームにおけるプレイヤーの怖がらせ方というのはそれだけでなく、ふんわりと嫌な雰囲気を漂わせるとか、選びたくない選択肢を選ばせるとか、そういったじんわりとした怖さというのもあると思うんです。
有名な作品でいうと、青鬼的なホラーではなくて魔女の家的、というと伝わるでしょうか? そして私はこちらのタイプの作品を好むのです。

本作においてこれがかなりいい方向に働いているなと思ったのがこのトラックの部屋のギミックでした。

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さて、この部屋を突破すると次は本棚の部屋です。ここに来て初めてストーリーのようなものが明らかになってきます。何でもできる完璧な兄を持って誇らしくも悔しい気持ちで生きてきた弟の誉(ほまれ、でしょうか)の手記のようなものがばらばらに散らばっています。誉の兄は本当に何でもできて人格者でもあったのですが、交通事故に遭った結果介護なしでは生きられない状態になってしまいます。そんな弟の誉の日記を読んでいくと、順番に部屋の鍵が開いていきます。扉の先では兄弟の関係性や過去の出来事を使ったギミックになっていて良く考えられています。


この本棚の部屋を越えた先で、本作のタイトルの意味が次第に明らかになっていきます。なにやら主人公に好意を持っていそうな謎の少女が登場。いったい彼女とはどういう関係なのか、彼女の目的、そして正体は何なのか。そうした謎がストーリーを進めていくうちに解けていくのが気持ちいい作品です。


物語が進行するのと同期して、ゲームを進行していくためのギミックも兄弟の2人を交互に操作して突破していく方式へと変わっていきます。兄である誠が何を考え、それを弟である誉がどう受け止めていたのか、そのすれ違いの様子が伝わってきます。
同時にエカチェリーナと名乗る謎の少女に関することも分かってきます。本作の冒頭で意味深に登場した”かみさま”という単語がどういう文脈で使われていたのか、悲しい真実が明らかになっていきます。

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そんなギミックが上手く作られている本作ですが、謎解きはやや難しめと感じました。いくつかのアイテムを入手できますが、持ち物に入っているだけで自動的に使用されたりしません。怪しい対象の前に立ってメニュー画面から能動的に使用するアイテムを選択する必要があります。詰まったと感じたらいろいろなものを単に調べるだけでなく、アイテムを使用できないかも確かめていくとよいでしょう。
必要な推理や謎解きに関しては理不尽なものもなく、納得できる範囲で作られていると思います。記憶力が必要になるギミックもあるため、不安ならヒントをスクリーンショットに撮っておくと安心です。
また、一部の追いかけっこで(キーボードのせいかもしれませんが)操作性が微妙で難しいかなと感じました。

そして本作のエンディングは計4種類に分かれます。Bad, Normalエンドに関しては難しくありません。普通にシナリオを進行していけばたどり着けます。しかし残りのエンディングについては初見での到達はまず無理でしょう。ハッピーエンド到達条件を満たしているかは最奥の部屋の様子で分かるのですが、それをどこで満たせるかを探すのが難しいです。合計12か所を調べる必要があり、その多くは調べられる時期が限定されています。無理だと感じたら作者さんサイトに攻略が載っているので参考にしましょう。


というわけで今回は「かみさまの心臓」でした。
結局すれ違ったままになってしまったバッドエンドの後でハッピーエンドを見ると幸せも倍増です。おまけ部屋ではやたらコミカルな会話も見られるのでぜひハッピーエンド目指して頑張ってみてください。

それでは。

先週の土日にコミックマーケットが開催されましたね。以前から1回行ってみたいなあと思って機会をうかがっていたのですが、今回Twitterで相互の方とかレビューで扱った方がサークル参加されるという情報をいろいろと聞いたので、ついに行ってきました。本記事はその感想などとなります。
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さて当日、雨が降ったりやんだり微妙な天気でしたが無事に東京ビッグサイトにたどり着きます。そこで見たのは駅から会場まで続く長い行列と案内を行うスタッフの方々。2月にコミティアに行ったので駅から会場までの道などは分かっていましたが、その時とは全く違う光景が広がっていました。

さらに会場は東・西・南の3か所に大別され、各会場に出展サークルがぎっちりと詰まっているのを見るとこのイベントの規模の大きさを感じます。私が興味のあるのはオリジナルの同人ゲームで、西会場の端っこにまとまっているようだったためまずそこに直行しました。


会場で最初に見つけたのは未来色原石の浦田一香さん。コミティアで少しだけお話ししたのでお会いするのは2回目でした。本ブログでは「あなたの命の価値リメイクver2」のレビューを掲載しています。
今回は「人生はつづくよ、どこまでも」の頒布ということでしたが、私はノベコレからDLしてプレイ済みだったので、頒布物は頂かずにまた他のサークルを探すことにしました。

次に見つけたのは会場の一番隅にいたぱすてぃぶソフトの一ツ屋成貴さんです。新作の「魔女をたずねてコンビニバイト」と前作の「委員長は僕の救世少女」を頒布していました。嬉しいことに私のことも認知されていたようで、レビューの話とか「親愛なる彼女の痕跡」の話とかもできました。
今回頒布されていた2作品はどちらもプレイ済みだったのでこちらもパッケージ版は頂かずにご挨拶してお別れしました。でもせっかくだからパッケージを1部頂いていくのも良かったかな?


次はえるりんごさんのスペースに行きます。ビジュアルノベルオンリーで知ったサークルさんで、今回もM.Mさんがいらっしゃいました。「ぽんぽんランド」を無料配布されていたので1部頂きました。帰った後最初にプレイしたのですが、闇落ちしていた前作「神絵師養成所」とは違った変態コメディ?になっていて私の好みでした。望くんルートおまけのアレは私もさすがに擁護できないよ…
あとビジュアルノベルオンリーの寄せ書きが展示されていて良いな~と思いました。

ところでビジュアルノベルオンリー開催プラットフォームであったpictSQUAREで個人情報流出騒動がありましたが大丈夫ですかね…?
もしパスワードやIDを使いまわしている方がいたら速攻で変更してくださいね。Twitterの連係解除もお忘れなく(私は翌日気が付いて解除済みです)。

その後はもう順番は忘れたのですが、Cynical HoneyさんやChloroさん、ポロンテスタさんなど私がレビューを掲載した方には(たぶん)全員挨拶できました。それぞれ「終わりの鐘が鳴る前に Chapter.1」「西暦2236年の秘書」「道徳ビデオ」がとても良かったので、今回購入したものもプレイするのを楽しみにしています。
そしてたんすかいさん、セイランソフトさん、Nonlinearさんなど過去作をプレイしたことがある作者さんのところに向かいます。cream△さんのところではちょうどつばさお座りアクスタが最後の1個だったので新作「残余の羊」と一緒に頂いていくことにしました。
tubasa

その後はおすすめ同人紹介さんの同人ゲーム・オブ・ザ・イヤー2022(通称どげざ)で見かけて気になっていた作品(イハナシの魔女灰色の夜が明けたとき)を見に行きました。「灰色の夜が明けたとき」の白砂庵さんのところにはどげざ2022の表彰状が飾ってあったのを見られたのも良かったです。

これで一応事前に見ようと思っていたサークルさんは全部見たことになるので、あとはふらっと適当に見に行きたいのですが、その時の丁度いい指標になったのがセイランソフトさん、STailさんが企画されていた「同人縁日」でした。企画参加サークルでチケットがもらえ、他のサークルで使うと100円引きになったりノベルティなどの特典があるというものです。参加サークルさんがお互いに宣伝し合っていて、私も自然に参加サークルへ足が向きました。お祭り感が増して一般参加の側としても楽しかったので次の機会があればまたやってほしいですね。


ゲームエリアを大体見終わって、目的は果たしたのですがせっかくの機会なので他のエリアも歩いてきました。イラスト集などはかなりの人気ジャンルなんだなと感じましたし、東ホールなどでは私には全然分からない分野の同人誌もたくさん並んでいて、幅広いものだなと圧倒されました。
全くの想定範囲外だったのですが、私のリアルでの知人が鉄道の同人誌を出している可能性があることが発覚したので行ってみたらどうも本人のようでびっくり。買って読んでみましたが難しくて良く分からなかった…

最後に南ホールで企業ブースやコスプレなどを見に行くことに。コスプレはみんなすごい格好しているなと思ったのですが、元ネタが全然わからなくていまいちピンとこず。推しの子とNARUTOだけ分かりました。

企業ブースは一つ一つのブースが大きくて、巨大な展示やグッズ販売、撮影会的なことをしているところもあってこちらも活気にあふれていました。残念ながらこちらも私が分かる内容がほとんどなかったので1周歩いて帰ってきました。


そんなこんなでもう午後4時前になっていたので帰ることにします。会場から駅までずらっと並んだ行列に、これだけの人数がこの会場に来ていたんだなあと感じます。結局ゆりかもめに乗るまでに20分くらいかかりました。

senrihin
↑今回入手した作品たち

今回初めてコミケに行ってみて、やはり規模の大きさが桁違いだなと感じました。コミティアは会場外の交通整理とかなかったし、コンビニに待機列ができていたりはしなかったしなあ。これを2日間やっているというんだからすごいです。1日目は天気も悪くなかったようですし、さらに盛り上がっていたのでしょうか?

あとはいつ見てもクラシックショコラさんのところに行列ができていて、有名サークルはすごいなあと思いました。NOeSIS未履修なので今回はいいやと思って並ばなかったのですが、そのうちプレイしてみたいですね。


ちなみに私は会場に向かう時に熱中症対策のためのペットボトルを(500mlで)3本用意していたのですが、全然足りませんでした。会場の熱気もすごいですしあっという間に飲み干してしまい、会場で追加で3本買っています。皆さんもお気を付けを!

というわけで今回はここまでです。
今回入手した作品も順番にプレイしていきたいと思います。Twitterにも何か書くかも。

それでは。

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