今回は、ポーンさんのたゆみ。をご紹介します。

ジャンル:不思議系シミュレーションゲーム
プレイ時間:1時間程度
分岐:ゲームオーバーあり
ツール:独自エンジン(?)
リリース:2003/2
本作は何とも独特な雰囲気とシステムを持った作品です。ジャンルも便宜的にシミュレーションゲームとしましたが、ノベルゲームか、アドベンチャーゲームというべきか、割と悩みました。ストーリーが進んでいくことがメインであるけれども、パラメータの管理が進行条件になっているのです。本作が一番近いのは、ゲームブックといわれるものではないでしょうか。
ゲームを起動すると、まずはプロローグが始まります。主人公はちょっと変わった女の子"たゆみ"です。そしてもう一人、たゆみをどこかから観察して実況とツッコミを入れるナレーター(?)のような人がいます。一人で考え事をするのが好きなたゆみも変わっていますが、このナレーターも意地悪でなかなか辛辣なツッコミを入れていきます。そんなプロローグを読み進めていると、たゆみは突然「ゼロについて考える」と宣言します。そう、本作はちょっぴり数学が絡んでくるのです。とはいっても内容は算数レベルなので身構えなくても大丈夫。なぜ0で割ってはいけないのか、どうしても0で割りたいと奮闘するたゆみの様子を眺めて楽しみましょう。

この0で割りたいという突然の宣言がたゆみの気まぐれかと思いきや、全ステージクリア後にその真意がわかるのがとても気持ちよく感じました。同時に、これまでただの傍観者兼ツッコミ役であったナレーターにも意味があったのが明らかになります。こちらは大体予想できた展開だったのですが、ゼロ除算と絡ませた理屈付けが良かったです。プレイし終えるとすべてが理解できてスッキリする、というタイプの作品ではないのですが、独特なシナリオと雰囲気がなんとも印象に残る作品なのです。
このシナリオ内では、ゼロで割ることの他にも、ちょっとした数学っぽいシーンがあります。言葉遊びの屁理屈ともいえますが、悪魔がいないことを証明するところとか、たゆみがそれに反論するところとかですね。理屈っぽいのが苦手な方には楽しめないかもしれませんが、理系人間である私には興味深く思えました。たゆみが突いた証明の欠陥は、論理的に考えるときは数学以外においても常に頭に置いておかなければいけない点ですね。
さて、システムの部分にも触れておきましょう。プロローグを終えゲームパートに移ると、たゆみがゼロについて考えると宣言した通り、"はじまりはゼロから"という状態になります。ここではサイコロを振ることができ、何か別の状態に変移します。それと同時に、新たな状態に応じて左上のパラメータが上下します。例えば、"悪魔のいざない"という状態になると、パラメータは少し減少し、今度は"のる"、"のらない"の選択肢が出現します。そしてそれぞれに応じてまた別の状態に変移していきます。これを繰り返してパラメータを上昇させていき、一定以上の時に特定の選択肢を選ぶことができれば、ステージクリアとなってシナリオが進んでいくのです。
ステージが進むとサイコロの他にカードを引いたりルーレットを回したりと選択肢が広がり、様々な状態を取れるようになります。さらに管理すべきパラメータが増え、難しくなっていきます。当然、パラメータがどれか一つでもゼロになってしまうとゲームオーバーです。このゲームオーバーは最大5つあるパラメータのどれが振り切れるかによって異なる展開になるので、興味がある方は全部試してみるといいでしょう。
この選択肢を選んで次の状態に移動していくというのがまさに冒頭で述べたゲームブックに近いなと感じました。ゲームブックと違うのは、飛ばされる状態や出現する選択肢に多少のランダム性が入ることです(特に、"はじまりはゼロから"の状態)。とはいってもコツをつかむとそこそこの確率で狙ったパラメータをあげることができるようになります。運と同時に戦略も大事ということですね。
さて、そんな本作ですが、セーブがかなり限定的というのが難点かなと感じます。セーブはゲームパートに移る直前にしかできず、セーブスロットは1つしかありません。さらにセーブを消すのはゲーム内ではできず、フォルダ内のdatファイルを直接消す必要があります。またクリア時にセーブはできないので、クリア後のエピローグなどが読みにくく、やや物足りなく感じました。クリアした後は任意のステージから再開できるとか、ストーリー回想モードをつけるとかで大分改善するのではないでしょうか。
と、プレイしやすさにやや難点があるものの、独特な雰囲気に呑まれて楽しめる作品なので、理屈っぽいのが好きな方、モノクロのたゆみちゃんがかわいいと思った方はぜひプレイしてみてください。

ジャンル:不思議系シミュレーションゲーム
プレイ時間:1時間程度
分岐:ゲームオーバーあり
ツール:独自エンジン(?)
リリース:2003/2
本作は何とも独特な雰囲気とシステムを持った作品です。ジャンルも便宜的にシミュレーションゲームとしましたが、ノベルゲームか、アドベンチャーゲームというべきか、割と悩みました。ストーリーが進んでいくことがメインであるけれども、パラメータの管理が進行条件になっているのです。本作が一番近いのは、ゲームブックといわれるものではないでしょうか。
ゲームを起動すると、まずはプロローグが始まります。主人公はちょっと変わった女の子"たゆみ"です。そしてもう一人、たゆみをどこかから観察して実況とツッコミを入れるナレーター(?)のような人がいます。一人で考え事をするのが好きなたゆみも変わっていますが、このナレーターも意地悪でなかなか辛辣なツッコミを入れていきます。そんなプロローグを読み進めていると、たゆみは突然「ゼロについて考える」と宣言します。そう、本作はちょっぴり数学が絡んでくるのです。とはいっても内容は算数レベルなので身構えなくても大丈夫。なぜ0で割ってはいけないのか、どうしても0で割りたいと奮闘するたゆみの様子を眺めて楽しみましょう。

この0で割りたいという突然の宣言がたゆみの気まぐれかと思いきや、全ステージクリア後にその真意がわかるのがとても気持ちよく感じました。同時に、これまでただの傍観者兼ツッコミ役であったナレーターにも意味があったのが明らかになります。こちらは大体予想できた展開だったのですが、ゼロ除算と絡ませた理屈付けが良かったです。プレイし終えるとすべてが理解できてスッキリする、というタイプの作品ではないのですが、独特なシナリオと雰囲気がなんとも印象に残る作品なのです。
このシナリオ内では、ゼロで割ることの他にも、ちょっとした数学っぽいシーンがあります。言葉遊びの屁理屈ともいえますが、悪魔がいないことを証明するところとか、たゆみがそれに反論するところとかですね。理屈っぽいのが苦手な方には楽しめないかもしれませんが、理系人間である私には興味深く思えました。たゆみが突いた証明の欠陥は、論理的に考えるときは数学以外においても常に頭に置いておかなければいけない点ですね。
さて、システムの部分にも触れておきましょう。プロローグを終えゲームパートに移ると、たゆみがゼロについて考えると宣言した通り、"はじまりはゼロから"という状態になります。ここではサイコロを振ることができ、何か別の状態に変移します。それと同時に、新たな状態に応じて左上のパラメータが上下します。例えば、"悪魔のいざない"という状態になると、パラメータは少し減少し、今度は"のる"、"のらない"の選択肢が出現します。そしてそれぞれに応じてまた別の状態に変移していきます。これを繰り返してパラメータを上昇させていき、一定以上の時に特定の選択肢を選ぶことができれば、ステージクリアとなってシナリオが進んでいくのです。
ステージが進むとサイコロの他にカードを引いたりルーレットを回したりと選択肢が広がり、様々な状態を取れるようになります。さらに管理すべきパラメータが増え、難しくなっていきます。当然、パラメータがどれか一つでもゼロになってしまうとゲームオーバーです。このゲームオーバーは最大5つあるパラメータのどれが振り切れるかによって異なる展開になるので、興味がある方は全部試してみるといいでしょう。
この選択肢を選んで次の状態に移動していくというのがまさに冒頭で述べたゲームブックに近いなと感じました。ゲームブックと違うのは、飛ばされる状態や出現する選択肢に多少のランダム性が入ることです(特に、"はじまりはゼロから"の状態)。とはいってもコツをつかむとそこそこの確率で狙ったパラメータをあげることができるようになります。運と同時に戦略も大事ということですね。
さて、そんな本作ですが、セーブがかなり限定的というのが難点かなと感じます。セーブはゲームパートに移る直前にしかできず、セーブスロットは1つしかありません。さらにセーブを消すのはゲーム内ではできず、フォルダ内のdatファイルを直接消す必要があります。またクリア時にセーブはできないので、クリア後のエピローグなどが読みにくく、やや物足りなく感じました。クリアした後は任意のステージから再開できるとか、ストーリー回想モードをつけるとかで大分改善するのではないでしょうか。
と、プレイしやすさにやや難点があるものの、独特な雰囲気に呑まれて楽しめる作品なので、理屈っぽいのが好きな方、モノクロのたゆみちゃんがかわいいと思った方はぜひプレイしてみてください。