こんにちは。今回はGWのあいだひたすらやりこんだので、私がレビューするのも今更と言えるほど有名なカタテマさんの「魔王物語物語」を扱っていきたいと思います。

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オススメ!
ジャンル:エンカウントの独特な高難易度RPG
プレイ時間:裏ボス討伐までで25時間以上(ただし私のプレイ法では無駄に時間がかかっていた可能性あり。後述)
分岐:なし
ツール:RPGツクール
リリース:2007/8



フリーゲーマーならどこかで名前を聞いたことがあるであろう本作ですが、私は実はこれまでやったことがありませんでした。難しいという情報は聞いていたので、DLしてはあったもののなかなか手を出すタイミングがなくて…。しかしいざプレイを始めてみると、見事にハマってしまいました。

本作の目的は、未完に終わった小説「魔王物語」の結末を探すこと、となっています。主人公のヒマリとともにネグラで暮らす仲間たちも、魔王物語に関して何らかの思い入れがある様子。様々な情報の断片は与えられるも1つの解答のようなものは提示されないため、シナリオ解釈の難易度も高いものになっています。初見プレイの私にはなかなか分からない部分も多いので、今回はRPGとしての戦闘やシステム部分の魅力を中心にお話ししましょう。


本作をプレイして最初に目につくのは、独特なエンカウントシステムでしょう。マップ上には数種類の敵シンボルがうごめいています。まずはネグラ前にいるネズミと戦闘してみましょう。最弱の敵の割に強くないか? とは思うでしょうが、普通のターン制コマンド選択式RPGと変わらないと感じるでしょう。レベル3くらいまで上げたら次に右のマップに行って、左上の方にある宝箱を回収してきましょう。ネズミが複数いて全部かわすのは難しいですね。戦闘になってしまいました。本作のエンカウントシステムは、複数体と戦闘になるときにその機能が明らかになります。マップ上で主人公と敵シンボルがどの角度で接触したかによって、戦闘時の敵の位置が変わるのです。
敵の位置が変わるとどうなるか。近い範囲にまとめられた場合、巻き込みで一挙に複数体へのダメージを与えることができるのです! 逆にばらばらな向きでエンカウントしてしまった場合、一度に1体しか攻撃できず、序盤でそうなると全滅の憂き目に遭います。というわけで戦闘を有利に進めるためには、マップ上の移動を注意深く繊細に行う必要があるのです。まるでシューティングゲームで敵の放つ弾幕を避け、必要ならなるべくたくさんの弾を集めてボムで消す、みたいな動きが要求されます。maou2maou3
↑左:ネズミ3匹をほぼ同じ方向にまとめた良い例
↑右:左右から挟み撃ちにされ敗色濃厚な悪い例

最初のダンジョンである魔王城の段階から、複数体とエンカウントする際にはこのような注意が必要になってきます。こんな感じで苦労してようやく魔王城を抜け、次のダンジョンである原住民の廃都へ入ります。ここのBGMがね、良かったです。さらに難易度が上がったダンジョンを攻略する気力を保てたのは、BGMのおかげかもしれません。ReadMeを見てクレジットにある音楽配布サイト名をじっと見て、「これはoo39ドットコムの曲っぽい雰囲気を感じるなあ」と思いながら調べるとその通りですごくうれしかったです。

原住民の廃都でどう難易度が上がるかというと、まずは敵の密度です。魔王城では1画面に3~4匹だった敵シンボルは場所によっては倍以上に増えています。そして障害物によって進めない部分が多く、目的地に行くのに遠回りをする必要がある。極めつけは赤いサルです。これまでの敵シンボルはランダムに動き回っているだけですが、この赤サルはエンカウント状態になると移動速度が高速になり、ヒマリに向かってくるようになります。ただでさえ赤サルはステータスが高いのに、複数体同時エンカウントが起きやすいように動くのです! いやらしい!

そしてこのあたりで、初見殺しの多さにも気付きます。神殿のような建物に入った瞬間、ネズミが大量に湧いてきて、見た目は魔王城のザコ敵なのに中身は"殺人ネズミ"で4連攻撃をくらいフルボッコにされる。防具っぽいアイテムが落ちているところに行こうとしたらサソリがいて、どう考えても倒せる強さではないうえに"仲間を呼ぶ"で敵を再召喚されて死んだり…。
というわけなので、セーブは頻繁に!

次のダンジョンである雪花園ではさらにいやらしい敵、ユキガケが登場します。普段は見えない上に、エンカウント状態になると高速で大量に寄ってきます。周りに敵シンボル1つしかないし新ダンジョンの様子見しようかなとエンカウントすると、あっという間に4匹くらいに囲まれて普通に全滅します。

と、こういうことを繰り返すので「いかにエンカウントを避けながら宝箱を開け、強いアイテムを手に入れるか」「効率の良い経験値/熟練度稼ぎのスポットを発見し、どうやって複数の敵を同じ方向にまとめて戦闘に入るか」「エンカウントを避けられなさそうなとき、敵に囲まれるという最悪の事態をどう回避するか」といった技術が自然に磨かれていきます。
これがもはやアクションゲームやシューティングゲーム並みに実感できてハマるポイントです。
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↑追いかけてくる敵シンボルをうまくかわしてダンジョンを駆け抜ける緊張感と達成感にハマります

ところで私が本作をダウンロードしたときか解凍したときか、はたまたその他のタイミングなのか分かりませんが、どうやらファイルが一部破損していたらしく、なんと戦闘中に回復アイテムや回復魔法を使うとバグが起きてゲーム自体が落ちるという現象が発生していました。途中までこれは仕様だと思っていたため、期せずして最終ダンジョンまでずっと戦闘中回復不可という超絶厳しい縛りプレイをずっと行っていたのです!
というわけで実際には私が感じたよりはもう少し優しめの難易度設定のようです。
流石に戦闘中回復不可でラスボス攻略は無理だったので、フォロワーさんのアドバイスの元再DLして縛りを解除しました。結果、無事に回復できるようになりラスボス討伐も問題なくできました。

しかしそれだけでは終わりません。ネグラ(と雪花園)の大穴から地底大空洞へ行くことができます。ここの敵がさらに強い。しかもセーブポイントや回復ポイントがほとんどありません。さらには反則級に強い裏ボスも居ます。普通に挑んでいても全く勝てないので、普段初見時は攻略サイトを見ない私でもwikiを見ざるを得ませんでした。見ると、"隠しステータス"というものがある模様。知るかよ…
その戦略に従ってみたところ、確かに勝てました。

ところで無駄に経験値稼ぎをしたためwikiに書いていないことで一つ気付いたことがあって、それはレベルは70が上限ということです。しかしそこまで上げても裏ボスは楽勝とはいかなかったので、冗談抜きでめちゃめちゃ強いです。

本作に不満があるとすれば、難易度以外の部分で不親切なところが結構あるところでしょうか。お金で買うアイテムの効果が購入前には全く不明だったり、時限イベントが大量にあったり。攻略サイトを見るか周回プレイをするのが前提であって、故意に不親切なのかもしれません。

というわけで、難しいゲームはダメという方にはお勧めできませんが、挑戦してやるぜという気概のある方はぜひプレイすることをお勧めします。公開から15年近く経ちますが、今遊んでも面白いものだと断言できます。