今回は見た目に分かりやすいネタゲーを持ってきました。nostalgiaさんの「クリーチャーと恋しよっ! ーここのえこころ―」「クリーチャーと恋しよっ!for乙女」の2作です。
どちらもタイトル通り、人外との恋愛ゲームとなっています。
(注:本作および本記事には、人外が全面に描かれたイラストおよびスクリーンショットがあります。苦手な方は閲覧注意。)
まずは、「ここのえこころ」から。

ジャンル:人外ヒロイン系ギャルゲー
プレイ時間:45分
分岐:実質一本道(即死バッドエンドあり)
ツール:NScripter
リリース:2013/9
上のタイトル画面に大きく映っているのが本作ヒロインの九重こころちゃん(高3)です。この段階でもうすでに、本作が真面目な恋愛ゲームではないことが明らかでしょう。セーラー服を着ており一応人の形にはなっていますが、見えるのはカマキリ(?)の頭部と前脚(?)。まさにクリーチャー。本作のタイトルにふさわしいヒロイン(?)と言えるでしょう。
ちなみにそれ以外の登場人物も例外なく人外となっています。ギャルゲーには付き物の悪友ポジション、正人。彼はこころとはまた違った謎の生物ですが、学ランの下に"にんげんだもの"と書かれたシャツを着用。ここはツッコミどころか?
その他、学校の先生や主人公の妹も人型の謎生物。このこだわり様、半端じゃない!
さて、まだ主人公の話をしていませんでした。主人公の一之瀬一太郎は無気力な高校3年生。幼馴染のこころとは毎日一緒に登校するどころか朝起こしてもらう始末。正人には「夫婦かよ」とからかわれるほどだが、成績のいいこころとは違って大学進学など考えられなかった一太郎は今後の関係について消極的なままだった……
と、ここまで書くと「先週のレビュー(Brass Restoration)と同じこと言ってる!」となります。そう、本作はまさに「外見はネタゲー、シナリオはいたって王道」を体現したかのような作品になっています。その意味ではBrass Restorationよりずっと強烈でしょう。
勉強が得意なこころに教えてもらったり、女子の水泳の授業をのぞきに行ったり、ヒロインの料理下手(今回は殺人料理ではなく、キッチン破壊系です)に驚いたり。一昔前のギャルゲー感満載です。
そして本作をプレイしていてじわじわ来るのが、どう見ても人間ではない姿をしているこころに対して"色っぽい"表現が使用され、正人も一太郎もこころをまるで人間の美少女のように扱うことです。イラストから入ってくる情報は普通の人にとってはかわいらしいとかきれいとかいう感想を持つものではないのに対し、文字ではその姿に対して恋するような描写が多く、プレイヤーの脳がバグります。
最たるものは、グッドエンドラストのあのスチルでしょう。普通の恋愛ゲームなら感動すらあるであろう構図でクリーチャーと人間を描く。シナリオがいたって普通なのとの温度差で私の理解力は完全に破壊されました……
「for乙女」の方も紹介しなくてはなりませんね。

ジャンル:人外用乙女ゲーム
プレイ時間:1時間半
分岐:2ルート+ノーマル。ルートごとに3つのエンドあり
ツール:吉里吉里
リリース:2014/8
タイトル画面を見て、「今回は人間が描かれてる!」と安心したのもつかの間、本編では(主人公以外)漏れなく人外となっています。衣服と髪の色からしか判断できませんが、左から順に本作の主人公七月奈々美の友人の深優、攻略対象①界斗、攻略対象②淳也、そして右の3人は「ここのえこころ」の登場人物ですね。
本作も「ここのえこころ」のノリをそのまま乙女ゲームに持ってきたという感じになっています。見た目が明らかな化け物であるのに対し、まるでそれが自然であるように、あるいは同じ人間を見ているように接する主人公奈々美。今回は攻略対象が2人となっていますが、毎日どちらに会いに行くのかを決めてデートを重ねる王道そのものなストーリー。このミスマッチ具合に脳がバグるのを楽しむ作品といってよいでしょう。
「for乙女」では攻略対象が増えた分、途中で選択肢を選ぶ機会も多くなりますが、攻略法は簡単です。攻略したい方を毎日選ぶだけでOK。すべて同じ人(?)を選んで事件の日に彼に会いに行くとルートに入れます。ルートに入った後は1回だけ、告白を受けるかどうかの選択肢があります。当然ここで「好き」を選べばグッドエンドに行けるわけですが、「普通」「嫌い」でしか見られないスチルもあるのが凝っているところです。
しかしこれ、「普通」はまだしも「嫌い」を選ぶための心理的ハードルがすごく高かったですね……。私はフィクションの中でもあまり悲しい思いをする人が増えてほしくないなと思っているので、この状況で「嫌い」は人間の心を持っていたら選べないだろ! と他のルートを読み終わった後も本当にこれを選んでみるのか逡巡してました。淳也「嫌い」ルートと界斗「普通」ルートは意外性というかツッコミどころがあって選んでみた甲斐があったといえばあったのですが、私にはちょっと辛すぎました。ホラーゲームとかだと非常に有効な演出だと思うんですけどね。
「ここのえこころ」でも同様の選択肢があるのですが、あれは本人を前にして言う訳ではない(少なくとも一太郎はそう思っている)上に、あの状況なら勢いで「嫌い」と言ってしまうこともありえなくはないかなと思うので心理的抵抗はさほど感じなかったのですが……
私としては、ああいう場面では素直に「好きだよ」と伝えてあげたいものです。

この後のスチルがまた想定外すぎて破壊力満点なんですがね。
ちなみに「for乙女」では不良軍団の対立という状況になっており、「ここのえこころ」で抱えていた進路に関する悩みとは別の方向で解決の難しい悩みを持つ、ややシリアスよりのストーリーになっています。昔はよかったけど今はそうも言ってられねえぜ! みたいな部分のカッコよさは私にも伝わりました。界斗が部下(?)に慕われてるの良いですね。
というわけで「クリーチャーと恋しよっ!」シリーズのご紹介でした。
ネタとしては私も楽しめましたが、これに萌えを見出すのは人類には早すぎる気がします。
新たな世界への扉を開けたい人はぜひプレイしてください。
どちらもタイトル通り、人外との恋愛ゲームとなっています。
(注:本作および本記事には、人外が全面に描かれたイラストおよびスクリーンショットがあります。苦手な方は閲覧注意。)
まずは、「ここのえこころ」から。

ジャンル:人外ヒロイン系ギャルゲー
プレイ時間:45分
分岐:実質一本道(即死バッドエンドあり)
ツール:NScripter
リリース:2013/9
上のタイトル画面に大きく映っているのが本作ヒロインの九重こころちゃん(高3)です。この段階でもうすでに、本作が真面目な恋愛ゲームではないことが明らかでしょう。セーラー服を着ており一応人の形にはなっていますが、見えるのはカマキリ(?)の頭部と前脚(?)。まさにクリーチャー。本作のタイトルにふさわしいヒロイン(?)と言えるでしょう。
ちなみにそれ以外の登場人物も例外なく人外となっています。ギャルゲーには付き物の悪友ポジション、正人。彼はこころとはまた違った謎の生物ですが、学ランの下に"にんげんだもの"と書かれたシャツを着用。ここはツッコミどころか?
その他、学校の先生や主人公の妹も人型の謎生物。このこだわり様、半端じゃない!
さて、まだ主人公の話をしていませんでした。主人公の一之瀬一太郎は無気力な高校3年生。幼馴染のこころとは毎日一緒に登校するどころか朝起こしてもらう始末。正人には「夫婦かよ」とからかわれるほどだが、成績のいいこころとは違って大学進学など考えられなかった一太郎は今後の関係について消極的なままだった……
と、ここまで書くと「先週のレビュー(Brass Restoration)と同じこと言ってる!」となります。そう、本作はまさに「外見はネタゲー、シナリオはいたって王道」を体現したかのような作品になっています。その意味ではBrass Restorationよりずっと強烈でしょう。
勉強が得意なこころに教えてもらったり、女子の水泳の授業をのぞきに行ったり、ヒロインの料理下手(今回は殺人料理ではなく、キッチン破壊系です)に驚いたり。一昔前のギャルゲー感満載です。
そして本作をプレイしていてじわじわ来るのが、どう見ても人間ではない姿をしているこころに対して"色っぽい"表現が使用され、正人も一太郎もこころをまるで人間の美少女のように扱うことです。イラストから入ってくる情報は普通の人にとってはかわいらしいとかきれいとかいう感想を持つものではないのに対し、文字ではその姿に対して恋するような描写が多く、プレイヤーの脳がバグります。
最たるものは、グッドエンドラストのあのスチルでしょう。普通の恋愛ゲームなら感動すらあるであろう構図でクリーチャーと人間を描く。シナリオがいたって普通なのとの温度差で私の理解力は完全に破壊されました……
「for乙女」の方も紹介しなくてはなりませんね。

ジャンル:人外用乙女ゲーム
プレイ時間:1時間半
分岐:2ルート+ノーマル。ルートごとに3つのエンドあり
ツール:吉里吉里
リリース:2014/8
タイトル画面を見て、「今回は人間が描かれてる!」と安心したのもつかの間、本編では(主人公以外)漏れなく人外となっています。衣服と髪の色からしか判断できませんが、左から順に本作の主人公七月奈々美の友人の深優、攻略対象①界斗、攻略対象②淳也、そして右の3人は「ここのえこころ」の登場人物ですね。
本作も「ここのえこころ」のノリをそのまま乙女ゲームに持ってきたという感じになっています。見た目が明らかな化け物であるのに対し、まるでそれが自然であるように、あるいは同じ人間を見ているように接する主人公奈々美。今回は攻略対象が2人となっていますが、毎日どちらに会いに行くのかを決めてデートを重ねる王道そのものなストーリー。このミスマッチ具合に脳がバグるのを楽しむ作品といってよいでしょう。
「for乙女」では攻略対象が増えた分、途中で選択肢を選ぶ機会も多くなりますが、攻略法は簡単です。攻略したい方を毎日選ぶだけでOK。すべて同じ人(?)を選んで事件の日に彼に会いに行くとルートに入れます。ルートに入った後は1回だけ、告白を受けるかどうかの選択肢があります。当然ここで「好き」を選べばグッドエンドに行けるわけですが、「普通」「嫌い」でしか見られないスチルもあるのが凝っているところです。
しかしこれ、「普通」はまだしも「嫌い」を選ぶための心理的ハードルがすごく高かったですね……。私はフィクションの中でもあまり悲しい思いをする人が増えてほしくないなと思っているので、この状況で「嫌い」は人間の心を持っていたら選べないだろ! と他のルートを読み終わった後も本当にこれを選んでみるのか逡巡してました。淳也「嫌い」ルートと界斗「普通」ルートは意外性というかツッコミどころがあって選んでみた甲斐があったといえばあったのですが、私にはちょっと辛すぎました。ホラーゲームとかだと非常に有効な演出だと思うんですけどね。
「ここのえこころ」でも同様の選択肢があるのですが、あれは本人を前にして言う訳ではない(少なくとも一太郎はそう思っている)上に、あの状況なら勢いで「嫌い」と言ってしまうこともありえなくはないかなと思うので心理的抵抗はさほど感じなかったのですが……
私としては、ああいう場面では素直に「好きだよ」と伝えてあげたいものです。

この後のスチルがまた想定外すぎて破壊力満点なんですがね。
ちなみに「for乙女」では不良軍団の対立という状況になっており、「ここのえこころ」で抱えていた進路に関する悩みとは別の方向で解決の難しい悩みを持つ、ややシリアスよりのストーリーになっています。昔はよかったけど今はそうも言ってられねえぜ! みたいな部分のカッコよさは私にも伝わりました。界斗が部下(?)に慕われてるの良いですね。
というわけで「クリーチャーと恋しよっ!」シリーズのご紹介でした。
ネタとしては私も楽しめましたが、これに萌えを見出すのは人類には早すぎる気がします。
新たな世界への扉を開けたい人はぜひプレイしてください。