フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
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2025年08月

こんにちは。今回はいねむりスフィンクスさん、さつき晴れさんの「モカブレンドをブラックで。」のレビューとなります。

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オススメ!
ジャンル:クリスマスもの短編ノベルゲーム
プレイ時間:15分
分岐:なし
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2017/12


本作のタイトルを見た私は、まず「コーヒーって、甘いですか?」を連想しました。コーヒーを好きになる過程だったり、美味しそうに飲む様子だったりが印象的な作品だったので、本作もそれに近いような内容なのかなと思ったのですが全然違いました。ばりばりのクリスマスもので季節外れもいいところですがとても良い作品でしたのでご紹介します。



主人公のリクは浪人生。受験勉強もラストスパートに近いクリスマスイブの朝、サンタクロースの遣いを名乗る女性コメットがリクを訪ねてきて、サンタ役をやってくれないかと依頼してきます。
これだけでは突飛すぎて意味が分かりませんが、本作の世界ではなんとサンタクロースが実在しているのです。子供たちにプレゼントを届けるために、助手と二人でたくさんの家を回るのですが、なんと今年は体調を崩してしまったため、代理の人物を探しているというのです。

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サンタクロース代理を引き受けたリクは、仕事のある夜まではまだ時間があるからという事でコメットに勉強を教えてもらったり、コーヒーを飲んだり、サンタクロースの国の話を聞いたりしていきます。
そして子供たちが寝静まった夜、いよいよプレゼント配り開始です。瞬間移動の能力を持つコメットと一緒に子供の家の前まで行き、授かった力を使ってその子供の望むプレゼントを生み出して枕元に置いていきます。

このように、私の当初の想像と違ってかなりファンタジー色あふれる物語なのですが、この優しい世界観に沿った丁寧で優しい文章と魅力的なキャラで全然飽きないんですよね。リクの頬をつつくいたずらをするコメットのお茶目な笑顔が素敵です。リクの方はなにやら事情を抱えている様子ですがとてもいい子で、子供たちのために一仕事するかという意気込みだったり、ちょっとした気配りだったりが感じられて作品の中にいやみな要素が全然ないのです。
リクとコメットがプレゼント配りをしながら雑談したり、瞬間移動の発動のために恐る恐る手を握ったり、穏やかなラブコメ的雰囲気がとても読みやすいですね。

そんな感じで物語は進んでいくのですが、本作の隠されたテーマはまだ見えてすらいなかったのです。
これがね…素晴らしかったです。短編なのでネタバレしないようにしようとするとほとんど語れる部分がないのですが、あえて一言だけ言うならこれはラブコメではなく、失恋の物語だったのです。

最後のプレゼントを配り終えてからが本作の本番と言っていいでしょう。リクはかなりお人好しなのですが、なんでそこまで、という部分がちゃんと作品のテーマとなる部分に結び付いていて読後感良好です。これまでレビューでほとんど触れてこなかったコーヒー要素についても綺麗に収束する感じがあって、そういうことあるよな~という気持ちにさせてくれます。

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本編を読み終えると解放されるおまけショートストーリーはシンプルなラブコメのワンシーンが2本楽しめます。これもリクがちゃんと過去を清算したからこそすっきりと前進できるんですよね。楽しい気持ちになれる内容で良かったです。


さて、本作の制作には2つのサークルさんが関わっています。思えば本ブログで合作を扱うのはこれが初めてかもしれません。シナリオのいねむりスフィンクスさんの作品はこれまで読んだことがなかったのですが、イラストのさつき晴れさんの作品は何本もプレイしており、毎回妹もののギャルゲーを作っているイメージだったので本作の雰囲気とは異なっており少し意外でした。
今調べたらお二方ともショート・ショート・ショート100に参加されていたんですね。もう読んだのは5年ほど前なので読み返してみるのも良いなという気持ちになりました。


ちなみにリクの合格発表の日付が3/10と出ているのですが、調べてみるとこれは東大や京大をはじめとする難関国立大学の合格発表日ですね。浪人して勉強した努力の成果は実るのでしょうか。
ぜひ皆さんもプレイして確かめてみてください。

それでは。

こんにちは。
先週行ってきたイベントのレポートです。


まず先週日曜日は、有楽町マルイで行われていた真田まこと展の最終日でした。真田まことさんと言えば、「霧雨が降る森(※フリー配布は終了)」「殺戮の天使」の作者として有名ですね。以前本ブログでは、ミュージカル殺戮の天使観劇記を書いたりしました。
今回はコミケは午後入場枠でリストバンドを購入していたため、せっかくならと午前中はこちらの展示会へ行ってみることにしました。

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入り口に堂々と掲示されたポスターがすごい。
ちなみにマルイの開業時間は11時なのですが、これはその直前の写真です。開店待ちしたのは初めてで、こんなに人が並んでるんだというのを初めて知りました。


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展示会場の7階には等身大パネルがずらり。開場と同時に入ったはずなのですがすでに結構並んでました。せっかくなので800円の音声ガイドを購入して中へ。音声ガイドといえば専用機器を借りるタイプのやつ(美術館とか博物館にあるやつ)かと思ってたんですが、来場者のスマホを使ってWebアプリ方式で作られてました。

これ聴いてて思ったんですが、真田まことさんって女性だったんですね。ゲーム制作者というとやはり男性の方が多いイメージで、まことという名前は男女どちらもあるので勝手に男性をイメージしてたんですが、女性の声が聞こえてきて作者が女性であることを初めて知りました。
私はフリーゲームは好きでいろいろプレイしてきているし、「霧雨が降る森」「殺戮の天使」はどちらもプレイしてきているのですが、もうほとんど商業作に近いイメージを持っていたので、作者さんに特別注目したりはしてなかったんですよね。この展示会が「殺戮の天使」展ではなく「真田まこと」展であるのを実感しました。

作者さんがもともと舞台芸術に携わっていたという事や、ゲームにおいても総合芸術的な表現が可能であることに気付いて制作へのめり込んでいったなどという背景を知り、なるほどそれでと納得するような演出がありました。そしてこの総合芸術というワード、私が去年せりこさんの企画に寄せた意見に一致していて、こんなところで作者とのシンクロを感じられるとは、と嬉しくなりました。

展示では、ゲーム制作の裏話やゲーム中に使われた立ち絵の原画、メディアミックスの経緯など見ごたえのあるものが並び、多くの場所では撮影可能となっていましたがブログへの掲載は自重しておきます。これから大阪・名古屋でも開催されるようなので、気になる方はぜひ足を運んでみてください。


私はゲーム以外のサブカルチャーにはほとんどかかわりがない(読んでいる漫画がいくつかあるくらい)ため、アニメ版の殺戮の天使を見たことがなかったのですが、音声ガイドの聞き手役がレイチェル役の声優さんで初めて声を聞きました。そして思ったのですが、あのミュージカルのレイ役の方はかなりアニメに声を寄せて演じていたんですね。すごいなあ。もしかしたらほかのキャラもそういったことにまで気をまわして演技されていたんでしょうか。舞台芸術というのは本当に多数の要素からなっているんだなあと感じられました。


最後に物販コーナーがあったので一通り見てみたのですが、レイ・ザックのグッズはあらかた売り切れとなっておりさすがの人気といったところですね。ミュージカルの時の記事に書いた通り、私はキャシーが好きになってしまったのでキャシーのアクリルスタンドと、なんとなく目について可愛かった須賀くんのキーホルダーを購入しました。柔らかくて触り心地いい感じ。
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そんな感じで回っていると12時を過ぎてしまいました。急いでビッグサイトへ向かいます。
午後入場なら並ばなくて済むかと思っていたら全然そんなことなくて、午前中に並んだ時と変わらない長さの列がビッグサイトから伸びています。ペットボトルやタオルを持って行って良かった。


苦労して建物の中に入るも、今回は同人ゲームのエリアは入り口から一番遠い東7会場。一度間違えて東4~6のエリアに入ってしまい、しかも出入り口が一方通行で出るに出られず、目的地にたどり着くまでにいろいろと苦労しました。事前に調べておくべきでした…

そんな感じでようやくSTailさんのブースへ。先月このブログでも扱った第二回同人縁日のレビュー冊子「HANABI」を受け取ります。私はこれまでブログ上で色々レビューなど書いてきたわけですが、こうして冊子として物理的な形になっているのを見るとまた感動がありますね。サークルの方も数名いらっしゃって、自己紹介したり感謝を述べたり、そして今後の展望なんかを聞かせていただいたりしました。せっかくなので「青瞬」冊子を購入してほかのサークルさんをめぐります。

私は最終的に「Sweet Flag 3」「スターリードリーマー」「HalluciN/Ation」「不完全なるこの世界」「嘘より綺麗なセカイ」の5作のレビューを寄稿しましたので、まずそれらのサークルさんを探して挨拶に回りました。いずれも作品入手したのでプレイしていくのが楽しみです。スターリードリーマーのSTELLACHRYMAさんについてはタイミングが悪くサークル主さんが不在で残念だったのですが、刹那ちゃんのでかいアクリルスタンドに巡り合うことができました。
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本当にでかい。台座込みで15cmほどあります。

他にも同人縁日参加サークルさんでノベルゲームを作っているところは大体巡ったはずです。漏れてたら申し訳ない。

また、以前からお付き合いがあったポロンテスタさんにも向かいます。
今回は新作ゲームは間に合わずという事だったので、冊子の「こころのノート」「ぽろんくらぶ」を頂いていきます。「こころのノート」ページ数えぐいよフルカラーでこれかい!

5月の東京ゲームダンジョンでお会いした緑茶弐捌號さんにもお会いしました。私のこともばっちり認識されていて、DLカードを4枚もいただいちゃいました。設定資料集とチョコリエルキーホルダーも購入してきました。設定資料集に面白さはあまり求めていなかったのですが…ついつい笑っちゃいました。明くん名字の設定あったんだね。

あとえるりんごさんサークル10周年おめでとうございます。コミケやらビジュアルノベルオンリーやらでたびたびお会いしている気がします。新作は超大作という事なので気合入れてプレイしていきたいです。

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長い一日でした。1週間たった今振り返っても長かった。
レビューは続けていきたいと思っていますので、今回ご縁のあったサークルさんはぜひ今後もよろしくお願いします。

それでは。

こんにちは。今回は1MinGame+さんの「セレスティアルトリップ inコスモ∞ワールド」をご紹介します。(リンク先音が鳴ります)

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ジャンル:パズルゲーム
プレイ時間:1プレイ1分
分岐:なし
ツール:HTML5(ブラウザゲーム)
リリース:2024/5(デモ版)


本作は東京ゲームダンジョンで知った作品になります。
シンプルなパズルゲームながらハイスコアを目指そうとするととんでもない集中力と非直感的な戦略を求められる作品で、1週間でかなりの時間を費やしましたのでブログに書いておこうと思います。

1プレイ60秒の制限時間の中でいかにスコアを稼ぐかというゲームなのですが、できる操作は2つだけ。2つの数字を選んで足し算することと、縦横斜めに同じ数字がそろっている個所を消すことです。

基本操作に当たるのは2つの数字を選ぶ方です。盤面に表示された9個の数字のうち1つを選択します。その状態で2個目の数字をタップすると、その和によって盤面が変化します。和がちょうど10の場合数字は二つとも消え、スコアに100点加算されます。9以下の場合は1つ目の数字のみ消え、2回目に選んだ方の数字が和の値に変化、スコアは30点だけ加算されます。和が10を超える場合はどちらも消えてしまい、スコアの加算はなしです。消えた場所には新たな数字がランダムに補充されます。操作回数に制限はないので、いかに素早く和が10になる組み合わせを見つけてどんどん消していくかがハイスコアへの道です。

2つ目の操作は条件が整った時しかできません。3×3の盤面の中で、同じ数字で1列以上のビンゴができている場合、右下のキャラをタップでビンゴになっている個所を全て消してしまうことができます。この時ビンゴの列×300点の点数が加算されます。漫然とプレイしているとなかなかビンゴにはならないのですが、うまく狙いながらプレイすると面白いように点が稼げます。

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作者の1MinGame+さんはその名前の通りプレイ時間の短い作品を作っていて、特に「1分でお勉強になる」を目指しているそうです。本作でいうと1桁の足し算がそれにあたるでしょう。確かに年長~小学1年くらいの子供がやる分には学習教材としても使えそうです。
しかし義務教育はとっくの昔に終えた私は、ひたすらハイスコアのためにやり込んでいきました。私が見た時点ではランキングのトップは6120点。少しやり込めば超えられそうと思った私は1日の練習で7600点を達成。欲が出てきた私はどこまで点数を伸ばせるか1週間程度かけて練習し、現在の所ハイスコア13210点を達成しています。以下では私がとった戦略について説明します。


まず前提として、1桁の足し算は瞬時にできるようにしておいてください。2つの数字の和はもちろんですが、3つの数字の和が10になる組み合わせなども暗記しておくと役に立ちます。
また、本作はブラウザゲームのためPCやスマホなど様々なプレイ環境が考えられますが、スマホやタブレットなどのタッチ端末でのプレイを強く推奨します。複数指タップができるスマホに比べてマウス操作では速度に限界があります。

自然な攻略法として、和が10になる組み合わせをどんどん見つけていき消していくという方法が考えられます。1+9や2+8などはもちろんのこと、和が9以下の場合その値に変化するという性質を使えば2+3+5などの3つ以上の組み合わせでも10を作ることができます。
しかしこれだけやっているとすぐに壁にぶち当たります。8や9などの大きな数字が余ってしまい、10にできる組み合わせが割とすぐ枯渇してしまうのです。そうなる前に余りそうな大きな数字は10をオーバーしてもいいので排除してランダムな数字に変化させておく必要があります。オーバーにペナルティがないので都合のいい数字が出るまでどんどんリセマラしていきましょう。

私はイベント当日の試遊でこの方法で挑みおよそ3000点を獲得していました。自宅の集中できる環境で本気で挑んでみましたが頑張っても5000点台くらいが限界です。6000点以上を目指すには、ライン消しを積極的に使う戦略に移行する必要があるのです。

ライン消しの強いところは条件が整ってさえいれば1タップで300点取れるだけでなく、複数ラインそろっていればその分得点が入ることです。極端な話すべてのマスに同じ数字がある場合、縦3列横3列斜め2列の合計8列がそろった扱いになるため、一挙に2400点が加算されます。
もちろん実際にはそんなに簡単にそろわないわけですが、狙えば5ビンゴくらいはコンスタントに達成できます。

能動的にビンゴを狙うには、ランダムに出てくる数字に頼っているわけにはいきません。盤面の数字の中で和が9になる組み合わせを見つけ、どんどん盤面に9を増やしていきます。9である必要性があるわけではありませんが、1+8、2+7など多数の組み合わせがあるため9にするのが最もそろえやすいです。9マスのうち7マス以上が9で埋まったらライン消しを発動。手際よく行けば5秒~10秒程度で1500点以上稼ぐことができます。

また、60秒というのは短いようで意外と長いので、集中力を保つためのケアも考えておいた方が良いでしょう。連続してプレイしていると思っている以上に疲れるので、適宜休憩をはさみながらやり込みます。

プレイ中に盤面に集中していると残り時間を確認する余裕がないため、サウンドをオンにしてBGMから残り時間を判断できるようにしておくと終盤の足掻きに役立ちます。

私が気にしているのはこんなところでしょうか。
私が13210点を出したときの動画はYouTubeで見られます。


ライン消しでそろえる数字は9が強いと書きましたが、初期状態の盤面に応じてほかの数字がそろえやすい場合もありますので、そこは臨機応変に判断していきましょう。この動画では一度8をそろえています。

というわけで今回は「セレスティアルトリップinコスモ∞ワールド」でした。
ちなみに私はタイトルに使われているセレスティアルという単語を知らなかったのですが、辞書を引いてみたところ「天上の」や「空の」などの意味のある英単語(celestial)のようです。確かに副題に入っているコスモという言葉や星空っぽい背景画像と繋がっていますね。

私の記録への挑戦もお待ちしています。
それでは。

こんにちは。今回は伏見のヒナタはんさんの「立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー あるいはオリジナリティの無い卒業までの日々」です。

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ジャンル:立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー
プレイ時間:2時間半
分岐:基本一本道。最後に3つに分岐
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2024/2


伏見のヒナタはんさんと言えば、「まったく証拠は無いですが、あなたが犯人です。」などのミステリーギャグ作品を作っていらっしゃる方です。私は本作の発表を目にしたとき、今度はギャルゲーを作ったのかと思うと同時に、出オチネタかあるいは「クリーチャーと恋しよっ!」シリーズのようなごく普通のシナリオ+ナンセンスな立ち絵といったスタイルを想像しました。しかし実際にプレイしてみるとそれらとは全く異なるスタイルで、最初から最後までボケまくりの超ハイテンポコントのような内容となっており私の予想を大きく上回る作品でしたので是非紹介しようと思いました。


本作の主人公の八倉仁之(はちくら・にの)は高校3年生。通学路で出会った羽撃きらり(はばたき・きらり)や、席が隣同士だった大阪言葉(おおさか・ことは)、担任の観月橋小桃(みづきばし・こもも)らとあれやこれやあってラブコメを展開していきます。

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そのヒロインたちの立ち絵はタイトルの期待を裏切らない姿勢。通学路とか公園のシーンのみならず、授業中でさえこの姿勢を崩しません。とにかくインパクトがあるのは間違いないでしょう。
そのほかは普通のラブコメ…かと思いきや、それは私が本作をナメてただけでした。もはやこの立ち絵が些細なことに感じられるくらいのボケまくり展開で本当にすごい。

私がキャラクター的に好きなのは言葉でした。大阪言葉という名前でこのギャグ系シナリオなら、間違いなく関西弁のお調子者キャラを思い浮かべるでしょうが、必ず予想の斜め上を行ってくれる本作、彼女は名前と実際の性格のギャップに悩めるシャイガールだったのです。(それにしては髪飾りの攻め方すごいけどな!)

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「学年ビリの陰キャが1年で歌舞伎町の四天王と言われるまでになった話」というどこかで聞いたことあるような怪しげな本を信じて陽キャになる努力を続ける彼女、可愛いですね。もちろんあまりに意味不明なので現実ではお近づきになりたくないタイプですが…

そんな彼女にはモノマネという特技がある様子。有名アニメキャラの台詞っぽいネタがたくさん登場。アニメを見ない人でも名前くらいは聞いたことがあるくらいの有名どころからとってきているようで、分かりやすくてよかったです。普段あんなにおどおどしてる人が堂々とモノマネを始めるものですからそのギャップがまた印象的。
途中いろいろなキャラが入り乱れるところがあって、そこはアニメに詳しくない私はどこが何の作品の誰の台詞のパロディなのか全然分からなかったりしたので、キャラごとにフォントが変わったりすると伝わりやすいかなと思いました。


さて、本作で狂っているのは登場人物だけではありません。初見の時私はギャグを通り越してバグかと思った要素がありました。
それは学校のチャイム。普通キンコンカンコンとなるあれを思い浮かべると思いますが、本作のあれはなんなんだ(汗)。直後のテキストであの変な効果音が学校のチャイムだったことを知り、完全に作者さんの手のひらの上で踊らされてたんだなと気付きました。みなさんも一回体験してみてください。本作のおすすめポイントを3つ挙げろと言われたらこれは絶対入ると思います。
ほかのBGMとかの選曲は普通な中にぶち込まれてるのが変態を極めてる感じがします。


レビューを書いていて気付いたのですが、この演出などのシナリオ以外の部分を含めた総合力で笑わせに来る感じはインコさんの「フリーソフト制作過程」シリーズに近いかもしれません。フリーソフトシリーズは主に演出でボケるスタイルでしたが、本作はそれにギャグテキストとイラストによるボケが追加され、よりキャッチーになったというイメージでしょうか。


そんな本作には、エンディングに影響しない選択肢が多数あります。
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直後の展開が変わるだけなのでお好みで狂った選択肢を選んでみてください。結構な頻度で登場するので、選択肢コンプリートするのは大変かもしれません。

メインのヒロイン以外も数人登場しますが、彼らもまた癖が強い。
蹴車先生や百合前さん、本田先生。1回こういう方向で変な人なんだろうな~と思わされてから絶対にその期待を上回る濃いキャラを出してくるので、サブキャラにも注目してプレイしていただきたいです。
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ティラノ製ですがUIは軽快でいい感じ。右上の踊っている人のようなマークがメニューボタンです。レトロな電子レンジのようなチンッという効果音がまた独特のセンスですね。あとは固有名詞にかならず振り仮名がついているのもうれしいところ。これまで見てきたように誰も彼も名前から一味違っているので、読み方に迷わなくて済むのは快適です。
あと少し変わっているのは、教室の窓から見える雲がすこしずつアニメーションしているところでしょうか。スクリーンショットでは分かりませんので是非皆さんの手でプレイしてみてください。


本作のエンディングは大きく3種類。それまでのFree Optionで何を選んだかに関係なく、最後の選択肢のみで誰とのエンディングに行くか決定します。
そしてここでもボケが挟まるのは流石。油断してると最後の最後で刺されちゃいますよ!
ちなみにこの選択肢画面ではメニューボタンは消えてしまうので、セーブするならマウスホイールクリックでメニューを呼び出す必要があります。


レビューには全く書き切れないほど多種多様で高密度なギャグが360度から降ってくるこの体験をぜひ皆さんも味わってみてください。
それでは。

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