記念すべき初のレビューでは、mint wingsさんのココロ、そらいろ。をご紹介します。
ジャンル:ほのぼの日常ノベルゲーム
プレイ時間:1時間弱
分岐:なし
ツール:NScripter
リリース:2015/4
本作は、なんとなく学校に行きたくなくなってしまった小学校6年生の主人公いつきが、保健室登校を続ける中で同じく保健室登校のゆず、もとなりや養護教諭のあおき先生との交流を重ね、成長していくなんとも心温まるシナリオのノベルゲームです。
本作は1話5分以内で読めるような短い話が12話で構成されています。この構成の仕方がうまいです。1話1話がサクッと読めるので負担を感じずにどんどん読み進めていけます。12話で1年間の物語となる都合上、各話の間には1か月ほどのブランクがあるのですが、その間に交流が進んでいるんだろうなと感じられるのもうまい演出だと思います。
いつきたちは保健室登校を続けているということは、彼らの中に何らかの問題を抱えているということです。大人から見たら、小学生なんか無邪気で何の悩みもないように見えますし、子供のころに戻ってのんきに遊びまわりたいと思う気持ちもありますが、まさか本当に悩みがないなんてわけはありません。むしろ子供特有の問題を抱えていたりします。本作では、そんな子供たちの悩みをクローズアップしています。
みんなと同じにするのを拒んだら仲間外れにされてしまったゆず、自分が笑うなんて似合わないと決めつけてしまい笑顔を失ってしまったもとなり。そして"なんとなく"学校に行きたくなくなってしまったいつき。彼らは保健室登校を続ける中で自分の答えを見つけていき、前に進んでいくのですが、それには必ずしも大きな事件は必要ないんですね。日々学校に通う中で、同じく保健室登校の友達や先生と交流を重ねていくと、いつの間にか素直に自分の気持ちを出せるようになったり、悩みなんて大したことなかったなと気付いたりするわけです。その解決の過程を丁寧に描写してくれるので、悩みを解決して笑顔になっていく子供たちを見ていると、まるで自分のことのようにうれしくなり、最後のシーンでは泣きそうになりました。

グラフィックやBGMも感動の演出に一役買っています。ピアノ曲中心の柔らかい音楽、デフォルメの利いた優しい絵柄はこの作品の雰囲気にぴったりです。クリア後にスチルや音楽の鑑賞モードが解放されるのも良いですね。
システムも必要な機能がそろっていて不満なしです。
いつき、ゆず、もとなりの3人を中心に展開していく本作ですが、あおき先生の悩みが中心となる回が1つあり、そこは物語のテーマと少しずれてしまったんじゃないでしょうか。大人の悩みってそんなに簡単に何とかなる問題でもないことが多いですし……。でも、子供たちが先生を慕っているからこそ答えを出せたという意味ではメインテーマに対しても意味のある話だったようには思います。
さて、ゆずともとなりについては、不登校に至ってしまう原因が割とはっきりしています。問題がはっきりしている分それが解消してしまえば一気に視界が開けるといった感じがあり、2人の立ち直りシーンは微笑ましいだけでなく、納得感もあるものでした。しかし主人公いつきに関しては、そもそもなぜ学校に行きたくなくなってしまったか、自分がダメだと思ってしまったかに関してこれといった理由がありません。同梱のあとがきにも書かれていましたが、"ふつう"の子として描かれているのです。そうした漫然とした悩みや不安って、得てして解決が難しいものです。それが、今までのゆずやもとなりとの交流は前提にあるものの1話で解決してしまっているので、いつきの復活については何となくもやもやが残ってしまいました。それでも最後に中学校の入学式に向かういつきの様子は私にとても勇気を与えてくれるものでしたし、温かい気持ちになれることは間違いありません。
また、物語中で授業参観のシーンがありましたが、自分が小学生の時のことを思い出して懐かしい気分になりました。小学校の授業って、みんな競って手を挙げてたし、めちゃくちゃでも自分の意見を表明してたし、活気ありましたよね。私が眠気を我慢しながら授業を受けるようになったのはいつからだったでしょうか。
この回では、作者さんの過去作(モラトリアム -boys men-:BL。苦手な方は注意)とのつながりが示唆されています。
全体として派手な出来事が起きるわけでもなく、大きな感動を呼ぶ作品でもないですが、子供たちの純真さを見て癒されるような、そして優しい気持ちになれるような素敵な作品ですので、ぜひ読んでみてください。
それでは。

ジャンル:ほのぼの日常ノベルゲーム
プレイ時間:1時間弱
分岐:なし
ツール:NScripter
リリース:2015/4
本作は、なんとなく学校に行きたくなくなってしまった小学校6年生の主人公いつきが、保健室登校を続ける中で同じく保健室登校のゆず、もとなりや養護教諭のあおき先生との交流を重ね、成長していくなんとも心温まるシナリオのノベルゲームです。
本作は1話5分以内で読めるような短い話が12話で構成されています。この構成の仕方がうまいです。1話1話がサクッと読めるので負担を感じずにどんどん読み進めていけます。12話で1年間の物語となる都合上、各話の間には1か月ほどのブランクがあるのですが、その間に交流が進んでいるんだろうなと感じられるのもうまい演出だと思います。
いつきたちは保健室登校を続けているということは、彼らの中に何らかの問題を抱えているということです。大人から見たら、小学生なんか無邪気で何の悩みもないように見えますし、子供のころに戻ってのんきに遊びまわりたいと思う気持ちもありますが、まさか本当に悩みがないなんてわけはありません。むしろ子供特有の問題を抱えていたりします。本作では、そんな子供たちの悩みをクローズアップしています。
みんなと同じにするのを拒んだら仲間外れにされてしまったゆず、自分が笑うなんて似合わないと決めつけてしまい笑顔を失ってしまったもとなり。そして"なんとなく"学校に行きたくなくなってしまったいつき。彼らは保健室登校を続ける中で自分の答えを見つけていき、前に進んでいくのですが、それには必ずしも大きな事件は必要ないんですね。日々学校に通う中で、同じく保健室登校の友達や先生と交流を重ねていくと、いつの間にか素直に自分の気持ちを出せるようになったり、悩みなんて大したことなかったなと気付いたりするわけです。その解決の過程を丁寧に描写してくれるので、悩みを解決して笑顔になっていく子供たちを見ていると、まるで自分のことのようにうれしくなり、最後のシーンでは泣きそうになりました。

グラフィックやBGMも感動の演出に一役買っています。ピアノ曲中心の柔らかい音楽、デフォルメの利いた優しい絵柄はこの作品の雰囲気にぴったりです。クリア後にスチルや音楽の鑑賞モードが解放されるのも良いですね。
システムも必要な機能がそろっていて不満なしです。
いつき、ゆず、もとなりの3人を中心に展開していく本作ですが、あおき先生の悩みが中心となる回が1つあり、そこは物語のテーマと少しずれてしまったんじゃないでしょうか。大人の悩みってそんなに簡単に何とかなる問題でもないことが多いですし……。でも、子供たちが先生を慕っているからこそ答えを出せたという意味ではメインテーマに対しても意味のある話だったようには思います。
さて、ゆずともとなりについては、不登校に至ってしまう原因が割とはっきりしています。問題がはっきりしている分それが解消してしまえば一気に視界が開けるといった感じがあり、2人の立ち直りシーンは微笑ましいだけでなく、納得感もあるものでした。しかし主人公いつきに関しては、そもそもなぜ学校に行きたくなくなってしまったか、自分がダメだと思ってしまったかに関してこれといった理由がありません。同梱のあとがきにも書かれていましたが、"ふつう"の子として描かれているのです。そうした漫然とした悩みや不安って、得てして解決が難しいものです。それが、今までのゆずやもとなりとの交流は前提にあるものの1話で解決してしまっているので、いつきの復活については何となくもやもやが残ってしまいました。それでも最後に中学校の入学式に向かういつきの様子は私にとても勇気を与えてくれるものでしたし、温かい気持ちになれることは間違いありません。
また、物語中で授業参観のシーンがありましたが、自分が小学生の時のことを思い出して懐かしい気分になりました。小学校の授業って、みんな競って手を挙げてたし、めちゃくちゃでも自分の意見を表明してたし、活気ありましたよね。私が眠気を我慢しながら授業を受けるようになったのはいつからだったでしょうか。
この回では、作者さんの過去作(モラトリアム -boys men-:BL。苦手な方は注意)とのつながりが示唆されています。
全体として派手な出来事が起きるわけでもなく、大きな感動を呼ぶ作品でもないですが、子供たちの純真さを見て癒されるような、そして優しい気持ちになれるような素敵な作品ですので、ぜひ読んでみてください。
それでは。
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