フリーゲームの森

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RPG

今回は、POPOさんのキミだけのパーリナイトをご紹介します。

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ジャンル:短編ほのぼのファンタジーRPG
プレイ時間:3時間
分岐:なし
ツール:RPGツクールVXACE
リリース:2019/12


今回はRPGのご紹介となります。
本作は一言でいうと、とてもかわいいRPGです。主人公のメロディはエルフの国のお姫さま。衰退の一途をたどるエルフ族のために、大陸各地にある石碑に祈りを捧げる"儀式の旅"へ出る。この旅に同行するのが兄であり次期国王となるナルシスと、護衛役の人間(ナイト)のヤバイ。この3人の力が抜けるようなドタバタしたやり取りにちょっぴり癒されました。
ちなみに、ナルシスとヤバイはその名前にぴったりなキャラです(笑)
ナルシスはばっちりナルシストだし、ヤバイは初見の印象がヤバいパーリーピーポー。

立ち絵やスチルのみならず、マップや戦闘アニメーションにも力が入っていて、可愛い雰囲気が一層引き立っています。さらにこの3人の良くしゃべることしゃべること。イベント時の会話はもちろん、戦闘で自分の行動をしたり相手からダメージを受けたりするたびにしゃべります。しかもそれが何パターンもある! 個人的には、攻撃時の「ごめんね。」が好きです。
ダンジョンで宝箱を開けた時や、町で壺や箱を調べた時のアニメーションもあったりして、本当に手が込んでます。

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本作の戦闘システムは少し変わっていて、リアルタイム制で行動順が回ってきます。コマンド選択の間も容赦なく時間は過ぎていくので(どの魔法やアイテムを使うかや効果対象の選択時には止まります)、操作にはある程度の慣れとスピード感が必要になるでしょう。最初や2つ目のダンジョンくらいではとにかくスペースキー連打で物理で殴っていれば何とかなりますが、それ以降では適切なタイミングで魔法攻撃をしたり、アイテムで回復したりしないと進みにくくなるバランスです。この行動選択の時に、画面の表示では誰のターンなのかが分かりにくいことがあり、これは何とか改善してほしいなあという所です。また、マップ中のキャラ横に表示されるHPバーが正確ではないことがありますね。これは画面下の大きいほうの表示を見れば正しいほうが分かります。
しかし本作はシンボルエンカウントを採用しているので、戦う前にどの敵が出現するのかが分かりますし、ザコ戦闘の回避も容易です。戦ってみて勝てなそうと思った時もShiftキー長押しでほとんどの場合逃走できるので、慣れないうちでもそう簡単には死なず、親切な設計です。特に、各ダンジョンでとびぬけて強い敵が大体1種類存在するので、そいつに負けそうになったらどんどん逃げましょう。

そうはいっても、ザコ戦闘をとにかく避けて進むというのはお薦めできません。結局ボス戦までにある程度経験値を稼いでおかなければなりませんし、敵が時々落とす装飾品が大変重要なのです。本作では武器や防具は店で買えても、装飾品は敵のドロップを拾うしかありません。装飾品の装備枠は7つもあるので、強い装飾を付けているかでステータスにかなりの違いが出ます。特に本作ではパワーやタフのステータス1の差が結構大きいので、装飾品は積極的に集めていきましょう。ちなみにスピードはさらに重要ですが、スピードが上がる装備はめったに手に入りません。手に入ったら絶対に装備しましょう。


さて、本作の話をするうえで、ストーリーをスルーすることはできないでしょう。作者のPOPOさんの他の作品をやったことがある方なら、この旅がほのぼのした雰囲気だけのまま終わるはずがないと思われるでしょう。実際私もそう思いましたし、その予感は的中しました。もっと言うと、旅の最後に起こることも予想通りでした。しかしそれでも、本作のストーリーは面白く感じたのです。なんでかというと難しいのですが、多分、メロディとヤバイの関係だとか、ナルシスの覚悟とか、ヤバイが決心に至る理由とかがしっかり道中で語られていて、バックグラウンドがしっかりしたキャラクターとして最後のエピソードに突入したからなんじゃないかなと思います。また私は、序盤に出てきた軽いやり取りが最後になって意味を変えて再度登場するというパターンが大好きなんですよ。(人間界の常識と照らして)世間知らずだったメロディが成長するというところもあり、終盤の展開はなかなか印象に残りました。
ただ、エンドロールの一番最後のアレはどういうことだったのかよく分からなかったのが少々残念です。エピローグとかで補足が入るのかなと思っていたらそのままタイトルに戻されてしまいました。あとがきでも何でもよかったので、最後にもう一押し欲しかったですね。

と、終盤の展開はややシリアスですが、道中の大半はギャグのノリで進んでいきます。特に、お決まりの温泉シーンは必見ですよ。パラチャッカ海岸のボスへ行くところの分かれ道を下に行くとあります。
このシーンの音楽が耳に残って離れないので、ぜひ皆さんもプレイして温泉に入ってみてください。

それでは。

こんにちは。今回は、前回ちらっと名前を出したほりんさんのSheSeeCrisis!をご紹介します。

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ジャンル:おしっこ我慢系短編RPG
プレイ時間:1プレイ10分前後、隠しエンド到達まで1時間半程度、その他やり込み要素あり
分岐:あり(後述)
ツール:RPGツクール(アツマールでもプレイ可)
リリース:2017/4
備考:15推


前回ご紹介したねこのさんのありすえすけーぷも主人公がトイレを我慢して脱出を目指すゲームでしたが、本作も同じくなるべく速く敵を蹴散らしてトイレに駆け込みたいという短編RPGです。かわいい子がもじもじする様子を眺めるという点が共通している両作ですが、そうした趣向以外のゲーム性の面でもしっかり作り込まれているという点でも共によくできていると思います。
フリーゲームをいろいろとプレイしていると、こうした変態チックな作品に度々出会いますが、このようなものにこそ作者の方の好みや熱意が濃縮されている気がして、フリーゲームらしい良作に出会えたように思います。


本作の主人公フララは初期状態でレベル99。適宜回復アイテムを使うなどして安全に戦えば、道中の雑魚敵など相手ではありません。
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しかしそんな戦闘を面白くしているのが本作のターン制限。おしっこを我慢しているための時間制限は、リアルタイムではなく戦闘中の経過ターン数によって表現されています。つまり、なるべく短いターン数で全ての敵を倒すためには、どの敵にどのスキルを使って、どのタイミングで回復薬を使って……などを考える必要があり、それが本作を面白くしている特長の1つでしょう。ちなみに、回復薬は実質無制限に使用できますが、当然のように全て飲み物なので使用するたびに尿意が加速(=制限ターン数が短縮)します。
難易度には「ふつう」と「きちゅい」の2つがあります。「ふつう」ではそんなにシビアなリソース管理をしなくても魔王を倒して漏らす前に無事に家に帰ってくることができるでしょう(ただしトイレに直行できるとは言ってない)。「きちゅい」は制限ターン数が短いうえ、敵のステータスが高い、クリティカルが出ないなどかなり不利な条件となっており、初見でクリアするのはかなり厳しいかと思います。HPやTPなどの適切な管理と、敵に効率よくダメージを与えるためのスキルの使い方を意識的に行う必要があるのです。次ターンの敵の行動が明示されるのも、そのあたりのことを意識しての仕様でしょう。そうした意味で、本作はRPGでありながらパズル的なゲーム性を持ち合わせているといえるでしょう。

本作攻略に欠かせない要素はそれだけではありません。攻撃を行うと青いゲージが短時間表示されます。時間切れになる前に指定されたキー(ZX←→↑↓のどれか)を指定回数入力することによって、チェインコマンド(CC)が発動し、連続攻撃をすることができるのです。
SSC3
この機能によって連続攻撃を決めるのが大変爽快なのです。うまく使うと、ラスボスを1ターンキルすることすら可能です。入力時間もそれほど短くはないので、アクションが苦手でもなんとかなる範囲でしょう。CCを使いこなすことが、特に「きちゅい」をクリアするうえでは必須になってきます。
ただ、このゲージの出てくる位置が、敵だったり自分だったりするのでここは統一してほしかったなと思います。パターンはあるので覚えることはできるのですが、ちょっと油断すると思っていたところと別のところにゲージが出てCCに失敗してしまうことがよくありました。

また、戦闘画面での靄のエフェクトやクリティカル時のエフェクトなどが重いのもややマイナスに感じました。マシンの問題かもしれませんが、設定で軽量モードなどが選択できるようになっていたらうれしいです。


さて、裏山マップで時間切れになったりHPが尽きたりするとバッドエンドなのは当然ですが、規定ターン以内にラスボスを倒したとしてもハッピーエンドを迎えられるとは限りません。むしろ、ハッピーエンドを迎えるためには割と頑張って本作をやり込む必要があるのです。そのためにもきちんと実績システムが搭載されています。ノーヒントだと実績コンプはやや難しいでしょうが、きちんとクリア後おまけにてフォローがありますのでご安心ください。
13個の実績だけでなく、ハイスコア記録やクリア後闘技場の実装、そして隠しコマンド(ちょっとかげきモード)も用意されているなど、1プレイ10分程度の短編RPGながら長く遊べる作品に仕上がっています。マップ内の移動速度は高速だし、オープニングやチュートリアルなどはスキップ可など周回プレイしやすい仕様になっているのも良いですね。

というわけで今回はSheSeeCrisis!の紹介でした。スピーディーで爽快感あふれる戦闘に加え、Ver3でフララにボイスまで付いた本作、ぜひプレイしてみてください。ストーリーとしては裏山に薬草を取りに行くだけなのですが、意外とやり込み甲斐がありますよ。

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