こんにちは。今回はいねむりスフィンクスさん、さつき晴れさんの「モカブレンドをブラックで。」のレビューとなります。

オススメ!
ジャンル:クリスマスもの短編ノベルゲーム
プレイ時間:15分
分岐:なし
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2017/12
本作のタイトルを見た私は、まず「コーヒーって、甘いですか?」を連想しました。コーヒーを好きになる過程だったり、美味しそうに飲む様子だったりが印象的な作品だったので、本作もそれに近いような内容なのかなと思ったのですが全然違いました。ばりばりのクリスマスもので季節外れもいいところですがとても良い作品でしたのでご紹介します。
主人公のリクは浪人生。受験勉強もラストスパートに近いクリスマスイブの朝、サンタクロースの遣いを名乗る女性コメットがリクを訪ねてきて、サンタ役をやってくれないかと依頼してきます。
これだけでは突飛すぎて意味が分かりませんが、本作の世界ではなんとサンタクロースが実在しているのです。子供たちにプレゼントを届けるために、助手と二人でたくさんの家を回るのですが、なんと今年は体調を崩してしまったため、代理の人物を探しているというのです。

サンタクロース代理を引き受けたリクは、仕事のある夜まではまだ時間があるからという事でコメットに勉強を教えてもらったり、コーヒーを飲んだり、サンタクロースの国の話を聞いたりしていきます。
そして子供たちが寝静まった夜、いよいよプレゼント配り開始です。瞬間移動の能力を持つコメットと一緒に子供の家の前まで行き、授かった力を使ってその子供の望むプレゼントを生み出して枕元に置いていきます。
このように、私の当初の想像と違ってかなりファンタジー色あふれる物語なのですが、この優しい世界観に沿った丁寧で優しい文章と魅力的なキャラで全然飽きないんですよね。リクの頬をつつくいたずらをするコメットのお茶目な笑顔が素敵です。リクの方はなにやら事情を抱えている様子ですがとてもいい子で、子供たちのために一仕事するかという意気込みだったり、ちょっとした気配りだったりが感じられて作品の中にいやみな要素が全然ないのです。
リクとコメットがプレゼント配りをしながら雑談したり、瞬間移動の発動のために恐る恐る手を握ったり、穏やかなラブコメ的雰囲気がとても読みやすいですね。
そんな感じで物語は進んでいくのですが、本作の隠されたテーマはまだ見えてすらいなかったのです。
これがね…素晴らしかったです。短編なのでネタバレしないようにしようとするとほとんど語れる部分がないのですが、あえて一言だけ言うならこれはラブコメではなく、失恋の物語だったのです。
最後のプレゼントを配り終えてからが本作の本番と言っていいでしょう。リクはかなりお人好しなのですが、なんでそこまで、という部分がちゃんと作品のテーマとなる部分に結び付いていて読後感良好です。これまでレビューでほとんど触れてこなかったコーヒー要素についても綺麗に収束する感じがあって、そういうことあるよな~という気持ちにさせてくれます。

本編を読み終えると解放されるおまけショートストーリーはシンプルなラブコメのワンシーンが2本楽しめます。これもリクがちゃんと過去を清算したからこそすっきりと前進できるんですよね。楽しい気持ちになれる内容で良かったです。
さて、本作の制作には2つのサークルさんが関わっています。思えば本ブログで合作を扱うのはこれが初めてかもしれません。シナリオのいねむりスフィンクスさんの作品はこれまで読んだことがなかったのですが、イラストのさつき晴れさんの作品は何本もプレイしており、毎回妹もののギャルゲーを作っているイメージだったので本作の雰囲気とは異なっており少し意外でした。
今調べたらお二方ともショート・ショート・ショート100に参加されていたんですね。もう読んだのは5年ほど前なので読み返してみるのも良いなという気持ちになりました。
ちなみにリクの合格発表の日付が3/10と出ているのですが、調べてみるとこれは東大や京大をはじめとする難関国立大学の合格発表日ですね。浪人して勉強した努力の成果は実るのでしょうか。
ぜひ皆さんもプレイして確かめてみてください。
それでは。

オススメ!
ジャンル:クリスマスもの短編ノベルゲーム
プレイ時間:15分
分岐:なし
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2017/12
本作のタイトルを見た私は、まず「コーヒーって、甘いですか?」を連想しました。コーヒーを好きになる過程だったり、美味しそうに飲む様子だったりが印象的な作品だったので、本作もそれに近いような内容なのかなと思ったのですが全然違いました。ばりばりのクリスマスもので季節外れもいいところですがとても良い作品でしたのでご紹介します。
主人公のリクは浪人生。受験勉強もラストスパートに近いクリスマスイブの朝、サンタクロースの遣いを名乗る女性コメットがリクを訪ねてきて、サンタ役をやってくれないかと依頼してきます。
これだけでは突飛すぎて意味が分かりませんが、本作の世界ではなんとサンタクロースが実在しているのです。子供たちにプレゼントを届けるために、助手と二人でたくさんの家を回るのですが、なんと今年は体調を崩してしまったため、代理の人物を探しているというのです。

サンタクロース代理を引き受けたリクは、仕事のある夜まではまだ時間があるからという事でコメットに勉強を教えてもらったり、コーヒーを飲んだり、サンタクロースの国の話を聞いたりしていきます。
そして子供たちが寝静まった夜、いよいよプレゼント配り開始です。瞬間移動の能力を持つコメットと一緒に子供の家の前まで行き、授かった力を使ってその子供の望むプレゼントを生み出して枕元に置いていきます。
このように、私の当初の想像と違ってかなりファンタジー色あふれる物語なのですが、この優しい世界観に沿った丁寧で優しい文章と魅力的なキャラで全然飽きないんですよね。リクの頬をつつくいたずらをするコメットのお茶目な笑顔が素敵です。リクの方はなにやら事情を抱えている様子ですがとてもいい子で、子供たちのために一仕事するかという意気込みだったり、ちょっとした気配りだったりが感じられて作品の中にいやみな要素が全然ないのです。
リクとコメットがプレゼント配りをしながら雑談したり、瞬間移動の発動のために恐る恐る手を握ったり、穏やかなラブコメ的雰囲気がとても読みやすいですね。
そんな感じで物語は進んでいくのですが、本作の隠されたテーマはまだ見えてすらいなかったのです。
これがね…素晴らしかったです。短編なのでネタバレしないようにしようとするとほとんど語れる部分がないのですが、あえて一言だけ言うならこれはラブコメではなく、失恋の物語だったのです。
最後のプレゼントを配り終えてからが本作の本番と言っていいでしょう。リクはかなりお人好しなのですが、なんでそこまで、という部分がちゃんと作品のテーマとなる部分に結び付いていて読後感良好です。これまでレビューでほとんど触れてこなかったコーヒー要素についても綺麗に収束する感じがあって、そういうことあるよな~という気持ちにさせてくれます。

本編を読み終えると解放されるおまけショートストーリーはシンプルなラブコメのワンシーンが2本楽しめます。これもリクがちゃんと過去を清算したからこそすっきりと前進できるんですよね。楽しい気持ちになれる内容で良かったです。
さて、本作の制作には2つのサークルさんが関わっています。思えば本ブログで合作を扱うのはこれが初めてかもしれません。シナリオのいねむりスフィンクスさんの作品はこれまで読んだことがなかったのですが、イラストのさつき晴れさんの作品は何本もプレイしており、毎回妹もののギャルゲーを作っているイメージだったので本作の雰囲気とは異なっており少し意外でした。
今調べたらお二方ともショート・ショート・ショート100に参加されていたんですね。もう読んだのは5年ほど前なので読み返してみるのも良いなという気持ちになりました。
ちなみにリクの合格発表の日付が3/10と出ているのですが、調べてみるとこれは東大や京大をはじめとする難関国立大学の合格発表日ですね。浪人して勉強した努力の成果は実るのでしょうか。
ぜひ皆さんもプレイして確かめてみてください。
それでは。











