フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
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2022年03月

こんにちは。今回はくまのこ道さんの「いちばん星の願いごと」をご紹介します。


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★favo
ジャンル:アイドルが路線変更を目指して特訓する短編ノベルゲーム
プレイ時間:1周10~15分/フルコンプまで1時間半程度
分岐:エンディング12種
ツール:LiveMaker
リリース:2015/5
備考:ミニゲームあり


いい作品を見つけました。いつも通り本作のオープニングの流れをご紹介します。
主人公の綺羅星ピピカ(名前変更可)は今を時めくスーパーアイドル。子役時代から築き上げたおバカ系キャラが広く受け入れられ、ライブをやれば常に熱狂。しかしそんな路線でずっと押していくのも何か違うと思い始めたピピカ。マネージャーに相談してみるも、キャラ変更は厳しいぞと言われてしまう。
しかし翌日、子役時代からすっかり路線変更しファッションモデルとなったIORIを見て、努力して自分を変えることを誓うのだった。


さて、本作は主人公が現役アイドルです。芸能界が出てくる作品というと、「気になるあの子は声優さんを目指しています♪」(主人公は同級生)や「CHANGE!!」(主人公がマネージャー)などが思い浮かびますが、アイドル本人が主人公な作品は本作が初めてだったかもしれません。しかも売れないアイドルではなく、スターアイドルです。しかしそんな彼女にも悩みはあって、売り出しているキャラと実際の自分との乖離を感じているというのです。私は全く芸能界について知りませんが、最初のマネージャーさんとの会話とかを見る感じでも大変そうだなと感じました。

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そんなピピカは「おんがく」「ファッション」「早口言葉」の3つの修業をしていくことになります。ここがミニゲーム要素になっており、変化があって面白いところでしたね。
簡単に言うと「おんがく」は記憶ゲーム、「ファッション」はクイズ、「早口言葉」は間違い探しです。いずれも初見で全問正解は少し難しいかなくらいの難易度です。私は早口言葉が苦手でした…。
この修行を一度行ったらイベントパートがあり、再度修行、というのを3回行ってエンディングに行きます。エンディングが12個もあってめちゃくちゃ多いので、うまく何の修業を行うかを選択してエンディングを回収しましょう。私は初回プレイ時訳も分からずそれぞれ1回ずつ修行したら、何も極められなかったノーマルエンドみたいなのに行きました。

このミニゲームを含めてですが、本作はエンディング回収や周回プレイにすごく親切なつくりになっているのが好印象なポイントの一つです。何でもいいから1つエンディングを見た後は、難易度調整が解放され、制限時間をなくしたり動きをゆっくりにしたりできます。問題は毎回同じなので、最悪覚えてしまうという攻略も取れます。そうして1度でもある項目を極めると、次回以降同じ修行をしたときに"前世の感覚を利用"することができるようになり、ミニゲームをスキップしてステータスを上げることができるようになります。言葉の選び方のセンスも面白いですね。

修行が終わるとイベントパートです。その日に何の修業をしたか、その出来栄えはどうだったかで違ったシーンになるため、1周15分程度のプレイ時間に比して相当多い展開が広がっています。それを3回行った後のエンディングでは、それまでのフラグを活かすような展開が多くすごく気持ちいいですね。

エンディングでは様々な展開がありますが、私が好きなのはやっぱりEND01でしょう。このエンディングではおんがく修行の成果に加え、ほんのりと恋愛要素が絡んできます。運転手の牧野さんですね。この展開では音楽を極めているので、ライブ用の歌を書きます。そしてなんと動機ごとに作詞ができます。まあ本当に自由に作詞できるわけではなく、選択肢から選ぶだけですがこれは効果抜群でした。そうして完成した歌は、作内でボーカロイドが歌ってくれます。なるほどこうした使い方があるのかとびっくりです。私はボーカロイドはあまり好きではないのですが、本作の使い方にはうならされました。演出として有効にはたらいていると思います。

他の展開でも、なるほどと思わせる方向で特訓の成果を生かしてくれます。笑いのネタが含まれていることもしばしば。
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私が不意を突かれたのはこちら。"チョイ悪ポッチャリ系ダンスユニット『XL』"は完全に狙ってるでしょ。ファンになります。
この人物も一発ネタ用ではなく、きちんとピピカの成長に寄与してくれますし、絡ませ方が上手いんですよ。

こんな感じでいろいろな展開があるので、ぜひコンプリートまでやってみてください。私はEND02,03が見つからないな~と思って探していました。どうやら作詞の時の遊び心が足りなかったみたいです。

そしてもう一つ驚いたことに、本作の作者さんは音楽素材サイトを運営されているんですね。本作のBGMもサイト上で公開している素材を使っているようでなるほどといった感じです。素材サイトはそこそこ知っているつもりですが、音楽素材とフリーゲームを同時にたくさん公開されている方がいるのは知らなかった……。


という感じで私をいろいろな意味で驚かせてくれた作品でした。欲を言うとEND01の歌がもう少し尺が欲しい(贅沢ですみません)。現状、主題が1度だけ登場して終わりって感じでちょっと寂しいので…
しかし本作がいい作品だったという感想は変わりませんので、ぜひ皆さんもプレイしてみてください。私は本作の印象が強くて、職場で危うく≪きらんほー☆≫とかいう独り言が出そうになってしまいました(爆)
ちなみにタイトル画面右下の鍵のアイコンからおまけへ進めますのでそちらもお忘れなく!

いつも以上にとっちらかった内容な気がしますが、今回はここまでです。それでは。

こんにちは。今回はKITTENSさんの「マイ・スイート・トマト」をご紹介します。

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★favo
ジャンル:ファンタジーノベルゲーム
プレイ時間:オートプレイで45分ほど
分岐:なし
ツール:吉里吉里
リリース:2004/9
備考:第11回ふりーむ!ゲームコンテスト健闘賞受賞作


本作はノベルゲームという形式になっていますが、その他のノベルゲームとはもはや違うジャンルなのではないかと思わせる特徴があります。言葉で書くとそのすごさがあまり伝わらないのですが、まず第一にグラフィックはすべて一枚絵からなります。つまり背景+立ち絵という構成はありません。そして第二にフルボイス。主人公のエミやその他の人物にも声があるのはもちろんのこと、なんとセリフではない地の文にまでボイスが入っているのです。これは他に見たことのない演出で、ノベルゲームをプレイしているというよりは、紙芝居による読み聞かせを聞いているような気分になります。そうした意味でも本作をプレイするときは、オートモードにすることをお勧めします。アニメーションも豊富についており、眺めるだけで見た目にも楽しい作品となっています。



本作を起動してすぐ、かわいらしいトマトちゃんの生活ぶりが紹介されます。トマトの形をした家でトマトの栽培をしていて、さらに採れたてのトマトを生み出す超能力も使えて、でもベジタブル村にはリンゴさんとパセリくんなどの天敵がいて……。しかし突然、「そんなものはいなーい!」と普通の女子中学生エミによってトマトちゃんのファンタジー世界は崩され、日常世界に戻されます。ふむふむ。どうやらこのエミちゃんがベジタブル村の物語の生みの親であるようだ…ということが分かってきます。
しかしこのエミちゃん、なんとトマトは大の苦手で味もにおいも食感も見た目も嫌い。ケチャップすら無理というので嫌い具合は相当です。

そんなトマト嫌いのエミちゃんがなぜトマトをモチーフにしたキャラクターを作ったのか、昔は好きだったけど何かトラウマができて嫌いになったのかなとか、トマトちゃんを作ったのはエミ本人ではなかったのかなとか気になってきますよね。結論から言うと、昔は好きだったというのが正解なのですが、その事件が問題です。すごく悲しいけど、めちゃくちゃよく起こりそうな出来事なんです。小学生ってこういうこと、すごくあると思うんです。決して、ものすごい悪意があってやっていることじゃない。単なるいたずらのつもりでしょう。しかしそのいたずらは、時にいたずらされた側に対し大きなトラウマを残します。ここのところが悲しすぎて、すごく印象的でした。

トマトちゃんの場合、事件になったのは漫画でした。しかし、同様のことはフリーゲーム界隈でも、もっと言えば創作関連の趣味全般でも起こりうることです。本作の事件に似た理由で創作をやめてしまったという方もいるでしょう。私はこうしてレビューを書いている程度にはフリーゲームが好きなので、作者さんが筆を折ってしまうのは寂しいことです。

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そして創作活動を停止することに伴って悲しい思いをするのは作者や読者だけではありませんでした。ここがファンタジーである本作の見せどころです。トマトちゃんの創造主たるエミが止まってしまったことに伴い、作品は永遠に完結することがなくなりました。そうなったとき、キャラクターたちに人格があったら何を思うのか。ここもすごく良かったです。
ノベルゲームでもその他の媒体でも、心に残る作品ってすごくキャラクターが生き生きしてるんです。物語の都合で動かされているのではなく、キャラクター自身が自ら動き、感情を表現し、成長していきます。本作におけるエミとトマトちゃんはこの点で素晴らしかったです。ほのぼのとした物語を作ろうとしたが、その世界の人物は意外と大変な苦労をしていることに気付いたエミ。創作の"設定"に悩まされるトマトちゃん。物語の作者と作内の登場人物の邂逅というファンタジーの手法によって、彼女らの悩みが逆にリアルに、説得力をもって感じられ、素晴らしい作品に仕上がっていると思います。

ちょっと暗い感じになってしまいましたが、エンディングついてはしっかりと希望を持てる内容となっていて本当に良かったです。エンディング到達後は、おまけも解放されるのでそちらもぜひ見てみてください。BGM・スチルの鑑賞にとどまらず、なんと没セリフ集というコーナーがあります。すべての文についてボイス付きなのは冒頭でも述べましたが、採用されたセリフ以外にもこんなにたくさん録っているんだなというのが分かり、作者さんの意気込みに感服しました。

それでは。

こんにちは。

私がこのブログを開設してレビューを載せるようになったのは昨年の3月6日なので、もう1年経つことになりますね。基本的に土日のどちらかに投稿してたまに休みの週があるという感じで続け、記事数も50に達しました。始めた当初は続くのか不安だったのですが、なんだかんだで続けることができました。見てくださる方がいるというのが、思っていた以上にモチベーションになるようですね。



何か特別なことを書こうかとも思ったけれど全然思いつかないので、普段のレビュー記事を書くときの私のやり方について書いてみようかなと思います。

まずは当然対象の作品をプレイすることです。以前は普通にプレイしていましたが、ブログを始めてからはレビューの対象にできるか考えながらプレイするようになりました。どういうことかというと、例えば作品プレイ中に面白いなと思った点や逆にここがいまいちだったと思う点をメモ帳に残しながらプレイしたり、作品の感想などを文章化できるか検討したり、読者に作品のプレイを促すのに良い紹介ができるかを考えたりしています。これはTwitterに感想を書いたり、ノベコレやその他のフリーゲーム配布サイトにコメントを投稿したり、作者に直接DMやメールを送ったりしていた時にはなかった視点です。

プレイ時間30分以内のような短編では特にメモを取ったりする間もなくエンディングまで到達するのですが、それ以上のボリュームの場合、まずは最初の30分くらいでレビューの候補になりそうかどうかを大まかに判断しています。基本的にレビューは甘口の私ですが、プレイしたすべての作品を面白いと感じたかと言えばそれはノーになります。レビューはまず第一にその作品の良さを多くの人に届けたいという気持ちで書いているため、自分が他の人に自信をもって薦められる作品でなければレビューは書けません。レビューを書いた作品は、オススメなどの印をつけなくても私の中で少なくとも上位3分の1くらいと感じた作品になります。でないと他の人に薦めるための文章を書くのがきつい印象です。ちなみに印をつけて推薦する作品は私に与えた感動度合いが少なくとも上位1割に入る作品というイメージです。
また、レビューするか否かに関係なくプレイした作品は一行程度の短い感想をつけてすべて記録しています。


さて、プレイし終わった段階でレビューで取り上げようと思った長編作品があれば、だいたいメモ帳に箇条書きで紹介のポイントが書いてあります。今度はそれを参考にしながらレビューを書く作業に入るわけですが、これが思っていた以上に時間がかかります。私はもともと作業が遅いタイプ(臨床心理士の方にも、慎重なタイプだねと言われたことがあります)なので、レビュー記事一本書くのにゲームのプレイ時間をのぞいて平均3時間くらいは掛けているでしょうか。
作品のあらすじを最初に紹介しますが、これは序盤の展開を書いたうえで作品全体のテーマになる部分に軽く触れる程度で書いています。その後、作品の具体的なおすすめポイントの話に入っていきます。

おすすめポイントについては作品ごとに本当にまちまちなのでここで書くことがあまりないですね……
ノベルゲームならやはりシナリオの話がメインになります。ここの展開が好き! とか、ここの文章が好き! とか、このキャラクターが好き! とか。それに加えて、自分の実体験など作品と直接関係のない部分を書き加えて私のプレイ体験を強調することもあります。この方法で書いたレビューでは、「夏ゆめ彼方」などがあります。
RPGやアドベンチャーゲームなどでは、ゲーム性も非常に大切な要素です(というかこれがメイン)。ギミックの良さとか、システム面での快適なプレイ感を得るための工夫なども大切ですね。あとは攻略情報や私のプレイ記録なんかも書いたりします。書いた時は誰も見に来ないかもなと思っていた「たゆみ。」の攻略記事なんかも地味に検索エンジンからの閲覧がそこそこあるようでびっくりです。

それと同時に、レビューで触れた部分に近い内容のスクリーンショットも撮ります。大体1記事当たりタイトル画面+1~2枚添付して雰囲気が分かるようにします。作者さんによっては、スチル使用禁止とかおまけ内の画像はダメとかの規約がある場合があるのでそれに注意しながら貼り付けます。記事の見た目にかなり影響するので、グラフィックの魅力だったり印象的なセリフだったり(ネタバレにならない範囲で)を探して来ようとしたりする…のですが結構大変です。
先日のフリゲチョコレビューのように簡易的に書く場合はスクリーンショットは適当だったりします。
この形式の場合、タイトルやリンク先URL含めて140文字以内に収めるのが大変ですね。最初に簡単に魅力を伝えるならこう! という下書きを作るのですがTwitterに入力すると大抵十数文字オーバーなので、簡潔な言い回しに変えたり句読点を削ったりして1ツイート内に情報を盛り込みます。これ、昨年よりはだいぶ上達した気がするんですがどうでしょう。


といろいろ書いて、大体最後に気になった点やこっちの方が私の好みだなと思った点について述べます。ここはできるだけ具体的な内容を書くように、具体的に書けないなら記事に入れないように気を付けています。私の場合レビューを作者さんが見ることを意図して書いているわけではありませんが、作品を取り扱っている以上そこそこの割合で見に来られるようですし、作者さんの気分を害するような内容は含まないようにと思っています。(というか誰も見に来ないとしても最低限の礼儀はあるべき)
これもまた結構難しいんですよね。何となくもやっとして気に食わないけど具体的に書けない……かといって削るとレビュー全体が作者のご機嫌取りみたいでウソっぽくなる……と悩んだりします。まあ、そういうときはたいていの場合削るんですが。


そして書き上げたと思ったらプレビューで2~3回読み返します。大抵はここの表現が微妙とか、単純な誤字脱字とかが複数見つかるので直します。使い方に自信がない言葉は辞書を引きます。プレイした作品に誤字脱字や言葉の誤用があるとつい気になってしまいますが、私のせいぜい数千文字程度のレビューにも幾らかの誤字があるので、作品全体にわたって校正するのは大変だろうなと思います。私がそうやって直して公開しても、後から読み返して誤字発見してサイレント修正を入れることは何回かありましたからね。
他に多いパターンは、同じ単語の繰り返しがくどいなと感じるパターンです。語彙が豊富でないので、程度を表す副詞だったり、接続詞だったりが直前の文と丸被りだったりすることがあり、適当に直します。文を追加したり修正したりを繰り返した箇所で見つかることが多く、自分の口癖があぶりだされているような気分です。


こんな感じでレビューを書いて一番うれしいのはやはり、自分の書いた内容から作品に興味を持ってもらい、プレイしたというような声を聞くときですね。ブログ開設当初の記事にも書きましたが、私はプレイヤーの立場で私の感動を共有して多くの人に知ってもらいたいというのが一番のモチベーションなので、狙った通りの声が聞けたことになります。また、特にこのブログのことを知らせたりしていない知人にフリーゲームを紹介したとき、説明が上手いねといった言葉が出たのもうれしかったですね。これはレビューブログよりTwitterで短文で作品を紹介するのが訓練された結果でしょうか。


今回はここまでです。これからも本ブログをよろしくお願いします。

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