フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
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専門知識

こんにちは。今回はDanQさんの「学ぼう! 精神医学 -うつ病編-」をレビューしていこうと思います。

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ジャンル:精神医学をカジュアルに学べるノベルゲーム
プレイ時間:45分
分岐:あり
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2023/8



本作はフリーゲーム夢現を巡回していて見つけた作品になります。タイトルから分かる通り、精神科での診療や精神疾患についての初歩を学んでいける作品となっており、全体的に非常にまじめに作られています。それでは作品内容の紹介に移りましょう。


本作の主人公(名前変更可。デフォルトは朝宮)は総合病院に勤める2年目の研修医。今回初めて精神科に配置され、患者さんの診察や治療に携わることになります。とはいってもこれまで内科などでの勤務経験しかない主人公は精神科で必要な知識が十分ではありません。指導医の夏川先生に教えてもらいながら患者さんを診ていくことになります。



主人公が最初に見ることになった患者さんは永野さんという男性でした。
1か月ほど前から気分が落ち込み仕事にも身が入らず、家族の目から見てもずっとしんどそうにしていると言います。永野さんへの診察と治療を通して、主人公と一緒に読者も精神医学について学んでいける構成となっています。


さて、私は医学に関する知識は素人なので(過去に診断されたことのある病気について調べたりはする、という程度です)、上で永野さんの訴える症状を聞いてもうつ病くらいしか候補を考えられないのですが(本作のタイトルからのメタ読みもありますが)、本作を最後まで読めば精神科では他の様々な可能性も考慮しながら最終的な診断や治療を行っていることが分かります。


例えば、夏川先生に最初に教えてもらう講義の内容は「精神科ではなぜ病歴が大事なのか?」です。
レントゲンを撮ったら骨が折れていることが分かった、などのように検査で明確な原因が把握しづらい精神科における診断では、現在の状況だけでなく過去もさかのぼって考慮したうえで適切な判断をする必要があるというのです。これは、今までの私には全くなかった視点でした。

作内で永野さんの診察を行う際には、今の仕事や家庭での様子のみにとどまらず、子供のころからの成育歴や病歴などについてを含む細かい聞き取りが行われています。知らなければ、医師というよりはカウンセラーみたいな人の仕事なのでは? と思ってしまったりしますがこれも精神科医の大切な仕事の1つだということでした。
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もう一つ例を挙げましょう。精神科においても血液検査などの検査を行うことは多いようです。しかしそれは例えば、うつ病になると血液検査のこの項目で数値が高くなる! のような項目をチェックするためのものではなく、他の原因を除外するためであるというのです。
なるほど、確かに脳外科とか内分泌科とかの他の科にかかるべき真の原因があったのにうつ病と診断して精神科的アプローチで治療を試みても良くなるとは思えません。こうした病気以外にも、例えば薬物の影響で気分症状が現れることがあるのは私も知識としては知っていたはずですが、うつ病の診断をしようという段になって頭の中に残ってはいませんでした。

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こんな感じで全体的にまじめに作られた作品ですが、かわいらしいイラストやコミカルな音楽もついてカジュアルな雰囲気を保っています。診察に入る前のプロローグであったり、True Endで永野さんが快復したときなんかは登場人物のキャラクター性が出た会話シーンなんかもあったりして、ゲームとして気楽に楽しめるような内容になっていると言えるでしょう。
もちろん完全な娯楽作品のようにゲラゲラと笑ったり感動シーンに涙したりといった展開にはなりませんが、勉強のハードルを下げてくれているという点が大きく評価できるポイントだと思います。立ち絵がスッと入れ替わったり、講義スライドが挟まったりといった演出の仕方もささやかながら間違いなく本作の取っつきやすさに貢献しているでしょう。

ネットを使って医学のことについて調べようとすると、怪しい情報が大量に出てきて私のような素人では信頼できる情報を見分けるのが大変ですからね。公的機関や大学などが出している情報はさすがに信じていいだろうと思いますが、そういったページって大体堅苦しくて難しいんですよね。その点本作ではうつ病や精神医学についての最低限の知識を読みやすく、そして正しく(作者さんは現役のお医者さんということですし、診断基準等の引用元も作内で示されています)伝えてくれる点が嬉しかったですね。


ところで少し上でさらっとTrue Endと書きました。本作にはいくつかの選択肢が存在しています。
全問正解しないとTrue Endには行けないのですが、いずれの選択肢も夏川先生の話をきちんと聞いていれば正しいものを選べるものですし(常識で考えても大体は正解を選べるはず)、難しくありません。
逆に1つでも間違えるとNormal Endに行くようですが、こちらでも永野さんの病状が悪くなったりはしませんでした。夏川先生のフォローがしっかりしていたということでしょう。こうした作品でわざと間違い選択肢を選ぶのは私は心理的に強い抵抗があるのですが、レビュー書くんだからちゃんと他のエンディングも見ておこうかと思ってみてみました。辛い結果にならなくて良かったです。


というわけで今回は「学ぼう! 精神医学 -うつ病編-」でした。
勉強するぞ!という気持ちにならなくてよいのでぜひ気軽に読んでみてください。

それでは。

こんにちは。今回はTeam囲碁RPGさんの「囲碁RPG」のご紹介です。

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★favo
ジャンル:オーソドックスなターン制RPG+詰碁問題集
プレイ時間:ラスボス撃破までで10時間程度
分岐:なし
ツール:RPGツクール
リリース:2023/7(ふりーむへのDL版掲載日)
注意:囲碁の棋力が10級以上の方推奨


本作「囲碁RPG」はタイトルから分かる通り、囲碁がテーマとなっているRPGです。単にシナリオに囲碁が使われているというだけでなく、詰碁(部分的な石の死活を問う問題。詰将棋に対応するもの)を解いて進むギミックも多数用意されているなどかなり凝っています。
このギミックのため囲碁未経験者ではクリアはほぼ不可能でしょう。公式の説明欄にもありますが、10級程度の棋力は最低限欲しいところです。私の棋力は碁会所で三段程度、ネット碁では囲碁クエスト(Android版/iOS版)で四段、野狐囲碁で二段程度です。有段者なら本作の囲碁に関するギミックで困ることはないでしょう。
囲碁に関するギミックで詰まってしまう場合、「囲碁RPG 入門編」があるのでそちらのプレイをお勧めします。



本作の世界観では、囲碁の技術である”棋術”(聞いたことがないので本作の造語でしょう)がそのまま(物理的な)戦闘の技術になっています。碁の強い者が通常のRPGの意味でも強いのです。戦闘では打撃(通常物理攻撃)のほかに棋術(魔法攻撃に相当)を使って敵を打ち倒していきます。
そんな本作は主人公の星宙かやが囲碁の養成所を卒業するシーンで始まります。卒業試験をパスしたかやは養成所からのプレゼントとして最新の棋術を教わるため、棋術習得用カプセルに入ります。ところがその棋術習得の最中に”幻庵”と名乗る人物が乱入。養成所は荒らされ、同級生の安否も分からない中かやは何とか魔法陣を起動してワープし見知らぬ村、”アキスミ村”で目を覚まします。どうやら”秘密結社INOUE”が何かを企んで悪さをしている模様。かやは同級生を助けるため、秘密結社INOUEに挑むべく旅を始めるのだった…


本作のオープニングはこんな感じなのですが、これまでですでに囲碁にまつわるネタが3つも含まれています。
まず、幻庵というのは戦国時代の武将、北条幻庵のことのようです。今回調べて知ったのですが、幻庵は囲碁にまつわる逸話のある武将ということです。そしてアキスミ村。アキスミというのは文字通り空いている、つまりまだ石が全く置かれていない(碁盤の)隅のことで、たいていの場合初手で着手される地点になります。すなわち”はじまりの村”みたいな意味合いですね。
そして秘密結社INOUEというのは囲碁の家元四家のうちの一つ、井上家のことでしょう。江戸時代、徳川将軍の前で行われた対局、御城碁で争った四家が家元四家で、本因坊家、井上家、安井家、林家の4つです。本因坊だけが実力制となって現代のタイトル戦に名を残していますね。

安井算知

このように、本作内において非常に濃い密度で囲碁に関する分かると面白いネタがちりばめられています。しかもネタの分野が広いです。
例えば主人公かやの仲間になる最初の人物は”秀策”ですが、これは本因坊秀策のことです。ヒカルの碁にも出てきたのでご存じの方も多いかもしれませんね。続いて仲間になるのは”算知”ですが、これは同じく江戸時代の棋士である安井算知のこと。天地明察に登場したことで知っている方もいるかもしれません。
4人パーティーの最後の一人は”リーラ”と名乗ります。これはフリーのコンピュータ囲碁ソフトLeelaのことでしょう。さっきまで江戸時代の話だったのに急に現代のAIの話が出てきてちょっとびっくりしましたが、これも囲碁が分かる人ならではのネタでしょう。

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他にも、敵のキャラクターは全て囲碁用語だったり、囲碁周辺の元ネタがあったりします。
例えばこちらの”アキサンカク”ですが、これは漢字で書けば”空き三角”。自分の石が三角形の形につながった状態のことで、働きの乏しい愚形の代表例です。

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こちらの”モクサン”は目算。自分と相手の陣地の数を脳内で数えることです。これが正確にできるのは高段者でしょう(私はできません)。

その他、装備品名や村人のセリフなどにも大量の囲碁用語が登場。分かる方にはとても納得できる使われ方だと思います。
鉄柱、亀の甲羅、一間高などの囲碁用語のついた装備品。玄玄碁経、官子譜、發陽論などの古典的書物。秀策、算知をはじめ赤星因徹や本因坊丈和などの江戸時代の棋士である登場人物。ノギツネ城(野狐囲碁という中国のネット対局サイト)、絶芸(野狐で対局しているAI)、AyaXbot(囲碁クエストというアプリ内で常駐しているAI)など、現代の囲碁界に関するものまで本当に幅広いです。
ラスボス戦が対AIになるの熱い展開で良いですね。

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(ところで「魔王のメガネ」の魔王って井山裕太さんのことですよね?)

それに加え、先に書いたように本作では詰碁を解いて進んでいくギミックが数多く含まれています。
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上のスクリーンショットのように、いごまるという小さな生き物(タイトル画面の左側にいるやつ)が道をふさいでいる場面にたびたび出合います。近くには詰碁の問題があるので、これに正解すると道を開けてもらえたり、アイテムやお金がもらえたりギミックが進行したりするのです。
ゲームの進行上必須でない隠し要素については詰碁の問題が難しかったりします(とはいえ最難関でも上級程度です。有段レベルの問題はないと思います)

さらにこれらの詰碁を解くと、アイテムの「いごまる詰碁帳」に解いた問題が登録され、何度でも復習可能になります。全部で140問以上あり、解くたびにお金が少しもらえます。たまに「星屑の欠片」という錬金素材アイテムももらえるので積極的に解いていきましょう。(星もれっきとした囲碁用語です)
少し易しめの問題を一目で解けるようになるまで習熟度を上げるというのは囲碁の上達にもかなり役立つ勉強の仕方になると思います。その意味でも詰碁帳を周回するのはおすすめです。


さて、囲碁から離れて本作のRPGとしての部分を見ていきましょう。
戦闘は非常にオーソドックスなターン制でコマンド選択式。癖がなくてなじみやすいシステムと言えるでしょう。毎回戦闘終了後にMPが一定量回復するのでMP節約にあまり気を回さなくて済むのが助かります。

戦闘のバランスとしては、状態異常が強めでしょう。パラメータ的には余裕でも状態異常を食らうだけで一気にピンチになったりするので、装備で対策したり回復アイテムを買い込んだりしておくとよいでしょう。(状態異常の名前が囲碁用語になっていて少しわかりにくいので注意です。”味悪”は毒、”長考”・”駄目詰”は麻痺、”頓死”は即死のことです。その他は囲碁を知らない人でも名前からイメージできる効果だと思います)
状態異常以外においても装備の重要性は高いので、新しいダンジョンに挑む際はぜひいい装備を入手してからにしてください。

本作には錬金システムがあり、詰碁を解くと時々もらえる「星屑の欠片」を使って固有武器を強化したり、その他の装備品を作ったりすることができます。固有武器をMAXまで強化するのはかなり手間がかかりますが、強力なことは間違いありません。私はリーラの銃を真っ先に強化して攻撃力の上がる装飾を持たせ、リーラをアタッカーとして運用しました。2回攻撃はやはり強い。

いったことがある街へのワープができるシステムがないので移動がやや面倒ですが、ダンジョンは一度クリアすれば出口まで即移動できるのでそこまで大変ではないでしょう。

なかなか珍しいと思ったシステムは、「IG→経験値変換」です。IG(イゴールド)というのは本作の通貨単位です。つまり余ったお金を経験値に変換できるのです。
通常のザコ敵で経験値を稼いでレベルアップしていくのも良いのですが、本作はザコ戦で得られるIGが少ないのでこの方法ではお金不足になりやすいです。そこで「いごまる詰碁帳」を解くことで大量のIGと星屑の欠片を稼ぎ、余ったIGを経験値に変換するという方法の方が効率がよさそうです。


というわけで今回は「囲碁RPG」でした。
10級の方だとクリアに結構苦労しそうですが、5級~1級くらいの上級者の方は特に詰碁の復習もできて楽しい作品なんじゃないでしょうか。囲碁の歴史についてもちょっとだけ学べます。
囲碁やったことないよという方は入門編のほうをぜひ。

それでは。

こんにちは。今回のレビューは浦田一香さんの「あなたの命の価値リメイクver2」となります。

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ジャンル:シリアス系ノベルゲーム
プレイ時間:4時間程度
分岐:なし
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2021/8
備考:リメイク前のバージョンも公開中


さて、本作についてはレビューを書くのに結構苦労しました。プレイして思うところはいろいろあるけれど、ゲームのレビューとしては関係ないような内容も多く文章をまとめるのも難しいです。決して大衆向けというわけでもない内容。執筆にも相当な期間を要しました。
それでも私はコンシューマーではなくフリーのゲームを好んでプレイしてレビューを書いておきながら、本作をスルーするわけにはいかないだろうと思ったのです。作者の伝えたいことがストレートに表現され、良い作品にしようという意気込みも感じられる。それこそがフリーゲームの魅力の1つでしょう。


本作のストーリーは終始シリアスな内容が続きます。主人公の岩佐勇気は高校2年生。虐待のあった家庭から離れ、妹の由紀とともに児童養護施設”絆の学園”で生活しています。そこには同じように家庭の問題を抱えた子供たちが数十人。彼らが抱える心の傷や経済的な問題、さらには偏見問題などが扱われ、エンターテイメント性のあるゲームというよりはドキュメンタリーを見ているような感じと言っていいでしょう。


あらすじをなぞって説明するのは簡単ですが、それはなんだか本作の趣旨から外れているように私には感じられます。というのも本作については物語として楽しむというところよりも、勇気たちの境遇と成長を見て我々プレイヤーがどう考えるのかということの方がよほど大事に思えるのです。というわけでストーリーの内容にはほぼ触れずに感想を述べる感じで書いていこうと思います。

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こうした話を読んでまず思うのは、ありきたりですが自分は恵まれた環境で生きてきたなということです。勇気は幼いころに両親から虐待を受け、施設で保護されるわけですが、私の場合は優しい両親がいて、寝食に困ることもなく、暴力におびえることもなく育ち、大学にも行かせてもらいました。高校に通いながらも将来のためにアルバイトで貯蓄し、高校の先生に進学を勧められる学力がありながら早い段階での生活の安定を求めて就職を決意した勇気に比べたらほとんど何も考えずに過ごしていたようなものです。
…と、経済的な面が最初に目につきます。しかし、本作をプレイすればそれだけでない虐待の負の影響が見えてきます。それは精神的な悪影響です。

勇気だけでなく、夏美も、佳奈も(2人とも同じ施設で生活する子たちです)、私からしたらなぜそこまでと思えるほどネガティブな言動が見られます。例えば、本作前半のあるシーンで勇気は学校の友人である沙希との関係について沙希の父親から相当に失礼なことを言われます。”虐待を受けてきたような子は親にきちんとしつけられていない。さらに自身も子供へ虐待する可能性が高い”というような内容です。自分自身はあからさまには差別しないというような口ぶりですが、あの発言内容は家庭での問題を抱えた人たちに対する差別以外の何物でもありません。自分は気にしないけど世間の人たちもそうとは限らないよというような言い回しは、自分は汚れ役になりたくないけど文句は言いたいという大人に使われやすい常套句ですよね。
確かに親からの愛情に問題があった場合、自分の子供に虐待する割合がその他の人よりも高いというデータは私も見たことがあります。しかしそれは被虐待児の責任ではありません。勇気のような子供達には思いを寄せる人と一緒に幸せになる権利はないのでしょうか。また、単に確率の話を個人に当てはめるのも不適当です。子供への虐待を100%防ぎたいなら唯一の方法は子供を作らないことでしょう。

……今の私であれば、これくらいの反論はすぐに思い浮かびます。しかしこれができるのは私が幸せな家庭に育ち、親の十分な愛情を受け、自分が生きていること自体に代替の利かない貴重な価値があることを信じて疑わないからです。勇気の場合残念ながらそうではありませんでした。過去の出来事にふたをし、自身のアイデンティティを”幸せな家庭を築く”という目標の達成1点に絞っていた結果、それが(虐待の無かった人に比べて)統計的に難しいと言われただけで強い不安に駆られ、反論の気力も浮かばなかったのでしょう。だからこそ施設での智恵理先生のような人ときちんと信頼を深め、心に穴の開いた部分を埋めていく努力が必要なのでしょう(本人も、支える側もです)。福祉は、”金さえあれば何とかなる”というような問題ではないことが分かります。


本作をプレイしていてその他にもいろいろな悲しい気付きがありました。元や佳奈、夏美など、様々な事情を抱えた人物が登場するのは、こうした気付きを得て欲しいという作者さんの思いなのでしょう。その気合の入り方は、ReadMeに列挙された参考文献の数でもわかります。アカデミックな内容を含む作品などで参考文献が載っているものは他にも見たことがありますが、本作のように列挙というにふさわしい数が並んでいるのは初めて見たと思います。私の卒論の引用文献数より多いのでは?
このように作者のメッセージを受け取れたり一緒に考えたりということができるのは、フリーゲームらしさの1つと言ってよいでしょう。

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虐待問題を扱うにあたって、被虐待児自身が成長して大人になるだけでなく、幸せな家庭を築き上げ立派に子供を産み育て、虐待の連鎖を断ち切ることは作者さんが絶対に描きたかった内容と見えます。その思いを反映するように、勇気の人生の目標が”幸せな家庭を築くこと”だというのは物語冒頭で提示されますし、物語の時間軸も高校在学時から娘の優美が家を出て独り立ちするまでの30年程度とかなり長期スパンです。児童養護施設が舞台なのだから大体2年くらいだろうと思っていたプレイ開始当初の私は浅はかでした。
就職し施設を出た後も力の入ったシーンが続きます。仕事に苦労し、虐待の後遺症に苦しみながらも優美が誕生し、成長していき、結婚するまで。優美の成長がほほえましいのはもちろん、勇気と夏美の成長を確認できるシーンでもあるでしょう。施設に来たばかりの時のように周囲におびえ、自分の生きる価値を見出せず、自分の居場所も分からなかった勇気はもういません。立派に社会人となり、親となり、着実に目標達成への道を歩んでいきます。優美が両親の過去を受け入れ、感謝を述べるあたりなんかはかなり感動的です。
いやあ、こういう作品をプレイすると、下手に恋愛ものとかを読むよりよっぽど結婚したくなりますね。



さて、ゲームとしてみたときに気になった点も2点だけ触れましょう。
1つは脇役のエピソードの挟み方です。本作においてメインになるのは勇気と夏美が虐待の経験を乗り越える話です。しかし序盤のうちは夏美の抱える問題がはっきり提示されません。何となくクラスになじめていなそうだなという描写があって、何とかしたいなとは思うものの具体的な行動がないまま佳奈や沙希など別の人物の問題を解決していく章に入っていきます。なので私は前半の間は夏美が重要な人物であることに気付かなかったのです。ここがちょっともったいない気がしました。物語開始後真っ先に夏美の状況が語られて、勇気も何とか力になってあげたいと決意する(具体的な行動ができるかは別にして)描写とかがあると、物語の1本の軸が最初から分かりやすくなるんじゃないでしょうか。
夏美以外の抱える問題についてのシーン自体はとても良いと思います。おそらく様々な事情を抱えた人がいるというのは作者さんの伝えたい内容の1つでもあるでしょう。特に沙希に関しての、1回勇気との衝突があって、後に「沙希さんの夢がより具体的になっている。」と表現されるあたりがよい。物語内の出来事を受けて沙希も成長したことが伝わり、物語に厚みが出たような気がします。佳奈やリリィなどについてはいったん解決したらもうその話には触れずにそのまま、という感じだったので、後の章で過去の出来事を受けて変わっていった部分などが語られたらよりよかったんじゃないでしょうか。

もう1点は、作品内のメリハリについてです。本作では勇気たちが生活していく様々なシーンが登場します。学校に行ったり、アルバイトしたり、買い物をしたり、施設に戻って話し合ったり。しかしそれぞれのシーンにテンションの差がなく、どこが大事なところなのかわかりにくかったように思いました。移動の間のシーンなどもかなり短いものも別で切り分けられているので、思い切って短い部分は削ったり前後のシーンにくっつけたりすると場面転換が少なくなってすっきりする気がします。また、逆にためるところはもっともったいぶっていいと思います。例えば、物語終盤、「僕は時間が止まったかのような錯覚に陥った。」とまで言われるシーンがありますが、ここは文字通りもっと引き延ばして印象に残るようにしていいんじゃないでしょうか。そのままさらっと流れて夜になってしまうのはちょっともったいない気がします。スチルがあるシーンなども同様に、ここが重要なシーンなんだ! という主張を尺的にも入れていいと思います。
これは登場人物の扱いについても同じです。上で夏美との話がメインなのが分かりにくかったと書きましたが、これも理由の一つだと思います。会話シーンだったり心情描写のだったりの際に全員が同じくらいの頻度で出てきて中心となる人物がいないのです。それにしては登場人物が多いため、常に頭の中に多くのキャラクターを思い浮かべていなければならず読んでいて少し疲れます。会話シーンで頻出させるのは夏美の性格上違うとしても、勇気の心情描写ではもっと夏美のことを気にかけていることを物語序盤から主張してよかったんじゃないでしょうか。中盤以降は物語の軸が勇気と夏美であることがはっきりし、大変読みやすくなったように思います。



と細々書いてきましたが、多くの人に本作をプレイしてもらいたいのは変わりませんので、ぜひダウンロードして、いろいろと感じ取ってください。

こんにちは。今回はまた攻略対象の一風変わった学園恋愛もののご紹介です。冬至さんの「高対称のi」です。

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ジャンル:学園もの乙女ゲーム
プレイ時間:30分
分岐:3つ
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2021/5


少し前に、攻略対象が人外クリーチャーのノベルゲームをご紹介しました。今回取り上げる「高対称のi」も攻略対象は人ではありません。では何か。幾何学図形です。攻略対象となるのは完全無欠のまる先輩、子分に慕われ威勢のいいさんかく先輩、読書と四字熟語が好きでいつも冷静なしかくくんの3人。
数年前にかなり話題になった黒城ろこさんの「どとこい」「ドトコイ」を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、好感度が上がるにつれて解像度も上がり、しっかり人間の姿として見えるようになっていったあの作品とは異なり、本作では幾何学図形が真の姿。いつまで経っても円や正方形の姿のままです。

そんな攻略対象たち。単に図形が攻略対象ですというだけでは全く想像できないほどきちんとしたキャラ付けがされており、それにプラスして数学の豆知識が登場。詳しくは後述しますが、このあたりの設定の付け方や話の持っていき方が凄く上手いんですよね。そんな3人を軽く紹介しましょう。

まずは喜華学(きかがく)学園に入学初日、道に迷っていた主人公(名前任意)を優しく案内してくれた生徒会長のまる先輩と出会います。
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「非の打ち所無い対称性がとても眩しい。」などの言葉遣いが味わい深くて面白い。
どの方向から見ても同じ対称性を保っている円の性質を反映するように、まる会長は誰に対しても平等にとても優しい。しかし主人公の”わたし”とは何かしら深い縁を感じている様子。その秘密はまる会長ルートの最後で明らかになります。


続いて放送室へ向かう主人公はまたしても道が分からず、今度はさんかく先輩に道を教えてもらいます。
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ピシッとした角度で威勢のいいさんかく先輩ですが、多くの子分たちに慕われるリーダーシップと思いやりのある先輩です。小さい三角形(子分たち)がなついている様子がとてもかわいらしい。

最後に図書室で出会った主人公と同じく新入生のしかくくんです。
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どっしりと構えた正方形らしい性格のしかくくん。4という数字に共鳴するところがあるらしく、四字熟語や漢詩の絶句が好き。数学ネタが多いこの作品の中で文系ネタのアクセントを加えてくれます。彼も主人公と重要な共通点があるようだがそれはいったい…?


学園恋愛ものには不可欠な同性の友人もいます。それがこちらの二階微分(にかい・びぶん)ちゃん。
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xの上に2つの目玉。私にはこのネタは通じましたが、大学で物理をやったことのある人にしか分からないかも。物理量xの時間微分を数学の世界では(時間を表す変数をtとして)dx/dtで表しますが、物理では簡略化のためにxの上に点を1つ打って表現したりします。それをさらに時間微分する(つまり二階微分になる)と点を2つにして表現します。ニュートン記法と言われる書き方ですが、この点を目玉に見立てる発想が分かる人には面白いネタでした。


さて、こんな感じで数学のネタが大量にちりばめられた本作ですが、それぞれの図形の特徴を生かしてキャラクター性をつけ、さらには乙女ゲー的展開に持っていくのが上手いんですよね。あまりしゃべるとネタバレになってしまいますが、本作では主人公はとある秘密・悩みを抱えています。それゆえにみんなと仲良くしてもらっても自身を持てずにいるのですが、まる会長もさんかく先輩もしかくくんも、みんなそんなこと気にしなくて大丈夫だよとそれぞれ別のアプローチから勇気づけてくれます。その方法を数学に絡めており、テーマが一貫しているのがすごいところです。
多分ある程度数学が得意な方なら、主人公の悩みについては予想がつくし、さんかく先輩が教えてくれる事実についても知っているでしょう。しかしまる会長の持つ悩みについて主人公の秘密がリンクして逆に勇気づけたりとか、しかくくんが主人公と一体感を覚える理由については言われるまで気づきませんでした。言われてみればその通りで納得感もあるんですよね。誰のルートに入っても、主人公がしっかりと自分を受け入れて前を向いて進んでいけるのが気持ちいい。

本筋の秘密ではないのでこれは書いちゃいますが、よく「見た目がすべてじゃないよ」というような言説があります。しかしそれは外見に悩む人が多いから言われるわけですよね。本作においては、「見た目の形に注目する」のがユークリッド幾何、「中身(図形の持つ角の数だったり、他の点とのつながり方だったり)に注目する」のが非ユークリッド幾何として表現されているのが絶妙。高校までで習う普通の幾何学だけでなく、アフィン幾何やシンプレクティック幾何といった直感的ではない幾何もあるのです。この辺は私も理解しているとはいいがたい分野ですが、ここまでゲームで触れられるのか!と驚いた点でもあります。

もう一つ。自分が普通の人と違うといって悩むことも良くあります。本作においては、これは普通だと思っていたものよりも実は普通でないものの方が多い例として代数的数と超越数が出てきます。代数的数というのは代数方程式の根となる数のこと。超越数とはそうでない数のこと。
確かに、私たちが普通に数と言って思い浮かべるものは大抵代数的数です。整数や有理数はもちろん、ルート2などもすべて代数的数なので、これが普通なのかと思ったりします。しかし実は"普通"でない数、超越数の方がずっと多く存在するというのがカントールの対角線論法によって割と簡単に示せます。だから、何が普通なのかなんかで悩むのは無意味だし簡単にひっくり返っちゃうから気にしないでいいよ、ということになるのです。
私がこれまで単に数学的事実と思っていたことが、こうして乙女ゲーに活用できるんだというのが私の感動ポイントでした。


という感じで本作は、乙女ゲーとして美味しい部分に数学のスパイスが使われています。しかしそれ以外の小ネタも盛りだくさんなので、私が拾えた範囲で書いてみましょう。



  • 入学式でユークリッド校長が説明した5か条
    ユークリッド幾何学における5つの公準のことですね。最近は5条目に異議を唱える生徒もいる、というのは非ユークリッド幾何学のことを指しています。
  • 二階微分ちゃん
    物理委員になった時「ん-、私がこの見た目でいられるのも物理のおかげみたいなところあるからね。」は前述の物理で使うニュートン記法を指しています。彼女がニュートン先生を好きなのもそのためでしょう。
  • まる会長の対称性
    周りから、「SO(2)の対称性らしいぞ」と言われているシーンがあります。これは特殊直交群と呼ばれるリー群の一種ですね。中心を固定して任意の角度に回転させても同じ形になることを表現する群です。ちなみに、中心を通る直線に関する線対称であることも含めるならO(2)という群になります。
    (7/17追記)ややネタバレなのでたたみます。クリックで展開SO(2)は回転対称のみを含んでおりO(2)には含まれる反転は含まないので、裏表で区別があることを意味します。ということは、まる会長の表ではみんなの期待に応えて真円としてふるまっているけれども、裏では真円とのずれについて人知れず悩んでいるのを表現しているとも考えられるなと思いました。

  • グループ課題の時、群に分かれる
    上の項目で述べたように、図形の対称性は群で表現することができます。円ならO(2)、正三角形ならD3、正方形ならD4と書けます。(Dnは二面体群と呼ばれます)
  • フェルマー先生が、「余白がない」と言う
    フェルマーの最終定理の証明に関して、フェルマー自身が「この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。」というメモ書きを残した逸話のネタです。
  • フランス語のガロア先生が「時間がない」と言う
    ガロアは今日ではガロア理論と呼ばれる理論などに大きな功績を残した数学者ですが、なんと決闘によって弱冠二十歳で亡くなっています。決闘を翌日に控えた日に書いた手紙には「僕にはもう時間がない」という走り書きがあったという逸話があります。
  • 日本史の関先生
    和算で有名な江戸時代の日本の数学者、関孝和のことですね。


というわけでゲームから外れた内容も多くなりましたが、「高対称のi」でした。
数学ネタが拾えなくても、王道の乙女ゲームとして楽しめると思いますのでぜひ。

こんにちは。今回は伽那ノ光さんの二酸化テルルをご紹介します。

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ジャンル:現代乙女ゲーム
プレイ時間:1周20分、フルコンプまでで2時間以内
分岐:4種類
ツール:吉里吉里
リリース:2013/7
備考:第9回ふりーむ!ゲームコンテスト女性向けゲーム部門銀賞受賞作


こんにちは。今回ご紹介するのは現代舞台の乙女ゲームですがちょっと変わった雰囲気の作品です。中学校が舞台だけど普通の学園ものとは違う。そう、本作は生徒である天音セレンと理科教師仁志輝流(にし・きりゅう)の間の物語なのです。禁断の恋という感じでフォーカスされているわけではないのでそこを求める方には物足りないかもしれませんが、生徒と先生、コドモとオトナの対等でない関係の間でどう展開するのかは見どころの一つでしょう。


さて、本作が変わっているのは生徒と先生という関係性だけではありません。タイトルを見てお気付きになるかと思いますが、本作には化学物質の名前がタイトルとして与えられています。そこからもわかる通り、化学が本作のストーリーを支える大切な要素になっています。とはいっても難しい話は出てこないので大丈夫。主人公天音セレンは中学3年生なので、中学校の範囲の内容しか出てきませんし、シナリオ中では適宜出てきた用語などについての解説が入ります。ちなみにこの解説は、仁志先生がさらっと格好よくしてくれるパターンと、シナリオを中断して注釈が入るような形で解説してくれるパターンがあります。出てくる用語自体は義務教育の範囲内ですが、付随するうんちくなんかも語ってくれたりするので理系の方も退屈しないと思いますよ。作者の伽那ノ光さんは医師とのことで、専門性を生かしたシナリオになっています。
逆に、科学的な(理屈っぽい)語り口などにアレルギーがある方だと本作を楽しむのは難しいかもしれませんね。昔習ったことを忘れてしまったという程度ならセレンと一緒にプレイヤーも生徒側に回ればいいのですが、酸素を作るとか電気分解するとかいった話題自体が苦手なら本作はお勧めしません。


そんなことを言っていると、本作は理屈をこねて難しい話を続けるようなゲームかと思われるかもしれませんが、それは違います。主人公セレンがとる選択肢は必ず科学的・空想的という対になっていてどちらも選ぶことができます。そしてどちらを選んだ回数が多いかによってエンディングが分岐するのです。理科の先生が攻略対象だからと言って、科学しまくれば良いエンディングにたどり着けるのかというとそうではありません。科学エンド、空想エンド、そして中間にあたる中道エンドのどれもがそれぞれ少しずつ違って優劣のない結末を見せてくれます。科学を押し付けることがないようなこの態度はなかなか好感が持てます。
そうした作品の構成だけでなく、文章表現でも詩的で素敵だなあと思える魅力もあったりします。私は「職員室にナッツのようなカラメルのような香りが広がる。たちまち、灰色だった部屋に赤みがさしこんだ。」「先生のほほえみは、準備室に広がったクリームの香りのように甘かった。わたしはその笑顔に、どきりとした。」などが気が利いていて好きだなあと思いました。


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さて、上の画像を見るとわかりますが、本作のイラストは非常にきれいです。セレンがかわいらしいのはもちろん、仁志先生もいいですね。教師という立場でクールに振る舞いますが、笑顔も見たくなる。そして3つのエンディングではそれぞれ専用スチルもあるのでぜひ集めてみましょう。ちなみに残り1つのエンディングは実質ゲームオーバーなのでスチルはありません。
もう一つ上の画像で特徴的だと思うのは、会話ウィンドウの配置です。普通のノベルゲームでは画面下部にウィンドウが1つあり、地の文も会話文もそこに表示されると思うのですが、本作では会話文は通常のテキストウィンドウとは別に立ち絵から吹き出しが出て表示されるのです。大変独特で慣れるまでは読みにくいかもしれません。しかしシステム面はしっかりと作りこまれているのでシステムに由来するプレイしにくさはかなり少ないですよ。ちなみにメニューバーの操作説明ボタンを押すと、作者さんの過去作せつなゆ魂のキャラクターが本作の操作法を解説してくれます。


本編中では仁志先生はあくまで先生であり、セレンがいくらアプローチしても大人の対応で、セレンは仁志先生のトクベツ課題を受けていることをうれしく思いながらも、いち生徒としてしか見られていないんじゃないかと寂しく感じたりします。このあたりの描写って、乙女ゲームとしてのすごくいいところだと思ってます。しかしそれだけでは物足りなく感じてしまうのも事実。結局セレンの恋は実らないのかと思うと残念だったりもしてしまいます。ですが心配は無用。2人の甘々っぷりはエンディングとエピローグでたっぷりと味わえます。特に恋する理科ノートの話では、セレンの脳みそが沸騰したところで私の脳みそも沸騰しそうでした。表情の変化も細かくていいですね。注文を付けるとしたら、エンディングでなぜ仁志先生がこれまでの態度を翻してセレンの気持ちに応えてくれたのか、の部分を読んでみたかったというところでしょう。エピローグは本編から時間が経っての話ですし、話のつながりのようなものよりは1つのシーンの魅力が大事だと思うのでセレンと仁志がラブラブになっていてもいいと思うんですが、本編エンディングではその部分が少し気になりました。

最後にどうでもいい蛇足なんですが、美術室に行ったときの回想で、セレンが課題で「わたしがいる風景」を描くために悩んでいるとき、仁志先生がキイロイトリの絵を描いたというシーンがありました。偶然だとは思うんですが、この題材が、三善晃作曲の混声合唱とギターのための組曲「クレーの絵本 第1集」の終曲「黄色い鳥のいる風景」を連想させてちょっとびっくりしました(元になった詩は谷川俊太郎のものです)。

さて、今日は少し変わった乙女ゲームのご紹介でした。大変クオリティの高い作品で、実は隠しイベントもあったりするので気になった方はぜひプレイしてみてください。隠しイベントのヒントは、周期表(タイトル画面に表示されている、元素をその性質をもとに並べた表)です。2人の名前の由来や作内に登場した科学知識の補足、セレンの過去などの話が聞けます。特にこのセリフ。

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作内の登場人物がしっかり背景を伴って生き生きと描かれているのって大事な要素ですよね。
本イベントへの入り方の答えはここには書きませんので、頑張って探してみてください。

それでは。

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