フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
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脱出

こんにちは。今回はRimさんのミガカミカガミ -reviver-のレビューとなります。

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オススメ!
ジャンル:ホラー脱出アドベンチャー
プレイ時間:本編エンディングまで4時間程度、フルコンプまで6時間程度
分岐:エンディング2種
ツール:RPGツクール
リリース:2025/8
備考:暴力的、残酷な表現あり


本作は2015年公開の「ミガカミカガミ」のリメイク版となっています。原作は第11回ふりーむ!ゲームコンテストの脱出アドベンチャー部門で金賞を受賞するなどの人気作となっており、ご存じの方も多いでしょう。私も一度はプレイを試みたのですが、ホラー表現が怖すぎて割と序盤早々にクリアを断念した覚えがあります。その後なんとか結末を知るために実況動画を見たのですが、意外で心温まる結末がなかなか印象的でした。普段実況動画を見ない私が動画を見た作品という意味でも記憶に残っています。

そんな原作が10年の時を経て新しくなって帰ってきました。システムの調整や立ち絵の刷新などかなりプレイしやすくなってきたのが嬉しい所です。本編クリア後のおまけシナリオもかなりボリュームがあります(後述)。まずはあらすじ紹介からいきましょう。

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奈恵とみかは歳は離れているものの仲良しの幼馴染です。二人がバスでお出かけをしようとしたところ事故に遭ってしまい、みかが入院中の奈恵のお見舞いに行くところから物語が始まります。神隠しをするという言い伝えのある”ミガカミ様”の部屋を訪れてから次第におかしくなる院内の様子、いつの間にか周囲にいる恐ろしい化け物のような何か。二人はこの恐怖の空間から逃げ延びることはできるのでしょうか…?


とまあ、大まかなストーリーはこんなところでしょう。さて、本作がホラーであることは先述の通りですが、ひとくちにホラーゲームと言ってもその恐怖の煽り方にはいくつかのパターンがあるでしょう。本作はその中でも、驚かせ方とアクション性に特徴があると思います。ゲーム性としては探索アドベンチャーなので病院内やその先の様々な部屋を調べていく必要があるのですが、特定のものを調べたりフラグを立てたりするといきなりグロい敵が出てくるのがとにかく怖い。「このキャラクター怒ってるだろうなあ…」のような、予測できるタイプの恐怖と、普通にフラグを進行させただけのつもりだったのに逆切れされたりといった身構える暇のないタイプの恐怖が混ざっていて、ホラー耐性がある程度ない人だとクリアは困難だと思います。
実際私は原作の方は途中でリタイアしたのですが、リメイク版である本作は最後まで自力でクリアできました。その理由として、システム面での親切さが増したという点が一つ挙げられると思います。ゲーム開始時点で難易度を2つから選べたり、オートセーブの要否を選べたりといったシステムはプレイしやすさに貢献していると思います。単純に楽になるというだけでなく、何度も怖いシーンを通らなくて済むという心理的な面もあって私も最後までプレイできました。あとは原作のプレイ動画を見ていたことによって驚かせ方のパターンは学習済みだったこともあったでしょうか。

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怖さのもう一つ、アクション要素についてですが、本作では追いかけっこが幾度となく発生しこれの難易度がかなり高いです。突然現れる怪物から逃げる必要があるので初見突破はまず困難。逃走ルートも直前のマップとは変わっている場合が多く、何度も死にながら経路を覚える必要があり、スムーズに移動できるような慣れも必須です。ギミックによっては追いかけっこ開始時点の距離的余裕がかなり短い場面もあり、常にShiftキー(走るボタン)を押した状態にしている必要があります。
追いかけてくる敵のグラフィックが怖いのもまた心理的な難易度を上昇させているように感じます。特に一番最後のシーンでは専用のゲームオーバー画面も用意されておりまた怖いこと怖いこと……
初見殺しポイントもかなり多いため、オートセーブアイテムを使用しない場合こまめに鏡を調べてセーブしてください。セーブスロットがオートセーブを除いて1つだけなのはやや不便でしょうか(レビューを書くために良い感じの場所のスクリーンショットを撮ろうとしていると特に…)。

奈恵やみかの立ち絵を含めてグラフィックも新しく可愛くなっているのですが、それとの対比でまたグロ系の絵にビビらされます。

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反面謎解き要素自体の難易度はさほど高くないように感じます。リメイクするにあたってギミックを一新しているとのことで、うまく調整されたのではないでしょうか。謎解きのヒントが複数の部屋に散らばっている点は難しいですがヒントから連想されるものに理不尽な点はなく、考えればきちんと解けるようになっています。ギミックを解いている途中に怖がらされることが少なかったのもプレイしやすさに繋がっているでしょう。

ストーリーに沿った内容になっているという点についても良くできたギミックだなと感じました。ミガカミ様の神隠しに関連した5人にまつわるステージを順に進んでいくという構成になっているのですが、それがかつて犠牲になった富田くんや菜雪ちゃんといった人物のトラウマだったり心の傷を反映したマップやギミックとなっているのです。病院に運ばれる経緯だったり、彼らを取り巻く家庭環境であったりといった点を追体験しながらゲームを進行させていくことになるため、単に探索ホラーというだけでなく物語を楽しめる作品になっていると言えるでしょう。

特に富田くんに関してはエンディングにもかかわってくることになります。ステージを進んでいきミガカミ様に関する情報が集まってくると、奈恵の心にはある疑念が深まっていくことになります。そのショッキングな事実を受け入れるのか、否定するのか。その選択によって真逆のエンディングへと到達します。正解の選択肢を選べば、道中の高難易度で意地悪なギミックからは別物かのような気持ち良いエンディングに繋がりますのでぜひハッピーエンド目指して頑張ってみてください。

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ハッピーエンド到達後はExtraシナリオが解放されます。
ミガカミ様の神隠しは過去に何度もあったことが本編中に明かされるわけですが、Extraでは過去の事件からミガカミ様に恨みを持つ水戸ヒトミの世界に入っていくことになります。本編よりさらにストーリー重視のないようになっているように感じました。
運悪く病魔に侵されたヒトミ、ミガカミ様に傾倒していくヒトミの母、狂っていく家庭といった事実が明らかになっていく度に悲しい気持ちになります。5年前と現在を行き来するギミックなどもあるため本編中のキャラクターのエピソードよりボリューム感もあり単におまけというだけに収まらない濃い体験が得られるでしょう。


以上「ミガカミカガミ -reviver-」のご紹介でした。
今回はホラーの中でもかなり怖めで残酷なシーンも多数あり、そういった意味では人を選ぶ作品であることは間違いありませんが、ホラー好きなら決してプレイして損はないのも確かだと思います。原作プレイ済みの方でも楽しめる要素までたっぷりとありますので、ぜひプレイしてみてください。

それでは。

こんにちは。今回はまたホラーアドベンチャーゲームのご紹介となります。
皐月の夢さんの「セブンテットクロス-金の人形-」です。

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ジャンル:微ホラー脱出アドベンチャー
プレイ時間:エンディングまで2時間、フルコンプまで4時間程度
分岐:エンディング4種、ゲームオーバーあり
ツール:WOLF RPGエディター
リリース:2025/12
備考:12推


大分前になりますが、皐月の夢さんといえば本ブログでは「ミライカガミ」を扱いました(現在フリー公開は終了しており、追加要素のあるSteam版が公開されています)。綺麗な立ち絵と、バックグラウンドまで描写されたキャラクターによる人間ドラマが魅力的な探索ホラーでした。
本作は、2017年公開の「セブンテットクロス」の続編となっており、ジャンルも引き続き脱出ホラーとなっています。前作の内容や登場人物については最低限の説明はあるためプレイは必須ではありませんが、プレイ済みの方が途中の展開への理解が深まってより楽しめるかなという程度です。時間がある方は前作からプレイしてみてください。こちらも本作同様の微ホラー脱出ゲームで、やや猟奇的なシーンありといった内容になっています(本作については、その点は警戒しなくても良いと思います)。


本作の内容に移りましょう。主人公は前作から引き続きユシアです。前作で刑務所内の事件を解き明かし無実が明らかになった彼女は、刑務所で出会った元詐欺師のキースとともに孤児向けの学習小屋を開きます。そこで預かる子供のジャッキーとパオロが行方不明となってしまい、手掛かりを求めてやってきたのは怪しい噂のあるマークレイ氏の屋敷。果たしてこの屋敷に仕組まれた罠をかいくぐり子供たちを助け出すことはできるのか?

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大まかなストーリーはこんなところで、ゲーム後半になってくると次第に犯人の思惑やしがらみ、屋敷に仕掛けられたギミックの理由なんかが明らかになっていきます。主に屋敷内の謎を解いていくユシアとキース視点の探索と、監禁されているジャッキー・パオロ視点の探索が交互に行われるのも特徴的だと思います。前作においてキースが投獄されるに至った理由には彼の成育歴や経済的状況が影響していました。その点を踏まえるとジャッキーらとともに監禁されている資産階級の子供であるリーズレットとのすれ違いなどは悲しさを感じさせるものがあります。

しかしこうした格差による断絶などを乗り越えた結末が描かれるハッピーエンドはとても気持ちいいものになっています。綺麗なイラストも見られるのでぜひここまでプレイして欲しいなと思います。
前作の設定から引き継いだキースの背景などが今作の犯人の動機や子供たちの人間関係に繋がってくるところも見どころだと思います。終盤で新たな事実が明らかになったり信じていたことがひっくり返ったりと、サスペンス的な魅力もあると思います。

システム面についてはオーソドックスな脱出ゲームとなっており、謎解きの難易度自体はさほど高くはありません。しかし総合的に見ると本作の難易度は高めのように感じており、主に以下の要因があるでしょう。まずアイテムが自動で使用されない形式となっている点です。鍵などの一部のアイテムは自動で使用されますが、その他の多くのアイテムは必要なギミックを特定したらその場所に行って手動でアイテム画面から選択したうえで使用する必要があり、たまたま解けちゃったという結果が起こりにくくなっています。
また、初見殺しも多めと言えるでしょう。最初の探索からゲームオーバーになり得るので、セーブはこまめにすることをお勧めします。セーブスロットも十分な数が用意されています。
ホラー要素については無いわけではありませんが前作よりも控えめですので、そこを身構える必要はないと思います。

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エンディングは4種類。END1がハッピーエンドと言えるものですが、初見での到達はかなり難しいように思います。END1または2に行くにはあるフラグを立てた状態で終盤のイベントに突入する必要がありますが、そのフラグを立てられる期間が短く見逃しやすいものになっています。くまなく探索すれば自力発見もできると思いますので、自信がある方はぜひ初見ハッピーエンドに挑戦してみてください。初見では無理でも、分岐は終盤に起こりますので試行錯誤を重ねることでコンプリートはしやすいと思います。
コンプリートできない!という場合は公式サイトに攻略手順が書いてありますので参考にするとよいでしょう。ただし完全に答えが書いてあるのである程度自分で考えてみてから読みに行くのをお勧めします。


というわけで今回は「セブンテットクロス-金の人形-」のご紹介でした。
前作のエンディングのその後のユシアとキースを眺められるだけでも楽しいですが、謎解き要素もストーリーに関連したものになっていたりと完成度の高い作品だと思います。
ちなみに今日まで本作とウェブポンのコラボが行われているようですので、ファンの方はぜひこちらもご検討ください。

それでは。

こんにちは。今回はアトリエ萌黄さんの「マユとイト」のレビューをしていきたいと思います。

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ジャンル:脱出微ホラーアドベンチャー
プレイ時間:エンディングまで1時間、フルコンプまで1時間半程度
分岐:エンディング5種
ツール:WOLF RPGエディター
リリース:2020/7


ノベルゲームに関する記事が続いていたので、久々の脱出ホラーとなります。と言っても恐怖心をあおる演出は控えめですので、タイトル画面のスクリーンショットを見て虫キモっ!という拒否反応を起こさない方なら問題なくプレイできると思います。

本作のストーリーはいたって王道。ボランティア部の活動で森に行った主人公(名前任意)、シンゴ、ヒエンの3人は出来心から近くにあった洋館に入り、出られなくなってしまいます。不穏なメモやギミックの謎を解き、この洋館から無事に脱出することはできるのでしょうか…。

導入部分だけでなく、主人公らが相対するギミックたちも良い意味で普通といった印象で、理不尽な個所がなくホラーゲーム初心者に勧めやすい作品のように思いました。個々の謎解きの難易度としては取り立てて簡単とは思わないのですが、システム上の工夫やその他の親切な設計により全体としてかなり易しめの難易度に調整されているように感じます。

その工夫というのはまず一つ、メニュー画面からこれまでに入手したヒントを確認可能という点が挙げられるでしょう。謎解き系のゲームの難しさの一つとして、ヒントとなる手がかりを発見してから実際にそれを活かしてギミックを動かすまでに時間が空くことで、それが有効なヒントだと認識する難易度が上がるという点があると思います。手がかりが足りないと思って延々と探索を続けるも新たな手掛かりは当然なく時間が過ぎるのみ…といった経験はよくあると思います。本作においてはヒントとなる事項は一回調べた時点でメニュー画面の「手がかり」に載るので安心してギミックを考えることができるのです。

また、既に謎解きに使用して用済みになった手掛かりについては「解決!」のフラグがつき区別ができるようになります。この点においてもプレイヤーが無駄な試行錯誤に時間を使うのを防止していて親切な作りと言えるでしょう。

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さらには画面右上に「シンゴを探せ」「○○(アイテム)を集めろ」などの行動目標が示されていたり、探索上意味のある場所が光っていたりと探索難易度もかなり下げてくれているように思います。こうしたシステムもあって全体的な本作の難易度は簡単といえると思います。
色々な場所をしつこく調べて自力で手がかりを見つけて難しい謎を解いて…という楽しみを求める方には歯ごたえが足りないと思いますが、ライトユーザーには特にありがたいシステムと言えるでしょう。

あえて難しい個所を挙げるとしたら、マップがやや広めという事くらいでしょうか。ギミックの密度は高くないので部屋数のわりにコンパクトなプレイ時間になっていると思います。


次に良かった点として、グラフィック面を挙げておきたいと思います。
タイトル画面でお分かりのように霧やもやのような演出がたびたび登場したり、暗い館内を懐中電灯を持って探索する様子など、脅かし要素以外の方法でホラーらしき雰囲気を感じられる工夫と思います。びっくりさせる要素はゼロではありませんが激しくないのでやや苦手な方でもプレイできる範囲だと思います。ただし蜘蛛や蛾などの虫が出てくる場面は多いので、虫が苦手な方にはきついと思います。それ以外のグロテスクなグラフィックなどはほぼ登場しません。終盤の1か所でグロいグラフィックが登場しますが、一枚絵があるわけではなくマップ上のドット絵ですのでそこまででもないかなとは思います。

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会話パートはそれほど多くないので登場頻度も低めですが、立ち絵も可愛らしくて口パクするなど凝っていますね。特に途中で登場する館の住人である少女の繭香(まゆか)の登場時には専用BGMもあっていですね(逆にそれ以外のほとんどのシーンでBGMがないのは少し寂しく感じます)。そんな繭香はエンディングの分岐にも深くかかわってきます。
分岐の詳細についてはネタバレになるので伏せますが、分岐はすべて終盤で発生するのでエンディング回収はしやすいでしょう。回収のためのヒントも存在しています。ハッピーエンドはちゃんと後味が良くてきれいなものになっているので是非コンプリートまでプレイしてみてください。

ハッピーエンドに行くために解かなくてはならないギミックは、他の作品でもたびたび見るあの形式となっているのですが、回数ではなく時間で制限がかかっていたりほかのヒントを参照したひねりが加わっていたりと独自性があって面白かったです。このタイプのギミックが苦手な方は自力クリアが難しいかも、という問題はありますが…。
というわけで折り畳みの中にハッピーエンドの答えを書いておきます。必要な方はクリックして読んでください。
クリックで展開(ネタバレあり) 研究室のドアを開く→「なにも見ていない」→「マユカの体調について」→「ここに残る」
選択後、一度実験室から出て再度研究室へ入り、右上から火かき棒を入手
1階食堂の暖炉の中から最後の薬を入手
実験室に戻り調合開始
緑→精製水→紫→白→最後の薬の順で選択

以上、今回は「マユとイト」のご紹介でした。ホラーゲーム初心者にちょうどいい作品だと思います。ハッピーエンドがしっかり後味よくまとまってくれるので、上級者の方はぜひ初見ハッピーエンドに挑戦してみてください。

それでは。

こんにちは。今回はまなとマナさんの「死してなお僕は」をご紹介します。

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ジャンル:ファンタジー探索アドベンチャー
プレイ時間:エンディング回収までで1時間以内
分岐:True,Normal,Bad3
ツール:RPGツクール
リリース:2020/8
備考:12推、要RPGツクールVX Ace RTP


今回ご紹介する作品は、主人公のジェンスが”死の世界”から無事に帰還するために探索して進めていくアドベンチャーゲームとなっています。と言ってもグロテスクな絵が出てきたりといったホラー要素はほとんどなく全年齢対象であり、ホラーの苦手な方でも十分楽しめると思います。
一応暴力的なシーンはあるので12歳以上推奨にはなっています。

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こちらがその主人公のジェンス。頭に包帯を巻いて皮膚はつぎはぎ、心臓が飛び出ていていかにもゾンビっぽい造形ですが、絵柄が可愛らしいので怖さはあまり感じませんね。
そんなジェンスが目を覚ますと、案内役をしてくれるクローバーが、ここは”死の世界”であり、長くいすぎてはいけないから隙を見て脱出するといいと教えてくれます。”死の世界”の住人である”魔ビト”たちは攻撃的な態度をとってきたりはしませんが、脱出を企てていることがバレると全力で牙を向けてくるため、何の気なしの散歩を装いながら情報収集し、脱出を目指していくことになります。



…と書いてきましたが、本作は”魔ビト”に脱出を悟られないように真相を探るサスペンス的要素は薄めです。ジェンスがあからさまな発言をしたりしなければ脱出の企てが露見することはありませんし、推理要素などもなくストーリーが進行していくので気軽にプレイしていくことができます。

代わりに、というわけではありませんが、探索を進めていくと次第に本作の世界観や生前のジェンスのことが明らかになっていきます。ジェンスが目覚めた建物はどうやら病院のようです。”死の世界”に来る前は医者であったらしいジェンスですが、どうも今の彼はその過去を忘れている、あるいは思い出すのを拒否しているように思えます。
さらには病院内の所々から見つかる不穏な文書やメモ書き、ジェンスの断片的な記憶。そしてなぜかジェンスのことを”天使”と呼ぶ魔ビトたち。これらの謎を解明するための手がかりとモチベーションをくれるのがジェンスの元患者・アンジェです。

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アンジェはジェンスに信頼を寄せているようですが、生前の彼らの関係はどのようなものだったのでしょうか。彼女は脱出のためのヒントをくれつつ、ジェンスを見守っていてくれます。

玄関のカギを入手したらここが分岐点。すぐに脱出するか、見かけた怪しい人影を追うかです。ゲームに慣れた方なら大方想像がつくでしょう。即脱出すればノーマルエンド、人影を追って地下に行くとトゥルーエンドへ向かいます。


地下に入るとそれまでの普通の病院の待合室のような雰囲気とは打って変わり、暗い部屋と廊下に粗暴な魔ビト、怪しい薬品類など一気に不穏さを増しホラー味を帯びてきます。とはいっても冒頭で述べた通り怖い絵もプレイヤーを驚かしてくるような演出もないためホラー苦手な方でも安心。
”魔ビト”が言っていた”天使”とはいったい何のことを指すのか、この病院で行われていた怪しい出来事は何だったのか、そしてそれとジェンスやアンジェの関係はあったのか、といった物語の核心に迫っていきます。


ここで明らかになる真実はやはりショッキングなものですが、地上を含めたこれまでの探索時にうすうす察することができる内容なので、私自身あまり辛い気持ちにならずに済みました。むしろジェンスとアンジェが短い時間で築き上げた確かな信頼関係を感じ取ることができ、感動的なエンディングに仕上がっていると思います。今度の”約束”は守れるといいですね。


難易度について。本作の攻略は易しい部類に入るでしょう。探索時にヒントが得られる地点にはほとんど光るマークがついていますし、アクション要素が求められるシーンもありません。謎解きも同じフロア内で完結するように作られているため、さほど迷わずに進められるでしょう。
前半(2階)のイベントは本筋にあまり絡んでこない(アンジェの登場は重要だが)のでややお遣い感があると言えるでしょうか。


というわけで今回は「死してなお僕は」でした。
死んでもまだ叶えたい願いとは何だったのか。なぜそのような願いを持つに至ったのか。あなたの目で確かめてください。

それでは。

こんにちは。今回はくろいのうとさんの「Sample087」のご紹介をしようと思います。

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ジャンル:短編脱出ホラー
プレイ時間:30分以内
分岐:なし(ゲームオーバーあり)
ツール:Wolf RPGエディター
リリース:2015/8


今回の作品は王道な脱出ホラーものとなります。
主人公の黄瀬花香は怪しげな実験施設のような場所で目を覚まします。ベッドと机と小さな箱が1つしかない殺風景な部屋に閉じ込められている花香は、机の上にあった不穏な置き書きのようなものを発見します。そんな置き書きから目を離してみると、部屋の隅から謎のスライムが侵入してくるではありませんか。
命の危険を察知した花香はこの施設からの脱出を試みます。果たして無事に帰ることはできるのでしょうか…


このように本作の筋はいたってシンプルです。
敵キャラ(?)であるスライムは一瞬触れただけで即ゲームオーバーなので、操作を誤らないよう慎重に進みましょう。初見殺しの箇所もいくつかあるのでセーブは細かく分けておきましょう。

脱出のヒントとなる謎解き部分もオーソドックスなもので、この手のゲームに慣れた方なら迷わずに解くことができるでしょう。難しいわけでもないので不慣れな方でも安心です。

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こんな感じで、本作はいたって普通な脱出ホラーといった作品なのですが、それだけだったらレビューを書こうとは思わなかったと思います。プレイ時間にして20~30分の中で、いいなと感じた点が2つありました。順に説明していきましょう。


まず1つ目。本作には体力・思考力というパラメーターが存在しています。初期状態では両方とも40です。そして探索中に水やカンパンなどの食料を発見することがあります。それらをアイテム一覧から使用することによって、体力・思考力を回復することができるのです。

本作には戦闘要素は一切ありません。敵に何らかの攻撃をして退治する場面などはありませんし、敵に一瞬でも接触されたら即ゲームオーバーです。ではこのパラメーターは何に使われるのかというと、探索なのです。
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脱出のためにはいくつかの謎を解いていかなくてはなりません。置き書きを読んだり、謎のポスターを観察したり、室内のアイテムを見つけていったりするわけですが、その際に得られる情報量が思考力の影響を受けるのです。思考力40の初期状態では見たままの情報しか得られなかったのが、カンパンを使ってすこし思考力が増した状態だと、隅に書かれた小さい文字まで読めたりといった細かい設定がされているのです。これは非常に珍しい仕掛けだなと思いました。
基本的にパラメーターが高くて損をすることはないので、見つけた食料は有効活用していきましょう。

体力も同様で、体力が低い状態では解決に手間がかかった仕掛けをパワーで解決するといったことが可能な場面があります。なかなか面白いですね。



そしてもう1点。これは本作の最後の最後で明らかになります。

突然このような危険な施設に監禁され、この世界の理不尽を呪っていた花香ですが、最後の部屋で脱出へのかすかな希望でさえ打ち砕かれて絶望に染まってしまいます。結局どんなに手を尽くしても脱出は叶わないのか。そんな悲しいエンディングを迎える本作……しかし、本作には実は脱出エンドが存在しています。この際花香が希望を取り戻す演出がとても気持ち良かったです。BGMも切り替わり、花香の生きのびるという決意が感じられます。その場面でふつう選ばないだろうという選択肢を試したりもしたのですが、そういう時のメッセージもしっかり設定されていて良かったです。

おそらく初見で脱出成功させるのは難しいと思います。最後の部屋にたどり着いた段階で戻ることはできなくなってしまうので、詰んだと思ったら少し前のセーブデータからやり直してみましょう。

脱出成功後にTo be continued...の表示が出るのに(しかも続編で意味を持ってくると思われるロッカーのパスワードまで入手できるのに)結局続編にあたる作品が出てなさそうなのだけ残念です。



今回は短めですがここまでです。
短い中に面白いギミックを仕込んだ作品だと思うので、ぜひプレイしてみてください。

それでは。

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