フリーゲームの森

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2023年02月

こんにちは。

タイトルの通りですが、先週日曜日に行われたCOMITIA143へ一般参加してきたのでその時のことを書こうかなと思います。


今年初めの記事で、リアルイベントに行ってみたいと書いたのですが、その機会が思ったよりも早くやってきました。ちょうど新型コロナも落ち着いている時期だったので良かったです。

会場の東京ビッグサイトへ行くのも初めてだったので下調べはそこそこ念入りにして当日向かいます。
新橋駅からゆりかもめに乗って30分弱でしょうか、東京ビッグサイトへ到着します。大体正午過ぎ。開場から1時間ほどの時間で、今来るの遅かったりするのかなと若干不安でしたが、おそらく同じ目的であろう人たちがたくさんいたので不安も薄れ、会場までの道のりを迷うことはありませんでした。

すぐに見えてきたのは写真ではよく見たあの逆三角形。本物だ~
あの妙な形は何なんですかね…?

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建物の中に入ってからも会場までの道のりが長い!
しかしやはり人の流れが途切れないのでそれに付いていきます。
入場手続きでカタログを購入。入場券の代わりになります。今回確実に行くとは決めていなかったので事前に買ってはいませんでしたが、通販の前売りだと少し安くなっているみたいです。

そして入場してみて会場の広さに圧倒されます。出展しているサークルの数もすごいことになっているので全部見るのなどは到底無理ですね。カタログ付属のジャンル記載込みの地図によれば、私の目的である”ゲーム・ソフト”ジャンルは会場中央のかなり小さめのエリアであることが分かったので付近に移動します。”く”のエリアに到着し出展サークルを見るために通路を歩いていきますが、人も情報量も多くてまさに目が滑るといった感じ。
まずは知っているサークルを見ようと思っていたのですが2回くらい気付かずに通り過ぎちゃいました。それでもなんとか未来色原石の浦田一香さんを発見できました。Twitterでは相互でしたがお会いしたのは初めてでやや緊張しました。作品の感想などをほんの少しですがお話しできて良かったです。
人も多いし流れもあるのでその場に留まることもできず、歩いていくとえるりんごのスペースを発見。売り子をしていたM.Mさんにもご挨拶できました。crAsM.Mビジュアルノベルオンリーのお話もできました(そういえばこのイベント名何と読むのかいまだに分からないです…)。
お二方とも突然の訪問&雑な声掛けに対応してくださってありがとうございました。


目的の頒布品を入手したのでとりあえずはミッション達成。他に知っているサークルはなさそうだったので、ゲームのエリアを中心にしばらく歩き回っていました。とはいえコミティアではゲームのサークルは少なく、割とすぐに全部見られたので、その後はまた地図をもとに興味ありそうなところを回ることにしました。

次に行ったのは”評論・情報”エリア。同人誌と言ったらマニアックなことについて語った本がいっぱいあるんだろうなと思って一通り見てみることにしました。鉄道関係が多いのかな~という勝手なイメージでしたが、思ってたほど目立たないなと感じました。逆に意外と多いなと思ったのが料理・グルメ系です。カフェ・レストランのレポートだったりオリジナルレシピ本だったり、特定の食材や料理に特化した研究系だったりと本当にいろいろでした。

数冊買って今度はどの辺を見に行こうかなと周りを見てみると、ぽつぽつと完売の文字が見えるように。(多分午後2時くらいです)
今度は逆側の”ギャグ”エリアへ行ってみましたが残念ながらピンとくるものには出会えませんでした。もうちょっと早い時間だったら他の出会いもあったのかな?
その後は結局地図は見ずに歩き回り、見本誌コーナーへ行ったりいつの間にかアダルトエリアに入っていたりしましたが結局漫画やイラストは買わなかったですね。2時半過ぎになりそろそろ疲れたし帰ることにしました。


今回手に入れたものはこちら。
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よく"薄い本"と言いますが、装丁もしっかりした分厚い本もあったので結構重かったです。搬入したサークルさん大変そう!

リアルのイベントも怖くないよというのが分かったのでまた機会があれば行きたいですね。
今回は以上です。それでは。

こんにちは。今回はCALMFLAPさんの「私とあなたといた世界」のレビューをしたいと思います。

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ジャンル:学園恋愛ノベルゲーム(ややファンタジー)
プレイ時間:3時間
分岐:なし
ツール:NScripter
リリース:2012/8
備考:製品版あり



私が本作を最初にプレイしたのは今から大体5年位前だったように記憶しています。今回たまたまDLsiteを見ていたら本作のフルボイス版を発見したので購入して久々にプレイしてみました。せっかくなのでレビューとしてご紹介しようと思います(メインシナリオはフリー版ですべてプレイできます)。


まずはあらすじを簡単にご紹介。

主人公の中原美世子は高校1年生。以前は生きることに希望を持てずにただ生きているだけの状態だったが、天文部の西園和人先輩に出会ってからは人を好きになることを知り、世界が色づき、生きていく価値を感じられるようになった。そんなある日、向日葵畑で不思議な少女と出会う。記憶も身元も定かでないけれど神々しいほどの美しさを持つ彼女に夏美という名前を付け、交流を深めていく。
夏美の成長に勇気づけられ、美世子は和人先輩に告白することを決意するのだった…

こんな感じでしょうか。


本作が恋愛ゲームであることは間違いないと思うのですが、それに加えて夏美という不思議な存在が本作の核心に関わってくるのが面白い作品になっていると思います。

高校生ぐらいの見た目でありながら記憶も常識もなく空気も読めなかった夏美に対し、美世子はいろいろなことを教えてあげます。学校は勉強をするところ、部活の仲間たちがいること、……、そして何かを好きになるということ。最初のうちは美世子が和人先輩のことを好きと言っても全くぴんと来ている様子の無かった夏美ですが、美世子と一緒に学校に通い、和人先輩やその妹のエリちゃん、大野先輩ら天文部のメンバーと喋っていくうちに、楽しいとか嬉しいとか、寂しいとか、そして人を好きになることとはどんなことかを学んでいきます。
相変わらず空気は読めないままですが、様々なことを吸収して人間らしい感情を手に入れて成長していく夏美を見て、美世子も一歩前に進む勇気を手に入れていきます。このようにお互いに影響を与えて前に進んでいくのが気持ちいいんです。

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美世子は夏美を成長させていくことについてとても意欲的です。はっきりした感情の感じられなかった夏美が生きていくことの楽しみを知る過程をこうも献身的にサポートすることができたのは、美世子が和人先輩を好きになったきっかけに関係があるようでした。
母親によるネグレクトがあり、自分が生きていることに価値を見出せず、あらゆる物事を無視することで生き延びてきた美世子が初めて他人に受け入れられたという経験をさせてくれたのが和人先輩だったのです。ここで美世子は、何かを好きになるだけで世界がこんなにきれいに見えるんだということを学びます。本来は親が真っ先に与えてあげるべき経験ができなかった美世子ですが、和人先輩に出会えたことは運がよかった。
感情を持たずに生きていく絶望と、人を好きになることを知った後の希望を知っている美世子は夏美のことが他人事に感じられなかったのかもしれません。ここがかみ合って、登場人物がみんなで成長していける点は本作の魅力の1つとなっているでしょう。
ただ母親との関係が冷え切っていることについては分かりますが、現在一緒に暮らしている祖父母との関係がどうなのかが全く見えてこないのはやや残念に思いました。本来なら彼らがまず先に心のケアに回るべきだと思うんですがね…



そして終盤には美世子の告白シーンがあるわけですが、これが非常に印象的なシーンとなっています。
正直5年前にプレイしただけだったので細かい部分はかなり忘れていて、夏美の処遇や病院での出来事などは記憶になかったのですが、この告白シーンに関しては細部までほとんど覚えていました。

恋愛ゲームはこの世に数多ありますが、告白シーンにこれより時間を割いている作品が果たしてどれくらいあったでしょうか。さらっとかっこよく告白して晴れて恋が成就する作品が多い中、本作では美世子がどうやって決意し、勇気を振り絞って言葉を発しているかが克明に描かれています。生きる希望を与えてくれたような相手であるからこそ、軽々しく伝えられるような気持ちではなかったのです。私も心の中で夏美と一緒になって応援してしまいました。

そしてこの告白シーンになって初めて美世子の(正面の)イラストが登場します。この終盤の重要シーンで初めて主人公のビジュアルを明かす手法は作者さんの得意技なのでしょう。「彼女の嘘の止まった世界」や「箱庭のうた」でも同様の演出がありました。これもまた告白シーンのインパクトを高めているでしょう。
ちなみに「箱庭のうた」では若干世界観がつながっているようで、本作でも登場した大野先輩が大暴れします。いつもあんなにふざけているのに大切なところで適切なアドバイスをくれる、サポートに回ってくれるのが好きですね。本作でキャラクター的に最も印象深いのは彼でした。
そういえば「箱庭のうた」でこなみが着ているTシャツに夏美のと似ているものがありますね。関係あるんでしょうか? またセリフだけですがエリちゃん(西園妹)も登場してますね。



さて、最後に製品版の紹介をしておきましょう。
これまでのレビューの内容は全てフリー版に収録されておりフリーゲームとして完成していますが、本作にはボイスとおまけシナリオを追加した製品版が存在しています。ボイスの音質にやや難ありかなと感じましたが可愛らしい声ですし、おまけシナリオでは和人先輩についてのエピソードが読めます。夏美と”暗い世界”に関する補足もあるので、フリー版を気に入った方ならぜひプレイしてほしい内容となっています。


それでは。

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