フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
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2022年06月

こんにちは。今回は知内ひろさんの「RPGスクール」をレビューしたいと思います。

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ジャンル:学園ものファンタジーRPG
プレイ時間:1周5~6時間程度
分岐:多数。エンディング30種
ツール:RPGツクール
リリース:2021/2


本作はTwitterでも少しだけ感想書きました。作りこみがすごいなあと感じられる作品だったので、ブログの方でも取り上げます。

タイトルを見ても分かる通り、本作は学校が舞台となっています。冒険者を育成するための学校ですね。後述しますが、この設定がきちんと生かされ学園ものADVの魅力とファンタジーRPGの魅力が上手く融合した楽しさを生み出しています。

主人公の名前はアレリス(名前変更可、性別、ジョブも自由に選べる)。立派な冒険者になるためにRPGスクールに入学します。そんな彼の同級生となるのは属性もジョブもばらばらの6人。卒業までの1年間の間で彼らと授業を受けたりダンジョンに出向いたりして冒険者として成長していきます。

本作のシステムの基本はRPGですが、敵を倒して経験値を得てレベルアップして……というような一般的なRPGとは少し違うシステムとなっています。ダンジョン探索は通常のシンボルエンカウント、戦闘はターン制コマンド選択式のフロントビューでごく王道なのですが、アレリスや学友たちにはレベルという概念はありません。平日にスクールで授業を受けると、受けた授業に対応するステータスが直接アップしていきます。また、ダンジョンで戦闘に勝利すると経験値を得る代わりに一定の確率でステータスがアップします。放課後に学友と訓練をしたりすることでも上昇可能です。本作においてステータスをアップしていく方法は基本的にこの3つのみとなります。

rpgschool2

いまさらっと"平日"と書きました。ファンタジーRPGで厳密にカレンダーに従う作品は珍しいと思いますが、本作には独自の暦が存在しています。1年は10か月、1か月は6日からなり、そのうち4日間が平日で、スクールの授業や課外学習などが行われます。放課後にはちょっとだけ自由行動ができます。残りの2日は休日であり、午前・午後ともに自由に行動できます。道具屋や図書館でアルバイトしてお金を稼いだり、ダンジョンに潜ってステ上げや宝箱漁りをしたり、同級生と公園でデートも可能です。このあたり、完全にカレンダー消化型恋愛ADVなんですよね。

さらに、学友6人にはそれぞれ"好感度"のようなシステムがあります。メニューから生徒一覧を見ているときにふと右上の方を見ると、"知り合い"とか"友達"とかの状態が表示されていることに気付きました。そして私は察するわけです。なるほど、これは絶対に各キャラクターごとのエンディングが存在しているな、と。
エンディングを一つ見ると、エンディング一覧と到達条件が明かされます。それを見た結果、確かに各キャラクターごとのエンディングは存在していました。しかも私の想像をはるかに上回っていたことに、ゲーム開始時に設定した主人公の性別が攻略対象と同性か否かで友情エンドと恋愛エンドがあるというではないですか! ほかにも特定のアルバイトを極めたエンディングとか、とにかく宝箱を開けまくったエンディングとか、総計30ものエンディングがあると知りめちゃくちゃ驚きました。2周目以降にはボーナスがつくとはいえ流石に全部見るのは厳しいですが、興味がある方はぜひいろんなエンディングを探してみてください。勇者ルートは特におすすめです。

本作がADV的にオイシイのは多彩なエンディングだけではありません。課外学習や資格試験でのチーム戦。一緒に戦闘の経験を積む中で少しずつ親しくなる様であったり、各キャラクターが抱えている悩みであったり因縁の相手であったりが戦闘の合間にきちんと語られます。そして一番は修学旅行です。思い出してみると修学旅行のシーンのあるフリーゲームってやったことなかったかもしれません。5年前に魔王に打ち勝ったといわれる勇者ゆかりの土地をめぐる修学旅行。ADV的にはもちろん、RPG的にも意義の深いイベントです。この修学旅行中にある人物のRPGスクール入学の背景が判明したりもするのですが、ちょっと意外で面白かったです。

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1年の最後にはRPGスクールの卒業試験が待っています。主人公を含め7人を2つのパーティーに分け、それぞれで敵を破っていく必要があります。各キャラクターの職業の特性や装備、属性をしっかり把握し戦闘力が偏らないような組み分けが必須となります。
そして最後の敵。ここでは7人中4人を前線で戦わせ、ターンごとに任意でメンバーを入れ替えることができます。数ターンごとにラスボスの持つ特殊効果が変わるので、それに合わせて力を発揮できるメンバーを選定していきます。全員で協力するという非常にわかりやすくて気持ちいいラスボス戦です。これまで一緒に訓練を積み、ダンジョンを乗り越え、強い武器を集めてきた成果を発揮する最適な場となります。難易度は、育成を怠らずにきちんとしたうえで属性などをしっかり理解しておけば難しくはないという程度です。


というわけで今回は「RPGスクール」でした。
ストーリー性が大変わかりやすく、イベントも良く練られている良作だと思います。登場する学友たちの性格も自信満々だったり控え目だったりツンデレだったりと多彩なので、きっとあなたの気に入るキャラも見つかるはず。

それでは。

こんにちは。今回はtwitterでも感想を書いたbbboxxxさんの「いちごみるくとあそぼうよ」のレビューをお送りします。

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ジャンル:ふわふわ*どろどろ*白昼夢系ADV(ReadMeより引用)
プレイ時間:1周目3分、ED全回収まで1時間~1時間半程度
分岐:ED全9種、1周目ルート制限あり
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2020/7
備考:15禁


いやあ、乙女ゲーってギャルゲーに比べて、心に直接刺さってくるというか、すごく切ない気持ちにさせられるような作風のものが多くないですか? 私がプレイしたのが偏ってるだけ?
というわけで本作もまた、誰も悪くないのに(まあ悪くないとまで言うといいすぎか? 同情は十分できる)読んでいて悲しくなってくるシナリオとなっております。


本作の導入はなかなか変わっています。STARTをクリックするとまずは主人公の名前入力。ここではデフォルトの新崎愛香と呼ぶことにします。
そして30秒弱のオープニングムービーが始まります。これがなかなか良かったです。ピンクの単色で描かれたファンタジーっぽいシンプルな映像。そして「目が覚めたらなんだか可愛い制服を着ていた。ああ、私 高校生だったのかな。さぁ部屋のドアを開けて、学校へレッツゴー。」というモノローグが挟み込まれています。この映像がなぜだかたまらなく好きで、多分10回以上は見てます。

しかしこのモノローグを読んで、素直な日常系ほのぼの恋愛ものだと思う方はあまりいないでしょう。ふわふわと夢の中にでもいるかのような釈然としない印象を残していきます。
ムービーが終わって次の場面では、愛香は教室で謎の兄弟イケメン2人に手を取られ、いちごミルクなんか目じゃないほどのいちゃラブ甘々展開です。彼らの名前はいちごとみるく。ところが練乳をそのままなめているかのようなこの雰囲気は、長くは続きません。


開始3分もたたない頃には、いちごとみるくの口からは不穏な会話が。愛香自身も、自らの置かれた状況がどうも普通ではなさそうなことに自覚的になっていきます。いちごから、毎日どんな夢を見るのかと問われる愛香。1周目では、どちらの選択肢を選んでもすぐにエンディングに行ってしまいます。両方のエンディングを見て3週目からが本番です。とはいえ3周目でもまだルート制限があり、たどり着けるエンディングは限られています。しかしこうして様々なエンディングをたどるうちにいちごとみるく、そして愛香自身の過去が描かれ、徐々に事件の輪郭が明らかになってくるつくりが上手いですね。この辺はある種ループものに近いものがあるかもしれません。


5週目くらいになれば、プレイヤーのあなたに関してはもう、愛香が飲まされているホットティーに"良くない"物が入っていて記憶をあいまいにさせているという事実には容易にたどり着けます。しかし愛香本人が気付けるかどうかはまた別。飲み物の影響を受けて正常な判断力もないであろう彼女が、現実の世界で幸せになることができるのか。ここが読んでいて辛く、悲しくなるポイントですね。

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このスクリーンショットが愛香の状態を物語っていますね。白昼夢系ADVの名前に偽りなしです。
愛香がこの状況から脱却できるのかは、プレイヤーの選択にかかっています。ぜひ最良の結果を目指して頑張ってください。


9つあるエンディングをすべて見れば、ようやく事件の全体像があらわになります。途中ただの悪人じゃないかとも思ったみるくも、彼がそれまでに背負ってきた苦労と理不尽を理解すれば彼もまた被害者の一人であったという感想も持てます。家庭の問題ってやっぱりずっと尾を引きますよね。どのエンディングでもすっきり解決とはならないのは仕方のないことかもしれません。


シナリオ以外の点も見てみましょう。まず音楽。ピアノ中心のゆったりとした選曲は、夢の中にいるような本作の世界とマッチしており素敵。効果音もちょうどいい感じがしますが、なぜかたまにBGMがぶつぶつ途切れる時があって気になりました。

イラストについてもかなり綺麗で、スチルにも力が入っています。END5のいちごくんのスチルが好きです。UIやシステムも赤やピンク系で統一されていて世界観の作りこみを感じられます。右上のメニューを開くボタンがいちごなのも好きですが、ちょっと見えにくいのでもう少し目立つ色だったりサイズだったりしてもいいかもしれません。


そうそう、おまけもなかなか面白かったですね。
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プレイ前は綺麗ないちごと瓶牛乳だったこの画面がどうなるのか。そのショックを体験してほしいです。おまけミニストーリーは4パターンあるようなのでぜひコンプリートしてください。


読み終わってすっきりハッピーエンド! とはいかない作品ですが、彼らの今後の幸せを願わずにはいられない作品となっています。15禁ですが、暴力や薬物、性的描写はきつくはないので興味があればぜひトライしてみてください。

それでは。

こんにちは。今回は、先月公開の静本はるさんの新作「カッテナキミヘ」をレビューします。

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★favo
ジャンル:とあるアニメに関する短編集
プレイ時間:30分前後
分岐:なし。3本読むと最後のエピソードが解禁
ツール:吉里吉里
リリース:2022/5


以前レビューで取り上げた静本はるさんの「MY HOBBY IS 短編版」も素晴らしかったですが、本作に関しても非常に心揺さぶられるところがありました。コメディだったMY HOBBY ISとは違って本作はドキュメンタリー風ですが、広いジャンルでセンスを感じさせる作者さんだなと思っています。

本作には3本(+1本)の短編が入っており、それぞれ10分以内くらいのボリュームとなっています(公式の案内で3~5分となっていますが、5分よりはかかるんじゃないかなと思います)。その短編がどれも、視点人物は変わりながらもアニロボという架空の少年向け人気長寿アニメ(原作は漫画)に関する内容となっています。

短編はどの順で読んでもいいですが、私は左側から順に読みました。
最初は佐藤まさる編です。

まさるが小学校に通っていたころにアニロボは少年誌で連載開始し、たちまち人気漫画となってアニメ放送も開始します。毎回夢中になって漫画を読み、アニメを見ては学校の友達とアニロボの感想を言い合っていたまさる。しかし時がたち中学校に入るころには、「子供っぽい」という周囲の声に影響を受けてアニロボのことは忘れていくようになります。
アニロボを忘れて数年、彼が大学2年生になったころ、たまたまアニロボのシーズン6が放送開始されるという広告を見て、かつてアニロボにハマっていたころのことを思い出します。懐かしいなと思う程度の思い入れしかなかったが、深夜にシーズン1から全話再放送をするというニュースを見て視聴しているうちにアニロボに再度ハマっていく…

もうね、この展開がすごく「あるある~」「分かる!」「まさにそれ」のオンパレードなんですよ。
子供のころに夢中になったものはいつまで経っても忘れない(私の場合はそれがフリーゲームだったわけです)、中学生くらいになると、中二病とまではいかないまでもみんな背伸びしたくなって子供向けのものをバカにする傾向がある、むしろ大学生くらいだと懐かしんだり堂々と見たりする。周囲に子供っぽいとバカにされるんじゃないかと隠していたけど実際にはみんなそんなに冷たくない。むしろ話に乗ってくる。


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↑分かるよ~私もほしのの。エピローグのBGMがごがつのそら。テーマのオルゴール編曲なのに気付いた時は半日泣いたし、緑のRPGエピローグで緑の姫君のエンディングのピアノ編曲が流れてきたときにはまさるみたいになってました。


つづいて吉田なな編です。
ななはいわゆる腐女子です。アニロボは主に二次創作の同人誌を読んでいます。推しの作家の新刊は真っ先にゲット。24ページしかない薄い本を3時間もかけて読み、感謝の長文感想をしたためます。
そんな彼女、最近たまに妙な視線のようなものを感じることがあるそうです。その正体は、自分がメインターゲットではないことが明らかな子供向けアニメでBL妄想を繰り返し、推しのカツヨシが出てこないことに文句を言っていたことへの潜在的な負い目でした。

昔のように純粋な気持ちでアニロボを見ることができなくなってしまったなな。友人のにしちゃんには、"そういう層"向けの作品を教えてもらうがどうもハマれない。このあたりがなるほどポイントでしたね。私はあまり作品をカップリングで見ることをしないのですが(それよりは、ある特定のキャラクターが好き! とか、このシーンが好き!とかの方が多い)、ななの独白を見るとこうした心情もすごく納得できるんですよね。

そしてにしちゃんからシーズン6放送開始の報をもらった後。これがすごい。
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もうオタクの世界の解像度が高すぎて素晴らしい。何かを猛烈に好きだとアピールする文章(別に媒体は文章に限らないけど)って魅力的じゃないですか。それが実在のものではなくても。
私がただ好きなフリーゲームについて語るだけのブログを興味を持って読みに来てくれる方なら、この描写には必ず清々しさや微笑ましさ、そして共感を抱くはずです。最後に爆発したところで私も本作への理解が高まって爆発してしまいました。そう、私だってBrass Restorationで了が実梨に素直に謝って和解したところで「よくやった!」と机を拳でたたいたどころか、有名なコロンビアのアスキーアートみたいなポーズ取ってましたもん。(通じなかったらごめんなさい)


そして木村てるひこ編です。
最初の佐藤まさるが光のオタクだとすれば、木村てるひこは闇のオタクです。かつてアニロボが始まったころ小学生だったてるひこは、友達と一緒にアニロボに夢中になった。彼にとって原作アニロボ漫画とアニメのシーズン1はかけがえのない思い出です。しかし時がたてば様々なものが変わってきます。シーズン2以降のアニロボは、彼に言わせれば未就学児しか楽しまないようなワンパターンで、原作者を侮辱するような内容です。そしてその問題点を日々SNSに綴って同志との意見交換をしています。

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もう、光のオタクのみならず闇のオタクに関しても再現度が高すぎてびっくりする限り。こういう人いるよな~というのがすごく納得できるんです。私だって、プレイしたフリーゲームが全部が全部素晴らしいものだとは思っていないし、たまに面白さが全く分からなかったと感じることもあります。でもSNSでぼろくそには書かないし、ましてやファンのことをバカ呼ばわりしたりはしません。しかしいるんですよね、こういう人。彼らは執拗なまでの文句を言いながら毎週必ず視聴します。まるでケチをつけるのが目的であるかのように。今まではその心理が良く分かりませんでしたが、本作を見て、そういう心理からアンチになるのはたしかに分かる気がするかも、となりました。

てるひこ編最後の展開も実に"ありそう"なんですよ。もう何年も前の記憶って、そんなもんですよね。それでも思い出というのは大切なものです。彼がその後光に向かって歩みだせたのか、気になります。


そしてこの3編を読み終えると、最後のシナリオが始まります。これについては細かいことを述べるのはやめておきましょう。今回の主人公はこれまでの3人と違いオタクという訳ではありません。そんな彼はアニロボとどう交わり、何を思い、そしてどんな影響を受けるのか。希望を持てる最終話であることは間違いありません。

そして最後にこれを読了してからタイトル画面に戻ってくる流れが素晴らしい。一応ネタバレにならないよう少しぼかしますが、背景画像から心象を表現したり、音楽や環境音で場の流れを表現したりといった部分にセンスの鋭さを感じます。そのうえでタイトル画面とBGMの変化。よく見るとタイトルも変わってます。なるほどそういう意味が込められていたのね。
改めて漫画・アニメをはじめとした日本のオタク文化の持つ力を感じられます。


という訳で、私の文章をここまで読むような方はプレイして絶対に損しないので早くダウンロードしましょう。BoothはDLにPixivのアカウントが必要なので、なければ準備してください。
(8/31追記:本日付でふりーむからも公開されました。ふりーむ版はアカウントの登録などが不要なのでpixivアカウントの無い方はぜひこちらからプレイを!)

こんにちは。
前回の「クリーチャーと恋しよっ!」シリーズのレビューで登場した人物名を覚えているでしょうか。
九重こころ、一之瀬一太郎、七月奈々美に二階堂界斗、十文字淳也などなど、全員苗字と名前に同じ文字の繰り返しが入っているのが特徴的ですね。こうした登場人物のネーミングは作者さんのセンスが出るところの1つだと思います。多くの作品では実際にもある普通の名前ですが、たまに名前だけで笑ってしまうようなネタ系のネーミングだったり、作品の世界観を表現していたりといったものもあり、印象に残るポイントの一つです。
という訳で今回は、私の印象に残っているネタ系の人物名をご紹介しましょう。作品名と作者/サークル名(敬称略)でご紹介します。

特定のテーマに沿った名前を集めたもの

勇者と普通の黒板(Dominion's Rest)

Flashゲームのしりとりクエストシリーズの外伝の1つです。Flashゆえに現在ではプレイ不能なのですが、このキャラクターの名前にネタが含まれているのに気づいたのがうれしかったのでよく覚えています。
本作は論理パズルとなっており、与えられたヒントからラジオのゲストになっている5人の職業と収録曜日、年齢を当てるという内容です。5人はアイドル歌手、本格派歌手、アイドル俳優、本格派俳優、お笑い芸人なのですが、名前が「井川さくら」「ZEZE」「近江舞子」「くっちゃん」「ハッサム」なのです。初見の時は全然気づかなかったのですが、数年後にたまたま"人名みたいな駅名"の記事を見たときに「井川さくら」「近江舞子」が載っていたのです。どこかで見たことある気がするなあ~と考え、本作のことを思い出しました。するとくっちゃん(倶知安)は北海道の地名であることに気付き、ZEZE(膳所)は滋賀県の地名であることも気付きました。ハッサム(発寒)は知らなかったのですが、調べてみるとこちらも北海道の地名ということで、気付けて気持ち良かったです。

女子トイレの殺人(劇団kolme)

以前レビューで紹介した作品ですね。レビュー内でも触れましたが、主人公の名前は助士怜人(女子トイレのアナグラム)、その他の容疑者の名前は奥竹葵(ブルーレット置くだけ?)、梨木かおる(消臭力?)、流川乙姫(水音を出すやつ?)というネーミングの徹底さは、彼らのキャラクターの濃さとぴったり結びついて強烈に印象に残っています。やっぱり笑える作品は好きです。

めるてぃんぐ♥あいすくりぃむ(Shadow's Silhouette)

こちらは主人公の大福雪美(おおふく・ゆきみ、デフォルト名。名前変更可)が先輩の六手爽(ろくて・さわ)に告白されて困惑しているところに、さらに爽のライバルの三十壱(みとお・いち)が現れて邪魔しにかかるという、"攻略され系"百合ノベルです。タイトルもあるので主人公が雪見だいふくなのは分かりやすい。六手爽は雪見だいふくと同じくロッテのアイス、爽ですね。これらの市販のアイスたちが仲良くしようとしているところにサーティーワンが登場していろいろ言ってくるのですから、なかなかネタ度が高いです。 現在は公開していないのが残念。

泡沫の花が散る(ベルカゲ)

こちらも以前レビューで取り上げました。別荘の立派な温室の花園で起きる事件の真相を暴くミステリーです。本作では登場人物の名前は花の名前がモチーフになっています。花蓮、向日葵、あやめなど一般的に人名としても見慣れたものから、朝顔、竜胆などの変わった名前まで登場しますが、各キャラクターの髪の色が名前の花の色と対応するキャラクターデザインとなっているのが気持ちよかった作品です。

その他、単純に変な名前/言葉遊びなど

風雲相討学園フラット(相討ちネガティブギャング)

古い有名作ですね。主人公の名前は境不可止(さかい・ふかし)。これだけだとちょっと変わった名前だなというくらいですが、ヒロインたちの名前が個性的過ぎる。多いので全員はあげませんが、辻斬とす(つじぎり)、犬飼よしこまちこなどなど。本作はかなりぶっ飛んだシナリオになっていて良く分からないまま本編が終わってしまったのですが、ヒロイン攻略後に読める"番長シナリオ"はなかなか良かった。周りが美少女ばかりというギャルゲーあるあるの設定に理由付けを与えた作品は本作以外に知りません。そうそう、番長シナリオで重要人物となる"番長"嘉村獲狩手(かむら・えかりて)や背久原(せくはら)学園長もすごい名前ですね。
本作の中で唯一普通の名前なのは黒岩葵でしょう。ちなみに私は彼女のルートが一番好きです。現実にあんな極端なツンデレがいたら関わり合いになりたくないですが。

ヒ常識ムラ(タクティカルシンパシー)

本作の主人公は、何に関しても無気力でその日暮らしを続けている若者、その名も翌無新斗(あすなし・にいと)。この名前はひどい……。山で木の実やきのこなどの採集をして食料を得る生活をしていた彼は、ある日下山時に道に迷ってものすごく非常識な村にたどり着いてしまいます。選択肢を間違えるとその日のうちにバッドエンド行きのため、どんな"非常識"がその村の常識なのかを探りながら進むノベルゲーム版死に覚えゲーと言えるでしょう。ちなみに村長の名前もソン・チョーというだいぶふざけた名前でした。

ハイニョー!!(ミッドナイト★ONIGIRI)

すみません、下ネタです。本作の主人公の名前は棒紅炎(ぼう・こうえん)。排尿するたびに記憶を失うというとんでもない呪いにかかっています。いや、この名前は…。ちなみにヒロインの名前は雪隠鎮子(ゆきがくれ・しずこ)。雪隠って、読み方変えてるけどせっちん、結局トイレのことじゃねえか! なお、親友ポジションの男性の名前は、小野下子(おのの・しもこ)。そういえば飛鳥時代の小野妹子って名前の字面に反して男だ、という話があったなあ。中学生以来くらいに思い出しました。

魔王は村人に恋してる!(とまと)

タイトルの村人はモブと読みます。ストーリーの導入もほぼタイトルの通り。魔王である主人公の悪野まおこは意を決して憧れの先輩である村人栄(むらびと・えい)に告白するも「悪野さんと自分では 立場が違う」と断られてしまいます。この2人の名前が魔王とモブを体現していて面白いですね。 不貞腐れてSNSを眺めていたまおこの目に留まったのは、「モテすぎて体が足りないwwww 分身したいwwww」という勇者のモテアピールツイート。イラついたまおこが勇者を倒しに行くというゆるふわコメディ系のRPGとなっています。

四宮怪異譚(Wheat)

名前にネタが仕込みやすいのは主にファーストネームの方かと思いますが、本作では登場人物4人には苗字の方で仕掛けが入っています。大学の民俗学のレポートを書くためにフィールドワークをしている彼らの苗字は一宮、奥宮、里宮、初宮。つまり4つの宮がそろって四宮と呼ばれているという訳です。 単純にそれだけならふ~んそういう設定ねと思うところでしたが、本作では終盤にこの設定の意味が明らかとなりなるほどと思わされました。

TRUE REMEMBRANCE-remake-(里見 しば)

最後に超有名作を持ってきました。精神疾患"セツナ病"の治療のために、患者に原因となる"錆色の記憶"を忘れさせる"記憶封士"という仕事をしている主人公、黒目。物語冒頭で彼が出会う重症の少女の名前は"ラ"。日本語の名前ではないとはいえ、あまりにも短くて不自然ではないかという直感は働きます。この謎が、彼女の抱えてきた忘れ去ることのできない真実の記憶、そして黒目自身の過去と結びついて解消されていく様は圧巻です。さすが、これだけ有名になり商業化もされた作品という内容になっています。




というわけで、一気にざーっと10作も紹介してしまいました。
単純に名前が変わっているというだけでなく、シナリオや作品のテーマとの関連性があって印象深いものを中心に選んでいるので、気になったらぜひプレイしてみてください。

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