フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
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ホラー

こんにちは。今回はRimさんのミガカミカガミ -reviver-のレビューとなります。

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オススメ!
ジャンル:ホラー脱出アドベンチャー
プレイ時間:本編エンディングまで4時間程度、フルコンプまで6時間程度
分岐:エンディング2種
ツール:RPGツクール
リリース:2025/8
備考:暴力的、残酷な表現あり


本作は2015年公開の「ミガカミカガミ」のリメイク版となっています。原作は第11回ふりーむ!ゲームコンテストの脱出アドベンチャー部門で金賞を受賞するなどの人気作となっており、ご存じの方も多いでしょう。私も一度はプレイを試みたのですが、ホラー表現が怖すぎて割と序盤早々にクリアを断念した覚えがあります。その後なんとか結末を知るために実況動画を見たのですが、意外で心温まる結末がなかなか印象的でした。普段実況動画を見ない私が動画を見た作品という意味でも記憶に残っています。

そんな原作が10年の時を経て新しくなって帰ってきました。システムの調整や立ち絵の刷新などかなりプレイしやすくなってきたのが嬉しい所です。本編クリア後のおまけシナリオもかなりボリュームがあります(後述)。まずはあらすじ紹介からいきましょう。

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奈恵とみかは歳は離れているものの仲良しの幼馴染です。二人がバスでお出かけをしようとしたところ事故に遭ってしまい、みかが入院中の奈恵のお見舞いに行くところから物語が始まります。神隠しをするという言い伝えのある”ミガカミ様”の部屋を訪れてから次第におかしくなる院内の様子、いつの間にか周囲にいる恐ろしい化け物のような何か。二人はこの恐怖の空間から逃げ延びることはできるのでしょうか…?


とまあ、大まかなストーリーはこんなところでしょう。さて、本作がホラーであることは先述の通りですが、ひとくちにホラーゲームと言ってもその恐怖の煽り方にはいくつかのパターンがあるでしょう。本作はその中でも、驚かせ方とアクション性に特徴があると思います。ゲーム性としては探索アドベンチャーなので病院内やその先の様々な部屋を調べていく必要があるのですが、特定のものを調べたりフラグを立てたりするといきなりグロい敵が出てくるのがとにかく怖い。「このキャラクター怒ってるだろうなあ…」のような、予測できるタイプの恐怖と、普通にフラグを進行させただけのつもりだったのに逆切れされたりといった身構える暇のないタイプの恐怖が混ざっていて、ホラー耐性がある程度ない人だとクリアは困難だと思います。
実際私は原作の方は途中でリタイアしたのですが、リメイク版である本作は最後まで自力でクリアできました。その理由として、システム面での親切さが増したという点が一つ挙げられると思います。ゲーム開始時点で難易度を2つから選べたり、オートセーブの要否を選べたりといったシステムはプレイしやすさに貢献していると思います。単純に楽になるというだけでなく、何度も怖いシーンを通らなくて済むという心理的な面もあって私も最後までプレイできました。あとは原作のプレイ動画を見ていたことによって驚かせ方のパターンは学習済みだったこともあったでしょうか。

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怖さのもう一つ、アクション要素についてですが、本作では追いかけっこが幾度となく発生しこれの難易度がかなり高いです。突然現れる怪物から逃げる必要があるので初見突破はまず困難。逃走ルートも直前のマップとは変わっている場合が多く、何度も死にながら経路を覚える必要があり、スムーズに移動できるような慣れも必須です。ギミックによっては追いかけっこ開始時点の距離的余裕がかなり短い場面もあり、常にShiftキー(走るボタン)を押した状態にしている必要があります。
追いかけてくる敵のグラフィックが怖いのもまた心理的な難易度を上昇させているように感じます。特に一番最後のシーンでは専用のゲームオーバー画面も用意されておりまた怖いこと怖いこと……
初見殺しポイントもかなり多いため、オートセーブアイテムを使用しない場合こまめに鏡を調べてセーブしてください。セーブスロットがオートセーブを除いて1つだけなのはやや不便でしょうか(レビューを書くために良い感じの場所のスクリーンショットを撮ろうとしていると特に…)。

奈恵やみかの立ち絵を含めてグラフィックも新しく可愛くなっているのですが、それとの対比でまたグロ系の絵にビビらされます。

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反面謎解き要素自体の難易度はさほど高くないように感じます。リメイクするにあたってギミックを一新しているとのことで、うまく調整されたのではないでしょうか。謎解きのヒントが複数の部屋に散らばっている点は難しいですがヒントから連想されるものに理不尽な点はなく、考えればきちんと解けるようになっています。ギミックを解いている途中に怖がらされることが少なかったのもプレイしやすさに繋がっているでしょう。

ストーリーに沿った内容になっているという点についても良くできたギミックだなと感じました。ミガカミ様の神隠しに関連した5人にまつわるステージを順に進んでいくという構成になっているのですが、それがかつて犠牲になった富田くんや菜雪ちゃんといった人物のトラウマだったり心の傷を反映したマップやギミックとなっているのです。病院に運ばれる経緯だったり、彼らを取り巻く家庭環境であったりといった点を追体験しながらゲームを進行させていくことになるため、単に探索ホラーというだけでなく物語を楽しめる作品になっていると言えるでしょう。

特に富田くんに関してはエンディングにもかかわってくることになります。ステージを進んでいきミガカミ様に関する情報が集まってくると、奈恵の心にはある疑念が深まっていくことになります。そのショッキングな事実を受け入れるのか、否定するのか。その選択によって真逆のエンディングへと到達します。正解の選択肢を選べば、道中の高難易度で意地悪なギミックからは別物かのような気持ち良いエンディングに繋がりますのでぜひハッピーエンド目指して頑張ってみてください。

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ハッピーエンド到達後はExtraシナリオが解放されます。
ミガカミ様の神隠しは過去に何度もあったことが本編中に明かされるわけですが、Extraでは過去の事件からミガカミ様に恨みを持つ水戸ヒトミの世界に入っていくことになります。本編よりさらにストーリー重視のないようになっているように感じました。
運悪く病魔に侵されたヒトミ、ミガカミ様に傾倒していくヒトミの母、狂っていく家庭といった事実が明らかになっていく度に悲しい気持ちになります。5年前と現在を行き来するギミックなどもあるため本編中のキャラクターのエピソードよりボリューム感もあり単におまけというだけに収まらない濃い体験が得られるでしょう。


以上「ミガカミカガミ -reviver-」のご紹介でした。
今回はホラーの中でもかなり怖めで残酷なシーンも多数あり、そういった意味では人を選ぶ作品であることは間違いありませんが、ホラー好きなら決してプレイして損はないのも確かだと思います。原作プレイ済みの方でも楽しめる要素までたっぷりとありますので、ぜひプレイしてみてください。

それでは。

こんにちは。今回はまたホラーアドベンチャーゲームのご紹介となります。
皐月の夢さんの「セブンテットクロス-金の人形-」です。

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ジャンル:微ホラー脱出アドベンチャー
プレイ時間:エンディングまで2時間、フルコンプまで4時間程度
分岐:エンディング4種、ゲームオーバーあり
ツール:WOLF RPGエディター
リリース:2025/12
備考:12推


大分前になりますが、皐月の夢さんといえば本ブログでは「ミライカガミ」を扱いました(現在フリー公開は終了しており、追加要素のあるSteam版が公開されています)。綺麗な立ち絵と、バックグラウンドまで描写されたキャラクターによる人間ドラマが魅力的な探索ホラーでした。
本作は、2017年公開の「セブンテットクロス」の続編となっており、ジャンルも引き続き脱出ホラーとなっています。前作の内容や登場人物については最低限の説明はあるためプレイは必須ではありませんが、プレイ済みの方が途中の展開への理解が深まってより楽しめるかなという程度です。時間がある方は前作からプレイしてみてください。こちらも本作同様の微ホラー脱出ゲームで、やや猟奇的なシーンありといった内容になっています(本作については、その点は警戒しなくても良いと思います)。


本作の内容に移りましょう。主人公は前作から引き続きユシアです。前作で刑務所内の事件を解き明かし無実が明らかになった彼女は、刑務所で出会った元詐欺師のキースとともに孤児向けの学習小屋を開きます。そこで預かる子供のジャッキーとパオロが行方不明となってしまい、手掛かりを求めてやってきたのは怪しい噂のあるマークレイ氏の屋敷。果たしてこの屋敷に仕組まれた罠をかいくぐり子供たちを助け出すことはできるのか?

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大まかなストーリーはこんなところで、ゲーム後半になってくると次第に犯人の思惑やしがらみ、屋敷に仕掛けられたギミックの理由なんかが明らかになっていきます。主に屋敷内の謎を解いていくユシアとキース視点の探索と、監禁されているジャッキー・パオロ視点の探索が交互に行われるのも特徴的だと思います。前作においてキースが投獄されるに至った理由には彼の成育歴や経済的状況が影響していました。その点を踏まえるとジャッキーらとともに監禁されている資産階級の子供であるリーズレットとのすれ違いなどは悲しさを感じさせるものがあります。

しかしこうした格差による断絶などを乗り越えた結末が描かれるハッピーエンドはとても気持ちいいものになっています。綺麗なイラストも見られるのでぜひここまでプレイして欲しいなと思います。
前作の設定から引き継いだキースの背景などが今作の犯人の動機や子供たちの人間関係に繋がってくるところも見どころだと思います。終盤で新たな事実が明らかになったり信じていたことがひっくり返ったりと、サスペンス的な魅力もあると思います。

システム面についてはオーソドックスな脱出ゲームとなっており、謎解きの難易度自体はさほど高くはありません。しかし総合的に見ると本作の難易度は高めのように感じており、主に以下の要因があるでしょう。まずアイテムが自動で使用されない形式となっている点です。鍵などの一部のアイテムは自動で使用されますが、その他の多くのアイテムは必要なギミックを特定したらその場所に行って手動でアイテム画面から選択したうえで使用する必要があり、たまたま解けちゃったという結果が起こりにくくなっています。
また、初見殺しも多めと言えるでしょう。最初の探索からゲームオーバーになり得るので、セーブはこまめにすることをお勧めします。セーブスロットも十分な数が用意されています。
ホラー要素については無いわけではありませんが前作よりも控えめですので、そこを身構える必要はないと思います。

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エンディングは4種類。END1がハッピーエンドと言えるものですが、初見での到達はかなり難しいように思います。END1または2に行くにはあるフラグを立てた状態で終盤のイベントに突入する必要がありますが、そのフラグを立てられる期間が短く見逃しやすいものになっています。くまなく探索すれば自力発見もできると思いますので、自信がある方はぜひ初見ハッピーエンドに挑戦してみてください。初見では無理でも、分岐は終盤に起こりますので試行錯誤を重ねることでコンプリートはしやすいと思います。
コンプリートできない!という場合は公式サイトに攻略手順が書いてありますので参考にするとよいでしょう。ただし完全に答えが書いてあるのである程度自分で考えてみてから読みに行くのをお勧めします。


というわけで今回は「セブンテットクロス-金の人形-」のご紹介でした。
前作のエンディングのその後のユシアとキースを眺められるだけでも楽しいですが、謎解き要素もストーリーに関連したものになっていたりと完成度の高い作品だと思います。
ちなみに今日まで本作とウェブポンのコラボが行われているようですので、ファンの方はぜひこちらもご検討ください。

それでは。

こんにちは。今回はアトリエ萌黄さんの「マユとイト」のレビューをしていきたいと思います。

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ジャンル:脱出微ホラーアドベンチャー
プレイ時間:エンディングまで1時間、フルコンプまで1時間半程度
分岐:エンディング5種
ツール:WOLF RPGエディター
リリース:2020/7


ノベルゲームに関する記事が続いていたので、久々の脱出ホラーとなります。と言っても恐怖心をあおる演出は控えめですので、タイトル画面のスクリーンショットを見て虫キモっ!という拒否反応を起こさない方なら問題なくプレイできると思います。

本作のストーリーはいたって王道。ボランティア部の活動で森に行った主人公(名前任意)、シンゴ、ヒエンの3人は出来心から近くにあった洋館に入り、出られなくなってしまいます。不穏なメモやギミックの謎を解き、この洋館から無事に脱出することはできるのでしょうか…。

導入部分だけでなく、主人公らが相対するギミックたちも良い意味で普通といった印象で、理不尽な個所がなくホラーゲーム初心者に勧めやすい作品のように思いました。個々の謎解きの難易度としては取り立てて簡単とは思わないのですが、システム上の工夫やその他の親切な設計により全体としてかなり易しめの難易度に調整されているように感じます。

その工夫というのはまず一つ、メニュー画面からこれまでに入手したヒントを確認可能という点が挙げられるでしょう。謎解き系のゲームの難しさの一つとして、ヒントとなる手がかりを発見してから実際にそれを活かしてギミックを動かすまでに時間が空くことで、それが有効なヒントだと認識する難易度が上がるという点があると思います。手がかりが足りないと思って延々と探索を続けるも新たな手掛かりは当然なく時間が過ぎるのみ…といった経験はよくあると思います。本作においてはヒントとなる事項は一回調べた時点でメニュー画面の「手がかり」に載るので安心してギミックを考えることができるのです。

また、既に謎解きに使用して用済みになった手掛かりについては「解決!」のフラグがつき区別ができるようになります。この点においてもプレイヤーが無駄な試行錯誤に時間を使うのを防止していて親切な作りと言えるでしょう。

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さらには画面右上に「シンゴを探せ」「○○(アイテム)を集めろ」などの行動目標が示されていたり、探索上意味のある場所が光っていたりと探索難易度もかなり下げてくれているように思います。こうしたシステムもあって全体的な本作の難易度は簡単といえると思います。
色々な場所をしつこく調べて自力で手がかりを見つけて難しい謎を解いて…という楽しみを求める方には歯ごたえが足りないと思いますが、ライトユーザーには特にありがたいシステムと言えるでしょう。

あえて難しい個所を挙げるとしたら、マップがやや広めという事くらいでしょうか。ギミックの密度は高くないので部屋数のわりにコンパクトなプレイ時間になっていると思います。


次に良かった点として、グラフィック面を挙げておきたいと思います。
タイトル画面でお分かりのように霧やもやのような演出がたびたび登場したり、暗い館内を懐中電灯を持って探索する様子など、脅かし要素以外の方法でホラーらしき雰囲気を感じられる工夫と思います。びっくりさせる要素はゼロではありませんが激しくないのでやや苦手な方でもプレイできる範囲だと思います。ただし蜘蛛や蛾などの虫が出てくる場面は多いので、虫が苦手な方にはきついと思います。それ以外のグロテスクなグラフィックなどはほぼ登場しません。終盤の1か所でグロいグラフィックが登場しますが、一枚絵があるわけではなくマップ上のドット絵ですのでそこまででもないかなとは思います。

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会話パートはそれほど多くないので登場頻度も低めですが、立ち絵も可愛らしくて口パクするなど凝っていますね。特に途中で登場する館の住人である少女の繭香(まゆか)の登場時には専用BGMもあっていですね(逆にそれ以外のほとんどのシーンでBGMがないのは少し寂しく感じます)。そんな繭香はエンディングの分岐にも深くかかわってきます。
分岐の詳細についてはネタバレになるので伏せますが、分岐はすべて終盤で発生するのでエンディング回収はしやすいでしょう。回収のためのヒントも存在しています。ハッピーエンドはちゃんと後味が良くてきれいなものになっているので是非コンプリートまでプレイしてみてください。

ハッピーエンドに行くために解かなくてはならないギミックは、他の作品でもたびたび見るあの形式となっているのですが、回数ではなく時間で制限がかかっていたりほかのヒントを参照したひねりが加わっていたりと独自性があって面白かったです。このタイプのギミックが苦手な方は自力クリアが難しいかも、という問題はありますが…。
というわけで折り畳みの中にハッピーエンドの答えを書いておきます。必要な方はクリックして読んでください。
クリックで展開(ネタバレあり) 研究室のドアを開く→「なにも見ていない」→「マユカの体調について」→「ここに残る」
選択後、一度実験室から出て再度研究室へ入り、右上から火かき棒を入手
1階食堂の暖炉の中から最後の薬を入手
実験室に戻り調合開始
緑→精製水→紫→白→最後の薬の順で選択

以上、今回は「マユとイト」のご紹介でした。ホラーゲーム初心者にちょうどいい作品だと思います。ハッピーエンドがしっかり後味よくまとまってくれるので、上級者の方はぜひ初見ハッピーエンドに挑戦してみてください。

それでは。

こんにちは。今回は落柿さんの「アカイロマンション ~ホラー編~」です。

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ジャンル:超常現象系ホラーノベルゲーム
プレイ時間:1週目2時間程度。エンディングコンプまでその2~3倍程度。
分岐:多数。エンディング23種
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2021/8
備考:製品版あり


こちらはしばらく前に知った作品で、プレイする機会をうかがっていました。結局DLしてからプレイするまでにかなり時間がかかってしまいましたが、よい作品でしたのでご紹介します。


まずはあらすじを簡単にご説明しましょう。

大学4年生の良(名前変更可)は夢の一人暮らしのために学生寮から格安マンション「赤石マンション」へと引っ越すことになった。周辺の家賃相場に比べてあまりに安い理由が気になる良だったが、その理由は引っ越し初日から思い知らされることとなる。住人の自治を重視するというオーナーの意向の元で1000回以上も続いているという住民会議。それに参加する癖の強すぎる住民たち。そして15年前にあったという連続殺人事件の現場の一つであったというこの土地。
そんな中で起きる不可解な事件。殺人鬼がうろつくマンションに閉じ込められてしまった良たちは15年前の事件の被害者の呪いを解いて生還することができるのでしょうか……

こんな感じでしょうか。

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さて、本作の特徴の一つとして、ストーリー中の選択肢がかなり多めという事が挙げられるでしょう。
当然ですが物語前半のうちは真相につながる手がかりをほとんど持っていません。その中で呪いや犯人の目星をつけ、ほかの住人と一緒に対処法を考えていく、といったホラー・サスペンス的な展開を盛り上げるのに一役買っているといえるでしょう。

また、このマンションの住人は新しく引っ越してきた良を含めて7人います。上述したようにこのマンションにおける意思決定は「住民投票」により行われます。呪いへの対処をどうするのか、根本原因の解明のための調査法は?など様々な議題が持ち上がり、その多くは実際にプレイヤーが投票内容を選択することによって進行していくのです。
住人達(+良の友人の春奈)の合計8人(途中で被害者がでて数人脱落しますが…)というやや多めの登場人物の数とマッチしたシステムになっており、臨場感のある展開を作り出すことに成功していると感じます。
臨場感を演出するという点でみると、本作で登場人物に立ち絵がないのもプラスに働いているでしょう。「1999ChristmasEve」のレビューで指摘したのと近いですね(ジャンルも似てるし)。


そんな本作はプレイヤーの選択によって合計23ものエンディングに分岐します。そのうち19はバッドエンド(ほとんど主人公の死亡や住人の全滅です)、残り4つが生存エンドになっています。それぞれの選択肢は、直後の展開が変わるだけのダミー選択肢や間違うと即分岐系のバッドエンド分岐もあれば、終盤になって初めて選択が効いてくるもの、中盤以降の捜査の展開が大きく変わるものなどさまざまあり、全体の構造をつかむには何周もする必要があると思います。

これらのエンディングを何個も見ていくうちに事件の背景だったり呪いの正体や手がかりを得ていくことになり、真実のパズルがはまっていくような気持ちよさを味わえるシステムになっていると思います。
逆に言うと一つの生還エンドを見ただけで事件の全体像が把握できるような構造にはなっていないため、ここが弱点にもなりうるシナリオだと思いました。
私は運よく(?)1回即分岐バッドエンドを踏んだ以外は一発でEND23(呪いを鎮めて事件が解決するエンディング)までたどり着いたのですが、やけにあっさりと解決してしまったような印象を受けました。その後ほかのエンディングを回収する中で、あの時他の人物が何をしていたのかとか、過去の事件についての情報とかを知っていくこととなり、そこで初めて知るようなことも多くそこがちょっと微妙かなと感じました。1周目にルート制限があり、ある程度特定のエンディングを見ていくと真実への道が開ける、というタイプの分岐システムがあると最高だったかなという気がします。あるいは1周目でも到達は可能だがフラグが厳しくて、初見でたまたまたどり着くことがないようにするとか。
真相が明らかになるエンディングは全体の構造が見えてくると、後味もよくしっかりと謎が解決しているものだったのでややもったいないと思ってしまいました。

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本作のBGMはピアノ曲中心に構成されており、ホラーっぽさを醸し出しながら聞いていて不快にはならない感じでちょうどよかったと思います。長編作品でBGMがずっと不穏、というのは意外と疲れるのでこの調整は絶妙だったのではないでしょうか。
演出面でいうと写真背景なのもよかったと思います。マンションという我々にもなじみのある舞台でのホラーなのでプレイしながらどれだけ現場の状況を想像しながら読み進められるか、というのは物語への没入感を左右する重要な要素だと思うので、具体的な背景写真が使われている本作はその点でも成功しているかなと思います。
ただ写真の種類はそれほど多くなく、マンションの構造が分かるようなものがなかったため、どこかで建物全体の地図などを見せてほしかったとは感じました。
この人たちが飲み会してる駐輪場ってどこにあるんだろう?扉が開かなくて外に出られないといってるんだから建物の中なのは分かる、だけど中で花見なんてするか? 中庭みたいなのがあるとしてそこから移動できる範囲ってどのへんなのか想像つかない…あと駐輪場って中庭とは別の場所にあるの? みたいな感じで解決できない疑問を保留にしながら読み進めないといけないのはややしんどい



ホラー的演出については、起動時に強めに警告されますが突然怖い画像が表示されたり大きな音が鳴ったりという事もなくテキストだけ(あと若干の血しぶき)で進むのでよほどホラーが苦手でないなら大丈夫かなと思います。
わらべうたをモチーフにした呪いの電話とか、子供の霊や殺人鬼といった不気味さを演出する要素はそこかしこに散りばめられており、こうした要素から想像して恐怖を感じていたい、というタイプのホラー好きの方にピッタリでしょう。

あとシステム面に関してはやや不満ありです。セーブ&ロード、スキップにバックログなど最小限のシステムはきちんと用意されているのですが(特にバックログでさかのぼれる範囲が広いのはありがたい)、動作の安定性が低いです。プレイ中にフリーズすることが何度か。そのためこまめなセーブを挟んでプレイすることをお勧めします。選択肢の数も多いですしセーブスロットも豊富ですからこまめにセーブして損はありません。
タイトル画面から行けるエンディングリスト画面も謎です。スチル一覧画面のようなレイアウトで各エンディング画面が見られるのですが特に絵があったりするわけでもなく文字だけ。クリックするとその画面を拡大して見られるのですが特に文字を拡大してもうれしいことはなく、クリックできるなら分岐確定後のシーンにジャンプするような機能を期待するのでなんだこれは、と思ってしまいました。


さて、そんな本作ですがタイトルに「ホラー編」とついている通りシリーズとなっています(単独でも完結しています)。「アカイロマンション完全版」が有料にて販売中です。無料の体験版もノベコレ版よりエンディングが増えているようです。私は完全版購入済みですがまだプレイできていません…。エンディング数もプレイ時間も倍増しているようで楽しみです。


難点の指摘も長くなりましたが、適度な緊張感をもってどんどん先へ先へと楽しく読み進められた作品であることは間違いないので是非プレイしてみてください。
複数ある生還エンドでそれぞれ後味が違いながらも納得感と爽快感があるホラーは結構貴重だと思いますよ。

それでは。

こんにちは。今回は鳥籠さんの「何も事件は起こらなかった」のレビューです。

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ジャンル:微ホラー探索アドベンチャー
プレイ時間:30分
分岐:エンディング3種
ツール:Wolf RPGエディター
リリース:2016/12
備考:第12回ふりーむ!ゲームコンテスト短編部門銅賞受賞作


さて、最近は新しめの作品が続いていましたが、今回はやや古め、2016年公開の短編ホラーとなります。
では簡単なあらすじ紹介からまいりましょう。

主人公のレンは小学1年生。公園で友達の志乃と遊んでいましたが、夕方になりお姉ちゃん(真弓)が迎えに来ます。家に帰ってからも一見平和そうなものの、たまに現れる幽霊のような影や不気味な現象。表に見せない苦悩を抱えていそうな真弓。
果たして幽霊の正体は何なのでしょうか。真弓とレンの間には何があったのでしょうか。幽霊のいう「ここにいてはいけない」はどういう意味だったのでしょうか…

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ゲーム開始時点では平穏そのものであり、怪しい洋館に肝試しに行ったり異世界に迷い込んだりするわけではない本作ですが、すぐにホラーの面が見えてきます。
家の中で、廊下や子供部屋、書斎など様々な場所で幽霊のような影に出会います。影たちはしきりに「お前はだれだ」「ここは悲しい家だ」「ここにいてはいけないから帰れ」などと伝えてきます。それほど怖いわけではありませんが、例えば「この家で過去に事件や事故があったんじゃないか」とか、「主人公は本当に生きた人間なのか、彼岸の使者が迎えに来ているのではないか」などの想像が膨らみます。

家の中がこのような状態であるのに対し、真弓は明らかに明るすぎるというか、空元気のような感じがします。この違和感は、真弓に対しても「この人は何かを隠しているんじゃないだろうか」という疑念を抱かせてきます。そしてその疑問はGOOD ENDによって意外な方向に解決されることとなります。


このエンディング分岐についてです。
GOOD, NORMAL, BADの3種類があることや、いずれも1周目から回収できることはゲームの開始時点で案内されています。となると多くの方は初見からGOODエンドを目指してプレイしていくのではないでしょうか。ところが本作は分岐の仕掛けが特殊であり、ほとんどの場合最初はBADにたどり着くのではないでしょうか。少なくとも初見GOODはほぼ無理だと思います。

BADエンドでは、レンも真弓もすべての疑問を忘れ去ってそのままおしまいになってしまいます。穏やかではあるけれども何も真実が明らかにならないルートです。このルートを見たうえでちょっと試してみればNORMALエンドにも簡単に行くことができるでしょう。こちらではレンは前を向いて進んでいくことができます。真弓の口からも本当のことが述べられますが前を向くことができず、なんともむずむずする結末になってしまいます。

というわけで皆さんにはぜひGOODエンドまで見て欲しいのですが、これは分かってしまえば簡単とはいえ気付くのは相当難しいと思います。人によっては永遠に気付かないかもしれません。
この分岐方法に私は非常に驚き、類を見ない仕掛けだなと大変感心しました。それは盲点だったよ…。
そしてたどり着いたGOODエンドでは2人とも現実を受け入れて前に進んでいくだけでなく、本作のタイトルであった「何も事件は起こらなかった」の意味も明らかになる大変気持ちの良いエンディングです。本編内で登場機会のなかった両親に関する気持ちなどを含めて解決されるのが素晴らしい。
このエンディングを見て初めて、幽霊の言葉だったりNORMALエンドでの会話だったりがプレイヤーに効果的にミスリードを誘っていることが分かるのです。

どうしても分からなかった場合、ヒントの見方がReadMeに書いてありますのでよく読んでみてください。それでも分からない場合、下に攻略を畳んで書いておくのでクリックして読んでください。この作品はGOODエンドまで見ないと評価できません。そしてエンディング回収後にはこの仕掛けが良くできていることに驚き、温かい結末に感動することができるでしょう。

GOOD ENDを見る方法(クリックで展開) トイレに起きた後おまじないをせずにそのまま眠り、翌朝真弓と話している最中に登場する幽霊に従って、話し続ける真弓を無視してリビングを出てください。→キー長押ししながらzもしくはEnterキーを押してメッセージを送っていけばよいです。
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さて、本作をホラーゲームとして見た場合、やや物足りなく感じるかもしれません。プレイ時間は短いですし、幽霊に話しかけられること以外に怖いことは起こりません(一か所だけ視覚的に怖いシーンがありますが、よほどホラーが苦手な方でなければ大丈夫でしょう)。
ゲームの進行も、家の中をノーヒントで探索して特定のものを調べる必要があったりと、すこし不親切というかお遣い感のある探索だなあと正直なところ感じました。
しかしそれでもエンディングのきれいさがそれらをすべてカバーできるすごい作品だなと感じました。

ややマニアックだけれども良かった点として、バックログが可能な点を挙げておきましょう。
ウディタ製のADVゲームにおいてバックログが使える作品は私はほとんど知らないのですが、本作にはばっちり実装されています。
イベント中に参照できないのは不便ですが、探索中はxキーで表示できるメニューからいつでも会話履歴をさかのぼって確認することが可能です。大変珍しい機能で私的には高ポイントです。


というわけで今回は「何も事件は起こらなかった」でした。
ぜひGOODエンドまで見てください。そうでないとこの作品を楽しんだことにならないのではないか、そのくらいのパワーがありますので頑張って攻略してみてください。

それでは。

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