フリーゲームの森

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シミュレーションゲーム

こんにちは。今回はDominion's Restさんの「丸投げクエスト」です。

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★favo
ジャンル:パーティー選抜パズルアドベンチャー
プレイ時間:1プレイ3分程度、クリアまで1時間~、フルコンプ目指すなら3時間~
ツール:Flash(ブラウザゲーム)
分岐:多数。バッドエンド35種
リリース:2010/9初公開



私が子供のころから好きだったサイト、Dominion's Restさんの傑作「丸投げクエスト」なのですが、Flashの終了に伴い公開終了になっていました。ところが先日Ruffleによって息を吹き返し再公開となったので久々にフルコンプまで遊びつくしました。やはり試行錯誤の面白さとおとぼけストーリーの愉快さが素晴らしい作品でしたのでブログでご紹介します。



物語の舞台となる王国には百年に一度復活する魔王の危機が迫っています。そこで魔王討伐のために人材を募り少数精鋭の討伐隊を組織することになりました。志願者は合計30人。持っているスキルやステータス、性格もバラバラな彼らの中から相性のいい5人を選んで討伐隊を送り込んでいきます。彼らを待ち受けるのは魔王場への厳しい道のりと敵、そしてトラップ。それらを無事乗り越え魔王討伐を成功させることはできるのか…?


魔王討伐の旅に出るというのはRPGの最もオーソドックスなストーリーでしょう。道中の戦闘で魔物を倒してレベルアップしていき、選り抜きの仲間を集めてバランスの良いパーティーを組み、時にはお金稼ぎや経験値稼ぎをしながら優秀な装備を収集し、最後にラスボスに挑むという流れです。これらの要素が上手く絡まりあってRPGとしての楽しさを生み出していると思うのですが、本作はこのRPGのうちパーティー編成に特化した作品となっています。


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本作においてプレイヤーができることは30人の勇者候補から5人を選んでパーティーを組ませ、討伐ルートと支給品を与えてお城から旅立っていく彼らを見送ることのみ。道中のトラブルや戦闘の様子は伝えてくれるものの一切口出しすることはできません。
普通に考えたら制限が多すぎてつまらないようですが、しかしこれが面白い。戦闘方針に口を出せないため、討伐の成否はステータスが100パーセント握ります。このパラメータを指定の値以上にしたうえで特定のスキルを持つものをパーティーに含め、こいつとこいつは仲が悪いから一緒には選べない……などと多数の条件が絡まりあい、論理パズルのような戦略性を生み出しています。

終盤のトラップをかいくぐるために上級魔法スキル持ちが欲しいけどそうすると支給品はローブがほぼ必須、すると素のステータスが補強できないから各種パラメータ高めのメンバーを選抜して…しかし意外とこういうやつらが方向音痴だったり堅物だったりでメンバーの調整に苦労する…など考えつくして選んだパーティーがあまた存在する脱落ポイントを狙い通り回避して戦闘面でも魔王を打倒してくれるとその達成感はなかなかです。


また、パーティーメンバー5人を選んだあとは、2種類ある魔王城攻略ルートと10種類ある支給品を1つずつ選びます。2つのルートはどちらにも異なる困難が待ち受けます。片方のルートにしか適性のないメンバーも何人も。そして支給品はパラメータの補強やその他特殊効果をもたらしてくれます。どちらも最初は1つしか選べず、魔王討伐隊を何度も結成して特定のイベントにたどり着いたりスキルを発動させたりすることで選択肢を増やしていけます。この意味でやり込み要素もたっぷりなんですよね。

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あれやこれや考えながらパーティー・ルート・支給品を組んだ後はすぐに結果が見られます。最初のうちは魔王城にたどり着く前に喧嘩したり道に迷ったりで討伐断念してばっかりでしょう。うんざりするほどしょうもない理由で討伐を断念してくる彼らですが、とぼけた語り口で彼らの失態を眺めるのも地味に面白い。討伐失敗の理由はなんと35種類もあり、収集要素としてもやりがいがあります。あるキャラクターの特性がそのバッドエンドでしか明らかにならないというパターンも多数あるため、クリアするための戦略を練るのと同様に特定のバッドエンドを見るために条件を考えるのも面白いんです。ずっと昔に紹介したEYEZMAZEさんの傑作GROW CUBEと似た魅力がそこにあります。

バッドエンドのコンプリートはノーヒントでは困難を極めると思いますが、1つ見たら次のバッドエンドのヒントが見られるため、全くの手探りにはならないのもうまい。こうしたら行けるか?という仮説がぎりぎり立つようなバランス感覚でプレイヤーの好奇心を刺激してくれます。


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30人いるメンバーはどれもこれも一癖強く、ステータスが高いと思ったら何らかの厄介な性質を抱えているし、攻撃力が高いと思ったら運が悪すぎるし、コイツ何なんだよと思っていたヤツが意外な場面でスキルを発揮したりと毎回思いもよらない物語を生み出してくれるので全然飽きません。
実は以前までエンディングコンプリートはしていなかった私なのですが、今回再公開されたのが嬉しくてバッドエンドコンプリートと全討伐隊員による討伐成功までやり込みました。そうして迎えるエンディングはしりとりクエストシリーズ本編の物語を補完してくれるため、またシリーズの他作品へのモチベーションもくれます。この丸投げクエストから派生した外伝作品もいくつも公開されているので是非そちらもプレイしてみてください。ノベルゲーム・特にミステリー好きの方なら「丸投げクエスト外伝 プレシャス・メアリー 」は刺さると思いますし、他にも多数の作品が再公開されています。個人的には丸投げクエストと並ぶDominion's Restの傑作「しりとりクエスト外伝4・もりもり鉱山の一番長い日」も復活したら嬉しいですね。


というわけで今回はDominion's Restさんの「丸投げクエスト」でした。
試行錯誤の楽しみ、コンプ欲を掻き立ててくれる収集要素、そして本編につながる物語。どれも素晴らしい作品です。ぜひプレイしてみてください。

それでは。

今回は、ポーンさんのたゆみ。をご紹介します。

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ジャンル:不思議系シミュレーションゲーム
プレイ時間:1時間程度
分岐:ゲームオーバーあり
ツール:独自エンジン(?)
リリース:2003/2


本作は何とも独特な雰囲気とシステムを持った作品です。ジャンルも便宜的にシミュレーションゲームとしましたが、ノベルゲームか、アドベンチャーゲームというべきか、割と悩みました。ストーリーが進んでいくことがメインであるけれども、パラメータの管理が進行条件になっているのです。本作が一番近いのは、ゲームブックといわれるものではないでしょうか。

ゲームを起動すると、まずはプロローグが始まります。主人公はちょっと変わった女の子"たゆみ"です。そしてもう一人、たゆみをどこかから観察して実況とツッコミを入れるナレーター(?)のような人がいます。一人で考え事をするのが好きなたゆみも変わっていますが、このナレーターも意地悪でなかなか辛辣なツッコミを入れていきます。そんなプロローグを読み進めていると、たゆみは突然「ゼロについて考える」と宣言します。そう、本作はちょっぴり数学が絡んでくるのです。とはいっても内容は算数レベルなので身構えなくても大丈夫。なぜ0で割ってはいけないのか、どうしても0で割りたいと奮闘するたゆみの様子を眺めて楽しみましょう。

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この0で割りたいという突然の宣言がたゆみの気まぐれかと思いきや、全ステージクリア後にその真意がわかるのがとても気持ちよく感じました。同時に、これまでただの傍観者兼ツッコミ役であったナレーターにも意味があったのが明らかになります。こちらは大体予想できた展開だったのですが、ゼロ除算と絡ませた理屈付けが良かったです。プレイし終えるとすべてが理解できてスッキリする、というタイプの作品ではないのですが、独特なシナリオと雰囲気がなんとも印象に残る作品なのです。

このシナリオ内では、ゼロで割ることの他にも、ちょっとした数学っぽいシーンがあります。言葉遊びの屁理屈ともいえますが、悪魔がいないことを証明するところとか、たゆみがそれに反論するところとかですね。理屈っぽいのが苦手な方には楽しめないかもしれませんが、理系人間である私には興味深く思えました。たゆみが突いた証明の欠陥は、論理的に考えるときは数学以外においても常に頭に置いておかなければいけない点ですね。


さて、システムの部分にも触れておきましょう。プロローグを終えゲームパートに移ると、たゆみがゼロについて考えると宣言した通り、"はじまりはゼロから"という状態になります。ここではサイコロを振ることができ、何か別の状態に変移します。それと同時に、新たな状態に応じて左上のパラメータが上下します。例えば、"悪魔のいざない"という状態になると、パラメータは少し減少し、今度は"のる"、"のらない"の選択肢が出現します。そしてそれぞれに応じてまた別の状態に変移していきます。これを繰り返してパラメータを上昇させていき、一定以上の時に特定の選択肢を選ぶことができれば、ステージクリアとなってシナリオが進んでいくのです。
ステージが進むとサイコロの他にカードを引いたりルーレットを回したりと選択肢が広がり、様々な状態を取れるようになります。さらに管理すべきパラメータが増え、難しくなっていきます。当然、パラメータがどれか一つでもゼロになってしまうとゲームオーバーです。このゲームオーバーは最大5つあるパラメータのどれが振り切れるかによって異なる展開になるので、興味がある方は全部試してみるといいでしょう。

この選択肢を選んで次の状態に移動していくというのがまさに冒頭で述べたゲームブックに近いなと感じました。ゲームブックと違うのは、飛ばされる状態や出現する選択肢に多少のランダム性が入ることです(特に、"はじまりはゼロから"の状態)。とはいってもコツをつかむとそこそこの確率で狙ったパラメータをあげることができるようになります。運と同時に戦略も大事ということですね。

さて、そんな本作ですが、セーブがかなり限定的というのが難点かなと感じます。セーブはゲームパートに移る直前にしかできず、セーブスロットは1つしかありません。さらにセーブを消すのはゲーム内ではできず、フォルダ内のdatファイルを直接消す必要があります。またクリア時にセーブはできないので、クリア後のエピローグなどが読みにくく、やや物足りなく感じました。クリアした後は任意のステージから再開できるとか、ストーリー回想モードをつけるとかで大分改善するのではないでしょうか。

と、プレイしやすさにやや難点があるものの、独特な雰囲気に呑まれて楽しめる作品なので、理屈っぽいのが好きな方、モノクロのたゆみちゃんがかわいいと思った方はぜひプレイしてみてください。

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