フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
初めての方は、ぜひごあいさつをご覧ください。評価の基準については、レビューについてに記してあります。
記事一覧ページを作りました。記事探しはこちらから。Twitterはこちら。リンク等はご自由にどうぞ。
YouTube始めました。フリーゲーム攻略動画などを投稿してます。

30分以内

こんにちは。今回は、四弦亭さんの「アリスは水の中」をご紹介します。

ScreenShot_2021_1121_19_20_35

ジャンル:ゆるめのサスペンス系ADV
プレイ時間:30分以内
分岐:なし
ツール:WolfRPGエディター
リリース:2018/5



今回ご紹介する「アリスは水の中」は、短編ながらさわやかな読後感の印象的なADVです。
まずはあらすじを簡単にご紹介しましょう。

長崎県の島に暮らす主人公の雄介と幼馴染のアリスは大変仲が良かった。しかし彼女は13年前、5歳の時に突如行方不明となりついに見つかることはなく、海に転落して死亡したものとされた。
それを負い目に感じずっと後ろを向いて歩いてきた雄介を見かねた姉のましろは、事件の調べなおしを提案する。
13年の時を越えて明らかになる真実。そしてアリスの思い、ましろの真意とは。

こんな感じでしょうか。
この紹介文を見ると、聞き込みや調査をして真相を暴いていくサスペンスなんだな、よ~し解明に向けて頑張るぞ、と思うかもしれません。しかし本作の中心になっているのはサスペンスではなく、雄介やましろ、アリスが何を思っていたか、そして真相にたどり着いた雄介がその事実をどう消化するか、というところに主眼が置かれているので、むしろギャルゲーに近いのではないかという感想を持ちました(という意味で記事冒頭のジャンル表記にゆるめと入れています)。
ここの部分の表現が面白かったんです。雄介はアリスのことについて責任を感じているというよりは、自分だけが生きて幸せになることに抵抗を感じて素直になれないという感じがします。この状態から何とか前進させてあげたいと調査を手伝うましろ。いいお姉ちゃんですね。この時のましろの思いについては、真相判明後に分かります。また、本作冒頭で提示されるアリスの失踪のほかに、もう一つましろについても序盤で意外な事実が本人の口から語られます。この内容がアリスの事件と一緒にしっかりと解消するのも気持ちよいところです。このあたりがすっきりするのが読後感の良さに寄与しているのでしょう。

その反面と言いますか、事件の真相を調べるパートについてはあっさりしすぎている嫌いがあります。調査するといってもましろの指示に従って誰かの話を聞きに行ったり、遅くなったから家に帰ろうなどと、どうしてもお使いイベントをいくつかこなしているだけという印象になってしまいます。そこを作りこむとなると製作の手間も跳ね上がるのだとは思いますが、主人公の行動にはもう少し自由度を与えて欲しかったなという感じがします。せっかくアドベンチャーゲームとしての形態をとっているのに、これなら一本道ノベルゲームで良かったのでは、とも思います。本当に必要最低限の行動と事実の提示しかないんですよね。人によってはご都合主義の展開だと感じるかもしれません。調査の順番に選択の余地があったり、必須イベント以外のキャラクターとも会話できたりするだけでかなり違ってくるように思います。

ScreenShot_2021_1121_21_28_32

さて、物語開始時点で故人であるアリスには立ち絵がありませんが、姉のましろにはかわいらしい立ち絵がついています。単に事件についての調査を提案する以上の役割を果たすましろ。重要かつ魅力的なキャラクターになっています。作内では3日間経つのですが、なんと毎日着替えるのです。このような仕掛けは他のゲームでは見たことないかもしれません。短編とはいえこのあたりにきちんと力が入っていて、キャラクターの魅力を高めてくれます。物語の魅力って単にシナリオ部分だけでなく、キャラクター造形とかも含みますよね。ちょっとした冗談を交えてくれるあたりや雄介との関係性なども含めて、ましろはとても魅力的なキャラクターに感じました。


今回は短めですがこのあたりで終わります。ちなみに作者さんのサイトはトップページですでに18禁と思われる絵が見えるので、リンクは張らないでおきます(本作はそういうシーンは一切なく全年齢対象です)。注意書きのあるトップページが欲しいなあ。
読後感の良さはなかなかなので、短編でさっくりと温かい気持ちになりたい方にお勧めです。
以下ネタバレ含む短い感想です(反転で表示)。
実子と養子が結婚できるの本作をやって調べてみるまで知りませんでした。義理でも2親等だからできないと思ってました。これなら素直に応援できますね。


それでは。

こんにちは。今回は変則的に、ハロウィンに関連して時期限定で公開されているHACKMOCKさんの後日談おまけ作品3作を軽く紹介していこうと思います。もうハロウィン終わったよとか言わないで…
時期限定のページにリンク張っていいかわからなかったので、リンクはサークルのサイトトップだけにしておきます。
当然ですが、元ネタになっている方の作品をプレイしていないと意味不明なので、未プレイの方は本編から先にどうぞ。


まずは「ハロウィンの夜のマージナル」です。
hallomagi

こちらは「午前0時のマージナル」の後日談、2017年ハロウィン作品です。本編ではたくさんの分身の中から見事に弟子のリオを見つけ出し、アリサとリオは単なる師弟関係よりももっと深い関係になっていきました。本作では2人のほのぼのいちゃいちゃを楽しむことができます。子供のころにもらった魔法書の暗号にチャレンジするアリサとリオ。その魔法の効果とは…? そして師匠にはまさかのあの萌え要素が追加されました。
その魔法の流れから何とも自然にキスまでもっていくリオ、強かになりましたね。本編ではあんなに回りくどいやり方で師匠の愛を確かめようとしてたのがウソみたいです。
暗号の方は難しくありませんし、ヒント機能もついて優しい仕様。しかしハロウィン用のミニゲームに、分岐に対応したスチルとおまけの立ち絵閲覧機能付きとかなり豪華ですね。


次は「嘘つきハロウィーニアス」です。
usohallo

こちらは「嘘つきジーニアス」の後日談で、2016年公開です。本編では嘘をついたり本当のことを言ったりしてすれ違っていたロッテとクラウスですが、エンディングで無事に結ばれました。本作では、おそらく近所にオープンした土産屋(?)の店員になって、彼らの様子を眺めることができます。
スクリーンショットを見ても分かりますが、本作はおそらくスマートフォンでのプレイを意識されたのでしょうか、画面が縦長になっています。そしてもう一つ気付く本作の特徴、かつ素晴らしいところは立ち絵が動くのです! 本編では動かなかった2人が(それでも可愛かったけど)立体的に動いて笑ったり恥ずかしがったり驚いたりするのを見るとそれだけで楽しくなりますね。えもふりというソフトを使っているようです。
ただ、タイトル画面はやっぱり欲しかったでしょうか。

そして最後に、「ハロウィンベルを鳴らして」です。
hallobell

以前本ブログでも紹介したことのある「ロイヤルベルを鳴らして」の後日談となっています。詳しくはこちらのレビューを読んでいただくといいのですが、本編ではヴィンボーナの姫である主人公ユーリは選択によって、隣国の王子で公の場ではすごくすましていてカッコいいけど実は俺様的性格のアルト、オタク気質であまり人前に出ないけれど国や兄のことをしっかり考えているアキバル、大臣でありながら子供のころからの遊び相手でもあって優しいセナの3人の誰かと結ばれることになります。本作ではその3人それぞれについての後日談となっています。しっかり全員分のシナリオにスチルも用意されていて豪華!
以前のレビューでも書いた通り私はアルト推しなので真っ先にアルトに王道な選択肢で会いに行きました。

さて、その時の私の心境をここで再現します。

いやあアルト様はやっぱりいじわるだなぁ。こっちまで恥ずかしくなってくるよ……
……ぇぇ、おばけ布の上から丸わかりなほど赤くなるユーリ…可愛いけど爆笑。さすが。
うんうん、ネタばらしね。読んでるこっちも分かってたけどね。

……えええぇえ~
んああああああ!
大胆!大胆!さすがすぎる。うおおおおお
そんな距離の詰め方っっ!ずるいっ!!

(スチルで完全に思考停止。ページが送れない)

(数分悶えた後で読み進める…)
そしてユーリの顔!赤い!もはやリンゴ!
ああああああああ~~~~
っっっってもう一回?!?!?!
アルト様のいじわるっ!!!
っこ、っこれは…………?



久々に自我を失いました。そして尊死という概念を初めて理解しました。


……そんなわけで最後に暴走してしまいましたが、3作ともとても面白いので本編プレイ済みの方はやって損はありません。いずれも吉里吉里製で、プレイ時間にして5分強なのでお手軽にプレイできます。今月いっぱいまで公開の予定ということなので、興味を持った方はお急ぎください。

それでは。

こんにちは。
今回は、春紫さんの後輩と先輩と時々殺人鬼をご紹介します。

ko-hai1

ジャンル:ゆるふわサスペンス風ADV(公式より引用)
プレイ時間:1プレイ1~10分、フルコンプまで30分程度
分岐:多数、TRUE ENDも複数あり
ツール:WolfRPGエディター
リリース:2013/12
備考:12歳以上対象


本作はちょっとした笑いありホラーありの短編アドベンチャーゲームです。公式ジャンルは上述した通り、ゆるふわサスペンス風ADVとなっていますが、本作のメインは殺人鬼を突き止めるようなサスペンスでは決してなく、後輩と先輩(酔っ払い)の気の抜けるようなやり取りや、突飛な展開を楽しむなんちゃってホラーとでもいうべきものです。

ゲームを開始すると、主人公が先輩の家で宅飲みをしているシーンになります。しかも先輩はお酒を飲むと面倒くさいタイプで、後輩はめちゃくちゃ絡まれることになります。先輩に相当振り回されても嫌そうな感じがしなかったり、先輩の体や翌日の仕事を気遣ったりしているので、結構親しい感じですね。こんな2人の関係に興味が持てる方なら、きっと本作をたっぷり楽しめるはずです。

ko-hai2

本作の特徴として、1プレイが短いのに比してエンディングの種類が大変多いことがまず挙げられるでしょう。何らかの理由で死亡してしまうBAD ENDだけで7種類。TRUE ENDは3種類、その他にHAPPY ENDなどもあります。私が知っている中でTRUE ENDが複数ある作品はこれが唯一かもしれません。そのTRUE ENDは3つそれぞれでかなり違った展開を見せてくれます(でも着地点はなんだかんだで似ている)。

短編なのに大量のエンディングがある都合上、フラグが立つ場面が序盤から超高密度で存在します。ReadMeにもある通り、頻繁なセーブをお勧めします。
そんな大量のエンディングがあるわけですが、親切なことに同梱テキストファイルにエンディングの回収ヒント(ほぼ答え)が記載されています。詰まった方はぜひ参照してください。私はTRUE END2,3を見るのに使いました。


さて、そんな本作、くっつきそうでまだくっついていない2人の関係をにやにやして眺めたり、幅広い展開に驚いたりするのも良いですが、私が地味に好きなのはフレーバーテキストです。

ko-hai3

2つの立場と屁理屈という装備品は外せません。そうだよね、大人になったら立場捨てて自由に生きたりはできないよね……と無駄にしんみりしてしまいました(笑)
あとは50メートル走7秒に二重跳び90回とはさっきまで飲んでたくせになかなかの運動神経。セーブをしようとメニューを開くと目に入ってくるこういう画面にネタを仕込んでくるこの心意気、好きです。

話はさらにわき道にそれますが、私は冒頭の2人で宴会をしているシーンを見て、いいなあ、と思ったんですよね。純粋に2人の距離感とか関係性がいいなというのもありますが、最近は新型コロナウイルスの影響で気軽に誰かと一緒に食事したりもしにくい状況ですからね。飲酒を含むのはなおさらです。私は別にお酒が好きだったり強かったりするわけではないのですが、飲み会がなくなってしまうとそれはそれで寂しいものです。


ゲームの話に戻りましょう。主人公である後輩くん、冒頭の場面ではよくできた常識人といった感じですが、実は結構変態です。ゲーム内で変態という称号を得るくらいには。でもその変態ネタが嫌な感じがしないんですよね。私が一番好きなエンディングが新たな旅立ちエンドになるくらいです。殺人鬼も出てこずに平和だしね!
ちなみにホラー要素はほんのちょっとです。殺人鬼が突然現れたりはしますが、ほかにびっくり表現なんかはないので、ちょっと苦手な方でもプレイできる範囲かと思います。


まとまりがない文章になりましたが、本作の面白さは伝えられたでしょうか。
酔っぱらった先輩が可愛いと思った方はぜひプレイを。

それでは。

今回はEYEZMAZEさんのGROWキューブのご紹介です。

growcube1


★favo
ジャンル:試行錯誤を楽しむパズルゲーム
プレイ時間:1プレイ3分以内
分岐:正解ルートは一つ。その他にも無数の結末あり
ツール:HTML5(ブラウザゲーム、スマホ可)、スマホアプリ版あり
リリース:2014/9(HTML5版)


今回は久々にパズルゲームのご紹介となります。
本作のルールはいたってシンプルです。10個のアイテムがあるのでそれらを順にクリックしていきます。クリックするごとに、画面中央にある立方体にそのアイテムが投入され、その時の立方体の状態に応じて各アイテムがレベルアップしていきます。最終的に正しい順番を導き出すと、すべてのアイテムがレベルMAXとなるのでそれを目指すというものです。

それだけで何が楽しいのかというのは、私がここでどうこう説明するよりも、実際にプレイしてみていただくのが一番早いと思います。
というだけでは全くレビューにならないので、私なりに説明を試みましょう。

まずはアイテムの成長にちょっとしたストーリーがあって、それによってキューブが発展して姿を変えていくのを見守るのが面白いという所です。正しい順序を選べた時、ああそうか、このアイテムがすでにこの状態になっているとこっちが成長できるのか、といった気付きにもつながります。キューブを能動的に発展させていくのはもちろん人ですので、人のパネルは早めに選んでおきましょう。
また、そのアイテムの成長にちょっとした意外性があるのも気持ちいいところです。パイプがどんな風に伸びるかとか、土器を使って何を作るのかとか、植物の活用法とか(右上のこんぺいとうのようなパネルは植物の種です)。
そして最も重要なのは、不正解ルートです。順番が間違っていても、単にアイテムのレベルアップが途中で止まるだけでなく、不正解独自の変化を遂げるパターンが大量に用意されています。中には、成長途中の他のアイテムと絡み合って、正解ルートとは全く違った方向への成長をするパターンもあります。何回も試してみても、順番をちょっと変える度に異なる成長を見せてくれるので、見ていて飽きません。そしてその成長の仕方がどれもこれもほっこりするような愛らしさなのです。

GROWはシリーズとして本作以外にもいくつものゲームが公開されているので、本作を楽しいと感じた方は、ぜひシリーズの他の作品にも触れてみてください。そのどれもが本作のような豊かな想像力に支えられた可愛らしい作品となっています。画面の隅で起こる出来事一つ一つまで丁寧なアニメーションがあり、いつまででも見ていられますよ。

最後に、どうしてもわからない方向けの攻略ヒントを載せておきたいと思います。必要なところをクリックして読んでください。

全体的な方針 キューブを発展させるためにまずは能動的に動けるアイテム、つまり人が大切です。人は早い段階で設置しましょう。
また、アイテムには設置するとほぼ無条件でその後数ターンにわたってレベルアップするものと、特定の条件を満たさないとレベルアップしないものがあります。通常各アイテムは1ターンに1回しかレベルアップしないため、前者については最大で何レベルなのかを考えて、すべてのアイテムを設置するときにちょうどレベルアップが完了するように調整しましょう。後者についてはなるべく早い段階でその条件を満たすようにします。また、キューブの外に落ちてしまうとそれ以上レベルアップしません。そうならないように状況を見て選びましょう。

特定の条件について詳しく
  • 人が活動を行うためには水源が必要不可欠です。
  • また、土地を発展させるには緑化が大切です。
  • 土器は火にかけて使いますが、火力の調整が必要です。火がレベルアップするころには土器が完成するように計算しましょう。
  • パイプはどんどん伸びていきますが、伸びる先に邪魔なものがあると伸びていけません。具体的には、土器を移動させるとパイプが通る穴が掘られます。
もう答えを見せて (人、水)、種、土器、パイプ、火、皿、骨、(バネ、ボール)
の順番でクリックするとクリアできます。括弧内のものはそれぞれ順番を入れ替えてもよいです。

こんにちは。今回は、前回ちらっと名前を出したほりんさんのSheSeeCrisis!をご紹介します。

SSC1

ジャンル:おしっこ我慢系短編RPG
プレイ時間:1プレイ10分前後、隠しエンド到達まで1時間半程度、その他やり込み要素あり
分岐:あり(後述)
ツール:RPGツクール(アツマールでもプレイ可)
リリース:2017/4
備考:15推


前回ご紹介したねこのさんのありすえすけーぷも主人公がトイレを我慢して脱出を目指すゲームでしたが、本作も同じくなるべく速く敵を蹴散らしてトイレに駆け込みたいという短編RPGです。かわいい子がもじもじする様子を眺めるという点が共通している両作ですが、そうした趣向以外のゲーム性の面でもしっかり作り込まれているという点でも共によくできていると思います。
フリーゲームをいろいろとプレイしていると、こうした変態チックな作品に度々出会いますが、このようなものにこそ作者の方の好みや熱意が濃縮されている気がして、フリーゲームらしい良作に出会えたように思います。


本作の主人公フララは初期状態でレベル99。適宜回復アイテムを使うなどして安全に戦えば、道中の雑魚敵など相手ではありません。
SSC2
しかしそんな戦闘を面白くしているのが本作のターン制限。おしっこを我慢しているための時間制限は、リアルタイムではなく戦闘中の経過ターン数によって表現されています。つまり、なるべく短いターン数で全ての敵を倒すためには、どの敵にどのスキルを使って、どのタイミングで回復薬を使って……などを考える必要があり、それが本作を面白くしている特長の1つでしょう。ちなみに、回復薬は実質無制限に使用できますが、当然のように全て飲み物なので使用するたびに尿意が加速(=制限ターン数が短縮)します。
難易度には「ふつう」と「きちゅい」の2つがあります。「ふつう」ではそんなにシビアなリソース管理をしなくても魔王を倒して漏らす前に無事に家に帰ってくることができるでしょう(ただしトイレに直行できるとは言ってない)。「きちゅい」は制限ターン数が短いうえ、敵のステータスが高い、クリティカルが出ないなどかなり不利な条件となっており、初見でクリアするのはかなり厳しいかと思います。HPやTPなどの適切な管理と、敵に効率よくダメージを与えるためのスキルの使い方を意識的に行う必要があるのです。次ターンの敵の行動が明示されるのも、そのあたりのことを意識しての仕様でしょう。そうした意味で、本作はRPGでありながらパズル的なゲーム性を持ち合わせているといえるでしょう。

本作攻略に欠かせない要素はそれだけではありません。攻撃を行うと青いゲージが短時間表示されます。時間切れになる前に指定されたキー(ZX←→↑↓のどれか)を指定回数入力することによって、チェインコマンド(CC)が発動し、連続攻撃をすることができるのです。
SSC3
この機能によって連続攻撃を決めるのが大変爽快なのです。うまく使うと、ラスボスを1ターンキルすることすら可能です。入力時間もそれほど短くはないので、アクションが苦手でもなんとかなる範囲でしょう。CCを使いこなすことが、特に「きちゅい」をクリアするうえでは必須になってきます。
ただ、このゲージの出てくる位置が、敵だったり自分だったりするのでここは統一してほしかったなと思います。パターンはあるので覚えることはできるのですが、ちょっと油断すると思っていたところと別のところにゲージが出てCCに失敗してしまうことがよくありました。

また、戦闘画面での靄のエフェクトやクリティカル時のエフェクトなどが重いのもややマイナスに感じました。マシンの問題かもしれませんが、設定で軽量モードなどが選択できるようになっていたらうれしいです。


さて、裏山マップで時間切れになったりHPが尽きたりするとバッドエンドなのは当然ですが、規定ターン以内にラスボスを倒したとしてもハッピーエンドを迎えられるとは限りません。むしろ、ハッピーエンドを迎えるためには割と頑張って本作をやり込む必要があるのです。そのためにもきちんと実績システムが搭載されています。ノーヒントだと実績コンプはやや難しいでしょうが、きちんとクリア後おまけにてフォローがありますのでご安心ください。
13個の実績だけでなく、ハイスコア記録やクリア後闘技場の実装、そして隠しコマンド(ちょっとかげきモード)も用意されているなど、1プレイ10分程度の短編RPGながら長く遊べる作品に仕上がっています。マップ内の移動速度は高速だし、オープニングやチュートリアルなどはスキップ可など周回プレイしやすい仕様になっているのも良いですね。

というわけで今回はSheSeeCrisis!の紹介でした。スピーディーで爽快感あふれる戦闘に加え、Ver3でフララにボイスまで付いた本作、ぜひプレイしてみてください。ストーリーとしては裏山に薬草を取りに行くだけなのですが、意外とやり込み甲斐がありますよ。

↑このページのトップヘ