こんにちは。今回は、だいたい月一頻度でお送りしているレビュー以外の番外編として、先週紹介した「ほしのの。」と、世界観を共有する「ごがつのそら。」の繋がりに関する豆知識的な話を書きたいと思っています。両作品を作ったむきりょくかん。さんは私にとって大変思い出深い作者さんなので、作品を何度も読み返しており、その過程で気付いたことなどもあったのでそれについて語っていきたいなあと思っています。普段私は、主に作品を未プレイの方に向けて魅力を伝えられたらなあと思ってレビューを書いていますが、今回の記事は主にプレイ済みの方に向けて書いています。ネタバレが魅力を大きく損なってしまうタイプの作品ではないと思いますが、気にする方は先にプレイしてから本記事を読んでください。

まずは両作品の簡単な紹介です。どちらもすでにレビューを書いているので、詳しくはそちらを読んでください。まずは、作内の時系列で先に当たる「ほしのの。」です。交通事故で両親を亡くしてしまった主人公の川島結城が親戚の和泉家に引き取られ、初めての田舎暮らしに戸惑いながらも従姉の榛奈と交流を深めていくという内容です。ヒロインの榛奈はかわいいし、雰囲気の描写とか季節感もよく感じられる作品です。「ごがつのそら。」は、榛奈の友人である神明みのりの話です。社会人一年目の溝口春樹がたまたま神社でピアノを弾いていたみのりと出会い、境内でぐだぐだ喋っているシーンがほとんどを占める作品で、ほしのの。より甘さ控えめな感じはしますがこちらも素敵な作品です。

さて、この2つの作品の繋がりを考えると、当然ながら唯一両作に登場するみのりに関する部分が多くなります。ほしのの。第4話で夏祭りから帰りたくない榛奈と結城が話している場面で、みのりの話題を出そうとする場面があります。
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「ごがつのそら。」をすでに読んだ方ならお分かりの通り、みのりはお祭りの後に溝口さんに告白されています。私は先に「ほしのの。」から読んだので、この時には知る由もないのですが、のちに再読したときその意味に気付いてにやにやとしていました。

その他にも、第3話でみのりからの電話がかかってくる場面。結城と仲良さげに話すみのりに対して榛奈が驚くシーンがあります。このあとの「あははっ。冗談冗談、結城君は取らないから大丈夫だよ。一応、代わりがいるし」
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"代わり"が誰なのかは言うまでもないですね。ちなみにこのシーンは2006年6月14日。みのりが溝口さんと1年越しに再会し涙を流した2週間後ですね。ラブラブ具合がすごいのも納得。

今さらっと年まで書きましたが、作内の時間で何年なのかまで明かされている作品ってかなり少ないですよね。カレンダー消化型などでも大抵は月日しか表示されないです(曜日から逆算しようと思えばできたりするけど)。本作はこうして年まで書いてあるので、他作品との年代比較が楽しめたりもします。


「ほしのの。」内でのみのりについて匂わせる文は2話にもあります。
「当の神明さんは今年の五月に何かあったらしいが、はるねぇは詳細を教えてくれない。恋愛話だと勝手に予測しているが。」
予測、大当たり。ゆーちゃんは(はるねぇと違って)鋭いですね。


さて、作品内のシナリオの話をしてきましたが、作外にも繋がりを感じさせられる重要な部分が。それが、ごがつのそら。Flash版ページの一番下にある「After Summer Snow, Before Winter Firefly.」です。「ほしのの。」公開前の宣伝として公開されたFlashのようですが、この5分ほどで読めるショートストーリー、かなり好きなんです。作品を読んだ方でもこちらは見てないという方は多いと思うので、オススメしておきます。コアなファンなら読まなきゃ損! ブラウザにRuffle導入でプレイできます。

ところでこのタイトル、直訳すれば"夏の雪の後、冬の蛍の前"となりますね。「はちがつのゆき。」の直後のみのりが榛奈と電話し、「冬蛍」のシーンのある「ほしのの。」への繋がりを示す内容なのでぴったりです。季節外れな要素がどちらにも含まれていたのは、そこまで狙ってのことだったのでしょうか?
(ただし作内時系列でみると冬蛍のほうがはちがつのゆき。より先ですね)


そして忘れてはいけないのが、物語序盤で榛奈が歌う場面。曲が流れたりボイスがあるわけではありませんが、その歌詞は
「ああ物語は いつだって始まっていたんだね つないだ手の先に~」gogatu-hosinono3
これはfokaさんの「カラフル」のサビですね。この曲のピアノ編曲版が「世界が色づき始めるとき」であり、「ごがつのそら。」のテーマでもあるのです。BGMというシナリオ外の要素で繋がりを感じさせるのがなかなか素敵。ちなみにスマホアプリ版では曲が変わっています。
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これは「あたりまえ かわりばえ」ですね。Flash版のエンディングテーマで使われていた曲です。スマホアプリ版ではエンディングでは歌が流れないため、代わりにここで榛奈が歌うんですね。

BGM関連の話はもう一つあり、それは「ほしのの。」エンディングテーマ後のエピローグの場面です。これもFlash版限定なのですが、3回目くらいのプレイ中にこの場面まで来たとき、なんか聞いたことあるよな~と思ったのです。そして閃きました。確かめるために「ごがつのそら。」を起動してぴったり一致したときの気持ちよさはよく覚えています。そう、エピローグのBGM「Someday we find colorful world」は「ごがつのそら。」のメインテーマである「世界が色づき始めるとき」のオルゴール編曲版だったのです。このシーンが大変印象的だったので、この2曲は今でもよく聴きますし、ピアノで演奏したりもします。


というわけで、今回は普段に増して雑多な内容になりましたが、いかがでしょうか。私はこうした、繋がりを感じさせる部分が大好きなので、見つけるたびにとてもうれしくなってしまいます。ちなみに、「ほしのの。」には「ごがつのそら。」以外にも他作品とのつながりのあるシーンがあります。気になったファンの方は探してみても楽しめると思います。

それでは。