こんにちは。前回の更新から1か月以上空いてしまいました。
今回はフリーゲーム以外でプレイしたゲームについて5本まとめて書いていきたいと思います。
フリーゲームだとワケありの暴君さんが有名なサークルさんですね。

プレイ時間4時間ほどの簡単ファンタジーRPGです。DLsite、Boothで販売中。現在Ci-enにてフォロー中だとクーポンが配布中なのでお得にゲットできます。
ゲームの中身としてはごくオーソドックスなコマンド選択式ターン制RPGなのですが、本作が個性的なのは作者さんが何度もアピールしている通り、そう、乳首です。大事なことなので文字を大きくしておきました。

作中で何十回と乳首二本突きを炸裂させたことか。なにしろ公式の売り文句が
主人公リナナは新米ハンターで右も左もわからない状態なのですが、ひょんなことからベテランのハンターで討伐ランキングのトップを走るアウレスに気に入られ、パーティーを組むことになります。ベテランと組めるのはありがたいことではありますが、このアウレスというやつはとても思い込みが強く、

乳首が自分の唯一の弱点であり、これを鍛えれば最強になれるとなぜか信じているのです。リナナのことは"乳首の師匠"扱い。そんな2人が繰り広げるコメディシナリオが本作の魅力となっています。乳首のこと以外でもボケまくり。リナナはそれにツッコんだりボケを重ねたり。物語中盤でイリオノーレが仲間になってからはさらに賑やかに。そして本作のセールスポイント(?)であるシステム、乳首トレーニング、略してちくトレが解禁されます。やるたびにステータスが上がるのでゲージがたまり次第やるといいのですが、毎回迫真の乳首二本突きを見ることに。このくだらなさを笑いに変えられる方なら全編通して楽しむことができるでしょう。
システム面はツクールでよく見るシステムそのものですが、細かいところでプレイヤーへの気配りが感じられます。イベント発生個所は分かりやすいようにマップ上に示されていますし、回復ポイントを使うとゲームプレイ上のTIPSが表示されたり、ダンジョン最奥部からはワープ魔法陣で脱出できるなど、ストレスフリーでゲームを進められるようになっています。
戦闘アニメーションなんかも豊富で動きも軽いのでぜひそのあたりにも注目してみてください。

こちらは最近プレイ動画をYouTubeに投稿したりしたアクションゲームです。

ルールはいたってシンプルで、自機(手紙)をゴールへと運ぶだけです。できる操作は最初は左クリックで自機を弾くだけですが、途中から右クリックによるワイヤーアクションのような操作も可能になります。
グラフィックはシンプルで見栄えがするタイプではありませんが、シンプル故にヘルプ不要でゲームのルールやギミックの動作を理解できる作りとなっているのが嬉しい。ピクトグラムの待っている矢印の方向が進行方向であること、!マークのついている黄色い部分は危険で触れてはならないことなどが言われずとも分かります。

最初のうちは簡単なのですが、ステージが進行するにつれて動くギミックが登場したり、連続で狙い良く右クリックをしなければならなかったり、重力の向きを変更したり、細かな力加減が必要になってきたりしてどんどん難しくなります。

↑私がかなり苦戦した面です。どう進むのが正解かを考えるのに加え、その考えたルートを実現するのにも正確な操作力と判断力が必要になります。
特に後半になってくると何十回もやり直して練習する必要が出てくると思いますが、次第に操作が上手くなって思い通りに自機を操縦できるような感触も得られて、アクションゲームのツボをしっかりと押さえた作品になっていると思います。この達成感のおかげで、1回クリアした後も何度もプレイして最小手数クリアを目指してやり込んだほどです。私がYouTubeに投稿した動画はそのやり込みの結果です。
最高/最低手数がゲーム内で記録されるので、ぜひやり込んでみてください。今のところ私の記録(1st:148, 2nd:264, 3rd:468)が最高スコアだと思うので、抜いた方はぜひ報告ください。

続いてはnamaageさんのマヨイヒツジの果樹園です。DLsiteで公開されているプレイ時間にして3時間程度のノベルゲームです。
フリーゲームではBlue*やDoubt!が有名かと思います。Doubt!の終盤のドロドロ具合が印象に残っていた私は、本作はいったいどんな闇を抱えた作品なんだろうと期待してプレイし始めました。
舞台となるのは孤島に存在する不思議な学園。主人公の山田一郎は新任教師として着任したばかりです。
この学園の生徒は皆頭上に天使の輪のような金属質の物体を浮かべています。それだけでなく、何か重大な秘密が存在していることを山田は知っているようですが、それがプレイヤーに明かされるのはまだ先のことです。

生徒一人一人に”担当教師”が付くという独特のシステムがあり、一郎は天真爛漫キャラのキャセロール(画像右)の担当となります。生徒の身体面、精神面双方にわたって手厚くサポート。何事もなく過ぎてゆく学園生活。臨海学校なんていう楽しそうなイベントの計画も進みます。ところどころ不穏な匂わせはありますがこのまま不思議なラブコメとして展開してもよさそうな雰囲気は、Episode. 5にて完全に壊されます。
「幸福は義務」というおかしな校則も、「進んでこの職に就く教師はいない」というネガティブな発言も、そして何より生徒の頭上に絶えず浮いている”ワッカ”の正体も、これらの謎はすべてそこで解けることとなります。そして同時にこの圧倒的な理不尽と倫理的な不合理に震えることになるでしょう。しかしわずかながらそこには確かに正当な理由と目的も存在していたのです。
このショックを体感しない事には本作の内容について語ったり聴いたりすることはできません。本作はなんと全体の半分程度に相当するこの章まで体験版で無料でプレイすることができるので、興味を持った方はぜひ自分の手でプレイしていただきたいです。

タイトルから容易に連想されるように、本作にはキリスト教的な罪の概念が登場します(背景に鳥居があるのが宗教に寛容な日本らしい)。生徒が抱える”幸福”という義務。ではそれに相当する罪とは何なのでしょうか。
それ以外にもSF的設定が含まれており、最後の最後まで分岐の鍵を握るなど設定が複雑で、台詞回しも(特に生徒のいないシーン)やたら意味深な難しい作品ではありますが、ぜひ多くの方に味わっていただきたい作品だと思います。前半で無意味にアホな言動をしていた一郎にも、やたら気さくな同僚のリャンにも、なぜか生徒と同じ制服を着ている学園長のマツリにも、大きな秘密と裏の目的があったりします。エンディングは3種類。ぜひすべての結末を見届けてあげてください。

あとシンプルに制服が可愛いし立ち絵もきれいですしね。
ビジュアル面、そしてBGMやテーマ曲といった部分に関しても力が入っており、値段以上の価値があります。システムも快適です。オープニングテーマどこかで販売してたりしないのかな…
続いては内向的ぼっちさんの召喚術の授業は××な魔物と、(上)です。
この作品は主にDLsiteおよびBoothで正式版を頒布しており、PLiCyやフリーゲーム夢現では体験版相当を無料公開しているようです。また、本作は12推となっています。

本作の物語は、主人公のyが魔術学校で初めて召喚術の実践授業を受けるところから始まります。
魔法陣を描いて魔界と"門"を繋げ、魔物を人間界へと召喚する、そんな初級の授業でyが召喚した蝶のような魔物はyの目の前で破裂してしまうのでした。

失敗に気を落とすyは魔力の安定を意識して次の授業でもリス型の魔物の召喚を試みますが、同じように失敗してしまいます。2度も召喚に失敗し魔物を破裂させたとなると周囲からも不気味がられ疎まれるようになってしまいます。
1年間個別授業で魔力の制御を慎重に行い、魔物を安定して召喚できるようになりクラスでの召喚実習に復帰した矢先、yは自ら作った門に引きずり込まれ、亜空間へと飛ばされてしまいます。そこで出会うのがタイトル画面にいる緑色の目の魔物。彼と出会って物語は大きく動き出します。
こんな話を読んで私は、これは魔界で何とかサバイバルして人間界へ帰る魔法ファンタジーものか、あるいは異世界転生してチート魔法を習得するような流行りものに近い作品かなと思っていました。しかし読み進めるごとに私の想像はいい意味で裏切られ、意外なテーマへとつながっていく作品であると感じました。

なんというか、魔物との異種間ロマンスのような雰囲気をまとっているのです。緑目の魔物は出会った直後からどう見ても人間界の言葉でいうツンデレ発言を繰り返します。yは自らを魔界へと引きずり込んだ魔物への警戒は怠らないものの、魔界の中に作られた亜空間でかいがいしく世話をしてくれる緑目に次第に心を許していきます。そして魔力の採取がなんか…エロいんです。直接的な行為だったりそうしたイラストが出てくるわけではなく、やっていることはあくまで人間であるyから魔力を抜き取ることなのですが(だからこそ全年齢(12推)に収まっている)、魔力の搾取がしやすくなるために用いる毒薬であったり、緑目がyに触れて何とか機嫌を取ろうとする描写であったりに色気を感じ取りました。魔物の性別が明示されない(そもそもないのかも)のでちょっと違うかもしれないんですが、BL的な面白さがあるように思います。
本作が意外だったのはその点のみではありません。人間界と魔界の自然環境の違いのみならず、生態系や魔力の性質の違いなどがストーリーに絡められていて設定がよく練られています。
しっかりと警戒心を持つyは緑目の魔界での博愛的な行動に対しても批判的な思考を忘れませんが、緑目のその行動はそのまま人間界で人間が生態系に関与することだったり人間第一の倫理観を形成することに相当するのだと思い至ったりと、いろいろな視点を提供してくれるんです。
また、文章表現と背景のリンクの仕方が独特だったりします。ここに挙げた画像のように、背景はないか抽象的なものが多いのですが、たまにシナリオに出てきた修辞に対応する画像が出てきたりしてこのような表現もあるのかと感じました。木蓮の蕾のように笑った、というシーンで蕾がビジュアル的に登場したのがなかなか印象的でした。
このように短い間にいろいろと印象を変えてくれる作品で、yは無事に人間界に帰れるのかという軸もしっかりしているため、どんどん先に読み進めていきたくなる内容でした。

本作のシステムも独特です。
読み進めているとたびたびストーリーキーというものを入手できます。yの心境に大きな変化があった場面などで鍵のかかった扉が現れるので、そこで適切なキーを選択してやることで物語が進行するというものです。失敗しても持っているキーを自動で試してくれる時もあるのでそこまで難易度は高くないはずです。
このキー入手はいくつかの候補の中から1つ選ぶ場合があり、はずれのキーを選んでしまうとそれが必要な扉で詰んでしまうことがあります。進めなくなった場合、その扉で使えそうなキーを入手できる場面がなかったかを考え、それを取ってくる必要があるのです。
試みとしては面白く一定の効果を上げているように思えますが、私にはバグの温床となっているというデメリットの方が大きいように感じました。1章を読んでいたはずなのに扉を開けたら3章に飛んでいたりといったこともあったので、ここはぜひ解消してほしく思います。
プレイ時間はいろいろキーに迷ったりしながらで3時間程度でした。

最後に、LibragamesさんのReverse Defendersをご紹介しようと思います。Eight Defender'sというフリーのブラウザゲームを公開されていた方で、2020年のFlash終了に伴い旧作の公開は終了していました。2022年に続編となる本作Reverse DefendersがSteamにて公開されています。
ジャンルとしては村を襲う魔物を倒していく防衛ゲームで、魔物の通り道が固定されているタイプのものになります。道の両脇にサーヴァントを3人配置し、侵攻してくる魔物へ攻撃します。魔物を倒すと経験値とお金を得られ、これを使うことでサーヴァントをレベルアップさせることができます。
本作のシステムとして独特なものがいくつか。

まず第一に瞑想システムでしょう。これはFlash時代から採用されていたものです。
上の画像で左上の剣を持ったサーヴァント(ファイター)以外は暗く表示されています。これは瞑想中であることを示します。wave中に瞑想ゲージを溜めると敵を倒して得られるものとは別に経験値を得ることができるのです。必要のある時だけサーヴァントを攻撃状態で配置し、戦力が余りそうだったり攻撃範囲から外れているときは瞑想させることで経験値を溜め、次以降のwaveを有利に進めることができるのです。
同じくFlash時代から引き継がれたシステムにクラスがあります。これはRPGの職業をイメージするといいでしょう。クラスごとに攻撃力や攻撃速度、攻撃範囲が異なり、それぞれに得手不得手があります。一定レベルになると上級職へと転職が可能となり、ステータスの上昇や特殊効果の習得ができるのです。初期職3、中級職6、上級職12とかなり選択肢が豊富で、それぞれに違った強みがあるのです。
そんなクラスの特色をさらに引き出すのが今回から搭載されたリバースシステムです。
配置されたサーヴァントと同じ地点に別のクラスを同時に配置して、裏表をひっくり返すようにwave中に入れ替えることができるのです。これによって敵のタイプに応じて対処が得意なクラスへ変更するなど戦略の幅が広がります。さらには各クラスにはそれが裏に存在するクラスへと特殊効果をもたらす、裏特性というものがあり、これをフルに活用することによって攻略を目指していくのです。

また、本作は多数のステージから構成されています。ステージを攻略したり宝箱を開けたり、ボスを倒したりすることによって攻撃力などのステータスにボーナスを加算していき、より難しいステージへと挑む構成になっているのです。
このバランス調整がよくできていて、慣れないうちはクリアできなくて、ボーナスをマシマシにしてようやく突破したあのステージが、コツをつかんできたころには最低限のボーナスで倒せるようになっており、ターンを節約して攻略することが可能なのです。
行き詰まったら”次の世界線へ”進むことができます。その世界線で得たボーナスポイントを使うことでいわゆる強くてニューゲーム状態に。そうしてプレイヤーの技量とボーナスを積み重ねてラスボスへと挑むことになります。
本作は防衛ゲームにしてはwave中の操作(瞑想/復帰やリバース、ハモナイズという特殊効果の発動など)が相当忙しく、サーヴァントの配置やクラス構成、初見殺しへの対応なども複雑でかなり難しい部類に入ると思いますが、その分自分の上達を実感できますし達成感を強く感じることができるでしょう。
あとはグラフィックもFlash版より進化しています。可愛い女の子2人とマスコットキャラ(?)。それにサーヴァントの絵も棒人間だった時より進化、視認性もアップしています。

ステージの合間にはちょっとした会話イベントが。ゲームの進行にかかわる重要なヒントの時もあればギャグ回もあり、ちょっとした人生観みたいなのが感じられる話題もあり。
その他操作性やユーザビリティの面でもよくできていると思います。前述のようにwave中も忙しいのでキー操作一つでリバースや瞑想できるのは便利。ステージのやり直しだったりクラス特性の確認、細かな表示の設定など痒い所に手が届く印象。
難しいステージに対してどう頭をひねって攻略していくかというのが主眼のためライトゲーマーにはやや厳しく、コアなゲーマー向けかと思いますがおすすめです。
というわけで5本一気に紹介してきました。
有料の作品は、本当に気軽にDLできる無料の作品と違ってある程度のクオリティを期待することになると思いますが、今日紹介した作品はジャンルは違えどどれも面白かったです。ぜひプレイしてみてください。
それでは。
今回はフリーゲーム以外でプレイしたゲームについて5本まとめて書いていきたいと思います。
ビート・チェリー・クエスト!
まずは丘の上のカテドラルさんのビート・チェリー・クエスト!です。フリーゲームだとワケありの暴君さんが有名なサークルさんですね。

プレイ時間4時間ほどの簡単ファンタジーRPGです。DLsite、Boothで販売中。現在Ci-enにてフォロー中だとクーポンが配布中なのでお得にゲットできます。
ゲームの中身としてはごくオーソドックスなコマンド選択式ターン制RPGなのですが、本作が個性的なのは作者さんが何度もアピールしている通り、そう、乳首です。大事なことなので文字を大きくしておきました。

作中で何十回と乳首二本突きを炸裂させたことか。なにしろ公式の売り文句が
男のTKBを鍛えろ!コメディ全開!男女カップルのファンタジーRPG!ですからね。
主人公リナナは新米ハンターで右も左もわからない状態なのですが、ひょんなことからベテランのハンターで討伐ランキングのトップを走るアウレスに気に入られ、パーティーを組むことになります。ベテランと組めるのはありがたいことではありますが、このアウレスというやつはとても思い込みが強く、

乳首が自分の唯一の弱点であり、これを鍛えれば最強になれるとなぜか信じているのです。リナナのことは"乳首の師匠"扱い。そんな2人が繰り広げるコメディシナリオが本作の魅力となっています。乳首のこと以外でもボケまくり。リナナはそれにツッコんだりボケを重ねたり。物語中盤でイリオノーレが仲間になってからはさらに賑やかに。そして本作のセールスポイント(?)であるシステム、乳首トレーニング、略してちくトレが解禁されます。やるたびにステータスが上がるのでゲージがたまり次第やるといいのですが、毎回迫真の乳首二本突きを見ることに。このくだらなさを笑いに変えられる方なら全編通して楽しむことができるでしょう。
システム面はツクールでよく見るシステムそのものですが、細かいところでプレイヤーへの気配りが感じられます。イベント発生個所は分かりやすいようにマップ上に示されていますし、回復ポイントを使うとゲームプレイ上のTIPSが表示されたり、ダンジョン最奥部からはワープ魔法陣で脱出できるなど、ストレスフリーでゲームを進められるようになっています。
戦闘アニメーションなんかも豊富で動きも軽いのでぜひそのあたりにも注目してみてください。

To my forever Love
続いてToAgeさんのTo my forever Loveです。Steamでの頒布となります。こちらは最近プレイ動画をYouTubeに投稿したりしたアクションゲームです。

ルールはいたってシンプルで、自機(手紙)をゴールへと運ぶだけです。できる操作は最初は左クリックで自機を弾くだけですが、途中から右クリックによるワイヤーアクションのような操作も可能になります。
グラフィックはシンプルで見栄えがするタイプではありませんが、シンプル故にヘルプ不要でゲームのルールやギミックの動作を理解できる作りとなっているのが嬉しい。ピクトグラムの待っている矢印の方向が進行方向であること、!マークのついている黄色い部分は危険で触れてはならないことなどが言われずとも分かります。

最初のうちは簡単なのですが、ステージが進行するにつれて動くギミックが登場したり、連続で狙い良く右クリックをしなければならなかったり、重力の向きを変更したり、細かな力加減が必要になってきたりしてどんどん難しくなります。

↑私がかなり苦戦した面です。どう進むのが正解かを考えるのに加え、その考えたルートを実現するのにも正確な操作力と判断力が必要になります。
特に後半になってくると何十回もやり直して練習する必要が出てくると思いますが、次第に操作が上手くなって思い通りに自機を操縦できるような感触も得られて、アクションゲームのツボをしっかりと押さえた作品になっていると思います。この達成感のおかげで、1回クリアした後も何度もプレイして最小手数クリアを目指してやり込んだほどです。私がYouTubeに投稿した動画はそのやり込みの結果です。
最高/最低手数がゲーム内で記録されるので、ぜひやり込んでみてください。今のところ私の記録(1st:148, 2nd:264, 3rd:468)が最高スコアだと思うので、抜いた方はぜひ報告ください。
マヨイヒツジの果樹園

続いてはnamaageさんのマヨイヒツジの果樹園です。DLsiteで公開されているプレイ時間にして3時間程度のノベルゲームです。
フリーゲームではBlue*やDoubt!が有名かと思います。Doubt!の終盤のドロドロ具合が印象に残っていた私は、本作はいったいどんな闇を抱えた作品なんだろうと期待してプレイし始めました。
舞台となるのは孤島に存在する不思議な学園。主人公の山田一郎は新任教師として着任したばかりです。
この学園の生徒は皆頭上に天使の輪のような金属質の物体を浮かべています。それだけでなく、何か重大な秘密が存在していることを山田は知っているようですが、それがプレイヤーに明かされるのはまだ先のことです。

生徒一人一人に”担当教師”が付くという独特のシステムがあり、一郎は天真爛漫キャラのキャセロール(画像右)の担当となります。生徒の身体面、精神面双方にわたって手厚くサポート。何事もなく過ぎてゆく学園生活。臨海学校なんていう楽しそうなイベントの計画も進みます。ところどころ不穏な匂わせはありますがこのまま不思議なラブコメとして展開してもよさそうな雰囲気は、Episode. 5にて完全に壊されます。
「幸福は義務」というおかしな校則も、「進んでこの職に就く教師はいない」というネガティブな発言も、そして何より生徒の頭上に絶えず浮いている”ワッカ”の正体も、これらの謎はすべてそこで解けることとなります。そして同時にこの圧倒的な理不尽と倫理的な不合理に震えることになるでしょう。しかしわずかながらそこには確かに正当な理由と目的も存在していたのです。
このショックを体感しない事には本作の内容について語ったり聴いたりすることはできません。本作はなんと全体の半分程度に相当するこの章まで体験版で無料でプレイすることができるので、興味を持った方はぜひ自分の手でプレイしていただきたいです。

タイトルから容易に連想されるように、本作にはキリスト教的な罪の概念が登場します(背景に鳥居があるのが宗教に寛容な日本らしい)。生徒が抱える”幸福”という義務。ではそれに相当する罪とは何なのでしょうか。
それ以外にもSF的設定が含まれており、最後の最後まで分岐の鍵を握るなど設定が複雑で、台詞回しも(特に生徒のいないシーン)やたら意味深な難しい作品ではありますが、ぜひ多くの方に味わっていただきたい作品だと思います。前半で無意味にアホな言動をしていた一郎にも、やたら気さくな同僚のリャンにも、なぜか生徒と同じ制服を着ている学園長のマツリにも、大きな秘密と裏の目的があったりします。エンディングは3種類。ぜひすべての結末を見届けてあげてください。

あとシンプルに制服が可愛いし立ち絵もきれいですしね。
ビジュアル面、そしてBGMやテーマ曲といった部分に関しても力が入っており、値段以上の価値があります。システムも快適です。オープニングテーマどこかで販売してたりしないのかな…
召喚術の授業は××な魔物と、(上)
続いては内向的ぼっちさんの召喚術の授業は××な魔物と、(上)です。この作品は主にDLsiteおよびBoothで正式版を頒布しており、PLiCyやフリーゲーム夢現では体験版相当を無料公開しているようです。また、本作は12推となっています。

本作の物語は、主人公のyが魔術学校で初めて召喚術の実践授業を受けるところから始まります。
魔法陣を描いて魔界と"門"を繋げ、魔物を人間界へと召喚する、そんな初級の授業でyが召喚した蝶のような魔物はyの目の前で破裂してしまうのでした。

失敗に気を落とすyは魔力の安定を意識して次の授業でもリス型の魔物の召喚を試みますが、同じように失敗してしまいます。2度も召喚に失敗し魔物を破裂させたとなると周囲からも不気味がられ疎まれるようになってしまいます。
1年間個別授業で魔力の制御を慎重に行い、魔物を安定して召喚できるようになりクラスでの召喚実習に復帰した矢先、yは自ら作った門に引きずり込まれ、亜空間へと飛ばされてしまいます。そこで出会うのがタイトル画面にいる緑色の目の魔物。彼と出会って物語は大きく動き出します。
こんな話を読んで私は、これは魔界で何とかサバイバルして人間界へ帰る魔法ファンタジーものか、あるいは異世界転生してチート魔法を習得するような流行りものに近い作品かなと思っていました。しかし読み進めるごとに私の想像はいい意味で裏切られ、意外なテーマへとつながっていく作品であると感じました。

なんというか、魔物との異種間ロマンスのような雰囲気をまとっているのです。緑目の魔物は出会った直後からどう見ても人間界の言葉でいうツンデレ発言を繰り返します。yは自らを魔界へと引きずり込んだ魔物への警戒は怠らないものの、魔界の中に作られた亜空間でかいがいしく世話をしてくれる緑目に次第に心を許していきます。そして魔力の採取がなんか…エロいんです。直接的な行為だったりそうしたイラストが出てくるわけではなく、やっていることはあくまで人間であるyから魔力を抜き取ることなのですが(だからこそ全年齢(12推)に収まっている)、魔力の搾取がしやすくなるために用いる毒薬であったり、緑目がyに触れて何とか機嫌を取ろうとする描写であったりに色気を感じ取りました。魔物の性別が明示されない(そもそもないのかも)のでちょっと違うかもしれないんですが、BL的な面白さがあるように思います。
本作が意外だったのはその点のみではありません。人間界と魔界の自然環境の違いのみならず、生態系や魔力の性質の違いなどがストーリーに絡められていて設定がよく練られています。
しっかりと警戒心を持つyは緑目の魔界での博愛的な行動に対しても批判的な思考を忘れませんが、緑目のその行動はそのまま人間界で人間が生態系に関与することだったり人間第一の倫理観を形成することに相当するのだと思い至ったりと、いろいろな視点を提供してくれるんです。
また、文章表現と背景のリンクの仕方が独特だったりします。ここに挙げた画像のように、背景はないか抽象的なものが多いのですが、たまにシナリオに出てきた修辞に対応する画像が出てきたりしてこのような表現もあるのかと感じました。木蓮の蕾のように笑った、というシーンで蕾がビジュアル的に登場したのがなかなか印象的でした。
このように短い間にいろいろと印象を変えてくれる作品で、yは無事に人間界に帰れるのかという軸もしっかりしているため、どんどん先に読み進めていきたくなる内容でした。

本作のシステムも独特です。
読み進めているとたびたびストーリーキーというものを入手できます。yの心境に大きな変化があった場面などで鍵のかかった扉が現れるので、そこで適切なキーを選択してやることで物語が進行するというものです。失敗しても持っているキーを自動で試してくれる時もあるのでそこまで難易度は高くないはずです。
このキー入手はいくつかの候補の中から1つ選ぶ場合があり、はずれのキーを選んでしまうとそれが必要な扉で詰んでしまうことがあります。進めなくなった場合、その扉で使えそうなキーを入手できる場面がなかったかを考え、それを取ってくる必要があるのです。
試みとしては面白く一定の効果を上げているように思えますが、私にはバグの温床となっているというデメリットの方が大きいように感じました。1章を読んでいたはずなのに扉を開けたら3章に飛んでいたりといったこともあったので、ここはぜひ解消してほしく思います。
プレイ時間はいろいろキーに迷ったりしながらで3時間程度でした。
Reverse Defenders

最後に、LibragamesさんのReverse Defendersをご紹介しようと思います。Eight Defender'sというフリーのブラウザゲームを公開されていた方で、2020年のFlash終了に伴い旧作の公開は終了していました。2022年に続編となる本作Reverse DefendersがSteamにて公開されています。
ジャンルとしては村を襲う魔物を倒していく防衛ゲームで、魔物の通り道が固定されているタイプのものになります。道の両脇にサーヴァントを3人配置し、侵攻してくる魔物へ攻撃します。魔物を倒すと経験値とお金を得られ、これを使うことでサーヴァントをレベルアップさせることができます。
本作のシステムとして独特なものがいくつか。

まず第一に瞑想システムでしょう。これはFlash時代から採用されていたものです。
上の画像で左上の剣を持ったサーヴァント(ファイター)以外は暗く表示されています。これは瞑想中であることを示します。wave中に瞑想ゲージを溜めると敵を倒して得られるものとは別に経験値を得ることができるのです。必要のある時だけサーヴァントを攻撃状態で配置し、戦力が余りそうだったり攻撃範囲から外れているときは瞑想させることで経験値を溜め、次以降のwaveを有利に進めることができるのです。
同じくFlash時代から引き継がれたシステムにクラスがあります。これはRPGの職業をイメージするといいでしょう。クラスごとに攻撃力や攻撃速度、攻撃範囲が異なり、それぞれに得手不得手があります。一定レベルになると上級職へと転職が可能となり、ステータスの上昇や特殊効果の習得ができるのです。初期職3、中級職6、上級職12とかなり選択肢が豊富で、それぞれに違った強みがあるのです。
そんなクラスの特色をさらに引き出すのが今回から搭載されたリバースシステムです。
配置されたサーヴァントと同じ地点に別のクラスを同時に配置して、裏表をひっくり返すようにwave中に入れ替えることができるのです。これによって敵のタイプに応じて対処が得意なクラスへ変更するなど戦略の幅が広がります。さらには各クラスにはそれが裏に存在するクラスへと特殊効果をもたらす、裏特性というものがあり、これをフルに活用することによって攻略を目指していくのです。

また、本作は多数のステージから構成されています。ステージを攻略したり宝箱を開けたり、ボスを倒したりすることによって攻撃力などのステータスにボーナスを加算していき、より難しいステージへと挑む構成になっているのです。
このバランス調整がよくできていて、慣れないうちはクリアできなくて、ボーナスをマシマシにしてようやく突破したあのステージが、コツをつかんできたころには最低限のボーナスで倒せるようになっており、ターンを節約して攻略することが可能なのです。
行き詰まったら”次の世界線へ”進むことができます。その世界線で得たボーナスポイントを使うことでいわゆる強くてニューゲーム状態に。そうしてプレイヤーの技量とボーナスを積み重ねてラスボスへと挑むことになります。
本作は防衛ゲームにしてはwave中の操作(瞑想/復帰やリバース、ハモナイズという特殊効果の発動など)が相当忙しく、サーヴァントの配置やクラス構成、初見殺しへの対応なども複雑でかなり難しい部類に入ると思いますが、その分自分の上達を実感できますし達成感を強く感じることができるでしょう。
あとはグラフィックもFlash版より進化しています。可愛い女の子2人とマスコットキャラ(?)。それにサーヴァントの絵も棒人間だった時より進化、視認性もアップしています。

ステージの合間にはちょっとした会話イベントが。ゲームの進行にかかわる重要なヒントの時もあればギャグ回もあり、ちょっとした人生観みたいなのが感じられる話題もあり。
その他操作性やユーザビリティの面でもよくできていると思います。前述のようにwave中も忙しいのでキー操作一つでリバースや瞑想できるのは便利。ステージのやり直しだったりクラス特性の確認、細かな表示の設定など痒い所に手が届く印象。
難しいステージに対してどう頭をひねって攻略していくかというのが主眼のためライトゲーマーにはやや厳しく、コアなゲーマー向けかと思いますがおすすめです。
というわけで5本一気に紹介してきました。
有料の作品は、本当に気軽にDLできる無料の作品と違ってある程度のクオリティを期待することになると思いますが、今日紹介した作品はジャンルは違えどどれも面白かったです。ぜひプレイしてみてください。
それでは。