こんにちは。今回は五目さんの「たまごがえり」のレビューをお送りします。

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ジャンル:ほのぼの系SRPG
プレイ時間:第1部で4時間弱、総計10時間くらい
分岐:なし
ツール:SRPG Studio
リリース:2019/2~(記事執筆時点で最終更新は2023/2)



今回紹介する「たまごがえり」はかなり多くの要素がある作りこまれたシミュレーションRPGとなっています。
まず本作のシナリオについてですが、「ハンプティ編」と「たまごがえり編」の2本から構成されています。どちらからでも開始できますが、チュートリアルが丁寧で物語も完結しているハンプティ編から始めることをお勧めします。


ハンプティ編は計13章からなる完結した物語で、自分に自信がなかった主人公のハンプティが”勇気のたまご”を手に入れるために冒険しながら成長していくというストーリーになっています。

作品タイトルにもなっている「たまごがえり」とは、この地域に伝わるお祭りの名前です。地域の子供たちが”愛のたまご”や"知恵のたまご"などの感情のもとになるたまごを集めて大人になっていく、という通過儀礼のような意味があるそうです。

しかしお祭りのために用意されていた”勇気のたまご”が山賊に盗まれてしまいます。村長である父親に「お前には勇気が足りない」と言われているのを気にしていたハンプティは、メイドのリーベの助言もあって山賊に奪われた勇気のたまごを取り戻す旅に出るのでした。
子供のころの出来事から自分は臆病者だと思い込んでいて、父親から村長を継ぐのに必要な決断力も持ち合わせていなかったハンプティがリーベの助言を受けながら成長し、自らの意思で村を守り無法者には制裁を行うと判断していくのは気持ちいいところですね。

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「たまごがえり編」では、ハンプティ編では概要しか触れられなかったお祭り、”たまごがえり”について、参加する子供たちの立場で物語を進めていくことになります。主人公のリナは両親にたまごがえりに行ってくるように言われ、友達のパピー・ルーシーとともに武器を持って冒険に出かけます。
アルジャンテ先生のいう通り、しっかりとたまごを集めていく良い子たちだった彼女らですが、次第にお祭りそのものの意義について疑問を持つようになります。通過儀礼のためのもの、というふんわりした理解だけで進むには危険が多すぎる旅だったのです。なにやら知っている風の怪しげな少女ソウラスの謎の忠告も手伝い、リナはアルジャンテ先生にたまごがえりの真の目的を尋ねます。帰ってきた答えは大変にショッキングなものでした…

以降、物語はリナだけのものからソウラスやその母親、たまごがえりに関する宗教などかなり大きな内容となってきますが、このシナリオは現在更新中となっていてまだ完結していません。今年2月の最新版では21章までプレイできます。リナとソウラスが再会する感動的な部分ですが、この先が気になりますね。全てのたまごが揃ったので物語は最終盤なのは確かですが、あとはアルジャンテ先生との関係がどうなるのか、更新を待ちたいところです。


戦闘部分を見ていきましょう。
基本的なシステムは一般的なSRPGと一緒で、ユニットに武器を装備させてマップ上で敵ユニットと戦っていきます。敵ユニットに接近し、武器固有の間合いまで詰めたら攻撃できます。本作は遠距離攻撃が少ないのが特徴的ですね。物理武器はほぼ射程1、投てき可能だったり弓矢だと射程1~2になります。魔法武器もほぼ全て射程1~2で、極まれにそれ以上の遠距離攻撃が可能な魔法があります。
射程が短い攻撃ばかりだとマップ上の移動に時間がかかってじれったいことがありますが、本作では移動力が高めの設定なのでそこは気にならないでしょう。

この基本的な要素以外にも本作はかなり多くの要素が詰め込まれています。
例えば武器の相性。剣・斧・槍はいわゆる3すくみとなっており、弱点を突くと攻撃力や命中率にボーナスが乗ります。ボーナス値は小さめなので、特に序盤で気にするべき要素でしょう。

武器の種類はかなり豊富です。剣だけとっても最弱のショートソードから鋼の剣、金の剣のような特殊効果を持たないものだけで数種類。特定の属性の相手に特効があったり、2回攻撃だったり投てき可能だったりと軽く10を超える種類があります。レベルアップによるステータス上昇より武器の能力値の方が大きいバランスとなっているため、強い武器を手に入れたら忘れずに装備しておきましょう。
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戦闘アニメーションもきちんと武器ごとに変わるなど、相当手が込んでいると感じられます。

各ユニットは5つまでしかアイテムを所持できません。あふれたものはストックに送ることになります。SRPGでは割と一般的な所持数かと思いますが、本作では武器の耐久力の概念があるため所持枠のやりくりにやや苦労しました。

また、マップ上で隣り合うユニットとアイテムを交換できるシステムはなかなか面白いでしょう。
宝箱から出てきたけど装備できない武器を、それを使える人に渡すなどの行動が可能になります。


本作の難しいところの1つに、面をクリアしたら自動的に次の章に進んでしまうため、既にクリアしたステージで経験値稼ぎをすることができない点があります。なるべく効率的に経験値を取得できるように敵を残さず倒しながら進めていくと、後々が楽になります。
勝利条件や敗北条件が特殊なステージもあるので、その辺も確認しながら進めていきましょう。


マップ上の各地点で特殊効果がある場合があるのも面白いですね。チュートリアルで触れられていなかったので気付くのに時間がかかりましたが、例えば森林地帯では回避率に20ポイント、高山では30ポイントの補正がかかります。むやみに進軍せず敵より有利なポジションで戦闘するなどの戦略が選択肢に入ります。

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戦闘バランスにおいて一つ不満があるのはクリティカルヒットの仕様です。何と本作のクリティカルは通常の3倍ダメージと非常に強力。自分が出す分にはいいのですが、敵から食らう時も容赦なく3倍ダメージになるため、運悪くクリティカルを食らって主要ユニットが1撃KOなんてことが多発します。1.5~2倍くらいが適正じゃないですかね。
武器によってクリティカル率にも補正があるのは差別化のために良い要素だと思います。



というわけで、本ブログでは初のSRPGレビューとなりました。
是非プレイして、細かいグラフィックや戦闘アニメーションまでの作り込みようを感じてください。そしてたまごがえり編の完結を待ちましょう。

それでは。