こんにちは。今回は窓際ななみさんの「絶望の螺旋」のご紹介です。

ジャンル:オカルトサスペンス
プレイ時間:2時間
分岐:基本1本道
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2021/5
備考:15推
今回の作品はまた特殊で記事のジャンル分類にも悩みました。基本的にはノベルゲームかなと思いますが、通常のノベルゲームでは絶対に必要のない攻略要素があるため今回はアドベンチャーゲーム扱いとしています。
その特殊な要素ですが……まずはこちらのゲーム画面を見ていただければわかると思います。

なんとゲーム画面が常に4分割されています。それぞれの画面は普通のノベルゲーム的に動かすことができます。上の状況では、今は右上のターンです。ある程度話が進むとまた全体から話を進める人物を選択しシナリオが進行していくことになります。
4分割されたこの画面構成を見て、私はEYEZMAZEさんのMEET INを思い出しました。
MEET INでは4人家族で協力して謎解きをして集合することを目指すミニゲームでしたが、本作ではある学園で起こった呪いを解消するために試行錯誤して調査するという内容であり、MEET INと比較するとボリュームもかなりあります。
さて、この4つの画面で見られる話は、1つの物語をそれぞれ別の人物の視点で見たものになります。つまりは群像劇の同時進行的なものと思ってもらえるとよいです。
さらに、これらの4つの画面はお互いの進行に影響しています。ある一つの画面の話だけを進めようと思っても、「まだ時間になっていない」というような感じで止まってしまいます。ほかの画面のイベントを見て話が同期していくと再度進行できるようになっていくのです。
それだけでなく、特定の視点でタイミングがそろうとその2人(以上)の話が合流し、5つ目の画面イベントが起こることもあります。これこそが複数画面で物語を同時進行する本作の真骨頂と言えるでしょう。
終盤における呪いの根本原因対処のためには、操作可能なすべての画面で特定のシーンに持ってきたうえで行動を起こす必要があります。割と条件が厳しめなので、最初の数回は見逃してループになる方も多いでしょう。この仕組み、川崎部さんのSCE2のエンディングを思い起こします。
ゲームの作りが特殊なためか若干動作が重いように感じられますが、それに見合うだけの演出効果のある仕掛けとなっているでしょう。

↑画面連動イベント中
話の内容にも触れましょう。
舞台となっているのは琴羽(ことはね)学園。2年生の樫山勇治(かしやま・ゆうじ)と若咲千草(わかさき・ちぐさ)は幼馴染。最初のうちはすれ違い系ラブコメか?というような感じで進めていたのですが、なんとゲーム内初日にして超絶修羅場に遭遇してしまいます。……え?これってそういう話だったの?
この事件で大きなショックを受けた千草に、謎の少女が誘惑をかけます。「彼を奪われたくはないだろう…?」と。その誘惑にあらがえなかった千草は”絶望の螺旋”へと引きずり込まれることになります。
それと時を同じくして、学園長から”学校のトキコさん”が出るといううわさの調査を依頼された睦月十歌(むつき・とおか)と天乃川夕美(あまのがわ・ゆみ)。霊能力という力の存在が認められるようになったこの世界で霊能力関係の事件を引き受ける探偵である彼女らは、学園へ調査に乗り込みます。
順調に視察を進める中、一人になった隙を突かれて誘拐されてしまった夕美は、霊能力について熟知している彼女にすら信じがたい話を聞かされるのだった。
ここから先は、先述したように各画面を同期させて攻略しなければ同じ内容をループしてしまいます。ぜひあなたの目で確かめてください。何もかもすっきり解決してハッピーエンドとはいきませんが、勇治と夕美がお互いに干渉できた理由などが夕美の聞かされた謎の話と一緒に説明されたりするのでそのあたりが気持ちいいポイントですね。
この謎をどれだけ早い段階で解けたかで本作のプレイ時間は大きく左右されるでしょう。
さて、本作をプレイして気になった点ですが、まずはこの特殊なシステムのために通常のノベルゲームでは使用可能なシステムが使えない点はやはり痛いです。具体的には、文章のスキップができません。また、セーブは一応できるもののかなり不自由。またバックログも全画面分まとめて少し表示されるだけなので、プレイしにくいと感じたことは否定できません。
もう一つは、やや世界観の説明不足を感じたという点です。冒頭で霊能力の存在が明かされますが、ほとんどの人には使えないし役にも立たない、ごくわずかの人には凄いことができる、という程度の説明で、では一体何ができるのか、都市伝説との関係は?といったあたりが不十分だったのではないでしょうか。なので最後の解決法が若干力業のように感じます。これは本作内における設定がかなりスケールが大きいものを含んでいて回収しきれていないのも関係ありそうです。黒い霧や謎の計画について解決していないので、これは続編で解決とかのパターンかな?という読後感です。
とはいえこれらの点は、4画面を同時進行して話を進め、しかも単に並列で進むのではなく相互に影響して謎解きをするという本作の本質的魅力には関わらない部分ですので、気になった方はぜひプレイしてみることをお勧めします。15推ということで、ゲーム起動時に警告文章があったりしますが、直接的なグラフィックなどはなくそこまでショッキングなシーンもないためプレイしやすいと思います。
また、画面が常に分割されて表示される仕様のため、画面サイズは大きめにしてプレイすることを推奨します。
それでは。

ジャンル:オカルトサスペンス
プレイ時間:2時間
分岐:基本1本道
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2021/5
備考:15推
今回の作品はまた特殊で記事のジャンル分類にも悩みました。基本的にはノベルゲームかなと思いますが、通常のノベルゲームでは絶対に必要のない攻略要素があるため今回はアドベンチャーゲーム扱いとしています。
その特殊な要素ですが……まずはこちらのゲーム画面を見ていただければわかると思います。

なんとゲーム画面が常に4分割されています。それぞれの画面は普通のノベルゲーム的に動かすことができます。上の状況では、今は右上のターンです。ある程度話が進むとまた全体から話を進める人物を選択しシナリオが進行していくことになります。
4分割されたこの画面構成を見て、私はEYEZMAZEさんのMEET INを思い出しました。
MEET INでは4人家族で協力して謎解きをして集合することを目指すミニゲームでしたが、本作ではある学園で起こった呪いを解消するために試行錯誤して調査するという内容であり、MEET INと比較するとボリュームもかなりあります。
さて、この4つの画面で見られる話は、1つの物語をそれぞれ別の人物の視点で見たものになります。つまりは群像劇の同時進行的なものと思ってもらえるとよいです。
さらに、これらの4つの画面はお互いの進行に影響しています。ある一つの画面の話だけを進めようと思っても、「まだ時間になっていない」というような感じで止まってしまいます。ほかの画面のイベントを見て話が同期していくと再度進行できるようになっていくのです。
それだけでなく、特定の視点でタイミングがそろうとその2人(以上)の話が合流し、5つ目の画面イベントが起こることもあります。これこそが複数画面で物語を同時進行する本作の真骨頂と言えるでしょう。
終盤における呪いの根本原因対処のためには、操作可能なすべての画面で特定のシーンに持ってきたうえで行動を起こす必要があります。割と条件が厳しめなので、最初の数回は見逃してループになる方も多いでしょう。この仕組み、川崎部さんのSCE2のエンディングを思い起こします。
ゲームの作りが特殊なためか若干動作が重いように感じられますが、それに見合うだけの演出効果のある仕掛けとなっているでしょう。

↑画面連動イベント中
話の内容にも触れましょう。
舞台となっているのは琴羽(ことはね)学園。2年生の樫山勇治(かしやま・ゆうじ)と若咲千草(わかさき・ちぐさ)は幼馴染。最初のうちはすれ違い系ラブコメか?というような感じで進めていたのですが、なんとゲーム内初日にして超絶修羅場に遭遇してしまいます。……え?これってそういう話だったの?
この事件で大きなショックを受けた千草に、謎の少女が誘惑をかけます。「彼を奪われたくはないだろう…?」と。その誘惑にあらがえなかった千草は”絶望の螺旋”へと引きずり込まれることになります。
それと時を同じくして、学園長から”学校のトキコさん”が出るといううわさの調査を依頼された睦月十歌(むつき・とおか)と天乃川夕美(あまのがわ・ゆみ)。霊能力という力の存在が認められるようになったこの世界で霊能力関係の事件を引き受ける探偵である彼女らは、学園へ調査に乗り込みます。
順調に視察を進める中、一人になった隙を突かれて誘拐されてしまった夕美は、霊能力について熟知している彼女にすら信じがたい話を聞かされるのだった。
ここから先は、先述したように各画面を同期させて攻略しなければ同じ内容をループしてしまいます。ぜひあなたの目で確かめてください。何もかもすっきり解決してハッピーエンドとはいきませんが、勇治と夕美がお互いに干渉できた理由などが夕美の聞かされた謎の話と一緒に説明されたりするのでそのあたりが気持ちいいポイントですね。
この謎をどれだけ早い段階で解けたかで本作のプレイ時間は大きく左右されるでしょう。
さて、本作をプレイして気になった点ですが、まずはこの特殊なシステムのために通常のノベルゲームでは使用可能なシステムが使えない点はやはり痛いです。具体的には、文章のスキップができません。また、セーブは一応できるもののかなり不自由。またバックログも全画面分まとめて少し表示されるだけなので、プレイしにくいと感じたことは否定できません。
もう一つは、やや世界観の説明不足を感じたという点です。冒頭で霊能力の存在が明かされますが、ほとんどの人には使えないし役にも立たない、ごくわずかの人には凄いことができる、という程度の説明で、では一体何ができるのか、都市伝説との関係は?といったあたりが不十分だったのではないでしょうか。なので最後の解決法が若干力業のように感じます。これは本作内における設定がかなりスケールが大きいものを含んでいて回収しきれていないのも関係ありそうです。黒い霧や謎の計画について解決していないので、これは続編で解決とかのパターンかな?という読後感です。
とはいえこれらの点は、4画面を同時進行して話を進め、しかも単に並列で進むのではなく相互に影響して謎解きをするという本作の本質的魅力には関わらない部分ですので、気になった方はぜひプレイしてみることをお勧めします。15推ということで、ゲーム起動時に警告文章があったりしますが、直接的なグラフィックなどはなくそこまでショッキングなシーンもないためプレイしやすいと思います。
また、画面が常に分割されて表示される仕様のため、画面サイズは大きめにしてプレイすることを推奨します。
それでは。