フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
初めての方は、ぜひごあいさつをご覧ください。評価の基準については、レビューについてに記してあります。
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2023年03月

こんにちは。
今回はPetitさんの「怒ると死にます。」のレビューをお送りします。

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ジャンル:幼馴染系ラブコメ
プレイ時間:30分
分岐:基本一本道。ゲームオーバーあり
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2020/5
備考:ティラノゲームフェス2020コメディ部門優秀賞受賞作


本作はタイトル通り、怒ると死んでしまう奇病に侵されたヒロインを救うため、主人公が奮闘する分かりやすいラブコメとなっています。

冒頭のシーンでいきなりそんなぶっ飛んだ設定を説明されて困惑する主人公の七見直(ななみ・なお)はちょっとひねくれた性格の持ち主です。人は結局一人で生き、一人で死ぬのだから人類皆孤独。友情とか、恋愛とかそんなものはまやかしだ。うざったい。
そんなことばかり言っているので幼馴染でヒロインの葵美喜(あおい・みき)の最初の台詞も「ナオは相変わらず酷い人」と散々です。


そんな直に対して美喜は序盤から好意丸出しで非常に分かりやすい。「怒ると死ぬ」という設定が強烈ですから、その他は王道というのがちょうどいいですね。
「愛」を得ることによって怒りゲージ(?!)の許容量を増やして死の危機から救われると聞いた彼女はもう直への愛を隠すことをしません(若干ツンデレ風味の台詞はありますが…)。
病院から帰ったその日の夜、美喜は直の部屋にやってきて、「明日デートしよう」と提案。対する直は、「あいつとデデ、デートだと!?」とひどい動揺ぶり。いやもうこれどう見ても両想いじゃん!
むしろ直の方がツンデレでは?


というツッコミは置いといてデート当日に進みましょう。
待ち合わせ場所で早々にナンパ男に絡まれている美喜。直はさらりと美喜を連れ出すことには成功するが、ナンパ男たちとけんかになり、またすぐに病院に逆戻りです。こんなデートは散々だー、と一度は思ったものの、美喜ちゃんに看病してもらってこんな表情まで見られるならこんなデートイベントもアリなのかな~と思ってしまいます。

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上のスクリーンショットをみて分かる方もいるかもしれませんが、本作のヒロイン美喜の立ち絵はLive2Dなので大きくアニメーションします。口パクだけでなく頭も揺らすし髪もなびく。ちょっと恥ずかしがるときに両手を口に当てるしぐさなんかも可愛くて良いですね。やっぱりアニメーションってコメディには特に威力を発揮するよなあと思います。



本作の笑えるポイントとして特徴的なのは、上のようなヒロインの可愛らしいシーンやちょっと恋人らしいシーンと、それを吹っ飛ばすようなギャグシーンの切り替えがスピーディーなところでしょうか。
特にドイツ帰りの医者が強烈でした。直と美喜が良い感じになりそうなところで何度雰囲気ぶち壊しの台詞を投げつけてきたことか! この急ハンドルを楽しめる方には特におすすめですね。ボイスの破壊力も満点です。
しかし医療器具を鼻に突っ込むのは医者としてどうなんだ! とだけ言いたい。



そんなこんなで色々ありつつ物語はエンディングへ向かうのですが、ここできちんと直が美喜を怒らせ続けてきたきっかけも明らかになって、そのうえで2人が前に進んでいけるのが気持ちいい内容です。直の言動は本当に酷かったですからね。あれは誰でも怒ります。外れ選択肢の台詞なんか口にした日にはラブコメ主人公でも彼女との関係が終わりかねないです…
そんな直がきちんと美喜に向き合っていくきっかけとなる出来事があるのですが、ゲームらしく非常に分かりやすい展開となっているのが良いですね。まああの人は現実では絶対にお近づきになりたくないタイプの人物ですが。


そう、本作の選択肢は落ち着いて読めばどっちが正解かは明らかです。普通の常識がある人なら心配ありません。しかしタイトル画面から難易度を上げて挑むと、制限時間が短くなったり選択肢が移動していたりして物理的に難しくなります。難易度によってシナリオの変化はありませんが、高難易度をクリアするとおまけのイラストが多く解放されるのでぜひ高難易度も攻略してみてください。




ちなみに、本作のBGMには誰でも1度は聴いたことがあるような超有名クラシック曲が使われています。
タイトル画面はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。本編が始まってからもショパンの子犬のワルツやモーツァルトのトルコ行進曲といった有名曲がいっぱい。それらの中でたまに曲名が分かると面白いネタが仕込まれていてそこも楽しいポイントでした。
病気を治すのに愛が必要だと言われたシーンではエルガーの「愛の挨拶」、時間切れで死んでしまった(ゲームオーバー)時はショパンの「葬送行進曲」、怒らせないように選択するところではヴェルディのレクイエムより「Dies Irae」(日本語で"怒りの日")など。選択肢を間違えたときにはモーツァルトのDies Iraeも使われていましたね。知っていればにやりとできるポイントでしょう。



というわけで今回は王道展開が楽しめるラブコメ、「怒ると死にます。」でした。
ぜひ美喜の機嫌を取りながらエンディングを迎え、幸せ全開のタイトル画面を眺めてください。

それでは。

こんにちは。今回はぷらちなクリエイティブさんの「そのサークル、地雷ですよ?」をご紹介します。

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★favo
ジャンル:同人活動の光と闇をコメディタッチで描くノベルゲーム
プレイ時間:4時間
分岐:基本一本道。ゲームオーバーあり
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2019/5
備考:ティラノゲームフェス2019準グランプリ作品


前回の2周年記事で触れた作品ですね。あれだけべた褒めしておきながらレビューしていなかったので記事に書くことにしました。
先週書いた通り、本作は3年前にティラノゲームフェス参加作の中から適当に作品を探していた時にたまたま見つけた作品です。めちゃくちゃ面白かったのに当時コメントが一つしかついておらず、多くの人に知られないのはもったいない作品だなあと思ったのはよく覚えています。というわけで今回は絶賛するだけの記事となります。


まずはあらすじを簡単に説明しましょう。主人公の緋色(ひいろ)は絵を描くのが大好きな高校3年生。将来はイラストレーターとして仕事をしたいと考えています。しかし母親がそれに大反対。勉強をして進学するように言ってくるので毎日のように喧嘩。そんな母親を説得するために、妹の黒亜(くろあ)と相談して考えた作戦は、1年以内に同人活動で目に見える成果を作って説得材料にしようというもの。早速同人サークル探しに励む緋色であったが、彼女が見つけるサークルは毎回地雷なのであった……。




私がブログを始めてすぐの時に、レビューについてという記事を書きました。そこで、最近のフリーゲームは商業ものと見まがうようなクオリティーの高いものが多くあるけれども、フリーゲームらしい粗削りで尖った、あるいは同人でなければ表現しえないものにも強く惹かれるという風に書きました。本作はまさに"フリーゲームらしさ"という点で満点だと思うのです。細かく見たらいろいろツッコむべきところはあるし、もし本作がコンシューマで発売されたら私もなんか違うなと思うでしょうし、バグ多すぎなどと酷評すらされるかもしれませんが、本作にはそれを補って余りあるフリーゲームらしさ、同人制作の魅力が詰まっているでしょう。この手作り感、キャラクターへの愛、そして自サークルで起こったアクシデントさえ作品に取り込んでコンテンツとして昇華させる強かさ。これが満点以外に何点を付けられるでしょう。


具体的な内容について書いていきましょう。
本作の良かったところの1つとして、魅力的な登場人物たちが挙げられるでしょう。
主人公の直井緋色はいわゆる天然。お勉強は苦手だけれども、小さいころから夢だったイラストレーターになるために色々と努力を重ねているいい子です。しかし天然ゆえ、努力が空回りしたり方向が間違っていることもしばしば。同人活動で実績を上げようとサークルを探しては加入してみるものの、揉めたり自然消滅したりといったことを繰り返し、進路を考えるぎりぎりの高校3年生になってしまいます。
そんな緋色が助けを求めたのが妹の黒亜。しっかり者のキャラクターで、同人活動では声優として一定の成功を残し、なんと芸能事務所への所属も決まっています。実力に加えて同人サークルをうまく運営するためのコツも緋色より詳しいようです。そんな彼女は毒舌キャラ。緋色のことは「アホ姉」呼ばわり。サークルの選び方から変えないと成功は見込めないときっぱり言い捨てますがツンデレ属性も持ち合わせているので結局は姉と一緒にサークル加入までしてしまう優しい子なのでした。
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メインはこの2人ですが、プロローグや章間で登場するお母さんも相当の曲者です。
イラストレーターになるの1点張りの緋色に対して、そんなの無理だからおとなしく勉強して大学に行きなさいと毎日バトルを繰り返しています。緋色が返事をしないと泣き落としもするし、脅迫まがいのこともするある意味本作中最強の人物です。緋色(と黒亜)はそんなお母さんを説得するためにどうしても1年以内に同人活動で実績を上げなくてはならないのです。



さて、本作のメイン部分は5章構成になっています。各章で緋色と黒亜は同人サークルに加入していきますが、なぜかどこに入ってもトラブル続き。問題を解決するために、というよりは一癖も二癖もあるサークルメンバーたちを説得するために奔走する分かりやすい構成になっています。

1章では歌い手サークル"怨恨のレクイエム"にイラストレーター・ナレーターとして加わることになった緋色と黒亜。メールの返信などは丁寧で問題なさそうなサークルですが、2回も通話してみるとこのサークルの抱える問題がプレイヤーにも伝わってきます。
そう、どう考えてもサークルの代表・ボーカルである"漆黒の誰彼"とミックス担当の"アイスターちゃん"が親密すぎて他のメンバーとの温度差がひどいのです。それだけならまだしも、(名前から想像できる通り)漆黒の誰彼はかなりの中二病。そしてこだわりが非常に強いタイプ。話し合いをするにしてもアイスターちゃんが絶対的な味方となってしまうため、他人の意見が耳に入らないその性質が助長されていたのです。

しかし緋色はそのヤバさに全く気付く様子がありません。この様子では確かにいろいろなサークルでトラブルに巻き込まれても気付かなそうだな~と若干気の毒になってしまいます。そこで毒舌黒亜の出番。緋色を地雷サークルの沼から引き抜くためには、そのサークルが地雷である証拠を集め、メンバーの反感をできるだけ買わないように問題点をズバリ指摘する必要があります。黒亜の毒舌は姉だけでなく他のサークルメンバーにも炸裂。ボケ担当(?)のサークルメンバーと黒亜のやり取りが大変勢いがよく本当に笑ってしまいます。そして険悪になりそうなときにはちゃんと緋色が黒亜にストップをかけてくれるので安心。
この「立証パート」がスムーズに進むかどうかはプレイヤーの選択次第。一定回数ミスするとメンバーの怒りが爆発してゲームオーバーとなってしまいます。セーブは分けておきましょう。

立証パートを初見でクリアするのはやや難しいくらいの難易度でしょう。会話中に数回ツッコミチャンスが来るので適切なタイミングで待ったをかけ、その発言が信頼できない証拠を突き付けましょう。
(やったことないので分からないんですが、逆転裁判ってこんな感じですか?)

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↑立証パート中。発言に突っ込むかスルーするかを選択します


無事に怨恨のレクイエムでのトラブルを解決した2人はまた新たなサークルを求めて掲示板を眺める日々を過ごすのですが、この章間ですら息をつかせる間もなく笑いのネタが降ってきます。
まずは何としても勉強をさせたいお母さんとのバトル。問題集を進めるか針を飲むかを選ばせるなどやりたい放題。サークルの”地雷”たちには毒舌全開の黒亜にもお母さんは手に負えないのでした。3章の後の心理学バトルが大好きです。
そして次回予告や自由通話パートも見逃せません。
「擬人化したマヨネーズ」「おち〇ちんクーデター」のパワーワードが強烈に脳裏に焼き付いています。(※下ネタが多いわけじゃないです)



2章以降もそれぞれ同人サークルに入ってみるは良いものの地雷続き。毎度サークル員の濃さに驚き、黒亜の毒舌のバラエティーに笑い、緋色のさりげないフォローとひたむきな姿勢に癒されながら物語は進んでいきます。


オタサーの姫問題であったり、自分の設定を押し通そうとする人をどうやって説得するか、そのうえで趣味としての同人活動を楽しく続けていくにはどうするのか、といった問題が、同人制作活動をしたことのない私にもわかりやすく、かつ共感しやすい形でたくさん登場します。このあたりの内容は、本作がフリーゲームとして制作され、公開されているからこそ説得力を持つ部分でしょう。後書きまで読めばわかりますが、本作を作るにあたって作者のぷらちなクリエイティブさんの中でも問題が発生していたようです。ボイス付きとなっている本作ですが、ゲーム制作中にまさかの事態に。それを作中のネタに盛り込み、人も足りない中、良い作品を作ろうと努力し完成・公開にこぎつけた作者さんの汗の結晶がはっきりと読み取れます。私がフリーゲームをプレイしていて最も嬉しいのはこのような瞬間なのです。




物語は5章で最終章を迎えます。前後編に分かれたこの最終章がまた熱くて良いんです。
最終章では、数字にしか興味がないサークルリーダー、ユーキとの対決という構図になっています。サークルのメンバーに一切の興味がなく、駒としか思っていないユーキですが、実力はありプロとのコネクションもあります。実の妹ですら作品制作のための歯車としか思っていない様子はいかにもな悪役ですが、実力と人脈を兼ね備えた彼女にゲームコンテストで勝つのは容易ではありません。ユーキの妹でサウンドクリエイターのココロと一緒に良い作品を完成させることを誓う緋色と黒亜。しかしイラスト・サウンド・ボイス担当だけいてもゲームは完成させられません。そこで、4章までに加入してきた同人サークルの知り合いに協力を仰ぎます。この流れが本当に魅力的。

これまでのサークルを散々「地雷」と酷評し毒舌をかましてきた黒亜ですが、人当たりも良くて情熱もある緋色のおかげで個人的に仲良くなれたメンバーが何人もいます。彼らを集めてプロクリエイターとの対決に挑む。まさに少年漫画のような友情・努力・情熱の展開で大変気持ちいい。
メンバー集めまでの段階ではこれまでと変わらないコメディ路線で大いに笑えるのですが、制作に取り掛かってからは本当にシリアスに、真剣に良い作品を作るために議論を戦わせ、コンテストで受賞するために作る、その先にあるプロへの道を目指すという内容が描かれるのです。



物語の前半ではいやいや姉に付き合わされて活動していた黒亜も、ここまで来たら本当に良い作品を作って実績を出す・ユーキを見返すということに熱意を感じる活躍ぶり。
「ヒーローはお姉ちゃんにしかできないんだ。だから私は、ダークヒーローになってやる。」
この覚悟を感じる台詞がとても好きです。

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最終的に8人にまで膨らんだサークルメンバー。それぞれの章でしっかりとキャラクターの性格や同人活動への姿勢、抱えていた問題点などを描いていたおかげで、最終章で全員集合しても誰一人キャラとして死んでいません。ただの天然に見える緋色も実は人を観察する能力に長けており、このサークルメンバーでどう役割分担をし、制作進行を行えばスムーズな完成が望めるかを的確に指摘。個性の強いメンバーを扱いやすいように王道に持っていくのではなく、彼らの作りたいもの、内に秘めた野望を解放させたうえで上手いこと全体のバランスをとっていきます。こんなフリーゲームができたら最高でしょう。緋色たちが完成させるノベルゲーム"サクナロク"を本当にプレイしたくなりました。

彼らが語る創作論やゲームを完成させる上での注意点なんかは、本当に作者さんが経験したり日々考えたりしていることなのだろうなというのを強く感じさせてくれます。ここも私が本作を大好きな理由の一つです。


本作をプレイしていてどうしても直してほしいと思うのは1点だけ。ノベコレのコメントにも書きましたが動作の安定性が低いところです。特に幕間で操作が効かなくなって再起動を余儀なくされることが何度か。特に2章の立証パート後のタイミングで何度やっても止まってしまい、一時はプレイ続行をあきらめようかと思いました。しかしとても良い作品だという予感がすでにあったためどうにかして続きをできないかと試行錯誤するうちに、マウスホイールクリックによるメニュー呼び出しは効くことに気付き、そこからメッセージスキップ選択で進むことができました。同様の現象に見舞われた方は参考にしてください。




目を見張るほどの美しいイラストがあったりとか、緻密に構成された伏線があったりするタイプの作品ではなく、ぱっと見で多くの人を呼び込める作品ではないのかもしれませんが、私の心にめちゃくちゃ深く突き刺さった作品です。今まで何かを作った経験はないけれど、同人制作楽しそうだな、いいなあと思える大変温かい内容と感動的なエンディング、そしてたっぷりの笑いを楽しめます。埋もれてしまうのはもったいない傑作だと思っているので、ぜひプレイしてみてください。
裏タイトル画面から読める後書きも大好きなので、プレイ後はそちらもお忘れなく!

それでは。

こんにちは。
明日3/6で私のブログが開設2周年になるので振り返りとか、私が普段どうやってプレイする作品を探しているかなどこれまであまり書いていなかったことについて書いてみたいなと思います。

2年間でレビューした作品は71本。そのうちおよそ3分の2に当たる47本がノベルゲームです(複数のカテゴリーに該当している作品もあるので厳密ではないですが)。当初の想定よりノベルゲームの比率が高いですがこれが現在の私のプレイする作品の傾向ということでしょう。去年も似たこと書いてますね。

さて、タイトルに書いたことについて書いていきましょう。
私はフリーゲームを好んでプレイしているわけですが、公開されているフリーゲームは本当に数が多く、そもそも存在すら知らないものが大多数です。それらの作品たちとの出会いを求めて日々情報収集しています。出会いの経路を分類するとだいたいこんな感じ。

  1. ふりーむ夢現ノベコレ等の配布サイトから直接面白そうな作品を探す。
  2. レビューサイト等他人の評判を見て探す。
  3. 過去にプレイして好きになった作者の作品を能動的に探す。
  4. SNSなどで流れてきた情報を受け取る。


まあ当然と言えば当然のことです。それぞれ見ていきましょう。

①配布サイトから直接

主に新着一覧を探します。他人の評価などが介在しない状態、事前情報がゼロの状態からプレイすることになることが多くなるので、これで面白い作品に出合えた時は自分の選球眼も良かったなあという気持ちになれるしフリーゲームをやっていて一番嬉しい瞬間の1つです。自分に合わない作品も多く、”あたり”に出会える確率が低い方法ではあるのですが、その分刺さる作品を見つけたときの喜びもまた一段と大きいです。

ランキングはほとんど上位の顔ぶれが固定されているし、どうせランキング以外の所でもたくさん目に入るのでわざわざ見に行くことは少ないです。夢現の週間ランキングは結構入れ替わりもあるので時々見るかなというくらい。夢現は他にも雰囲気別とかシステム別の分類もあって他サイトではあまり見られない検索機能の充実ぶりなのでその辺を主に見ています。ノベコレだとフェス参加作をランダムに見るなどもこれに入りますね。ふりーむだと新着一覧と、あとはたまにトップページから珍しめのタグで検索してみるくらいでしょうか。「19℃」はRen'Pyタグで検索して見つけた覚えがあります(当時は使用作品が片手の指で数えられる程に珍しいツールでした)。

配布サイトから直接見つけた作品ですごく好きなのは、まずはノベコレの「そのサークル、地雷ですよ?」が思い浮かびます。2019年のティラノフェス参加作ですが私が見つけた時点で1件しかコメントが付いておらず、とても人気作と呼べる状態ではありませんでした。しかしプレイしてみたら本当に面白い。天然姉と毒舌妹の掛け合い、同人サークルの”地雷”たちのキャラの濃さ、そして手作り感あふれる全体の雰囲気と、それを活かした終盤の熱い展開。大人気作に全く劣らないその魅力に目を奪われました。結局本作は準グランプリを受賞。応援していた作品が受賞する喜びを感じるとともに、ノベコレのコメント数は作品の魅力との相関は低く、作者の交流幅を強く反映するという見方を強くしました。

夢現で見つけた「PROTOCOL」もいい作品でした。ランキング上位には入っていなかった気がしますが、練られた世界観と美しいグラフィック、独自の探索システムとそれを活かしたギミック、それを乗り越えた後の感動的な展開とあらゆる分野で高水準な作品です。
ふりーむだと「あなたの殺し方」との出会いをよく覚えています。新着一覧で異彩を放っていたこのタイトル。プレイしてみると確かにグロテスクなシーンもあります。しかしそれを上回るほどに温かい結末と舌を巻く独自のギミックが存在していたのです。短編ながらしっかりした流れと結末のある良作でした。


②レビューなどを見て探す

作品の面白さを解説してくれた記事などを読むと、プレイ前の期待感もアップ、実際に面白い作品に出合える確率も高くなる方法だと思います。特に自分と好みの合いそうなレビュワーさんを見つけると非常に嬉しい。その人の紹介している作品をとにかくやってみるだけで面白い作品に出合いやすくなります。

私の場合久住女中本舗さんがそれでした。「夏ゆめ彼方」であったり、「be alive(18禁)」であったり、「死に至る病」であったり。これらの名作に出会うまでの道案内をしてくれました。現在はほぼ更新停止状態なのが残念ですが、レビュー記事数が半端ないのでまだまだ私は未プレイの作品がたくさん紹介されています。

その他によく見ているレビューサイトと言えばNaGISA netさんは外せないでしょう。あの質と量のレビューを1000本以上も書くのは並大抵のことではないです。私もレビューを書き始めて、全く敵わないなあと思うところです。あとはM.Mさん、おすすめ同人紹介さん、ノベルゲーム以外も含むと扇風機の旋風さんやふりーフェスさん、ソルトさん、ひとりアウトプット広場さん、フリーゲームの忘備録さんなどはTwitterでも相互だし定期的に見ているという感じです。またフリーソフト超激辛ゲームレビューさん、うそうさ~第二号室~さん、もぐらゲームズさん、自失の出窓からさん、Free Game Reviewさん、お気に入りと自由帳さん、満天の物語さんなどはチェックしている…と言いたいところですが到底チェックしきれないという感じです(最近は更新されていないサイトも含んでいます)。優しい世界さんは最近はソシャゲメインなので以前ほどは見ていないですね。

思いついたサイトを挙げていったら大量になりました。


③好きな作者を追う
面白い作品を見つけたら作者をチェックして他の作品を探しに行きます。やっぱり同じ作者さんの作品は好きになりやすいですね。
ペットボトルココアさんの作品はすべて読んだどころかライターの戸部みるくさんが別名義で書いた作品もフリーのものは全部プレイしましたし、ねこのさんや九州壇氏さん、シャイムの私目さんにHACKMOCKさん、へもへもさん、ベルカゲさん、晴好雨奇一丁目さんなどは現在もDL可能な作品は全てプレイしました。Flash時代からファンだったたんしおレモンさん、EYEZMAZEさん、シフトアップネットさんやむきりょくかん。さんにNeutralさんなどは今でも追っています。作品が多すぎてすべてはプレイできていないけど好きな作者さんも何人も。みやのさんやたぶんおそらくきっとさんなど。
昨年末にむきりょくかん。の吉村さんが「演劇少女は古都鎌倉を雪で潰す」以来10年以上ぶりに制作にかかわった作品が発表されましたね。ゲームではなく音声作品で、むきりょくかん。としての作品でもありませんがずっと追っていて良かったなあという気持ちになります。

逆にもう活動停止や解散したというサークルさんもあって残念に思うこともあります。
Shadow's Silhouetteさんやまちばり飴子さんが活動停止/閉鎖したときはかなりショックでしたし、一限はやめさんやmint wingsさんが停止宣言を出しているのに気付いた時は残念に感じました。まあ作者さんの自由だし仕方ないですけどね。
でもプロローグに当たる体験版相当だけ出してもう5年も音沙汰なしだと思っていたCALMFLAPさんの「カラフリウム」がまさかゲームではなく漫画の形式で連載されていたと最近気づいて、しかも連載が再開していてすごく嬉しかったので、皆さんも好きな作者さんはぜひあきらめずに追いかけましょう。


④SNSの情報から見つける
いちばん受動的な方法で、①~③に比べると大変楽です。そして流れてくる情報が大量。もう選ぶのが大変です。多分1回見たくらいでは記憶に留まることも難しいのではないでしょうか。頻繁に話題に上がる作品はやはり印象に残りますね。その意味で、受動的に見ているだけでは配信サイトのランキングなどと同じような感じになってしまうんじゃないでしょうか。
ちょっとマイナーな作品や、ストライクゾーンは狭そうだけど自分に深く刺さりそうな作品を見つけようと思ったら、「見つけてやるぞ~!!」という気持ちでタグ検索したりTLをさかのぼったりする必要がある気がします。

フリゲ20XXなどのサイトで探すのもこれに近いかもしれませんね。




5年前の私だと③の割合が一番高かったと思いますが、最近は徐々に④の割合が増えているように感じます。でもやっぱり至高の瞬間は①がハマった時なんだよな~!
しかし①を実らせるには相応の試行数が必要なので時間にも心にも余裕がないと厳しいですね。
最近①で見つけた作品というと、「クロノスの箱庭」「おもいをつたえるプログラム」「高対称のi」あたりになるでしょうか。
②も増えてきています。私も一応レビューを書いているので、プレイヤーと作品との出会いのきっかけになれたら嬉しいなと思います。


今回はここまでです。
3年目もよろしくお願いします。

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