こんにちは。今回は以前から紹介しようと思っていた作品、Shadow's Silhouetteさんの「勇者はG○○gle翻訳で世界を救うことにした。」のレビューをしていきたいと思います。
(6/30追記:タイムアタックの記事を書きました。動画付き解説記事となります)

ジャンル:再翻訳おつかいタイムアタックRPG(ReadMeより引用)
プレイ時間:1プレイ3分~、完全初見からエンディングまで5時間くらい
分岐:なし
ツール:RPGツクール
リリース:2020/4初公開
私は以前からShadow's Silhouetteさんの作品はかなり好きで、本作も非常にやりこんだのですが最近は公開停止となっており、今更レビューを書くのもなあ…となっていました。しかし先日再公開されたので迷いなくレビューを書くことができます!
本作の導入はよくある異世界転移ものそのものです。主人公(デフォルト名は鈴木)は突然異世界に勇者として召喚されてしまいます。ここで何か特殊能力が手に入って無双する…というのがお決まりのパターンですが本作は違います。そもそも異世界の言葉を理解することができなかったのです。
そこで役に立つのが機械翻訳。なんと異世界語でも翻訳できてしまうようです。しかし機械翻訳は完璧ではありません。日本語としてこなれていない文面や誤訳なども含まれています。それを何とかプレイヤーの力で元の文章を補完することで召喚者たちと意思疎通したり町の人々から依頼を受けてクエストをこなしていったりするのです。
異世界でレベルアップした主人公が最終的に目指すのは魔王の討伐。このラスボスは主人公が召喚された拠点から直接行けるので、やろうと思えばゲーム開始直後から挑むことができます(当然負けますが)。このシステム、「隣の部屋にラスボスがいる。」を思い出します。ただし本作はラスボスを討伐するというRPG的な要素よりも、道中のADV的要素がメインとなっています。
本作は翻訳部分を除いてしまうと、多数のサブクエストのある短編RPGということができるでしょう。町には多数の住人がおり、その多くが何かしらに困っているようです。彼らに話しかけて依頼を受け、達成することでお金を手に入れてレベルアップや装備購入の原資にすることができます。
人によっては”お使い”と呼ばれてRPGの本筋に関係ない蛇足の部分とみなされる要素こそが本作のメインとなっているわけですが、そんな中途半端ともいえる要素を1つのゲームとして楽しめるような工夫を2つ感じ取りました。
1つは先ほどから出ている再翻訳要素です。いかにG〇〇gle翻訳優秀といえど完璧ではありません。異世界語を日本語に翻訳するときにどうしても脱落してしまうニュアンスがあったり単純な誤訳と思しき語句があったり。そんな微妙な訳文から本来の依頼がどんなものであったかを推測してクエストをこなしていく必要があるのです。

例えばこちらの依頼。「蝶が欲しい-約5」
語順などが不自然ですが意味は伝わるなあといった依頼文です。しかし次の場合はどうでしょう。

「同僚がスキップしています。少しscられますか」
はっきり言って意味不明です。この文章から依頼を推測して達成方法を見つけて実行するには試行錯誤が不可欠でしょう。他にも「女性の傑作が見たい!」「友達になる3人について学びましょう!」などの元の依頼からかけ離れた訳文が多数登場し、さながら謎解きゲームのようです。
エンディング到達後の2周目モードでは謎のこんにゃく(どう考えてもドラえもんに出てくる翻訳こんにゃく)を食べることでゲームを原文でプレイすることができるようになります。このモードでは時間制限などもないためゆっくりと町を回りながら住人たちと会話していくことができます。こいつらこんな口調でしゃべってたのかとか、意外と時限会話が豊富に用意されているんだなとかいろいろな気付きに出会えると思いますよ。
さて、工夫の2点目はタイムアタック要素です。G〇〇gle翻訳には主人公の持っているスマホアプリを使用しているのですがなんとバッテリー残量が初期状態で3分しかありません。依頼で得たお金で消耗品の魔法石を買うことによって充電することができるため、探索の1秒1秒にお金が消費されるのと同じ状態なのです。
初見の状態では3分間で依頼を1つか2つこなすのが精一杯でしょう。何度も探索に出ることで次第に効率的な周回ルートを開拓し金策の効率アップを目指しましょう。バッテリー残量に余裕が出てきたら経験値を購入することで主人公をレベルアップし、探索範囲を広げることができます。そしてまた新規の依頼を開拓して依頼文の解読をして…。こうした拡大再生産に似た楽しみも本作のゲーム性の1つでしょう。
本作を普通にクリアするうえではタイムアタックを極める必要まではありません。ゆっくりでも周回を繰り返すことで十分にお金を貯めることができるでしょう。しかし私はそれだけでは満足しませんでした。一体どのような順番で依頼を受け、どんなルートでこなしていくことで最速で依頼コンプリートができるのかを追求します。私のタイムアタックの結果については次回の記事で詳しくご紹介したいと思います。
さて、システム面において工夫されていてプレイしやすいと感じた点がいくつかあるので紹介しましょう。
本作では合計70もの依頼が存在するのですが、この依頼を受けるためには別のこの依頼を片付けていないといけない、というような条件が多数存在します。そうすると同じマップの中でも”今話しかけられる人”と、”フラグ不足で依頼が進行しない人”が混在することになります。多数の依頼を同時進行していると混乱しやすいのですが、本作ではシステム的にこの2種類の人が区別されていて、フラグを進行できる人だけ歩行グラフィックになっているのです。つまり最速でクリアしたいときは歩いている人だけに話しかければよいし、逆にフレーバーテキストを楽しみたい場合は立ち止まっている人に話しかけてみればよいでしょう。
さらに依頼が終了するとその人は透明化してすり抜けられるようになります。これはタイムアタックの意味でも結構大きな変化だったりします。
また、依頼一覧画面もうれしいですね。私はもう全依頼を暗記するほどやりこんでしまったのですが、初見の時は重宝しました。

さて、これらの仕組みを活用しながら周回して十分お金を稼いだら、レベルアップと装備購入に使ってボス戦に挑みます。一応異世界に召喚された目的がこのボス撃破で最終目標でもあるのですが、これに関しては正直おまけ感が強いです。本作をRPGとして考えるとこの戦闘には物足りなさとか単調さを感じてしまうと思います。
しかし本作の肝(と私が考えるの)は「再翻訳おつかいタイムアタック」の部分です。機械翻訳で遊んだことがあったり、RPGのサブクエストを埋めていくことに喜びを感じる方なら本作もたっぷり楽しめるでしょう。タイムアタックのためのルート構築頑張るぜ!という方はぜひチャレンジしてみてください。私の記録はそう簡単には破れないと思います。次回の記事で挑戦お待ちしています。
それでは。
(6/30追記:タイムアタックの記事を書きました。動画付き解説記事となります)

ジャンル:再翻訳おつかいタイムアタックRPG(ReadMeより引用)
プレイ時間:1プレイ3分~、完全初見からエンディングまで5時間くらい
分岐:なし
ツール:RPGツクール
リリース:2020/4初公開
私は以前からShadow's Silhouetteさんの作品はかなり好きで、本作も非常にやりこんだのですが最近は公開停止となっており、今更レビューを書くのもなあ…となっていました。しかし先日再公開されたので迷いなくレビューを書くことができます!
本作の導入はよくある異世界転移ものそのものです。主人公(デフォルト名は鈴木)は突然異世界に勇者として召喚されてしまいます。ここで何か特殊能力が手に入って無双する…というのがお決まりのパターンですが本作は違います。そもそも異世界の言葉を理解することができなかったのです。
そこで役に立つのが機械翻訳。なんと異世界語でも翻訳できてしまうようです。しかし機械翻訳は完璧ではありません。日本語としてこなれていない文面や誤訳なども含まれています。それを何とかプレイヤーの力で元の文章を補完することで召喚者たちと意思疎通したり町の人々から依頼を受けてクエストをこなしていったりするのです。
異世界でレベルアップした主人公が最終的に目指すのは魔王の討伐。このラスボスは主人公が召喚された拠点から直接行けるので、やろうと思えばゲーム開始直後から挑むことができます(当然負けますが)。このシステム、「隣の部屋にラスボスがいる。」を思い出します。ただし本作はラスボスを討伐するというRPG的な要素よりも、道中のADV的要素がメインとなっています。
本作は翻訳部分を除いてしまうと、多数のサブクエストのある短編RPGということができるでしょう。町には多数の住人がおり、その多くが何かしらに困っているようです。彼らに話しかけて依頼を受け、達成することでお金を手に入れてレベルアップや装備購入の原資にすることができます。
人によっては”お使い”と呼ばれてRPGの本筋に関係ない蛇足の部分とみなされる要素こそが本作のメインとなっているわけですが、そんな中途半端ともいえる要素を1つのゲームとして楽しめるような工夫を2つ感じ取りました。
1つは先ほどから出ている再翻訳要素です。いかにG〇〇gle翻訳優秀といえど完璧ではありません。異世界語を日本語に翻訳するときにどうしても脱落してしまうニュアンスがあったり単純な誤訳と思しき語句があったり。そんな微妙な訳文から本来の依頼がどんなものであったかを推測してクエストをこなしていく必要があるのです。

例えばこちらの依頼。「蝶が欲しい-約5」
語順などが不自然ですが意味は伝わるなあといった依頼文です。しかし次の場合はどうでしょう。

「同僚がスキップしています。少しscられますか」
はっきり言って意味不明です。この文章から依頼を推測して達成方法を見つけて実行するには試行錯誤が不可欠でしょう。他にも「女性の傑作が見たい!」「友達になる3人について学びましょう!」などの元の依頼からかけ離れた訳文が多数登場し、さながら謎解きゲームのようです。
エンディング到達後の2周目モードでは謎のこんにゃく(どう考えてもドラえもんに出てくる翻訳こんにゃく)を食べることでゲームを原文でプレイすることができるようになります。このモードでは時間制限などもないためゆっくりと町を回りながら住人たちと会話していくことができます。こいつらこんな口調でしゃべってたのかとか、意外と時限会話が豊富に用意されているんだなとかいろいろな気付きに出会えると思いますよ。
さて、工夫の2点目はタイムアタック要素です。G〇〇gle翻訳には主人公の持っているスマホアプリを使用しているのですがなんとバッテリー残量が初期状態で3分しかありません。依頼で得たお金で消耗品の魔法石を買うことによって充電することができるため、探索の1秒1秒にお金が消費されるのと同じ状態なのです。
初見の状態では3分間で依頼を1つか2つこなすのが精一杯でしょう。何度も探索に出ることで次第に効率的な周回ルートを開拓し金策の効率アップを目指しましょう。バッテリー残量に余裕が出てきたら経験値を購入することで主人公をレベルアップし、探索範囲を広げることができます。そしてまた新規の依頼を開拓して依頼文の解読をして…。こうした拡大再生産に似た楽しみも本作のゲーム性の1つでしょう。
本作を普通にクリアするうえではタイムアタックを極める必要まではありません。ゆっくりでも周回を繰り返すことで十分にお金を貯めることができるでしょう。しかし私はそれだけでは満足しませんでした。一体どのような順番で依頼を受け、どんなルートでこなしていくことで最速で依頼コンプリートができるのかを追求します。私のタイムアタックの結果については次回の記事で詳しくご紹介したいと思います。
さて、システム面において工夫されていてプレイしやすいと感じた点がいくつかあるので紹介しましょう。
本作では合計70もの依頼が存在するのですが、この依頼を受けるためには別のこの依頼を片付けていないといけない、というような条件が多数存在します。そうすると同じマップの中でも”今話しかけられる人”と、”フラグ不足で依頼が進行しない人”が混在することになります。多数の依頼を同時進行していると混乱しやすいのですが、本作ではシステム的にこの2種類の人が区別されていて、フラグを進行できる人だけ歩行グラフィックになっているのです。つまり最速でクリアしたいときは歩いている人だけに話しかければよいし、逆にフレーバーテキストを楽しみたい場合は立ち止まっている人に話しかけてみればよいでしょう。
さらに依頼が終了するとその人は透明化してすり抜けられるようになります。これはタイムアタックの意味でも結構大きな変化だったりします。
また、依頼一覧画面もうれしいですね。私はもう全依頼を暗記するほどやりこんでしまったのですが、初見の時は重宝しました。

さて、これらの仕組みを活用しながら周回して十分お金を稼いだら、レベルアップと装備購入に使ってボス戦に挑みます。一応異世界に召喚された目的がこのボス撃破で最終目標でもあるのですが、これに関しては正直おまけ感が強いです。本作をRPGとして考えるとこの戦闘には物足りなさとか単調さを感じてしまうと思います。
しかし本作の肝(と私が考えるの)は「再翻訳おつかいタイムアタック」の部分です。機械翻訳で遊んだことがあったり、RPGのサブクエストを埋めていくことに喜びを感じる方なら本作もたっぷり楽しめるでしょう。タイムアタックのためのルート構築頑張るぜ!という方はぜひチャレンジしてみてください。私の記録はそう簡単には破れないと思います。次回の記事で挑戦お待ちしています。
それでは。