こんにちは。今回は揚げ鶏々さんの「探偵助手ガリウムのろじうら探検記」をレビューしていきたいと思います。

ジャンル:元素擬人化SFミステリー
プレイ時間:1時間
分岐:基本1本道
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2025/5
備考:書籍を中心とするコンテンツ「元素楽章」の外伝に位置づけられるゲーム作品
少し更新に間が空いてしまいました。今回はティラノゲームフェス10で縁のあった作品を持ってきました。
本作は成り立ちが特殊で、まずは作者の揚げ鶏々さんの元素擬人化ファンタジー書籍「元素楽章」が2024年に発売となっていました。普通に書店に並んでいる人気の本なのですが私はこのことを知らず、昨年のティラノゲームフェス10でゲームである本作に出会います。なかなか面白い作品だったのでノベコレにレビューを書いたり関連作を調べている中で元素楽章シリーズを知り、本作がその外伝的扱いとなっていることを知りました。先日書籍も購入して読んでみたので、その内容にも少し触れながらフリーゲームである本作の紹介をしていけたらと思います。
まずは本作のあらすじ紹介から行きましょう。
舞台となっているのは人型になった元素たちが気ままに交流する世界、アスティオン大陸です。ここでは本作の主人公であるガリウムやアルミニウムのほかに、炭素やケイ素、臭素といった元素たちのほのぼのとした日常が営まれています。
探偵助手であるガリウムは師匠のアルミのお使いをするなど平和な日常が続いていましたが、ある日金属性の元素たちが集団失踪しているという噂を耳にします。調査のために姿を消したアルミ先生を追って自らも事件の調査を進めるガリウム。果たして事件の謎を解き明かすことはできるのでしょうか…
こんな感じでしょう。
本作の前半は世界観や設定の紹介を兼ねた日常パートとなっています。一般的な学園ものなどだと半分を設定の説明に使うのは尺を取りすぎだと思いますが、本作は元素たちが暮らす大陸というかなり独自色の強い作品となっていますので、丁寧な導入になっているなという感じがします。
ただ順番に設定を説明するだけでは単調で、読者にとって覚えにくくて暇なパートになりがちですが、本作では少しずつ新キャラ(新元素?)が登場して化学にまつわる小ネタを挟んでいったり、ファンタジー感あふれる立ち絵や背景イラストが目を引いて楽しく読めるようになっているなと思います。

例えばこちらのシーンで登場するナトリウム(画面右)は周期表で左端に位置するアルカリ金属(第1族元素)。右から2番目に位置するハロゲン(第17族元素)とは電気陰性度など様々な性質で対をなすため、そのあたりのことを知っていると元ネタが分かった気持ちよさを味わうことができます。
私は化学は詳しくない分野なので元ネタが分からなかったり、そもそもその設定の由来となる科学的事実があることを知らなかったりすることも多々ありましたが、シーンの切り替え時などに簡潔な解説カットインが入ったりするので問題なく楽しめましたし少しだけ勉強にもなりました。

さて、本作はファンタジー世界ではあるものの探偵ものでもあるため物語後半には推理・真相解明パートがあります。2日間の探索で得た情報を整理したうえで推理していくのですが、難易度は簡単と言っていいでしょう。探索パート、推理パートのいずれでもいくつか選択肢がありますが、どれも間違えてもペナルティはありませんし、ガリウムの考えをちゃんと聞いていれば迷うこともないでしょう。
この真相もちゃんと化学ネタとして筋が通っているのも良いですね。本作が単に元素を擬人化して可愛くしました!にとどまらない魅力を持っているのは、一つの物語として楽しめるストーリーや推理ギミックがきちんとあって、そこに化学要素が乗って融合しているからではないでしょうか。設定と物語が分離していると気が散ってしまうことがありますが、本作ではそのような問題は感じませんでした。
主人公のガリウムとその師匠であるアルミニウムの間の関係とか、背景となっている元素の知識なんかが順に挿入されながらラストの事件解決に至るので、単に当座の問題が解消したというだけでなく、過去からの2人の関係性に肩入れしながら物語を味わうことができてその点でもよかったです。元ネタ知識の活かし方でいうと、過去にご紹介した「高対称のi」に近いかもしれません。こちらも、元ネタなしでもメインのシナリオを楽しめるという点でよくできている作品でした。

書籍版の「元素楽章」にも少し触れておきましょう。
ゲームと同じくきれいなイラストが全編に散りばめられて目を引きます。登場する元素の数はゲームの数倍のボリュームがあり、キャラクターイラストの解説や化学的な元ネタの記述も多めです。元素の暮らすアスティオン大陸の話という設定を展開しながら、元素やその化合物の性質を盛り込んでおり作者さんの気概を感じます。
特定の元素を含む食材や料理といった話題や家庭でできる実験に関するページ、科学史の方面の記述もあるなど広く書かれていて、科学読み物として楽しい本かなと思います。
反面、小説ではないので物語性はなく擬人化設定資料集&元ネタ解説といった方が近く、ストーリーを求める方にはおすすめできないかもしれません。そういった方は1本の物語としてまとまっているゲーム版を手に取ってみてください。
というわけで今回は「探偵助手ガリウムのろじうら探検記」でした。
化学のネタを除いても可愛いキャラクターがいっぱいですのでぜひプレイしてみてください。
それでは。

ジャンル:元素擬人化SFミステリー
プレイ時間:1時間
分岐:基本1本道
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2025/5
備考:書籍を中心とするコンテンツ「元素楽章」の外伝に位置づけられるゲーム作品
少し更新に間が空いてしまいました。今回はティラノゲームフェス10で縁のあった作品を持ってきました。
本作は成り立ちが特殊で、まずは作者の揚げ鶏々さんの元素擬人化ファンタジー書籍「元素楽章」が2024年に発売となっていました。普通に書店に並んでいる人気の本なのですが私はこのことを知らず、昨年のティラノゲームフェス10でゲームである本作に出会います。なかなか面白い作品だったのでノベコレにレビューを書いたり関連作を調べている中で元素楽章シリーズを知り、本作がその外伝的扱いとなっていることを知りました。先日書籍も購入して読んでみたので、その内容にも少し触れながらフリーゲームである本作の紹介をしていけたらと思います。
まずは本作のあらすじ紹介から行きましょう。
舞台となっているのは人型になった元素たちが気ままに交流する世界、アスティオン大陸です。ここでは本作の主人公であるガリウムやアルミニウムのほかに、炭素やケイ素、臭素といった元素たちのほのぼのとした日常が営まれています。
探偵助手であるガリウムは師匠のアルミのお使いをするなど平和な日常が続いていましたが、ある日金属性の元素たちが集団失踪しているという噂を耳にします。調査のために姿を消したアルミ先生を追って自らも事件の調査を進めるガリウム。果たして事件の謎を解き明かすことはできるのでしょうか…
こんな感じでしょう。
本作の前半は世界観や設定の紹介を兼ねた日常パートとなっています。一般的な学園ものなどだと半分を設定の説明に使うのは尺を取りすぎだと思いますが、本作は元素たちが暮らす大陸というかなり独自色の強い作品となっていますので、丁寧な導入になっているなという感じがします。
ただ順番に設定を説明するだけでは単調で、読者にとって覚えにくくて暇なパートになりがちですが、本作では少しずつ新キャラ(新元素?)が登場して化学にまつわる小ネタを挟んでいったり、ファンタジー感あふれる立ち絵や背景イラストが目を引いて楽しく読めるようになっているなと思います。

例えばこちらのシーンで登場するナトリウム(画面右)は周期表で左端に位置するアルカリ金属(第1族元素)。右から2番目に位置するハロゲン(第17族元素)とは電気陰性度など様々な性質で対をなすため、そのあたりのことを知っていると元ネタが分かった気持ちよさを味わうことができます。
私は化学は詳しくない分野なので元ネタが分からなかったり、そもそもその設定の由来となる科学的事実があることを知らなかったりすることも多々ありましたが、シーンの切り替え時などに簡潔な解説カットインが入ったりするので問題なく楽しめましたし少しだけ勉強にもなりました。

さて、本作はファンタジー世界ではあるものの探偵ものでもあるため物語後半には推理・真相解明パートがあります。2日間の探索で得た情報を整理したうえで推理していくのですが、難易度は簡単と言っていいでしょう。探索パート、推理パートのいずれでもいくつか選択肢がありますが、どれも間違えてもペナルティはありませんし、ガリウムの考えをちゃんと聞いていれば迷うこともないでしょう。
この真相もちゃんと化学ネタとして筋が通っているのも良いですね。本作が単に元素を擬人化して可愛くしました!にとどまらない魅力を持っているのは、一つの物語として楽しめるストーリーや推理ギミックがきちんとあって、そこに化学要素が乗って融合しているからではないでしょうか。設定と物語が分離していると気が散ってしまうことがありますが、本作ではそのような問題は感じませんでした。
主人公のガリウムとその師匠であるアルミニウムの間の関係とか、背景となっている元素の知識なんかが順に挿入されながらラストの事件解決に至るので、単に当座の問題が解消したというだけでなく、過去からの2人の関係性に肩入れしながら物語を味わうことができてその点でもよかったです。元ネタ知識の活かし方でいうと、過去にご紹介した「高対称のi」に近いかもしれません。こちらも、元ネタなしでもメインのシナリオを楽しめるという点でよくできている作品でした。

書籍版の「元素楽章」にも少し触れておきましょう。
ゲームと同じくきれいなイラストが全編に散りばめられて目を引きます。登場する元素の数はゲームの数倍のボリュームがあり、キャラクターイラストの解説や化学的な元ネタの記述も多めです。元素の暮らすアスティオン大陸の話という設定を展開しながら、元素やその化合物の性質を盛り込んでおり作者さんの気概を感じます。
特定の元素を含む食材や料理といった話題や家庭でできる実験に関するページ、科学史の方面の記述もあるなど広く書かれていて、科学読み物として楽しい本かなと思います。
反面、小説ではないので物語性はなく擬人化設定資料集&元ネタ解説といった方が近く、ストーリーを求める方にはおすすめできないかもしれません。そういった方は1本の物語としてまとまっているゲーム版を手に取ってみてください。
というわけで今回は「探偵助手ガリウムのろじうら探検記」でした。
化学のネタを除いても可愛いキャラクターがいっぱいですのでぜひプレイしてみてください。
それでは。

















