フリーゲームの森

フリーゲームのレビューブログです。 ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心にお勧めの作品を紹介します。
初めての方は、ぜひごあいさつをご覧ください。評価の基準については、レビューについてに記してあります。
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こんにちは。今回は裏束さんの「SHADOW」のレビューをしていこうと思います。

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★favo
ジャンル:学園サスペンスアドベンチャー
プレイ時間:5時間
分岐:なし(ゲームオーバーあり)
ツール:RPGツクール
リリース:2020/3
備考:15禁、暴力描写あり


ティラノゲームフェスの期間中はノベルゲームのプレイがメインだったので、最近は他のジャンルということでアドベンチャーゲームが多めになっています。3回前から連続でホラー作品を扱ってきました。今回ご紹介する「SHADOW」もアドベンチャーゲームではありますが、ホラー要素はありません。ただしストーリーはかなりブラックな面を含むので、人間社会の闇の部分やダークなストーリーは嫌という方は向かないかもしれません。しかし、そんなストーリーだからこその結末とか推理要素がしっかりしているのでドロドロのサスペンスものがお好きという方にはかなり刺さるんじゃないでしょうか。

まずは簡単に作品全体の解説から行きましょう。
主人公の来栖恭也は高校2年生。訳あって転校してきた影峰高校のクラスでは目に見えていじめがあって一般生徒がおびえていたり、セクハラ教師がいたりと問題多数。転校生であろうと容赦なく降りかかってくる災難に来栖はどう立ち向かうのか。普通の「いじめ撃退もの」とは一線を画すダーティな策略と推理力が見もののダーク系世直しストーリーとなっています。

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来栖に降りかかってくる問題は暴力だったり陰湿だったり脅迫だったりと様々で、プレイヤーはうまく来栖の選択を通じてこれらの問題を解決しなくてはなりません。いじめを解消するストーリーの多くは、より強い暴力による権力を得たりうまく周囲の協力を得て道徳的に諭したりといった方向に行きがちです。これらを正攻法というならば本作で来栖がとる道は邪道もいいところです。なるべく自分に火の粉が飛び掛からないようにはどう動くべきか、クラスメートや先生を利用して事態を好転させられないか、といった計略に長けた来栖は、クラスや学校自体を裏から支配して問題に対処していくのです。普通はなかなか見られないこの切り口は本作の大きな魅力といっていいと思います。

クラス内の数人が関与しているにとどまるいじめ問題を、このように大きなスケールから包み込んでしまうように解消するのもまた新鮮でした。普通なら関係者に対して直接働きかけたり立ち向かったりするものですが、本作で周囲の環境ごと誘導して解決につなげる様子はまるで孫悟空が三蔵法師の手のひらで踊らされているのを眺めるような感じすらしました。

こんな斬新な手法でひたすら突き進んでいく主人公の来栖は当然頭が切れるのですが、単に頭がいいというだけでない芯の強さが感じられます。私がいくら頭がよくなって周囲の状況を適切に判断できて度胸もついたとしても、そもそもそんな発想に至らないだろうという気がするのです。
来栖がこのような人物になったのにはもちろん理由があり、それは彼の家庭だったり前の学校だったりといった環境にあるのです。こうしたバックグラウンドが語られることによって、普通考えられない発想から事件に立ち向かう来栖はただのサイコパスではなく個性と行動原理のある主人公として受け止めることができるのでしょう。自分(プレイヤー)と思考が違いすぎる主人公だと物語に入り込めないということがたまにありますが、本作ではその問題は感じられませんでした。


さて、来栖が最初の事件を大きなスケールで解決してしまうと、それに呼応するようにさらに大きな事件が発生していきます。本作はChapter1からChapter4までの4章構成となっておりそれぞれの章で1つ事件が発生するという構造になっているのですが、章が進むにつれて事件のスケールも大きなものになっていきます。最初は普通にいじめと言って想像できる内容のものから、いじめをネタにした脅迫や監禁に移行。クラス全体を巻き込んで不信感を植え付けるような事件が起こったと思えば、最終的には学校全体を巻き込んだとんでもない大事件に。Chapter2の時点でさすがにこれは刑事事件になるだろうという程度だったのですが、最終的に非ファンタジーの学園ものとは思えない規模になってきます。よくこんな話を思いついたものだなと思います。


事件の規模が大きいというだけでなく、主人公の来栖だけでなく犯人だったり被害者までもが非常に癖が強い人物であるというのも特徴的かと思います。癖が強いということはつまり一般的な感覚からはかけ離れた言動をとるため共感しにくいという面もありますが、キャラクターとしての芯がしっかりしているというプラスの要素もあります。本作はこの要素を積極的に生かした作品だなと思うのです。
思考の様式や行動原理がはっきりしたキャラクターならある程度行動が読めたりする、それを予測して先手を打って対抗したり、相手のプライドを突いた挑発や説得で都合のいいように扱っていったりといった手段が可能なのは、本作の登場人物のキャラが立っているからでしょう。
4つもの事件が起こるのもあり登場人物数としては相当多い部類に入る作品だと思いますが(先生を含めたら15人以上)、ちゃんとキャラとして死ぬことなく全員活躍するのがすごい。全員に立ち絵もついています。


本作のゲーム要素についてです。
各章で導入と事件の発生後に解決のための行動フェーズがあります。数日間の時間制限があり、その間に解決のための現状調査や作戦立案をしたり、具体的な行動や根回しだったりをしていく必要があります。自分で調査する場合もあれば、信頼できる人を見つけて調査や事前工作を依頼しなければならない場合もあります。
前述のとおり来栖はかなりひねくれた手法でアプローチしていきますので、事前の情報調査部分はともかく推理パートや仲間に適切な依頼をする部分は結構難しいと思います。しかしほとんどの場合は1回間違えたらアウトではなく時間制限(3日~5日程度)の間は何回も試せるシステムになっているので、冴えている人なら初見クリアも可能かといった程度でしょう。選択が間違えていると作中の日付が進みます。またギミックによっては一つの結果を得るために最低2日かかる場合もあります。

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事件解決のためにはイベント発生時の選択肢を正しく選ぶだけでなく、メニュー内の「メモ」から正しい考察をすることを要求される場合があります。間違えても一発アウトにはならないので場合によっては何個かの選択肢を試しつつじっくり考えましょう。正しい考察をすることでストーリーが進んだり、フラグが立ったりします。ここが最も推理っぽいポイントでしょうか。

システム系の話をもう一つしておくと、Altキーで会話の過去ログが読めるのが助かります。プレイしなおしているときにWキーで会話スキップなどをしていると直前の話題を見逃すことがあり、ログ機能は重宝しました。初見時の推理のヒントにも使えるでしょう。


エンディングについてですが、Chapter4で起きる事件がもはや校内で起きる事件というレベルではない大事件なのもありスパッと解決!とはいかない感じになります。この来栖に爪痕を残してくる感じが犯人の執念であり、本作の雰囲気を決定づけている要因の一つともいえるでしょう。ここまでよく裏と先を読んで周到な計画を立てたものだなあと素直に感心してしまいます。
このまま胸糞悪い感じで終わるのかなと思ったところで、エピローグがとても感動的だったのでそこも良かったです。Chapter3までで登場した事件の直接の被害者だけでなく、クラス内の雰囲気による間接的な被害者であったり加害者までもが来栖の推理力や参謀としての能力を認めて団結する展開が気持ちいい。最終章にふさわしい熱い展開だったかなと思います。


今まで散々書いてきたように本作全体を通しては非常にブラックな風味なのですが、章間にはおまけシナリオがいくつか用意されており、ふっと笑って一息つけるような話が入っていたりします。あんな陰湿な事件を起こしていながら恋愛のあれこれでキャッキャしていたり、意外な弱点が明らかになったりとシンプルながらインパクトがあって、暗い気持ちで終わりにならないような工夫なのかなと思います。


また、本作には続編「SHADOWS」があります。こちらはSHADOWのストーリーが前提であるだけでなく、作者さんの他作品(村雨)についても関連しています。一応SHADOWさえプレイ済みなら分かるように適宜解説が入っているので必須ではありませんが、プレイ済みだとより楽しめるかと思います。
「SHADOWS」では来栖たちの編入先となった武蔵道高校でさらなる事件に巻き込まれます。こちらも4章構成となっていますが、Chapter2までがSHADOWの雰囲気に近い校内事件の発生と解決となっており、Chapter3,4については修学旅行からさらにスケールの大きな事件が発生し、物語全体のクライマックスへ向かう部分となります。シリーズ合わせて合計30人は登場人物がいますが、ちゃんと全員役割を果たしているのが驚異的。また、最終章でエンディングが2つに分かれます。初見ではまずANOTHER ENDになると思います。もやもやが残る結末を不満に思ったら、ぜひもう一つのエンディングを探してみてください。難しいですが終盤のフラグを細かく確認すれば道が開けるはずです。過去のエピソードまで回収された納得のエンディングが見られるはずです。



というわけで「SHADOW」のご紹介でした。
一風変わった学園サスペンス、ダークな主人公がお好きな方はプレイして損はありません。

それでは。

こんにちは。今回はうみのはっぱさんの「クレーマー家業も楽じゃない!」のレビューをお送りします。

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★favo
ジャンル:トンデモギャグ系ラブコメ
プレイ時間:フルコンプまで40分程度
分岐:エンディング6種
ツール:ティラノスクリプト
リリース:2025/9


先週に引き続き、こちらもティラノゲームフェス10でプレイした作品となります。ぶっ飛んだ展開ばかりでわけわかんねーとゲラゲラ笑っていたところ、いつの間にか可愛らしいヒロインに心奪われてしまったので、ぜひ皆さんもこの感覚を味わってみてください。


主人公の九条ユウト(名前変更可)は高校1年生。先祖代々クレーマーとして名をはせた家系に生まれ、一人前のクレーマーになるための修行をすることに。気乗りしないユウトではあったが初めて実戦練習のために店舗に出向いてクレームをつけることになるのだった…

クレーマーがなぜか立派な職業として成立している世界観がまず狂っているのですが、ユウトの感性に関しては普通寄り(と言っても彼の将来の夢はおかしいですが…)のため、イヤイヤクレームを付けさせられるというなかなか見ない状況となっておりそのミスマッチ感がおかしいですね。

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しかしこの時点では私はまだこの作品のボケパワーをなめていたのです。この世界で狂っているのはユウトの家系だけではなかった!
台風ではなくドリアンの接近を警告する天気予報、なぜ持てているか不明なほど巨大なポロシャツ、謎のクイズ出題トナカイ、クリームソーダに浮かぶ樹脂粘土製バニラアイスなどなど、私の常識にはないアンビリバボーな展開の数々がスピーディーに押し寄せ、私の脳内もトルネードスピン、じゃなかった、スペーススピン! まるでテンポの良いコントを見ているかのような感覚で物語が進んでいきます。(といっても、「ドキドキかかとフレンズ」ほど意味不明ではないですよ)

そんなスピード感でクレームの餌食となる店舗へ到着すると、本作のヒロインでもあるバイト店員が独特なテンションで応対してくれます。
アパレルショップで店員をしているのは同級生で赤べこ狂いの福島ヒカリ。ユウトが練りに練ったクレームの設定を聞いても一切動じずにラッキー☆彡と変換してしまえるハイパーポジティブ少女です。
喫茶店に出向いたユウトを出迎えるのは中学の後輩の飯田ツキ。クレーム歓迎というツキはユウトに流れるクレーマーの血をもってしてもツッコめない謎の危険商品を提供してきます。相手がクレーマーじゃなくてもクレーム必至!
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そんな個性的な2人のヒロインですが、私が好きなのはツキのルートでした。ユウトがクレーマーの家系であることを気にしないどころかむしろプラスに捉え、変わり者である自分を受け入れて正面から意見を言ってくれる人という唯一の価値を見出してくれるのです。
ハッピーエンドルートまでストレートで来れば5分程度とかなり短い作品でありながら、ツキがユウトのことを好きである理由、そしてクレーマーにならなくてはいけないというプレッシャーといった要素がしっかりと回収されて気持ちいいエンディングでした。


エンディングは2ルートにそれぞれ3つで計6個。分岐要素も少なめですし、ゲーム内ヒントを読めば完全攻略も書いてあります。バッドエンド時には直前の選択肢に戻るなどの機能もあって大変親切。短編ですしぜひコンプリートまでプレイしていただきたいです。
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と、普通はここで終わるのですが、本作はエンディングを迎えてからが本番と言えるくらいここからが充実しているのです!
まずはエンディングムービー。普通はクレジット表記を流しながら作内の立ち絵やスチルを回想していく…という感じになると思うのですが、本作ではボーカル入りEDテーマにオリジナルのイラスト、そしてED後のちょっとしたショートストーリーが組み込まれており大変豪華。何回も見たくなるエンディングムービーってすごく珍しいんじゃないでしょうか。

それだけに留まらず、本作はおまけ要素が多岐にわたっており本当に見応えがあります。
ヒロインごとにちょっとした前日談やおまけイラストにショートストーリー、ランダム会話、そしてコンプリート後にはエンディング振り返りお疲れさま会。本編に匹敵するくらいのボリュームです。これらはハッピーエンド後の時空になっているので、小ボケを挟みつつラブコメメインで展開する気持ち良さ。本編中に進展した2人との仲を見守っていられるのは幸せです。

おまけ要素が多すぎて、どこにあるのか分からなかったり見逃したりもすると思うので、ここにおまけ要素一覧を書いておきます。
  • タイトル画面>説明書
    • 個別おまけの台詞一覧
    • 左下小ネタ(はじめからで指示通りにすることで6通りのシナリオが読める)
  • タイトル画面>実績
    • ヒロインごとのバッジ取得
    • 右ページおつかれさま会
  • タイトル画面>おまけ
    • エンディング回収ヒント
    • エンディングリスト
    • クレジット表記
    • 各ヒロインごとおまけ
      • ランダム会話
      • 回想ショートストーリー
      • EDムービー再生
      • プロフィール画面
      • ギャラリー(一部のイラストは会話付き)
      • ギャラリー>画面左下ヒロインからの手紙
  • タイトル画面>右上ドリアンケート
  • 画面遷移中ドリアンTips
  • (DL版の場合)フォルダ内同梱おまけに没シナリオ
いや、何だこの物量。恐れ入りました。
1つ1つは軽い感じの内容なので、本編の空気感が気に入ったらぜひこれらも見てみてください。いつの間にかコンプリートしちゃってると思います。

というわけで今回は「クレーマー家業も楽じゃない!」でした。
クレーマーが仕事になる理屈はいまだにわかってませんが、そんなのお構いなしに楽しめる素晴らしい作品です。ぜひプレイしてみてください。

こんにちは。今回はDominion's Restさんの「丸投げクエスト」です。

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★favo
ジャンル:パーティー選抜パズルアドベンチャー
プレイ時間:1プレイ3分程度、クリアまで1時間~、フルコンプ目指すなら3時間~
ツール:Flash(ブラウザゲーム)
分岐:多数。バッドエンド35種
リリース:2010/9初公開



私が子供のころから好きだったサイト、Dominion's Restさんの傑作「丸投げクエスト」なのですが、Flashの終了に伴い公開終了になっていました。ところが先日Ruffleによって息を吹き返し再公開となったので久々にフルコンプまで遊びつくしました。やはり試行錯誤の面白さとおとぼけストーリーの愉快さが素晴らしい作品でしたのでブログでご紹介します。



物語の舞台となる王国には百年に一度復活する魔王の危機が迫っています。そこで魔王討伐のために人材を募り少数精鋭の討伐隊を組織することになりました。志願者は合計30人。持っているスキルやステータス、性格もバラバラな彼らの中から相性のいい5人を選んで討伐隊を送り込んでいきます。彼らを待ち受けるのは魔王場への厳しい道のりと敵、そしてトラップ。それらを無事乗り越え魔王討伐を成功させることはできるのか…?


魔王討伐の旅に出るというのはRPGの最もオーソドックスなストーリーでしょう。道中の戦闘で魔物を倒してレベルアップしていき、選り抜きの仲間を集めてバランスの良いパーティーを組み、時にはお金稼ぎや経験値稼ぎをしながら優秀な装備を収集し、最後にラスボスに挑むという流れです。これらの要素が上手く絡まりあってRPGとしての楽しさを生み出していると思うのですが、本作はこのRPGのうちパーティー編成に特化した作品となっています。


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本作においてプレイヤーができることは30人の勇者候補から5人を選んでパーティーを組ませ、討伐ルートと支給品を与えてお城から旅立っていく彼らを見送ることのみ。道中のトラブルや戦闘の様子は伝えてくれるものの一切口出しすることはできません。
普通に考えたら制限が多すぎてつまらないようですが、しかしこれが面白い。戦闘方針に口を出せないため、討伐の成否はステータスが100パーセント握ります。このパラメータを指定の値以上にしたうえで特定のスキルを持つものをパーティーに含め、こいつとこいつは仲が悪いから一緒には選べない……などと多数の条件が絡まりあい、論理パズルのような戦略性を生み出しています。

終盤のトラップをかいくぐるために上級魔法スキル持ちが欲しいけどそうすると支給品はローブがほぼ必須、すると素のステータスが補強できないから各種パラメータ高めのメンバーを選抜して…しかし意外とこういうやつらが方向音痴だったり堅物だったりでメンバーの調整に苦労する…など考えつくして選んだパーティーがあまた存在する脱落ポイントを狙い通り回避して戦闘面でも魔王を打倒してくれるとその達成感はなかなかです。


また、パーティーメンバー5人を選んだあとは、2種類ある魔王城攻略ルートと10種類ある支給品を1つずつ選びます。2つのルートはどちらにも異なる困難が待ち受けます。片方のルートにしか適性のないメンバーも何人も。そして支給品はパラメータの補強やその他特殊効果をもたらしてくれます。どちらも最初は1つしか選べず、魔王討伐隊を何度も結成して特定のイベントにたどり着いたりスキルを発動させたりすることで選択肢を増やしていけます。この意味でやり込み要素もたっぷりなんですよね。

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あれやこれや考えながらパーティー・ルート・支給品を組んだ後はすぐに結果が見られます。最初のうちは魔王城にたどり着く前に喧嘩したり道に迷ったりで討伐断念してばっかりでしょう。うんざりするほどしょうもない理由で討伐を断念してくる彼らですが、とぼけた語り口で彼らの失態を眺めるのも地味に面白い。討伐失敗の理由はなんと35種類もあり、収集要素としてもやりがいがあります。あるキャラクターの特性がそのバッドエンドでしか明らかにならないというパターンも多数あるため、クリアするための戦略を練るのと同様に特定のバッドエンドを見るために条件を考えるのも面白いんです。ずっと昔に紹介したEYEZMAZEさんの傑作GROW CUBEと似た魅力がそこにあります。

バッドエンドのコンプリートはノーヒントでは困難を極めると思いますが、1つ見たら次のバッドエンドのヒントが見られるため、全くの手探りにはならないのもうまい。こうしたら行けるか?という仮説がぎりぎり立つようなバランス感覚でプレイヤーの好奇心を刺激してくれます。


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30人いるメンバーはどれもこれも一癖強く、ステータスが高いと思ったら何らかの厄介な性質を抱えているし、攻撃力が高いと思ったら運が悪すぎるし、コイツ何なんだよと思っていたヤツが意外な場面でスキルを発揮したりと毎回思いもよらない物語を生み出してくれるので全然飽きません。
実は以前までエンディングコンプリートはしていなかった私なのですが、今回再公開されたのが嬉しくてバッドエンドコンプリートと全討伐隊員による討伐成功までやり込みました。そうして迎えるエンディングはしりとりクエストシリーズ本編の物語を補完してくれるため、またシリーズの他作品へのモチベーションもくれます。この丸投げクエストから派生した外伝作品もいくつも公開されているので是非そちらもプレイしてみてください。ノベルゲーム・特にミステリー好きの方なら「丸投げクエスト外伝 プレシャス・メアリー 」は刺さると思いますし、他にも多数の作品が再公開されています。個人的には丸投げクエストと並ぶDominion's Restの傑作「しりとりクエスト外伝4・もりもり鉱山の一番長い日」も復活したら嬉しいですね。


というわけで今回はDominion's Restさんの「丸投げクエスト」でした。
試行錯誤の楽しみ、コンプ欲を掻き立ててくれる収集要素、そして本編につながる物語。どれも素晴らしい作品です。ぜひプレイしてみてください。

それでは。

こんにちは。今回は妹れっぐぅおーまーさんの「Be alive ~What is your precious~」のレビューをしていこうと思います。
私は好きですが、本作はかなり人を選ぶ作品であることは間違いないので、注意書きなどをよく読んだうえで納得された方のみプレイしてください。

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★favo
ジャンル:王道学園ものエロゲ
プレイ時間:1ルート2~3時間。フルコンプまで5~6時間程度
分岐:攻略対象3人。計8エンド
ツール:NScripter
リリース:2006/12
備考:18禁。特定ルートで凌辱シーンあり。見たくない場合回避パッチを当てる事(後述)


さて、2年半ほど前にこのブログを開設し、週一弱のペースでレビューを書き続けてきましたが、今回で記念すべき100本目となります(コラム等があるため総記事数は128本となっています)。何か思い入れのある作品を取り上げたいなと思って考えていたのですが、私が初めてやり込んだフリーゲーム(カサハラン.COMさんの「漢字迷路三国志」です)はFlash製で既にプレイできなくなっていますし、ノベルゲームとの出会いのきっかけとなったむきりょくかん。さんの「ほしのの。」については過去に取り上げました。他に私に大きな影響を与えた作品と言えば、私が将棋を始めるきっかけとなったペットボトルココアさんの「夏ゆめ彼方」がありますがこれも以前にレビューしています。
色々考えた結果、今回は私が初めてプレイしたアダルトゲームであって大変印象に残っている本作を取り上げることにしました。というわけで1月にTetraScopeさんの「桜哉」の記事を書いた時以来の18禁作品となります。通常のレビューに比べて私の思い出話みたいなものも長くなるかもしれません。


本作は2006年のコミケが初出とかなり古く、現在公式ページのダウンロードリンクはミラーを含めすべて無効になっているため今からの入手はちょっと大変かもしれません。一応Wayback Machineでアーカイブをたどれば今でもダウンロードできることは確認しています。公開当時はエロゲと饗はおろかBOOTH(pixiv)すらなかったので配布場所は相当限られていたはずで、しょうがない面もあるとは思いますが昔の作品がプレイできなくなってしまうのは寂しいですね。


さて、では本作のあらすじ紹介に参りましょう。
主人公の藤原伸一は高校2年生。両親が海外出張中(お約束)のため、同じ高校に通う1年生の妹、千佳と一緒に家事を切り盛りして生活しています。学校では幼馴染の坂野恵理、悪友の北沢明と一緒になんだかんだ上手くやっています。最近では委員長キャラの榊原奏とも親しくなって、5人で楽しく高校生活を送っていました。期末試験のために勉強を教えてもらったり、試験終わりにゲームセンターで遊んだり。しかし時期はもう高校2年生の冬。受験勉強や卒業後のことを考えるとみんなで遊んでいられる時間もそれほど長くはありません。彼女らとの関係を一歩進めることはできるのでしょうか…。


と、こんな感じで基本的な設定を説明すると非常にオーソドックスな内容になっていると思います。
しかしこれまで文字通り健全なゲームしかプレイしていなかった私には、これがエロゲのノリなのか! と思った個所がいくつかありました。(もちろん、エロゲは全部そうだというわけではないのは今は知っているわけですが)

まず画面がピンク色!
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タイトル画面の色味もそうですし、この学校の制服はなぜか男女問わずピンク色のようで、立ち絵やスチルが自然とその色になっていきます。別に肌の露出が多かったりするわけではないのですが、なんか独特だなと思ってました。


そしてなぜか同性の悪友キャラ(明)がキモい。コイツ、何なんだ? というか公式サイトの攻略ページの中で作者にネタにされてるし…
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また、何でもないシーンでのサービスカット(?)が多い。最初の学食でのシーンからモブの女の子が普通にパンチラしているなど、そういった要素のあるスチルが多めです。

正直に言うとプレイしていた時には、これらの要素は良く分からないな、こういうノリなのかなと思って流していました。別にえっちなゲームじゃなくていいかと感じていたのです。しかし最後までプレイしてみると、私に強烈な印象と感動を残していったすごい作品だったのでした。それに関しては後述します。



さて、複数ヒロインである本作は当然、共通ルートと個別ルートに分かれています。クリスマス前までが共通ルート、それ以降が個別ルートとなっていますが、本作の特徴として共通ルートの比重が重めということが言えるでしょう。分岐直前まで5人で集まって遊んでいたりするので、複数ヒロインものでありがちな「後半で他のヒロインの存在感がなくなる」ような流れになりません。ヒロイン同士の掛け合いも描かれるなど、ただの賑やかし要員になっておらず丁寧に作られているんだなと感じられます。
個別ルートに入ってからも、きちんと友人同士の付き合いであった今までの関係性を踏まえた展開になっており好感を持てます。各ルートで恋人エンドと友人エンドにさらに分岐するわけですが、これはどちらに行っても言えるでしょう。

逆に言うと、恋愛ものとして見たときのどきどき感みたいなものはやや物足りないと感じるかもしれません。共通ルートの間の単なる友人としての関係が長く、その間は異性としての意識などは描かれないため終盤で突然恋愛ものになってしまう印象はぬぐえません。
その面で一番良くできていたと感じたのが委員長キャラである榊原ルートでした。幼馴染である恵理や妹である千佳とは違って、榊原だけはゲーム開始時点ではほとんどしゃべったことのない相手です。その状態から、何となく相手のことが気になるとか、少しずつ態度が軟化していくとかいった変化がほかのルートよりも濃く描かれていたように思います。このルートだけヒロイン視点が描かれているのも私の好みに合致するようでした。ご両親が良い人で良かったですね。
そしてルートの最後で18禁シーンがあります。初めて読んだ私は、なるほどそんなもんか(良く分からん)なんて思っていました。

千佳ルートについてはどちらのエンディングに行っても微笑ましい内容となっており、実の兄弟での近親相姦的な展開はありません。途中何回も伸一のことをシスコン扱いしたネタがありますが、このルートを読むとむしろ千佳の方が重度のブラコンでは? なんて思ったりします。

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ここまででも「良くできた作品」であると思いますが、これだけだとおそらく私にここまで強い印象を与えなかったでしょうし、正直わざわざ18禁の作品をやらなくても良かったかなと感じたでしょう。しかし本作は幼馴染の恵理ルートで本性を現します。

ヒロインが3人いて恵理ルートだけ1周目ルート制限がかかっています。1回目では強制的に友人エンドに。2周目で初めて「ホテルに入る」という選択肢が登場します。当然そこで恵理と行為に及ぶわけですが、問題はその後です。ずっとほのぼのとしていたこの作品の雰囲気はここで一気に反転します。

念のため再度警告しますが、このルートの先ではかなりショッキングな展開が続きます。具体的な暴行が行われるシーンはパッチ適用により飛ばす選択肢を有効化できますが、このルートの主題は事件によって深い心理的なダメージを受けた人物たちがその後どのように生きていくかです。鬱ゲーは受け付けないという方のプレイもお勧めしません。
気にしないという方もシナリオの加筆が若干あるためパッチ適用をお勧めします。公式サイトからver1.01パッチをDL・解凍し、作品フォルダのnscript.datを上書きしてください。パッチ適用後も該当のシーンを飛ばさずに読むこともできます。



このルートでは、伸一と恵理を追っていた千佳が暴漢に襲われてしまいます。それに感付いて現場に向かった伸一も犯人の手にかかって意識不明の大けがをさせられることになります。
幸いにも命に別状はなかった2人ですが、同時に負ったであろう精神的ショックの深さは計り知れません。そんな中で行われる千佳と恵理のあの会話シーン。愛し合っていたからこその行動だったのに、友達を大切に感じていたからこその気遣いだったのに、どうしてこう現実は悪い方向に進んでしまうのでしょうか。あの時こうしていればよかった、自分のせいでこんなことになってしまったという後悔が絶え間なくあふれ出てきて、優しさがあるからこその悲しみを際立たせるシーンです。しかし恵理の悲鳴交じりの決死の説得も届かないほど、千佳の心はずたずたに壊されてしまっていたのです。

そんなシーンの後、無音で始まるモノローグ。そこで事件がもたらした影響の大きさを再度実感させられることになります。伸一・千佳のみならず恵理や明、榊原を巻き込んで、事件から立ち直るための必死のリハビリが始まるのです。
確かに恵理は伸一とちょっと特別な関係になることを望みました。しかしそれは5人の友情を壊してまで望むものではありません。実際恵理は事件の前にも、これからもいつも通りで、と伸一に告げています。ところがそんな希望は事件によって完全に破壊され、悲痛な運命を甘んじて受け入れるしかなくなります。
生半可な友情だったらここで終わりになってしまうかもしれません。私だったらすべてをあきらめて自分の心も壊れてしまうかもしれません。しかし5人の友情はそうではありませんでした。恵理は自分にとって何が一番大事だったかに気付いたのです。まさに本作の副題にあるWhat is your preciousとは5人で遊んで楽しく過ごした日々、皆を思う友情であったのです。ほのぼの系の作品だったら何となく受け流してしまうであろう友情描写であったとしても、どうしようもなく悲しいこの状況だからこそ、こうも心に深く刻まれるものなのか、というのを強く感じたのを覚えています。
序盤のシーンではただの同級生でしかなかった榊原も、彼女がいないことに悪態をついてばっかりだった明も、こうも献身的に恵理や伸一を支えてくれます。こんな健気な友情だからこそ、全員を全力で応援しながら物語を読み進める手は止まりません。

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その後の学校のシーンなどは、今になって冷静に考えてみれば現実的ではないでしょう。しかしそんなことがどうでもよくなるほど私はこの作品に夢中になっていました。愛を越えた先にあるものをこんな形で描くことができるのかということに。そしてこの展開は同人の18禁作品でしか許されないだろうとも感じていました。

最後にクリスマスの日の会話などが伏線となって真実に気付くあの展開も良く作られています。私が最初に読んだときはこれが後で効いてくるなどとは全く思っていなかった何気ないシーンなのですが、そこまで計算されていたことに気付いてまた深く驚くのです。これも、伸一が恵理や千佳を大切に思っていて、しっかり観察していたゆえでしょう。

ラストシーンにはver1.01で加筆されたシナリオが出てきます。やや説明的過ぎるかなという感じもしますが、ここにきてようやくひと段落したと安心できる内容になっていて、全ルートの総まとめとしての終止感をしっかりと纏ったエンディングです。このエンドロールだけ振り返り的にこれまでのスチルがついていたりもしますしね。1つ注文を付けるとしたら、最後に全員で笑っているスチルとかあったらより感動的だな、というところでしょうか。
若干ネタバレ(クリックで展開) まさかタイトル画面の時点で盛大にあの展開を示していたとはね…全然気づきませんでした。

ちなみに本作の攻略は簡単です。攻略したいヒロインの選択肢を選び続ければよいです。優柔不断な選択をしているとノーマルエンドに行きます。


というわけで今回は「Be alive ~What is your precious~」でした。
本作が私にとって初めての18禁ゲームだったからこそ、単にえっちなシーンがあるだけでなく話のテーマに大きくかかわってくるような内容を含む作品が好きになったのかもしれません。この辺のことは「桜哉」で語りましたね。
あのルートを受け入れられる人はそう多くはないかもしれませんが、私を深く感動させたのもあのルートであることに間違いありません。鬱展開に耐性がある方、ぜひプレイしてみてください。このルートに出会ったからこそ、私はエロゲにもシナリオの良さやテーマ性を求めているといっても良いでしょう。

それでは。

こんにちは。今回はTeam囲碁RPGさんの「囲碁RPG」のご紹介です。

IGORPG1

★favo
ジャンル:オーソドックスなターン制RPG+詰碁問題集
プレイ時間:ラスボス撃破までで10時間程度
分岐:なし
ツール:RPGツクール
リリース:2023/7(ふりーむへのDL版掲載日)
注意:囲碁の棋力が10級以上の方推奨


本作「囲碁RPG」はタイトルから分かる通り、囲碁がテーマとなっているRPGです。単にシナリオに囲碁が使われているというだけでなく、詰碁(部分的な石の死活を問う問題。詰将棋に対応するもの)を解いて進むギミックも多数用意されているなどかなり凝っています。
このギミックのため囲碁未経験者ではクリアはほぼ不可能でしょう。公式の説明欄にもありますが、10級程度の棋力は最低限欲しいところです。私の棋力は碁会所で三段程度、ネット碁では囲碁クエスト(Android版/iOS版)で四段、野狐囲碁で二段程度です。有段者なら本作の囲碁に関するギミックで困ることはないでしょう。
囲碁に関するギミックで詰まってしまう場合、「囲碁RPG 入門編」があるのでそちらのプレイをお勧めします。



本作の世界観では、囲碁の技術である”棋術”(聞いたことがないので本作の造語でしょう)がそのまま(物理的な)戦闘の技術になっています。碁の強い者が通常のRPGの意味でも強いのです。戦闘では打撃(通常物理攻撃)のほかに棋術(魔法攻撃に相当)を使って敵を打ち倒していきます。
そんな本作は主人公の星宙かやが囲碁の養成所を卒業するシーンで始まります。卒業試験をパスしたかやは養成所からのプレゼントとして最新の棋術を教わるため、棋術習得用カプセルに入ります。ところがその棋術習得の最中に”幻庵”と名乗る人物が乱入。養成所は荒らされ、同級生の安否も分からない中かやは何とか魔法陣を起動してワープし見知らぬ村、”アキスミ村”で目を覚まします。どうやら”秘密結社INOUE”が何かを企んで悪さをしている模様。かやは同級生を助けるため、秘密結社INOUEに挑むべく旅を始めるのだった…


本作のオープニングはこんな感じなのですが、これまでですでに囲碁にまつわるネタが3つも含まれています。
まず、幻庵というのは戦国時代の武将、北条幻庵のことのようです。今回調べて知ったのですが、幻庵は囲碁にまつわる逸話のある武将ということです。そしてアキスミ村。アキスミというのは文字通り空いている、つまりまだ石が全く置かれていない(碁盤の)隅のことで、たいていの場合初手で着手される地点になります。すなわち”はじまりの村”みたいな意味合いですね。
そして秘密結社INOUEというのは囲碁の家元四家のうちの一つ、井上家のことでしょう。江戸時代、徳川将軍の前で行われた対局、御城碁で争った四家が家元四家で、本因坊家、井上家、安井家、林家の4つです。本因坊だけが実力制となって現代のタイトル戦に名を残していますね。

安井算知

このように、本作内において非常に濃い密度で囲碁に関する分かると面白いネタがちりばめられています。しかもネタの分野が広いです。
例えば主人公かやの仲間になる最初の人物は”秀策”ですが、これは本因坊秀策のことです。ヒカルの碁にも出てきたのでご存じの方も多いかもしれませんね。続いて仲間になるのは”算知”ですが、これは同じく江戸時代の棋士である安井算知のこと。天地明察に登場したことで知っている方もいるかもしれません。
4人パーティーの最後の一人は”リーラ”と名乗ります。これはフリーのコンピュータ囲碁ソフトLeelaのことでしょう。さっきまで江戸時代の話だったのに急に現代のAIの話が出てきてちょっとびっくりしましたが、これも囲碁が分かる人ならではのネタでしょう。

IGORPG2
他にも、敵のキャラクターは全て囲碁用語だったり、囲碁周辺の元ネタがあったりします。
例えばこちらの”アキサンカク”ですが、これは漢字で書けば”空き三角”。自分の石が三角形の形につながった状態のことで、働きの乏しい愚形の代表例です。

IGORPG3
こちらの”モクサン”は目算。自分と相手の陣地の数を脳内で数えることです。これが正確にできるのは高段者でしょう(私はできません)。

その他、装備品名や村人のセリフなどにも大量の囲碁用語が登場。分かる方にはとても納得できる使われ方だと思います。
鉄柱、亀の甲羅、一間高などの囲碁用語のついた装備品。玄玄碁経、官子譜、發陽論などの古典的書物。秀策、算知をはじめ赤星因徹や本因坊丈和などの江戸時代の棋士である登場人物。ノギツネ城(野狐囲碁という中国のネット対局サイト)、絶芸(野狐で対局しているAI)、AyaXbot(囲碁クエストというアプリ内で常駐しているAI)など、現代の囲碁界に関するものまで本当に幅広いです。
ラスボス戦が対AIになるの熱い展開で良いですね。

IGORPG5
(ところで「魔王のメガネ」の魔王って井山裕太さんのことですよね?)

それに加え、先に書いたように本作では詰碁を解いて進んでいくギミックが数多く含まれています。
IGORPG4
上のスクリーンショットのように、いごまるという小さな生き物(タイトル画面の左側にいるやつ)が道をふさいでいる場面にたびたび出合います。近くには詰碁の問題があるので、これに正解すると道を開けてもらえたり、アイテムやお金がもらえたりギミックが進行したりするのです。
ゲームの進行上必須でない隠し要素については詰碁の問題が難しかったりします(とはいえ最難関でも上級程度です。有段レベルの問題はないと思います)

さらにこれらの詰碁を解くと、アイテムの「いごまる詰碁帳」に解いた問題が登録され、何度でも復習可能になります。全部で140問以上あり、解くたびにお金が少しもらえます。たまに「星屑の欠片」という錬金素材アイテムももらえるので積極的に解いていきましょう。(星もれっきとした囲碁用語です)
少し易しめの問題を一目で解けるようになるまで習熟度を上げるというのは囲碁の上達にもかなり役立つ勉強の仕方になると思います。その意味でも詰碁帳を周回するのはおすすめです。


さて、囲碁から離れて本作のRPGとしての部分を見ていきましょう。
戦闘は非常にオーソドックスなターン制でコマンド選択式。癖がなくてなじみやすいシステムと言えるでしょう。毎回戦闘終了後にMPが一定量回復するのでMP節約にあまり気を回さなくて済むのが助かります。

戦闘のバランスとしては、状態異常が強めでしょう。パラメータ的には余裕でも状態異常を食らうだけで一気にピンチになったりするので、装備で対策したり回復アイテムを買い込んだりしておくとよいでしょう。(状態異常の名前が囲碁用語になっていて少しわかりにくいので注意です。”味悪”は毒、”長考”・”駄目詰”は麻痺、”頓死”は即死のことです。その他は囲碁を知らない人でも名前からイメージできる効果だと思います)
状態異常以外においても装備の重要性は高いので、新しいダンジョンに挑む際はぜひいい装備を入手してからにしてください。

本作には錬金システムがあり、詰碁を解くと時々もらえる「星屑の欠片」を使って固有武器を強化したり、その他の装備品を作ったりすることができます。固有武器をMAXまで強化するのはかなり手間がかかりますが、強力なことは間違いありません。私はリーラの銃を真っ先に強化して攻撃力の上がる装飾を持たせ、リーラをアタッカーとして運用しました。2回攻撃はやはり強い。

いったことがある街へのワープができるシステムがないので移動がやや面倒ですが、ダンジョンは一度クリアすれば出口まで即移動できるのでそこまで大変ではないでしょう。

なかなか珍しいと思ったシステムは、「IG→経験値変換」です。IG(イゴールド)というのは本作の通貨単位です。つまり余ったお金を経験値に変換できるのです。
通常のザコ敵で経験値を稼いでレベルアップしていくのも良いのですが、本作はザコ戦で得られるIGが少ないのでこの方法ではお金不足になりやすいです。そこで「いごまる詰碁帳」を解くことで大量のIGと星屑の欠片を稼ぎ、余ったIGを経験値に変換するという方法の方が効率がよさそうです。


というわけで今回は「囲碁RPG」でした。
10級の方だとクリアに結構苦労しそうですが、5級~1級くらいの上級者の方は特に詰碁の復習もできて楽しい作品なんじゃないでしょうか。囲碁の歴史についてもちょっとだけ学べます。
囲碁やったことないよという方は入門編のほうをぜひ。

それでは。

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